甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年7月23日

(平成25年7月23日(火) 11:21~11:36  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 2点の報告を申し上げます。
 まず、本日の閣議におきまして、平成25年度の経済財政白書を報告いたしました。
 今年の白書の副題は、「経済の好循環の確立に向けて」としております。現在芽が出ている経済の好循環を確固としたものにするには、企業がイノベーションを進め、所得を生む能力を高めることが基本となりますが、同時に、それを支えるため、企業が活動しやすい環境を整備していくことが重要と指摘をしております。本報告が、我が国の経済と財政に関する幅広い議論の素材となることを期待をしております。
 次に、月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要について報告を申し上げます。
 景気の基調判断は、「景気は、着実に持ち直しており、自律的回復に向けた動きもみられる」とし、先月から判断を上方に変更いたしております。これは、輸出環境の改善や好調な内需を背景に、生産が緩やかに増加をしていること、こうしたなかで、収益が改善をし、設備投資の一部に持ち直しの動きが見られるということなど、支出・生産・所得の好循環の芽が出てきていることを踏まえたものであります。
 また、円安の影響もありまして、消費者物価がこのところ横ばいとなっておりまして、加えて、賃金が底堅く推移していることなどを総合してみると、デフレ状況は緩和しつつあります。
 先行きにつきましては、輸出が持ち直し、各種政策の効果が発現する中で、企業収益の改善が家計所得や投資の増加につながり、景気回復へ向かうことが期待されます。ただし、海外景気の下振れが、引き続きリスクとなっていることに注視が必要であります。
 政府といたしましては、「再生の10年」に向けて、「経済財政運営と改革の基本方針」、いわゆる「骨太方針」に基づき経済財政運営を進めてまいります。また、日本銀行には、2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現することを期待いたします。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)月例経済報告の件ですけれども、基調判断の書きぶりですが、今回は、「回復に向けた動きも見られる」という表現になりましたけれども、先日、日銀が景気判断を上方修正した際は、「景気は回復しつつある」と、その回復過程に入っているのか、いないのかというところで少し表現の温度差のようなものを読んでいて感じるのですけれども、そのあたりはどのように見ていらっしゃいますでしょうか。
(答)結論から言うと、同じです。よくマスコミでも、選挙の報道で、「安定的な戦い」とか「堅調な戦い」とか、言葉は変えて同じようなことを言っていますけど、そういうものではないでしょうか。
(問)何度も聞かれていると思いますけれども、参院選、与党圧勝という結果に終わりましたけれども、その受け止めと、今後の政策、経済運営にかける思いを聞かせてください。
(答)都議選からの流れでありますけれども、有権者・国民は、生活の安定は政治の安定という選択をしたのだと思います。つまり、今まで決める力が日本国に少し欠けていた。やはり衆参のねじれということが、決めていくということに関してスピード感を減殺していたということは事実だと思います。
 今、日本は時間との戦いをしているわけでありますから、やるべきことを早急に決定して推進していくと、議会に決める力を与えていただいたことと、これは国民の有権者の皆さんの賢明な判断だというふうに思っています。今後は決める力、衆参のねじれによって決める力が国会に欠けていたと、それを政府としては言い訳にはもうできなくなりますから、まさに今後環境整備ができて、今後は政府の力が問われると、政府の姿勢が問われるということによりなろうかと思います。
(問)泉田知事が大臣との面会を希望している件ですけれども、選挙が終わりましたが、いつ頃お会いになるおつもりがありますでしょうか。
(答)いつでもウエルカムでございます。
(問)お会いになった場合には、政府として、例えば原発を、安全なものは動かしていくというような方針を説明されたりなど、どんなお話をされる御予定でしょうか。
