甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年6月21日

(平成25年6月21日(金) 9:02~9:13  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 私からはありません。

2.質疑応答

(問)自民党の選挙公約に、大臣がこれまで否定的でおられた法人税の引下げが書かれましたけれども、これはやるのかどうか。やるのであればその時期と税率について大臣のお考えをお聞かせください。
(答)体力というか、財政上の余力があれば、法人税本体の引下げというのは経済効果に反映できると思います。日本の現状を見ますと、平成27年度からは、被災地支援税制の期限が終わりますから、もともとの数字、法人税30%からは4.5%下がる。30%が今は2%が下がって、更に2.5%下がり、25.5%に下がるということがもう用意されております。そうした中で、財政力の体力の範囲内で、費用対効果を最大求めるところにフォーカスを絞るという政策を当面とっていくということであろうと思っております。
 そこで、25年度税制改正でも対処しておりますが、設備投資の部分に関しては、更に企業の決断の背中を押せるような対応をする秋の陣になっていくだろうと思っております。経済が成長していくことと財政の再建の好循環が確保されていくという中で、御指摘のことは、また将来の課題としてとらえるべきかと思っております。
(問)関連ですけれども、昨日の高市政調会長の御説明によると、法人実効税率を下げていける環境を作りたい。この点は、安倍総理自身の強い意向を踏まえたものだとおっしゃっているのですけれども、総理の強い意向を踏まえながらもうちょっと前倒しといいますか、強めの大臣の発言があってもよろしいかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
(答)これは、内部留保を企業の競争力強化に向かわせる、その口火を切らせる作業が一番大事だと思います。結果として、税収増につながり、財政再建を促して体力を増強させて、広くあまねくという方向につながっていくのだろうと思っております。デフレという長期の闇から回復してくる状態の患者にとっては、まず体力をつけるということがプライオリティで先に来る。まだ完全にデフレから脱却していない状態、つまり、体力が回復していない状態で、体力増強のためにグラウンドを10周走るということを始めると、倒れる危険性があるということですから、まず体力を回復してくること。それから筋力をつけていくことの、時間軸の政策配置ということは、政策立案者の手腕だと思っております。
(問)今の関連で、被災地支援の期限が終わって下がる分から、より引き下げるということは検討されていないのでしょうか。
(答)当面、経済状況の推移を見守る。とにかく法人税が下がることは決まっているわけであります。世の中の方は、法人税がこのままで行くと理解していらっしゃる方がいますけれども、1年半、2年弱後には、法人税が下がるということが、オートマティカリーにセットされているということの理解を届ける必要があろうかと思います。
(問)関連ですが、自民党の公約では具体的に何パーセント台という数字はたしか入っていなかったと思うのですが、政府内からも中期的に20%台を目指したいという声が出ているのですけれども、大臣として最終的にはどのぐらいまで法人税を中長期的に見て引き下げたいと考えでしょうか。
(答)私は、世界で一番低いところと照準を合わせるというダンピング競争に参加する必要はないと思いますが、有力な競争相手となる経済大国とは劣後しない水準を確保すべきだと思っております。これが持論です。
(問)それはどのぐらいの。
(答)例えば、EUとかアメリカとか、競合する経済大国のレベルから劣後しないということが大事だと思っています。
(問)TPPの関連で、聖域5分野の半数以下しか守れないという報道が一部ありましたけれども、この事実関係はどうなのでしょうか。
(答)あの報道は、一言で言えば誤報であります。現状で、具体的に最終的にどこまで削って、何をいくかという検討はなされておりません。現状では、とにかく参加に向けて、参加した時点で共有している情報のほとんどが共有できるような情報聴取体制をとっていけと、現段階からとれる情報は徹底的にとるようにという指示をいたしているところです。
(問)金融政策と市場動向についてなのですけれども、昨日も米国株は一段安で、今日の日経平均も影響は避けられない状態ということで、恐らく一喜一憂しないという状態だと思いますけれども、日米欧では足並みが揃っていた金融緩和策というものが、アメリカは少し出口に向かったことによって格差が生じるということが起こることによって、日本経済に与えるリスク、留意点、そういったもののお考えがあればお願いします。
(答)金融緩和というのは無限に続けるわけにはいかないというのは、誰もが承知しているところであります。出口に向かってどういうシナリオを描くかというのは、非常に頭の痛いところだと思います。FRBのバーナンキ議長も、アメリカ経済がリセッションから回復してくる、つまり経済が強くなってくる度合いを見ながらフェードアウトしていくということでありますから、アメリカ経済がフェードインしてくるのに合わせてフェードアウトしてくる。トータルとしては、ショックがないようにしていくということだと思います。
 つまりこの調整の仕方、バーナンキ議長はその動向に変化がないのに、出口作戦を推進していくとは言ってないはずであります。アメリカ経済が回復してくることが確認される度合いに従って、金融緩和の度合いを薄めていく。そして、現状維持、スタンドスティルの状態に堅調にアメリカ経済が回復していけば、来年にも現状維持状態にまでという表現をしているわけでありますから、これは片方が伸びてくれば片方をそれに合わせて調整していくということで、トータルとしてのパワーは落ちないようにするという表現であります。
 今、市場が、消化不良を起こさないように消化している時点だと思います。いきなり固いものを消化していくのはやはり胃腸の力が必要でありますから、市場がきちんと消化できれば安定して推移していくと思います。今は、バーナンキ議長の出口に対する方針を市場が消化しつつある段階であると理解しております。

(以上)