甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年6月7日

(平成25年6月7日(金) 10:13~10:31  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 1点御報告をさせていただきます。
 公的・準公的資金の運用のあり方について検討を行う有識者会議の座長に伊藤隆敏先生、東大公共政策大学院院長、経済学者でいらっしゃいますし、以前に経済財政諮問会議のメンバーも務めていただきました。伊藤隆敏先生の方です。元重先生ではありません。
 その他のメンバーにつきましては現在調整中でありまして、今後速やかに選定を行ってまいりたいと思っております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)為替が一時1ドル95円台まで円高が進み、株価も下がりましたけれども、この要因についてどう見ておられるか。政府、日銀として何か対応すべきとお考えか、聞かせてください。
(答)ここのところ、外的要因によって随分と振り回されている場面があるようであります。大事なことは、日本経済は、実体経済が着実に改善しつつあるという事実であります。成長戦略ももうすぐ取りまとめます。いかに実行を迅速に図るかということであります。アベノミクスは、具体的なきめ細かな工程表、達成度指標を使って、きちんとこれを達成していく。年度ごとに検証をし、それが遅れているようなら要因の分析をし、追加政策を行うということであります。しっかりと、実体経済をより向上させることを通じて、いろいろなボラティリティーも解消してくると思います。今後の動向を注視していただきたいと思います。
(問)昨日、官房長官の菅さんが法人税の引き下げについて、「国際競争力に勝てるような環境整備は必要ですね」というような御見解を示されましたが、大臣についても御所見をお願いいたします。
(答)直近の国会に、産業競争力強化法等、提出予定になっています。設備投資の促進策であるとか、あるいは事業再編、いろいろな議論がなされると思います。
 肝心なことは、アベノミクスはスピードであります。そこで出された何らかの結論について、対応する必要性がきちんと出てきた場合、通常であれば年末の税調、そして翌年度からの実行ということになると思いますけれども、この直近の国会が開かれた場合、そこで出た結論について、必要なものについては年度をまたがず、直ちに実行するというスピード感を持つということだけははっきりさせたいと思います。
(問)今の関連ですけれども、設備投資を促進するに当たって、税制が根幹になってくるとは思うのですけれども、その設備投資というか、成長分野に限った減税をお考えなのか、それとも、あまねく法人税全体、実効税率全体を下げていくということも視野に入っているのか。そこは明確にしていただけないでしょうか。
(答)提出予定の法案というのは、日本の競争力を強化をするための法律であります。強化に資するような対応の結論が得られたら、それは直ちに実行に移すというのが基本的な考え方であります。
(問)改めて伺いますが、法人税全体を下げるということは視野に入っているのでしょうか。
(答)提出予定の法案というのは、まだ最終的に詳細が固まっているわけではないと思いますが、産業競争力の強化をする、つまり設備を最新鋭のものに更新をしたり、あるいは事業再編を行って成長力の高い分野に経営資源をシフトさせていくということを図る法案だと思います。そこの結論が出れば、それに対応した対応をするということであります。
(問)今回、一丁目1番地とされている規制緩和について、取組み不足という声も上がっていますけれども、大臣、この参院選でもし勝った場合、その後が規制改革の本番というふうにお考えなのか、その辺りのお考えを聞かせていただけますでしょうか。
(答)一連の報道を見ておりまして、報道される方が事実関係を認識されていないということで、一部私からクレームをつけておきました。それは何かといいますと、マスコミが注視をしていた規制緩和、恐らく政府が踏み込めないであろうと思われていた3つ、インターネットの薬の販売と、いわゆる世間で言われている混合診療と、それから農地の規制緩和、この3つであります。正確な事実を申し上げます。
 インターネットは、全ての一般用医薬品をネット販売を開放するということであります。一部をさせないみたいな報道がありますけれども、これは違います。医師の処方する医薬品から、一般医薬品に変わっていくわけでありますけれども、その際に、現状の劇薬も含めて、スイッチしたものについての取扱いは、消費者の安全を考えて、きちんとした取扱いの手順やルールを決める必要があります。これは、薬局、インターネットの線引きではなくて、このスイッチOTCを扱う関係者は、きちんとしたルールを使用者に説明をしてもらう必要があります。その安全上の手順について、医学や薬学、純粋な専門家の人に、どういう取扱いが必要かということを、このスイッチしたばかりの医薬品については決めてもらうということであります。これは、ユーザーの安全にとって、そんなことはしないほうがいいとおっしゃる方は一人もいないと思います。そういう点であります。それを前提に、これは薬局、インターネットを、線引きするわけではありません。取扱い上のルール、安全上のルールを決めるということであります。
