甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年3月1日

(平成25年3月1日(金) 11:45~11:58  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 私の方から報告がございます。法案の閣議決定についてであります。本日、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。本法案は、PFI事業に金融支援を行う、「株式会社民間資金等活用事業推進機構」に関し、その設立、業務の範囲、財政上の措置等を定めるものでありまして、緊急経済対策においてもその設立が位置づけられております。機構による出資を期待している関空・伊丹空港等のPFI事業の円滑な実施のためにも、法案の早期成立を目指してまいります。
 また、社会保障・税番号制度に関する法案が閣議決定されました。社会保障・税番号制度は、より公平な社会保障制度や税制の基盤となるものであるとともに、情報化社会のインフラとして国民の利便性の向上や行政の効率化に資するものであります。法案の今通常国会での早期成立を目指してまいります。
法案の詳細につきましては、事務方にお問い合わせください。
以上です。

2.質疑応答

(問)このマイナンバー法案、閣議決定の受け止めと、この制度のメリット、国民にとってどういうメリットがあるとお考えかというのをわかりやすく教えていただけますでしょうか。
(答)社会保障・税番号制度というのは、一言で言えば、情報化社会のインフラです。これがないと情報化社会は事実上限界があります。世界中で情報化を進めようとしている国で、この制度がない国はありません。利点、それから懸念される点、いろいろ御指摘があります。利点はたくさん言われます。複数の情報が同一人物のものであるかどうかという確認が即座にできるわけでありますから、行政手続等々がユーザーにとって非常にしやすい、国民にとってですね、余計な手間がうんと省けるということ、行政の側にとっても極めて瞬時に簡潔に対応が可能になってきますから、圧倒的な改善が行われるということだと思います。
 懸念される点は、漏えいによって個人情報が流出する危険性がないかとか、あるいは国家があらゆる情報をみんな管理してしまって、国家統制にならないか、そういう懸念があると言われております。これはきちんとセキュリティのシステムをハード的に設ける。それからもう1つは運営する側のモラルの問題もありますから、そこは取り扱いをする公務員にきちんと縛りをかける。あるいは物理的にあえて情報管理を分散させるというようなこと、全情報を1カ所で確認できるという体制でなく、利用するときにその情報が集合するというようなシステムが必要かと思っております。
 とにかく危惧が先行して、住民基本台帳の時にもトラブルがありました。そこは政府として丁寧に説明をして、惹起される杞憂に対してはきちんと説明して、不安を取り除く必要があろうかと思っています。
(問)大臣が先ほどおっしゃった社会保障・税番号制度、政権交代前の政府が、愛称として「マイナンバー」制度ということを政府として作ったと思うのですが、この前自民党はその「マイナンバー」という言葉を使わないということをおっしゃっていたかと思うのですが、政権交代したとはいえ、政府としては連続しているわけで、あえて愛称を今後使わないということにしたのでしょうか。
(答)正式な呼び名とそれから愛称といろいろありますが、正式には「社会保障と税」という枕詞にしているのではないかなと思いますけれども。
(問)マスコミの書き方、放送の仕方として、「マイナンバー」という言葉を、これから政府が使わないのに、マスコミが使うというのはちょっと変な感じがするので、その点をちょっと。
(答)これは、「マイナンバー」に対して、どういうスタンスをとるのかということだと思います。私自身はあまりこだわりはありません。
(問)統計がちょっと発表されていまして、家計調査が少しプラスになっておりまして、最近消費者態度指数も上がっていまして、これは消費に何かいいものが出始めていると見てよろしいのでしょうか。
(答)アベノミクスという言葉が浸透してきて、いろいろな効果があるのだと思います。世の中にあふれている閉塞感の重しを取ってくれたと。やはり何となく世の中が陰鬱で、朝、あいさつをすると、「景気が悪いね」からスタートする。最近は、朝、あいさつすると、「なんか良くなりそうね」というところからスタートする。景気は「気」からとは言いますけれども、確かに「気」の与えている影響は大きいと思います。それが実体経済に今移りつつあるところかなと思います。
 消費動向もプラスになってきているようでありますし、これから設備投資等々にどんどんいい影響が出てくる。それから、アベノミクスに呼応して、報酬を引き上げるということを宣言してくれている会社があります。アベノミクスがあろうとなかろうと、引き上げるところがあったのかもしれませんけれども、あえてその会社も「私も呼応して」と言うことは、いろいろな意味で波及効果があるのだと思います。経営者の考え方も我々も前向きに取り組んでいくということを世間に表示をするということが、いい行動がいい行動を呼んでいるということになりつつあるのだと思います。
 政府といたしましては、これから一番大事なことは、補正予算が実体経済にちゃんと効いてくるということをちゃんと把握していくことであります。経済財政諮問会議を通じて、この執行状態を把握していきます。レビューシートも発出していまして、今、書き入れ、どういうことで目標を達成するかという予算を扱っている省庁ごとの自主申告をしていただいているところであります。これをしっかりフォローしていって、しっかりお金が出ていくということ、それから成長戦略で有効に出ていった金が民需につながっていくということをしっかり検証していく、チェックしていく必要があろうかと思いますし、魅力的な成長戦略プランが実効性を伴って発出される、今度の成長戦略は本物だと、民間経済自体に信じ込ませることができるかどうかということだと思っております。
 昨日の経済財政諮問会議でも、そのベースとして、エネルギーを安定的にできるだけ安価で、廉価で供給するということが前提だという御指摘も民間議員からありましたけれども、それについても政府は多様な調達についての行動を開始する。バーゲニングパワーを持てるような調達方式にする。あるいは安全な原発は再稼働する等々の表明がなされているわけであります。こうしたメッセージがしっかり届くことによって、経済自体が懸念をしている項目が1つ1つ、六重苦とか七重苦とかいろいろ言われていますけれども、その懸念が1つ1つ解かれていくということが、理解していただくにつれて、実際の投資が起きてくるのではないかと期待いたしております。
(問)大臣、今、おっしゃっていた給与を上げてくれる企業がというので、メガネのJINSというところが、6%、これまでの3%より大きい6%で、なおかつパートやアルバイトも含めて、というあたりについての御感想をお願いします。
(答)ありがたいと思います。報酬を上げることを検討している企業は声を出して上げていただきたいと思います。黙って上げないで、声を出して上げてください。そうすると、どうしようか迷っている企業も背中を押されると思います。
(問)総合科学技術会議に御出席されました。この御感想と、権限の強化というのは、これはなぜこれまで実現できなかったのか、超えるべきハードルというのはどういうところにあるかを教えてください。
(答)総合科学技術会議は、革命的に変わっていくと思います。強く期待しています。なぜ司令塔機能が果たせなかったかというと、独自にメリハリをつける予算配分権を持っておりません。持っているように見えても、実質上は機能が果たせていません。それから、企画・立案権限についても、独立的に持っているとは思えません。日本の科学技術の司令塔になる以上、この2つの権限は、各省から独立して持つということが極めて大事であります。その権限を持てば、名実ともにそこに司令塔ができ、そこに相談が来るわけであります。誰にも相談されない、当てにされない司令塔は、司令塔ではありません。これからは、山本大臣のリーダーシップのもとに、総理指示を受けて、総合科学技術会議が名実ともに我が国の科学技術の司令塔になると思います。強く期待いたしております。

(以上)