(答)いや、私が申し上げたのは、原子力規制委員会というのは、再稼働の判断をするところではなくて、安全の判断をするところです、と申し上げました。安全は判断をした方がいいと思うのです。安全はグレーゾーンにしておいた方がいいと思っている国民の方はいらっしゃらないと思うのです。前にも申し上げましたけれども、原発は、動いていようと、動いていなかろうと一定のリスクはあるわけです。福島の事故は止まっている状況で起きているわけでありますから、いかなる事態になっても、福島の事故を検証して、ああいう事態になっても事故にならないというためにどういう対処が必要かということは規制委員会が検証する必要があると思うのです。その健康診断は一刻も早く受けたほうがいいというのが私の持論です。それは国民の皆さんもそう思っていらっしゃると思います。
(問)この問題で自治体と東京電力とが結んでいる安全協定がネックになっているのですが、この安全協定についてお考えをお聞かせください。
(答)そこは私の所管ではありません。そもそも受けた質問も私の所管ではありませんが、そういう質問が来たものですから、私として思うところを述べたわけであります。詳しい東京電力と自治体とのやりとりは、経済産業大臣に御質問いただければと思います。
(問)月例経済報告の件に戻りますが、「回復」という言葉が久しぶりに戻ってきたようですけれども、地方とか中小企業については、まだ回復の実感はないという声が多いようですけれども、今後の見通しについて大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)毎回申し上げていますけれども、景気回復にはやはり順番があります。大企業も中小企業も、都市部も地方も一斉に同じスピードで同時期にというのは理想なのでありますけれども、景気というのは伝播していくものでありますし、好循環というのは一斉に始まるのではなくて、どこかの歯車が動き出すと全体が動き出すということです。要は、中央と地方、大企業と中小企業のタイムラグをできるだけ縮めるということが政府の使命だと思います。この時間差をできるだけ縮めていくために全力を投じたいと思っています。
(問)TPPが今日の午後から交渉参加になるのですけれども、改めてなんですけども、意気込みと、時間がない中で参加していく中で、現場の交渉官たちにどのような指示をされているのか教えてください。
(答)確かに先行する国とは情報格差があるわけであります。アメリカの手続が順調にいきますと、今日の午後から正式参加ということになります。まず、テキストにアクセスできるわけでありますから、テキストを一刻も早く、一分一秒でも早く解読をするということです。それから、その上で交渉の進捗を把握して情報格差を縮めるということと、各国との交渉に同じようなポジションを早くとれるようにするということだと思います。一刻も早く先行する国の立ち位置に同列に立てるように、あらゆる努力を駆使してもらいたいと思っております。五つの分科会に参加をする、首席交渉官会合以外にですね。そこで、まず交渉の進捗を肌感覚でまず理解をするということを早くしてもらいたいと思います。そのうちに日本セッションがありますから、そこで可能な限り日本の主張、それから他国の主張のすり合わせのスタートができればというふうに思っております。
(問)自民党内には、参院選でTPP交渉参加について公然と批判して当選した人もいるのですけれども、その参院選の大勝によって党内でそういうねじれというのか、そういう声も大きくなる可能性もあるのですけれども、これについてどう対処されるのでしょうか。
(答)私は地方の参議院議員候補の応援に行きました。一番最初の街頭演説が農協の前でございまして、TPP反対の垂れ幕が下がっている中で、TPP担当大臣として演説をしまして、次は漁協の前でございまして、両方とも拍手をいただきました。守るは守る、攻めるは攻める、そして、この進捗を日本が妨害するようなことはない、新しいルールづくりに主体的に参画をしていくという総合的なスタンスでしっかり臨んでいけば、党内の理解も収れんしていただけると思っております。
(問)月例経済報告のことですけれども、久々に「回復」という言葉が入った一方で、デフレ状況は緩和してきていますけれども、まだ物価も横ばいですし、まだまだこれからという意見も当然あるかと思うのですけれども、春の消費増税に向けて、大臣御自身の考えとしては、どれくらい環境というのは整ってきたかと考えていますか。
(答)まだこの時点で判断はできないと思いますが、やはり秋の判断は秋にすべきでありまして、秋の判断が順調にいくように今は環境整備に努めるということが我々の使命だと思っています。

(以上)