甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年3月26日

(平成25年3月26日(火) 9:13~9:24  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 私からは特にありません。

2.質疑応答

(問)日本とEUとのEPA交渉が来月始まることで合意しましたけれども、御感想と、日本経済にどういう影響を及ぼすか、そしてTPP交渉にはどういう影響を与えるとお考えか聞かせてください。
(答)私が経済産業大臣をやっていた時代からの懸案事項でありました。日本側は強い思いを持っておりましたけれども、EU側が、なかなか日本から取れるものが少ないということ等もありまして、交渉が開始できませんでした。それが開始に至ったということは極めて喜ばしいことだというふうに思っております。
 日EUのEPAの経済効果はいろいろな試算が出されていますが、恐らくTPPの半分くらいのGDP押し上げ効果があるのではないかと試算をされています。私は、より大きな展開が期待されるというふうに思っております。
 経済連携交渉というのは、ある種、にらみ合いみたいなところがありまして、向こうが進むとこっちも進むというような関係があります。TPPに日本が踏み込んでいったということが、EUの背中を押したということであろうと思います。
 TPP交渉というのは、あくまでも通過点でありまして、FTAAPが最終着地点だとすると、南北アメリカがアジアと組むということになりますと、ヨーロッパがアジアから外れてしまうということに対する危機感をEUは持っているのであろうというふうに思います。アジアへのアクセスの道を探ったということだと思います。
(問)TPPへの参加を表明して、これから受入れ承諾を得られる時期と、今度は米国の議会への通告する時期について、どういう認識を持っていらっしゃるか教えてください。
(答)まだ参加表明をして、いよいよその作業がスタートするという段階でありますから、それぞれいつになるかということは確定あるいは推測もなかなか難しいところであります。私といたしましては、できるだけ早い作業手順をしていきたいと思っておりますし、日本側が要請をして全体会議が開かれるというタイミングを是非早い時期に持ちたいと思っております。従来予定されている交渉の開催日程をただ待つだけではなくて、積極的に働きかけていきたいというふうに思っております。
(問)昨日、自民党のTPPの対策委員会が、先に政府が公表した国内の影響の試算について不十分だとした上で、地域別に農業の影響などについて公表するよう政府側に求める考えを示されましたけれども、政府としてどういうふうに対応されますでしょうか。
(答)全体の日本経済に与える影響を算定していますのは、いわゆるGTAPモデルというものであります。GTAPモデルは、国全体のデータベースをもとにはじくものでありますから、地域ごとの影響を算出することができません。GDPであるとか産業連関表等々が関わってくるわけでありまして、GDPを地域ごとにどのくらい押し上げるか、押し下げるかという試算はできないわけであります。
 ただ、党のほうで西川委員長がおっしゃっているのは、農林水産品の生産額の減についておっしゃっているのだと思います。農林水産省は、主要品目に関して、関税が直ちにゼロになった場合という、直ちにゼロということは現実にはあり得ないことでありますが、そういう前提を置いて、減収額というのを試算したわけであります。農林水産省の出先によって、その全体額をブロック別程度に分けることは技術的には可能なのかもしれません。しかし、これはマイナス面だけの発表ということになります。全体として、それも含めてどういうプラスになるかというところがはじけませんので、こういう試算がどういうことに資するかということは少し慎重な検討が必要かと思います。
(問)先ほどの日EUのEPAの補足で教えていただきたいのですけれども、経済効果がTPPの場合の半分ぐらいではないかということですけれども、日本からの工業品の輸出などが増えるという効果が期待できると思うのですけれども、もう少し、例えばこういう効果が期待できそうだというあたりのイメージと、あと半分ぐらいということですと、前回のTPPでは3.2兆円ぐらいの効果ということだったと思うのですが、大体その半分ぐらいというイメージをされているということでしょうか。
(答)これは過去のどこかがやった試算でそういう数字が出ていると、どこかがやったというのは無責任で申し訳ないですけれども、たしか、私の記憶に残っているということでありまして、政府が今回、GTAPモデル等々を使って試算するというのはこれからだというふうに思っております。
 具体的な日本にとっての利益、国益というのは、日EU間では、工業製品は日本はほとんど関税がない、EUは関税をかけている、自動車や家電製品等々がその対象になろうかと思います。特に競合他社で言いますと、韓国とEUが既にEPAを結んでいるわけでありますから、ここに日本だけハンディキャップを持ってEUの市場で戦うということになりますと、相手国の製品が極めて有利になりますから、それをイコールフッティングを獲得するという点では非常に重要だと思います。まさに自動車、家電製品が競合しているというところであります。
 EUからは、日本には非関税障壁ということでいろいろな注文がついてくるかと思います。ただ、これも安全規制等々につきましては、この機会に、まさに日EUで世界標準を作っていくようなきっかけになればというふうに前向きに捉えていいのではないかと思っております。
(問)日中韓の経済連携も今日から会議が始まるということですが、期待と、これの効果を教えていただいてもいいでしょうか。
(答)今までアジアの枠組みというのは、それぞれ国ごとの思惑があって、なかなか進んでいきませんでした。これも恐らくTPP効果であるというふうに思っておりますけれども、中国が特に日中韓の動きに意欲的になってきているわけであります。やはりアジアにおける中国市場というのは極めて大きいわけでありますし、いわば経済大国であり新興国でもある中国に市場経済のいろいろな国際ルールが根づいていくということは、中国自身にとってもいいことだと思いますし、これからTPPが東アジア全体を含んだ枠組みにいく時に、いい架け橋になっていくのではないかというふうに受け止めております。

(以上)