 それから、いわゆる混合診療。間違っていらっしゃる方が多いのですけれども、我々がイメージしていますのは、保険外併用療養の話であります。混合診療というのは、安全性の確認も何もなく、保険と、いわゆる民間療養等を組み合わせる。これは安全の確認がなければいけないと思います。安全の確認というのは、患者が求めているのは先進医療であります。先進医療と言われているものを使いたいと。その先進医療を使った場合は、それ以外でやっている保険診療まで全額自己負担になってしまう、ここが問題なのです。先進医療を、この保険外併用療養の対象にするために、この専門機関への外部委託も含めて圧倒的にスピードを上げていくという先進医療ハイウェイ構想というのをお出ししました。そして、先進医療を患者さんが保険診療と併せて使えるというふうにしたわけであります。ここは圧倒的な規制改革であります。誤解のないようにしていただきたい。
 それから、農地についてであります。農地については、都道府県に中間管理法人というのを再整備をいたします。何をするかといえば、非耕作地、耕作放棄地を借り集めて、それを加工が必要なら一定の加工をして、専業農家とか、あるいは農業法人とか、あるいは株式会社に農地を集約して貸すという、この仕組みを整備し、強化をしたわけです。株式会社に売買せよというお話もあります。ただ、株式会社のニーズとしては、買い取るよりもリースの方が参入しやすいという、これは株式会社側からの声なのです、これは。ですから、株式会社が利用しやすいようなリース方式を徹底していくということでやっていくわけであります。もしリース方式より踏み込んでくれという声があったら、そこの時点でまた検討をするわけですが、現時点では、買い取るよりもリース方式の方が、参入する企業としては入りやすいというのが企業の声ですから、これは圧倒的に進めているということであります。
 でありますから、マスコミの皆さんがきっとできないであろうと言われていた3つは、ほぼ完璧に構造改革が終わったわけであります。そこの事実をしっかりと確認をしていただきたいと思います。
(問)選挙後、規制緩和が本番かどうかというところはいかがですか。
(答)規制緩和は常にここまでで終わりということではなくて、必要のあるものについては次々と進めていくわけであります。規制改革会議も店じまいをするというわけではありません。今後も必要性に応じて、必要であるという認識をするものは大胆に進めていきます。
(問)今の質問の大臣のお答えに関して、ちょっと確認をさせていただきたいのですけれども、まず1つ、薬のネット販売に関しては、今後、詳しいルール作りをするに当たって、ネット販売と薬局との線引きを問題にするのではなくという趣旨の御発言があったと思うのですけれども、ということは、今、薬局で認められている処方薬についても、もしかしたら、今後、逆に規制される、ネットに合わせて規制されるような、そういうこともあるのかということと、あともう一つ、農業の方の中間管理機構に関してなんですけれども、今、農業委員会の裁量で、最終的にリースができるかどうかという判断が行われているかと思うのですけれども、その辺で、ちょっとルールが不透明じゃないかというような声も上がっていまして、農業委員会のあり方について、これはやはり、今後は議論する必要があるとお考えかどうか。その2点についてお願いします。
(答)薬の販売の件であります。一般医薬品の中には4種類の劇薬も入っているわけであります。スイッチ医薬品、医者の処方箋から入ってきたのが21、合計25であります。子供が取り扱うと危険だということもあります。でありますから、安全のルール、その種のものについての取扱いのルールをきちんとして、薬局であろうとインターネットであろうと、インターネットはもちろん薬剤師もいるのでありますが、きちんとしてほしいという声は、これは少なからずあると思います。それは無視していいと皆さんは思っていらっしゃらないと思います。
 その種のものについては、取扱いルールを薬局、インターネット、無差別に、こういう注意を促してくださいということ等々、やらなければならないことを決めておくということは、むしろ消費者からの要望だと思います。これは消費者庁からもそういう要請が来ております。その中で、今買えたものが突然買えなくなってしまうということにならないように、そういう配慮はしながら、消費者の利便性と安全性を両立するようなことになろうかと思っております。その検討対象というのは、ごく少数の薬、つまり医者の処方箋から一般医薬品に入ってきたばかりのものとか、あるいは劇薬指定になっているものとか、そういうものは極めて限定されると思います。
 それから、農地のことであります。中間管理機構が、農地の流動性、つまり出し手を促進して、受け手とつなぐということを強力に進めていきます。その中で、農業委員会については、より時代に合った役割を果たしていただくということで、当然農林水産省自身、検討の余地があると思っていると思います。
(問)先ほどの法人税引下げの部分に関連して、今日、一部報道で、税制の協議を9月に前倒しという話が出ているのですけれども、このアイデアについては、先ほどスピード感を持ってということをお話しいただきましたけれども、その前倒しのアイデアについてはどういうふうにお考えでしょうか。御意見をお聞かせください。
(答)総理が既に会見でお話をされています。安倍内閣はスピード感を持って経済再生に取り組んでいくということでありまして、普通であるならば、案件が出てきたら翌年の対応をしていく、翌年度の対応から始まるということでありますけれども、案件が出てきて、それが必要とあれば、その年度からもうスタートするということは、総理が表明されているとおりであります。

(以上)