甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年5月17日

(平成25年5月17日(金) 12:45~12:56  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 私からは、特にありません。

2.質疑応答

(問)昨日のGDPでは、設備投資がマイナスでしたし、今日の機械受注では、今月は随分大きい数字でしたけれども、4-6月期はまだマイナスとなっているというところで、日銀の金融緩和の強化ですね、出回る資金が、マネーが増えているにもかかわらず、企業が新たな設備投資にまだ踏み切れていない、その理由はどこにあるというふうにお考えか聞かせていただけますでしょうか。あと、これを変えるために、成長戦略、残り追加で議論すべきことが何かあるというふうにお考えでしたら教えてください。
(答)消費が非常に伸びてきていますから、需要が増えていけば、設備投資は後追いで追ってくるのが経済原則だと思います。それから、機械受注は、設備投資のいわば先行指標でもありますし、ただ、若干乱高下があります。
 仮に設備投資を躊躇している要因があるとすれば二つだと思います。一つは、投資先の見通し自身がしっかり立っていないということだと思います。これは、成長戦略を提示し、その環境整備、つまり規制緩和とか、あるいはそれ以外の環境整備、税制の整備等々、必要のある部分については深掘りする必要があろうかと思いますが、そういう環境整備が一つ。それから、やはり企業側にしてみれば、エネルギーの安定供給、低廉で安定的なエネルギーが確保できるかということであります。原子力が止まっている中で、エネルギー価格が高騰している。3兆8,000億円分、毎年海外に新たな資金を払うということ、これはそのまま電気料金に換算しますと25%の値上げということに単純計算ではなるわけであります。その辺りの問題がクリアにならないということは、投資を躊躇される原因の一つにもなっているかというふうに思っております。安全が大原則であることは間違いありませんが、安全の新しい基準のもとに迅速に個々のプラントの検査を終え合格したものについては迅速に再稼働させるということは、企業にとって、いわゆる投資、設備投資にとってプラスのメッセージになろうかというふうに思っております。
(問)昨日の経済財政諮問会議で、小泉政権が以前実施したような社会保障費の機械的な削減はせずに、徹底的な効率化を図るという方針でした。もし、いろいろな効率化策をこれから全部積み上げていった場合に、どの程度の効率化が見込めるというふうにお考えかをお聞かせください。
(答)昨日の発言で正確に総理の思いが伝わっていなかった点があろうかと思います。それは何かといいますと、国民と共有をするというのはですね、社会保障の改革が何のために必要なのかということをしっかりと国民の皆さんに理解していただく努力が必要だということがまず第1点だと思います。医療費は好きなだけ使えるというのが、それは一番いいに決まっているのでありますけれども、財政制約から持続可能性に黄色信号が灯ってしまう。つまり名目成長率を上回って際限なく社会保障費が伸びていけば、これはいずれ払えなくなるわけでありますから、世界に冠たる日本の社会保障制度が存続可能なように改革を行っているのだということを、ひとりよがりじゃなくて国民と共有したいということが一つあろうかと思います。
 それから、メリハリというのは、それなりの合理性が働いてメリハリがつくわけであります。メリもハリもなく一律にカットするということは、国民の理解を得られないのではないかという、この二つの意味だというふうに思っております。
 そこで、このレセプトの完全電子化等を通じて、重複や無駄を省いていくということが結果として出てくるわけでありますから、それは誰も異論のつけようのない削減につながっていくのではないかということを申し上げたわけでございます。
 目標を掲げて、それに向かってとかということはなかなか難しいとは思いますけれども、これから各分野で議論を重ねて、引き続きアバウトなものからフォーカスを絞っていく中で、予算編成に向けての具体的な方向性が出てくるのではないかというふうに思っております。
(問)今日夕方にTPPの主要閣僚会議が開催されますが、このタイミングで開くことの狙いと、具体的に何を今回決めるのか、議論するのかを教えてください。
(答)今日の会合ではですね、我が国のTPP交渉参加に向けまして、3点について関係閣僚で議論し共有をしたいと思っております。
 まず第1点は、今後の情報収集のあり方であります。そして第2点が、情報共有・管理のあり方、そして3点目としては、交渉体制の強化、これを議論する予定であります。
 先般、連休中に関係閣僚が各国を回ってきました。その報告も受けて、その情報も共有したいと思っておりますし、これからTPP、情報管理体制が非常に厳しく問われているところであります。日本が仲間に入る前に、日本を入れると情報がだだ漏れするというような不信を既参加国に持たれてしまうようでは参加もままならないということになりますから、それはTPPのルールを踏まえて、それをどう管理していくかということをいろいろ話し合わなければならないというふうに思っております。もちろん体制の強化もしっかりしていこうということであります。
(問)今日、経済財政諮問会議にできた専門調査会の目指すべき市場経済システムに関する会議、これは4月の下旬からできましたけれども、骨太に向けてどういうふうな着地点を考えておられるのか、そのイメージを教えていただきたいのですが。
(答)総理御自身がかねてから、「日本は瑞穂の国の資本主義」ということをおっしゃっています。いわゆる市場原理至上主義ではないという意味だと思います。それは単に、別にみんなに優しい資本主義みたいなアバウトなものではなくて、日本に本当に必要な長期の研究開発資金、リスクマネーを呼び込むような、そういう発信をして、それが日本のガラパゴスではない世界標準、つまり今の資金供給のあり方というのはサイクルがどんどん短くなってきてしまっている。本当に国民を、あるいは世界を幸せにするような技術開発にとっては極めて使いづらい資金になりつつある。今日投資して明日回収をする。午前中投資して、午後配当をよこせみたいな、どんどん短い形になってきている。これは決して人類の幸せにとってですね、それも否定はしませんけど、それだけではよくないのではないかと、天空に輝くような新しい製品、サービスが生まれてくるというのは、それは開発期間に一定の期間を要する。その間、忍耐ができるような資金需要というのは必ずあるはずだ。そういう資本主義の姿というのを安倍内閣として世界に発信をしたいという思いもおありなのだろうというふうに思っております。これは別に、今の資金環境全体を否定するというつもりはありませんけれども、短期資金、資金の短期化がどんどん進んでしまうと、地に足のついた開発が行われないのではないかということに対して、日本から問題提起をするということになるのではないかと思っております。

(以上)