甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年3月5日

(平成25年3月5日(火) 9:07~9:25  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 私の方から1点報告がございます。テーマ別会合の担当民間議員等の決定についてであります。
 本日、産業競争力会議のテーマ別会合の担当議員、並びに主査及び副主査につきまして、お配りしている紙のとおり決定をいたしました。
 また、テーマ別会合を明日16時50分から開催します。議題A及び議題Bでありますが、Aは「産業の新陳代謝の促進」、Bは「人材力強化・雇用制度改革」、この二つのテーマについてであります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)昨日、日銀総裁候補の黒田氏が、所信聴取で、「デフレ脱却に向けてやれることは何でもやる。物価目標2%の達成時期は2年が一つのメド」等と発言されていましたけれども、御感想、評価と、黒田氏が日銀総裁になれば、大臣も2年で2%達成できそうというふうに御覧になっているか教えてください。
(答)新総裁候補黒田さんの発言は、極めて意欲的だと思います。総裁に、国会が承認をされましたら、政府とのジョイントステートメント実現のために、精力的に頑張っていただきたいと思います。
 2年で達成できるか云々という話であります。これは日銀が目標を掲げて、期間は、私どもとの共同声明におきましては、「できるだけ早期に」となっております。「できるだけ早期」がどのくらいで達成していただけるかは、日銀の尽力によるものでありますので、期待をして見守りたいと思っております。
(問)セブン&アイがベースアップを実施するというふうに昨日発表しました。一時金ではローソンなどこれまでありましたけれども、ベースアップはたしか安倍政権の賃上げ要請以降初めてかと思うのですけれども、その御感想と、ほかの企業への期待感を教えてください。
(答)ベアとか定昇など、将来を固定する、将来を縛るものにつきましては、労使の賃金交渉の中で取り組んでいかれるものですので、政府としてそこまで強制をするような立場にはないですから触れておりませんでした。一時金その他対応できる部分はしてほしいということで要請をしてきました。今回、ベア、ベースアップという全体を縛る、将来を縛るものについても意欲的な対応の回答が出てきたということについては歓迎をしたいと思っております。一時金も含めまして、いい流れになってきました。ローソン、セブンイレブン、次はファミマというふうに期待をしております。
(問)財政健全化の法整備について昨日言及がありましたが、大臣のお考えを聞きたいと思います。それと、経済財政諮問会議の今の充実している度合いと課題があればその辺教えてください。
(答)政府として、安倍政権として、成長と財政健全化、これは両々相まっていくものでありますけれども、財政健全化は、それから先の日本国債の信認を確保していく。それが、またそれから先の財政再建を安定的にさせていく、あるいは社会保障の持続可能性、安定的な維持ということについて等々、密接に関連をしてまいります。政府としては、財政健全化に向けて毅然たる姿勢をしっかり掲げてこれからも取り組んでいきたいと思います。
 いろいろ景気対策を行ったこと等によりまして、その影響が出ている等の指摘もございます。しかし、だからといって、財政再建への手綱を緩めるというつもりはありません。
 それから、経済財政諮問会議の充実度は、充実しております。大きな目標をしっかり出して、あらまほしき日本の将来像というのを示すのが経済財政諮問会議の役割であります。いろいろと打合せ会等を開かせていただいておりまして、意欲的な御提言を民間議員からいただいているところであります。
(問)今の質問と関連ですけれども、安倍総理が、昨日の代表質問の中で、財政健全化について立法化も含めて検討するというお話をされていますけれども、立法化というのは、どういったことを想定されているのか、PB(プライマリーバランス)の2015年半減、2020年黒字化ということも含めて検討されているのか、またその時期について御見解をお願いします。
(答)昨日の総理御答弁の真意の確認は現時点でしておりません。かつて自民党は財政健全化法等々の提出を企画しておりました。余り細かく縛るということはどうかとは思いますけれども、健全化目標に向けて、目標が定まったら足元をしっかり固めていくというような基本的姿勢に向けての法案はあるのかなとも思っておりますが、昨日の御発言の真意はまだ総理には確認しておりません。
(問)先ほど発表されましたテーマ別会合のことなのですが、このメンバーをこのように振り分けた主な理由と今後の進め方について改めて教えてください。
(答)七つのテーマ別会合につきましては、まず10人の民間議員の方々の希望を取らせていただきました。その希望を優先させていただきました。もちろん希望を出されたところは複数になっておりますから、調整は若干必要でありましたけれども、基本的には御本人の意思と、それから取り組んでこられた専門分野等々を勘案しまして、御希望に沿って配置をさせていただいた次第であります。
 進め方につきましては、以前から申し上げておりますとおり、本会合では、総理の御日程もありますし、時間が制約をされております。テーマ別に十分時間をとりまして、人数を絞って濃密な議論ができるようにいたしました。
