甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年6月28日

(平成25年6月28日(金) 9:45~10:00  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 私から2点の報告があります。
 まず、TPPに関する主要閣僚会議であります。閣僚会議で以下の4点を確認いたしました。合意をいたしました。
 まず1点目は、7月のマレーシアでの交渉会合に向けた交渉体制の確立についてであります。既に任命済みの鶴岡首席交渉官を7月22日付で政府代表に任命するということにいたしました。これに加え、大江首席交渉官代理を本日付で任命いたしまして、21分野の交渉官を7月1日付で発令することで、閣僚間の了承を得た次第であります。交渉官の中身でありますが、外務省が9名、農林水産省3名、経済産業省2名、財務省1名、総務省1名、厚生労働省1名、金融庁1名、加えてもう1名、経済産業省から人選中でありまして、計19名であります。能力本位、人物本位で選抜をいたしました。氏名等詳細につきましては、後ほど担当官からお伝えをいたします。交渉官には、各省の立場を離れて、オールジャパンで、最強の交渉チームとして、国益の実現のために全力で働いてもらうべく、7月1日に交渉官の訓示式を行いまして、私からその旨をしっかりと伝達いたします。
 2点目、交渉会合に向けて実施をしていた交渉に関する各種情報収集の状況につきまして、閣僚間で共有をいたしました。
 3点目は、情報管理と諸団体の情報提供について。前回閣僚会議を踏まえまして、情報管理の徹底のために、情報共有・管理に関する細則を整備しまして、各省で周知徹底したということを確認いたしました。また、国民や業界団体等への情報公開に関しましては、農業界、産業界の諸団体、それから消費者団体、市民団体代表等、120余りの関係業界団体に対しまして、6月17日に行いました業界説明の結果を報告いたしました。今後も、国民や業界団体に対しまして積極的に情報提供を行いまして、いただいた御意見を交渉会合の対応方針に反映するなど活用していきたいと思っております。
 4点目でありますが、マレーシア会合に向けた準備状況につきまして、現在の作業状況やその後のスケジュール等に関し、確認をした次第であります。
 いよいよ迫ってきましたマレーシア会合に向けまして、本日発表しましたオールジャパンの最強の交渉チームで、国益の実現のために全力を尽くしていきたいと思っております。
 続きまして、公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議、これが私の下に設置されました。6月27日付で設置されましたので発表させていただきます。お手元に配布した資料をご覧いただきたいと思います。
 座長は、既に6月7日の会見で公表させていただきましたけれども、伊藤隆敏東京大学公共政策大学院院長にお引受けをいただきました。その他の委員につきましては、菅野雅明さん、JPモルガン証券チーフエコノミストでいらっしゃいます。それから熊谷亮丸さん、大和総研チーフエコノミストでおられます。それから佐久間総一郎さん、経団連の経済法規委員会の企画部長、新日鐵住金の常務取締役であります。そして菅谷功さん、日本労働組合総連合会の副事務局長です。それから堀江貞之さん、野村総合研究所の上席研究員であります。そして米澤康博さん、早稲田大学大学院ファイナンス研究科の教授であります。座長以下、計7名の方であります。
 この有識者会議の第1回目の会合は、7月1日月曜日の15時から開催をする予定であります。
 私からの報告は以上であります。

