甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年2月22日

(平成25年2月22日(金) 10:46~11:09  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

お待たせいたしました。私からは特にありません。

2.質疑応答

(問)明日未明の日米首脳会談で、TPPの聖域の有無について意見交換が行われますけれども、総理への期待と、近くTPPに参加表明されるのではないかという見方が出ていますが、見通しについて聞かせてください。
(答)総理並びに関係大臣の国会での答弁は、日本の今日を築いたバックボーンに自由貿易体制ということが大きく貢献していると発言をされています。我が国経済の引き上げに資するかどうかということを慎重に総理を中心に見極めるということになるわけであります。自民党公約の第一項目が大事だと思います。聖域なき関税撤廃を前提とするものであるかどうか、それを踏まえて国益に資する最善の道を求めるということであります。総理、オバマ大統領との会談を通じて、最善の道がしっかり見極められることを期待しているというところであります。
(問)農業の国際競争力を強化していく上で、農協に期待される役割も変化していくと思いますが、農協は今後どういった機能を強化していくべきとお考えでしょうか。
(答)農家にあてにされる、頼りにされる農協ということのための自己革新が必要だと思います。とかく農家のための農協ではなくて、農協自身のための農協ということが一部で言われております。農家にとっても、頼りになる農協になるためには、やはり農産物の専門商社として、例えば輸出戦略を強化する際に農協が果たす役割、農協にしかできない役割をしっかり見つめて、そのための自身の力をつけていく、自己革新をぜひしていただきたいと思っております。
 産業競争力会議あるいは経済財政諮問会議におきましても、農業というものは日本経済を進展させるポテンシャルがある、まだまだ引き出せていない力がある、ということが指摘されています。その力を引き出して、日本の農業が日本経済を支える強力な一員としてバージョンアップしていく、その後ろ盾になるような農協になっていっていただくということが大事だと思います。
(問)TPPについて総理の訪米の結果次第というところもあると思いますが、TPPを含んだ今後の経済連携のあり方について、経済財政諮問会議や産業競争力会議で議論する必要はあるとお考えでしょうか。また、そのスケジュール感があればお願いいたします。
(答)日米会談の結果を受けての対応になろうかと思います。我々が考えているような聖域なき関税撤廃ということが全く崩れないということであるならば、なかなか前に進むのは難しいと思いますが、しかし、交渉事でありますから、どの国も最終的には聖域を持てるという従来の交渉と、結果として同じような対応をとれるということが確認できたとするならば、それは前に進んでいく前提条件になろうかと思っています。それを受けて、もちろん産業競争力会議や経済財政諮問会議等でもその結果を受けての議論は発生しようかと思っております。
(問)産業競争力会議のことなのですけれども、テーマ別の分科会ができましたが、そのメンバー構成をどうするかと、今後どれぐらいのペースで打合せなり、話合いを行っていくかを教えてください。
(答)テーマ別会合は7分野あります。この中で希望をとらせていただきました。ほぼこの会議のメンバーの御希望、もちろん重複しますけれども、重複して大いに結構なのでございますが、決まりました。その中で、コアメンバーの選定、あるいは座長的な方をどうしていくかということを、今、相談中でございます。間もなくこれは確定できると思います。テーマ別会議は、基本的に1テーマに1回しっかり時間をとってやりたいと思います。必要とあらば複数回テーマ別会合もやっていきます。
(問)関連して、テーマ別会合の中で科学技術イノベーションというのがありますけれども、前回の産業競争力会議でイノベーションの司令塔機能というのは総合科学技術会議であるということで、その機能を強化するということは決まったと思います。この2つの関係についてどのように整理されていらっしゃるのか、お願いいたします。