 それから主査、副主査、中心議員になっている方々が民間議員ペーパーを出していただきます。これは本会合でも、そのテーマ別会合で議論されたものがペーパーとして上がってくるという仕組みになっておりますし、これは経済財政諮問会議等でも民間議員ペーパーを出していただいて議論をリードするというか、たたき台にしていただいております。そういうスタイルをとっていきたいというふうに思っております。
 頻度は、必要とあらばテーマ別会合を複数回開くということも含めて濃密な議論をしていきたいと思っております。
(問)大臣、オリンピック招致のバッチをつけられているのですが、オリンピック招致への意気込みと、オリンピック招致によって日本経済にどういう効果が得られそうかというのを教えていただけますか。
(答)オリンピック招致というのは、マインドの点と具体的経済効果と両方あると思います。1964年、私が中学2年生のときに東京オリンピックがありました。国中が沸き立っていたことを今でも思い起こします。もう一回明るい目標に向かって国民が一つになるということは、いろいろな意味ですばらしいことだと思っております。
 加えて、過去の例から見ますと、経済効果というものもそれなりにあるわけであります。デフレ脱却に向けてアベノミクスで今いろいろなことをやっていますけれども、国民の気持ちを前向きにさせていくという意味では、オリンピック招致に向けて国民が一つになるということが非常に明るいマインド効果というふうに思っております。
(問)テーマ別会合についてお伺いしたいんですけれども、人数、それぞれの項目で3人から6人とばらつきがあるんですけれども、ほかに例えばサブメンバーみたいな形で更に人数を足しながら議論していくというところもあるんでしょうか。
(答)民間議員の方々の関心が集中するところと、比較的専門分野的に偏っている部分があります。これは希望を優先して配置をさせていただきました。これ以外にも、どこにでも出られるということになっております。この担当メンバーを含めて決めさせていただいたのは、その方々が極力日程調整をしてくださいねということでありまして、それ以外に興味のあるところにつきましては、このメンバー以外でもどこにでも御参加できますよということになっております。
(問)例えば、今メンバーに入っている10人以外にもタスクフォース的に入る……
(答)それはありません。10人のメンバーを濃密な議論ができるようにテーマ別に分散をしたということであります。それぞれの得意分野、関心分野がありますから、その希望を取りました。
(問)マーケットの質問で恐縮なのですけれども、長期金利なのですけれども、金利の水準が今足元で0.600%というかなり歴史的な低水準になっておりますけれども、これどうしてこんなに下がっているのかということと、これが今のファンダメンタルズをちゃんと反映できている数字だとお思いなのかどうか、もしコメントあればお願いいたします。
(答)足元の数字が極めて歴史的に低いというのは、新総裁に予定されている方、これから国会の承認がもちろん必要でありますが、その方が極めて前向きな発言をしていると、その前向きな取組、金融緩和の取組の中での具体的な手法についても言及をされているということの反応を市場がしているのだと思います。成長は高く、金利は低くというのが理想的な姿かもしれませんけれども、景気が回復してくれば、普通、金利は上がっていくということが自然現象だと思っています。株価がどんどん上がっていく、金利は低いという状態は、そうであれば理想的かもしれませんけれども、原理原則からいって、そうなかなか甘いものではないということですから、成長戦略と財政健全化ということはしっかりつじつまが合うように設計をしていくという緊張感を持っていかなければならないというふうに思っています。
(問)テーマ別会合、6日の初めての会合でAとBのテーマなのですけれども、どういうテーマが議論されるか、解雇ルールなどという報道もあるんですけれども、どういう議論でどういう方向でまとめていかれるか教えてください。
(答)解雇ルールばかりが取り上げられていますし、民間ペーパーがそのまま政府の案になるわけではありません。あくまでも問題提起として入れられるわけであります。政府としては、失業なき労働移動ということを目指したいわけでありまして、そのために雇用維持をしている政策が労働移動を阻んでいるのではないかという問題提起もあります。つまり人口減少の中において新規産業分野で労働力が足りない。足りないというのは物理的にも足りないし、そのスキルも足りないということもあるのだと思います。
 一方で、過剰雇用を抱えている企業に雇用維持政策にお金を出すというのが従来の手法だったとすれば、雇用過剰なところの労働力をスキルアップあるいはスキルチェンジをして、必要なところに遅滞なく移動していくということが日本の成長にとって極めて重要であります。そういった意味で、新しい労働力を必要としているところに、それに見合ったスキルを備えた労働力供給がスムーズにいくようにどう政策を展開していくかということがこれからの課題になろうかと思います。政府としては、雇用に不安を与えることは最大限避けなければならない。移動していく先が目の前に見えて、そこへのタイムラグがないということが大事でしょうから、在職中にスキルアップ、スキルチェンジをするというようなことに対しての支援ということ等も考えていくのであろうというふうに思っております。くれぐれも雇用不安をあおるような政策になってはいけないということを心しているつもりであります。

(以上)