甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年5月16日

(平成25年5月16日(木) 9:22~9:35  於:合同庁舎4号館6階643会議室)

1.発言要旨

 本日、公表いたしました2013年1-3月期GDP1次速報によりますと、実質経済成長率が前期比プラス0.9%、年率換算しますとプラス3.5%。そして、名目成長率が前期比プラス0.4%、年率換算をしますとプラス1.5%となりました。実質成長率は、2四半期連続のプラスとなったわけであります。その要因でありますけれども、家計のマインドが改善をする中で、外食や自動車等を中心に個人消費が大きく増加をしたこと。そして、海外景気の底堅さ等を背景に、輸出が増加に転じたこと等が挙げられます。個人消費の増加を中心に安倍内閣の経済政策の効果が現れ始めているものと考えております。
 先行きにつきましては、世界経済の緩やかな回復が期待される中で、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略、この「3本の矢」に一体的に取り組むことによりまして、着実な需要の発現と雇用創出が見込まれ、民需主導で持続的な景気回復が進むものと見込んでおります。政府といたしましては、引き続きこの3本の矢によりまして、デフレから早期に脱却し、雇用と所得の増加を伴う経済成長というものを実現してまいりたいと考えております。
 先般、2012年10-12月期のGDP速報につきまして、外部の方からの御指摘によりまして推計ミスが見つかりました。2013年5月7日及び8日に計数訂正を公表する事態に至ったわけでございます。今般の事案を踏まえまして、こうした事態を招くことがないように、推計ミスの再発防止の徹底を経済社会総合研究所長に指示をいたしました。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)今回、年率3.5%と比較的高い成長率になった背景には、個人消費の寄与がかなり大きいものがありますけれども、ここまでどちらかと言えばマインド先行、期待先行という形で個人消費が伸びてきたという現象があると思います。これが一体どこまで持続性があるのか、この勢いを持続させるためにどういうことが必要か、大臣はどうお考えでしょうか。
(答)株価の極めてスピーディな上昇を受けて、マインドがいい方に好転していっているわけであります。そこから消費が伸びてきたと。これは外食であるとか、自動車。自動車は、国内消費だけではなくて、アメリカ中心に輸出も伸びてきております。これから大事なことは、設備投資にしっかりつなげていくことが必要だと思います。設備投資も改善過程にありますけれども、これを加速させて、消費、設備投資共々牽引役になるようにしていくことが課題かというふうに思っております。
(問)年度見通しについてお伺いします。今回、1-3月期が高い伸びになったことで、成長率のげたが0.5%という形になって、政府経済見通しは実質で今は2.5%ですけれども、その達成に向けて追い風になったという形になったと思います。今後、年央改定に向けて、この2.5%を修正するような必要があるのか。それから、本当に2013年度全体を見渡してどういうふうに経済が動いていくのか。大臣、どうお考えでしょうか。
(答)名目2.7%、実質2.5%、この実質2.5%についての達成の可能性は、かなり高くなってきたと思います。手綱を緩めることなく、しっかり引いて、この成長戦略の取りまとめが投資の促進につながっていくように、しっかり各般の努力をしていきたいと思っております。肝心なことは、実質が伸びていって、その後に名目がついてくるわけでありますけれども、名実転換させることができるかということについては、まだまだ気を許せる状況ではないと思っております。
 ただ、傾向としては、極めて順調な回復を見せております。四半期ごとに数字を追っていきますと、7-9月期の数字が年率換算マイナス3.5%でありました。それが10-12月期で、プラス1.0%になり、この1-3月期でプラス3.5%になったわけであります。一言で言いますと、安倍内閣による異次元の政策投入による異次元の景気回復への歩みが始まったと言えると思います。これがしっかりその延長線上に軌道を描けるように、しっかり手抜かりなく政策実現、遂行に取り組んでいきたいと思っております。
(問)今回の数字を踏まえて、来年4月の消費増税についてどのようにお考えか。引上げ実行に近づいたという認識かを聞かせていただけますか。
(答)消費税を上げる際に判断する経済環境について、環境を整えつつあるスタートが切れたのではないかと思います。正式な判断は今年の秋にその時点で現況判断して、環境が整ったかどうかということになるわけでありますけれども、それに向けてしっかり引き続き環境整備をしていきたいと思っています。
(問)ちょっと早いかもしれないですけれども、昨日、予算も成立したことなので、4-6月期の見通しについて、大臣の見解を、先ほども異次元の政策で、異次元の景気回復が始まっているということなのですが、4-6月期は予算の成立もあって、補正予算の公共投資とかの効果の発現も徐々に出てきていると思うのですが、4-6月期のGDPはまた引き続きかなり高く伸びるというような見通しでしょうか。
(答)緊急経済対策の発現というのはまさに4-6月期の時期あたりにかなり本格的に発現してくると思います。経済対策の実施は、6月末にはほぼ100パーセントが契約を終わっているという見通しであります。引き続き、堅調な景気回復の道筋が見通せるのではないかと思っております。
(問)大臣がかねがね雇用者の報酬を伸ばしてほしいということを要請してきたと思うのですけれども、今回の数値で、実質で10-12月期のマイナス0.4から1-3月期のプラス0.5になっていますが、こういった雇用者報酬の伸びについてはどのようにお考えでしょうか。
(答)国会でも答弁させていただいておりますが、賃金交渉というのは民民の契約によるものですから、官が介入しないという原則はありますけれども、それはよく承知をした上で、業績が上がっている企業は、なるべくタイムラグをおかずに、景気回復のサイクルを回していくことに参画してほしいという要請をしているわけであります。そのことを通じて、更に大きな利益が跳ね返ってきますよということを、経済に参画している関係者はその認識をもって自らも景気回復の軌道を動かしていく一員になってくださいということを要請しているわけでありまして、これからも機会を捉えて、その種の要請をしていきたいと思っております。
(問)今回、非常に高い成長率ということですけれども、先日発表された景気ウォッチャー調査などでは、地方中心にまだ景気回復の実感が湧かないという声もあるのですけれども、こうした回復の実感が広がっていくにはどれくらい期間がかかるというふうに見込んでいらっしゃるのでしょうか。お考えをお聞かせください。
(答)我々の仕事は、景気回復の手順、タイムラグをできるだけ短くしていくということにその使命があるのかと思います。やはりどうしても都市部、中心部から景気が回復し、そして地方に波及していくという時間差はあろうかと思います。ただ、各種の調査、動向調査を見てみましても、冬景色から曇り一時陽が差してくるという状況に天気図が変わりつつあるわけであります。これは傾向としていい方向に向かっていると思います。地方でも、景気回復の実感ができるだけ早く得られるように、対策を加速していきたいと思っております。

(以上)