甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年5月10日

(平成25年5月10日(金) 8:48~9:02  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 私からは特にありません。

2.質疑応答

(問)1ドル、100円を超えましたけれども、この背景、要因について、どのように分析されているのかというのと、このところ生活必需品の値上げ、円安によるデメリット、マイナス面に注目が集まっていますけれども、輸出企業の業績回復につながっている面もあると思います。そのプラス面、マイナス面についてどのようにお考えでしょうか。
(答)1ドル、100円台に乗りました。アメリカの雇用統計が予測を超えてよかった等々、アメリカ経済の回復の兆しがかなり強いものになってきたということで、ドル買いに進んでいるのかなというふうに思います。日本経済も堅調に回復の途にあります。市場が各般の指標をにらみながら、為替レートは決まっていくものというふうに思っております。円安の国民生活への影響が、国会でも指摘をされております。円安のマイナス面の影響、それから円安のプラス面への影響、それぞれがバランスしてくる過程にあろうかと思っております。輸出の効果というのは、輸入効果の半年遅れぐらいで出てくるというふうによく言われているものであります。輸出企業は堅調に業績を上げております。その業績を上げたものが市中に還元されていくように、政府からも引き続き要請をしていきたいというふうに思っております。個々の輸入物価の上昇による影響については、関係事業官庁で対応できる部分は対応し、検討する部分は検討していくものと思っております。
(問)昨日、林農林水産大臣が官邸を訪れて、攻めの農業と、官邸に農業の対策本部を置くという発言をされたのですけれども、TPPの動向にもちょっと絡むような話なんですが、農業の問題というのは、規制改革会議ではあまり話題に上っていないのですけれども、安倍政権にとって、この成長戦略で、農業というものはどれほど重要視されているのか、どれほど大きなポイントになるのかというものを教えてください。
(答)安倍政権は、攻めの農業、第一次安倍政権でも掲げおりました。私の記憶ですと、農林水産大臣とタッグマッチを組んで、この農産品の輸出について、いろいろと取組んできた記憶が思い起こされます。現状では四千四、五百億円の輸出、これを1兆円までに引上げるという目標を掲げております。TPPに関連して言えば、日本の優秀な、この安全で高味覚の農産品の輸出に関して、非関税障壁も多々あります。検疫の問題等々ですね。TPPやその他の貿易交渉を通じて、非関税部分の改善も通じて輸出環境を整備していくということも、大きな挑戦だというふうに思っております。それらもろもろを含めて、安倍政権として優秀な安全で高味覚の農産品を輸出をしていくということは、重要な政策の一つというふうに捉えております。産業競争力会議で農産物に関して議論は行われていますし、この農業のいわゆる産業化については、かねてから幾多の提言がなされているわけであります。今般も都道府県の中間法人を通じて、未利用農地の仲介機能だけではなくて、一時的な保有も含めて、その仲介機能を高めていくという提言も農林水産大臣からされているところでありますし、これからも攻めの農政について、積極的な提言が農水省からあるということを期待をいたしております。
(問)昨日、マイナンバー法案が衆院を通過しまして、問題点として費用対効果の問題ですとか、情報漏えいの問題などが指摘されておりますけれども、大臣がお考えになる上で、まずどのあたりに乗り越えるべき課題があるというふうにお感じでしょうか。そのあたりの御所見をお願いいたします。
(答)社会保障・税番号制度は、国民にまず第一に理解をしていただきたいと思う点は、世の中がIT化、デジタル化、情報化していくわけであります。そういう中で、その構成者たる国民が、情報化社会、デジタル化社会の恩恵に裨益(ひえき)するように、まず自身がデジタル化する必要があるということです。そのための番号法案であるということの理解を、まず求める必要があろうかと思います。その上で、情報が一元管理をされていくことに対する不安、恐怖に対して、どういう安全措置をとっているか。基本情報の分散管理とか、暗号化、接触できる人の制限、安全を管理していくシステム、あるいはそれを犯した者に対する罰則等々ですね。国民の不安に応える体制を、具体的に理解してもらうことが必要かというふうに思っております。委員会の指摘でも、行政の範囲内だけでなくて、民間とのアクセスが利便性を高めるという御指摘もあります。同時に、一方で民間とのアクセスは不安を拡大するという御指摘もあるわけであります。当面、基本情報、行政情報の範囲で、この利便性を追求する中で、問題点も浮き彫りになってこようかと思います。3年後にこれらを全て検証して、その先に踏み出すのか否かということの検討になっていこうかというふうに思っております。
(問)成長戦略に関連してお伺いします。今、副大臣中心に地方でのアベノミクスの説明会を行っているのですが、やはりまだ地方では賃金が上がる前に職がないというような声も出ていて、また地域が取り残されるのではないかという不安も出ているようですが、その点、成長戦略の中ではどのように対処していかれるお考えでしょうか。
(答)地域の資源を活用して地域の活性化を図るということも、戦略目標の4本柱の一つに入っております。これはいろんな地域資源、観光的資源、文化的資源、あるいは産業的資源等々あろうかと思います。それを活用して、経済の振興を図っていくということであります。
 例えば、コンテンツ戦略の中でも、海外からの経済、それから観光を呼び込むという意味で、地域のよさを映像コンテンツとして海外の番組、有線あるいは地上波、いろいろあろうかと思いますが、それを使って日本の魅力を、地域の魅力を流していって観光を呼び込む経済につなげるという戦略も、このアベノミクスの中にあるわけでございます。先般も海外視察をしてきまして、問題点も把握をしてきました。日本の映像コンテンツを近隣諸国、東アジア等々、ASEAN等々、流していくための方式の違い等々もあります。これらの問題については、調査団を派遣をしたいというふうに思っております。
 また、求人と求職情報のマッチングをより図っていくために、公が持っている情報、求人・求職に関する情報を民間に渡して、マッチングの確率を上げていくということについても、成長戦略の中で今取組んでいるところでございます。年央を目途に策定します成長戦略の中で、こういった点についても具体的な取りまとめの策が発表できるかと思っております。
(問)今日は麻生財務大臣の臨時代理ということもありますので、もう一度、為替についてお伺いしたいんですが、たしか1月に甘利大臣、大体半年から1年ぐらいかけて100円ぐらいに戻っていけばいいという趣旨の発言をされたと思うのですが、100円に来ましたが、ペースとしてはちょっと早過ぎるのか、このぐらいのペースでいいのか、あと以前からおっしゃっているように、まだ過度の円高が是正される過程にあるという認識は変わっていないのか、その点についてお願いします。
(答)まず前段のお話、半年かけて100円に戻ればいいという話をした覚えはございません。過度の円安は、当然国民生活に一定の影響を与えるだろうということを申し上げただけであります。為替につきましては、結論から言えば市場の動きを注視していくということに尽きるわけであります。適正レートが幾つであるというようなことについては、言及しないことになっております。
(問)為替の話ですけれども、急速に円安が進んだことで、特にアメリカの自動車業界などから、日本の為替操作について、いいかげん米国政府としても為替操作をやめるようにきちんと意見を表明すべきだとか、反発も広がっているかと思うのですけれども。あと、TPPの中でも、為替操作について罰則なり、制裁を与えるような議論もすべきだと、そういった声もあるのですけれども、いかがでしょうか。
(答)日本政府として、あるいは中央銀行としても為替操作をしているつもりは全くないということであります。あくまでも我々は、デフレによるマイナススパイラルを食止めるということの1点であります。為替の水準自身は、市場が決めるものというふうに理解をいたしております。

(以上)