(答)総合科学技術会議のメンバーと産業競争力会議のメンバーが連携をとれるような人事を、今、山本大臣と相談中であります。これは国会同意人事でありますから、国会の承認をいただかなくてはならないわけであります。産業競争力会議のテーマ別会議で出された案件、それが総合科学技術会議で議論されるという関係、クイックレスポンスの関係をとりたいと思っております。
 山本大臣から先般提案をされました総合科学技術会議の司令塔機能、これは相当、私に言わせると革命的変革になっていくと思います。総合科学技術会議が一定割合の予算を総合科学技術会議の裁量で配分できるということは、これは革命的なことになるわけであります。加えて、総合科学技術会議が独立していろいろ運営できる体制を構築していくというような方向性のようですから、まさに科学技術の司令塔機能に名実ともになっていく、お飾りの会議でないということになっていくわけでありますけれども、これは一種の革命が起きるのだと思っております。
 その中で、産業競争力会議は、上流の研究から実用化に向けてのロードマップを提案していくということになろうかと思います。総合科学技術会議が上流の研究で何を選定するかということと、産業競争力会議で市場を見据えた出口戦略まで繋げていくということと連携をとるということは、総合科学技術会議が、単なる学者、研究者のサロン、これは従来から批判される方はそういう話をされていまして、もっと出口を見据えて上流の研究費配置をせよということであります。そういう総合科学技術会議が目指している方向と、産業競争力会議は出口を常に見据えているというところでありますから、これがコラボレーションをしますと、上流から下流まで一気通貫で繋がっていくと。そして、出口を見据えた適切な上流の選択ということが可能になってくるのであろうと思っております。
(問)TPPに参加した場合の政府の新たな試算についてなのですが、総理の訪米の後にどのくらいのタイミングで公表なさる予定なのでしょうか。
(答)政府の統一試算は、作業としてはほぼまとまりつつあると思います。総理の帰国、その時点でTPPに対するスタンスがはっきりしてくると思います。そのスタンス、どちらになるのかまだ分かりませんけれども、仮にTPP交渉参加に向けて前進をするということであるならば、資料要求の中でそういったものが要求されてくると思います。それにあわせて発表していくのであろうと思っております。
(問)資料要求というのは。
(答)いろいろ党内からとか、あるいは野党からということもあるかもしれません。
(問)TPPの関連ですけれども、先ほど大臣から、交渉事なので、どこの国も最終的には聖域が持てるという従来の交渉と結果として同じような対応をとれるのであれば、前に進む前提条件になるというお話がありましたけれども、これは交渉参加のときではなくて、交渉に参加してから最終的には聖域が持てるということが首脳会談の中で確認されれば、公約の書かれているところから一歩進んで交渉参加の前提が整うというふうに理解してよろしいのでしょうか。
(答)判断をされるのは総理であります。私の限りで言えることは、聖域があるということをどう確認していくかということなのだろうと思います。これは間違いなく聖域があるのだという判断は総理中心に政府全体でしていくことでありますから、総理が帰国されて、総理を中心に政府全体として聖域なき関税撤廃を前提とする交渉であるかないかという判断は、そこで総合的に行われるものと思っております。
(問)総理が国会の答弁の中で、デフレというのは貨幣的現象であるとよくおっしゃっていますけれども、大臣も同じ考えでいらっしゃいますか。
(答)総理の御発言は、市場全体で、貨幣の流通量と、モノ、サービスの流通量の関係で、売手市場になったり買手市場になったりするわけであります。それはまさに貨幣の流通量のマネーサプライの多寡で、売手市場か買手市場ということは当然決まるわけであります。これは総理のおっしゃるとおりだと思います。
 あわせて総理御自身は、貨幣現象、つまり金融を緩和しようとする姿勢がいろいろなところに影響してくるということ、実体経済にも影響してくるということをおっしゃりたかったのだと思います。つまり、日銀が2%のインフレ目標に対して毅然たる姿勢と毅然たる対応をとるということ自身が、デフレマインドを払拭していく、インフレ期待といいますか、インフレ予測をいろいろな場所に起こしていくということになります。企業にインフレ予測が起きますと、これは設備投資に繋がっていくわけであります。デフレの現象というのは、現金で持っていた方が得ですよというところからスタートしているわけでありますから、現金でいつまでも持っているということは余り得にならないということでマインドが変わっていきますと、設備投資が起きます。ここで国民にそのマインドチェンジが起きれば、持っている方が、現金で持っていて買控えをしていた方が得だということがマインドチェンジになるわけでありますから、これは消費に繋がっていくと。つまり、総理は、全体の状況、モノとお金の量の関係、それがマインドチェンジを通じて実体経済に影響を及ぼしていくという全体像を捉えておっしゃっているものと思っております。