2.質疑応答

(問)TPPの交渉情報の入手の現状について、交渉入りに当たって、そのテキストの中身などについて、どれぐらい情報が入手できているのでしょうか。
(答)この場でどれぐらいという詳細な発表は控えさせていただきますが、私が申し上げているのは、テキストを受け取った時に、みんな初めて見るような項目だということがないように、承知している、あるいは予測していたことがほとんどであった、となるように、徹底的な情報収集をしてほしいという要請をしております。
(問)中身はお話しできないということですけれども、各国、マレーシアなどもホームページで、29チャプターのうち14チャプターについては、ほぼ合意が整いつつあるというような発表をされていますけれども、今その交渉、各国の交渉について、政府としてどういうふうに見ていらっしゃるのか。日本が関心のある分野については、これからまだ交渉の余地があるというふうに見ていらっしゃるのか。お願いします。
(答)まとまっているということは、各国とも異論がないからまとまりやすいところであります。日本の関心事項は各国の関心事項でもあるわけでありますから、そこはまだ話が終結していないということで、まさに日本が参加をして交渉の余地があるところであると思っております。どこがどう決着しているかというのはこの場では申し上げられませんけれども、日本の決定的な関心事項で、それが日本抜きでみんな決まってしまったということは、基本的にはないという理解であります。
(問)今朝発表されました指標の関連でお伺いしたいのですけれども、消費者物価、5月の全国が0.0%と、7カ月ぶりにマイナスから横ばいに転じています。この物価動向についての評価をお願いしたいのですが、デフレ脱却は着実に歩みを進めているという認識なのか、その辺をお願いできますでしょうか。
(答)総合では前年比マイナスの0.3%だと思いますが、コアでは0.0%になりました。傾向としては、着実にデフレ脱却に向けての歩みを進めていると思います。輸入物価が反映しているという御指摘もありますが、輸入物価が反映する、そして輸出がプラスに働くという効果との、この相殺勘定ですね。
 政権を担当して半年が過ぎました。それぞれの政策がスタートして、もちろん金融財政出動、それから成長戦略、本丸はまだこれからでありますけれども、政策効果が輸出にプラスに働いてくるのに約半年のタイムラグがあると言われています。次第に輸出のプラス効果が出てくると思いますから、単に輸入物価高による物価のマイナスからゼロへの転換ということではないと思っておりまして、輸出効果が次第に発現してくると思っております。
(問)先ほどの関連で、情報入手についてなんですけれども、ここまでのところ、御報告聞かれている範囲で、順調に来ているのかどうか。そのあたりの受け止めを。
(答)比較的順調であります。かなり霧が晴れてきた状態だというふうに思っております。もちろんまだはっきりしない点もありますけれども、交渉官が正式に任命され、その肩書を持って、もう参加するということが決まっているわけでありますから、まだそのあたりが未定の中で行う情報収集と、仲間になるということがほぼ決まって、いつから参加するということも決まっている相手に対して行われる情報の共有の仕方では、随分変わってきていると思いますので、最大限、参加する、つまり、テキストを見る時までに、その様子を承知をしていて、対応が早くとれるという体制をしっかりしいていきたいと思っています。
(問)マレーシアの会合まで、日本が参加するまで、もう一月を切っていますけれども、今日、交渉官を任命して、残りの参加するまでの期間は、具体的にどういうところを中心にやっていくお考えがありますでしょうか。具体的には、交渉官を参加国に派遣するとか、そういうお考えはありますでしょうか。
(答)ええ、もちろん。既に、交渉官に内定という肩書を持って各国回るようにという指示を出してあります。正式に交渉官の肩書を持って、参加国、接触の濃淡はありますけれども、薄いところはより濃く接触するようにという指示を出しております。
(問)ちょっと全然違う話なのですが、住宅ローン金利が3カ月連続で引き上げられるようです。日銀の金融緩和というのは、もともと金利を低く抑えるためだったと思うのですけれども、これがうまくいっているのかどうか。大臣のお見立てを聞かせていただけますでしょうか。
(答)日銀に市場との対話を適切に行ってもらうということであります。日銀はその方針で臨んでいると。景気の指標は全て上げていって、金利は低くというような、なかなかそういう芸当は難しいのですけれども、過度な金利の上昇がなく、経済指標の動向がプラスに働いていくのが先行するようなですね。経済指標が好転していって金利だけはそのままという芸当は難しいですから、そこが過度に反応しないような市場との対話というのは、これからもしっかり日銀がやっていただけるというふうに思っております。

(以上)