(問)そうすると、いわゆるお金の操作で貨幣的現象が変わっていくという意味では、やはり日銀による金融政策が専ら主役を占めるということになるのですか。
(答)バックボーンを変えないとだめなのだと思うのです。バックボーンを変えるということに関して、日銀の金融政策、日銀がこれは私のせいではありませんという態度をとり続ける限り、マインドチェンジは起きないのだと思います。毅然たる姿勢で中央銀行は適切なインフレ目標に向かって金融緩和を続けますという、その本気度を市場が試しているわけであります。
 一方で、よく言われることでありますけれども、物価は上がりましたと。よそがついてきませんと。マインドチェンジが起きるから、企業は、では現金を持っているより設備投資をした方がいいという感覚にはなると思いますけれども、魅力的な投資先ということをしっかりと自分自身で見据えれば、その行動に移ると思いますけれども、政府が成長戦略を通じて障害物を取り除く、規制を緩和するとか、あるいは基礎研究の環境を政府がやるべきもの、その目指すべき方向と違うとんちんかんなところの基礎研究をするのではなくて、10年、20年先に市場に繋がっていくような大もとの研究開発をすると。その種の環境整備をすることを通じてマインドが変わっていくことと同時に、実体経済の改善に向けての障害物を取り除いていくという作業に繋がっていきます。
 ですから、デフレ予測を払拭するということと、それから、投資や消費の方向に向けての道筋をつける、環境整備をする、障害物を取り除く、これが一体となって、適切な軽度のインフレ経済、そして、好循環の経済に繋がっていくと、そういう関係だと思います。
(問)大臣のお話だと、インフレになるものが上がると企業が投資をするようになる、人が買物をするようになるということですけれども、日本経済がデフレになっているのは需要がないからだと思うのですね。インフレにしたからといって需要が増えるわけではないので、やはりインフレが先に来てしまったときは、まさに今、石油などが上がり始めていますけれども、物価のマイナス面の方が多くて、本当に、言っているような形で企業の投資や消費が拡大するのかというのは非常に疑問があるのですが、いかがですか。
(答)もっともな疑問だと思います。実体経済がきちんとついていくように、つまり何をやろうとしているかというと、好循環に変えていくことであります。物価を上げるということは、デフレ予測が払拭をされる、つまり今日買うより明日買った方が貨幣の価値が上がる、明日より明後日のほうが上がる、来年のほうが上がる、10年先のほうが上がると、そういうマインドがある限り、何を持っていようかということに関して言えば、ものを持っている、サービスを持っているよりもお金を持っている方がいいと、有利だというマインドが働きます。このマインドを払拭しなければ事が動きません。マインドリセットができずに例えば成長戦略を示しても、よっぽど魅力的なものでない限り、放っておけばお金の価値が上がっていくという状況の中では企業行動はなかなか起きづらいと。その景色も変える、それから背中も押すということが大事だと思いまして、これが一体となって回転し始めないと、実体経済は好循環が大事であります。
 お金というのは、量も大事ですけれども、回転スピードが大事でありまして、量を出すと同時に成長戦略で回転スピードを上げていくと、この両々相まるということが大事でありますけれども、総理のおっしゃる貨幣現象というのは、全体にかぶさってくることだということであります。消費行動にもかぶさるし、投資行動にもかぶさるという意味で貨幣現象ということをおっしゃっているのだと思っております。
(問)日銀総裁人事ですけれども、いよいよ大詰めですが、一言というか、一言だけじゃなくていいのですけれども。
(答)10人ぐらい名前が挙がりましたから、多分その中の誰かがなるのではないですか。

(以上)