甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年1月29日

(平成25年1月29日(火) 10:55~11:08  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

世界経済フォーラムの年次総会、いわゆるダボス会議でありますけれども、この報告をいたします。
私は、1月25日金曜日から27日日曜日まで、安倍総理の名代として、スイスの、ダボスで開催されました世界経済フォーラム年次総会に出席をしてまいりました。
まず、世界のオピニオン・リーダーを集めた有識者との懇談会におきまして、安倍総理が日本からテレビを通じて、日本経済再生に向けた取組を説明されました。その後に、茂木大臣とともに有識者とのディスカッションを行いまして、日本の新たな政策展開について詳しく説明を行いました。有識者からは、こうした取組を歓迎するとともに、高い評価をいただいた次第であります。
次に、世界経済見通しセッションに参加をしまして、安倍内閣の経済財政政策の特徴であります大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして、民間投資を喚起する成長戦略、この「三本の矢」の同時展開についてスピーチを行いました。世界に発信をいたしました。質疑応答では、私から、日本経済にとってのデフレ脱却の重要性、それから日銀との共同声明の意義を強調いたしました。他の参加者からは、日本の政策は革命的であり、これを支持するということ、それから、政府と中央銀行の関係は、日本も他の先進国と同じである旨の見解が示されました。
さらに、世界経済フォーラム年次総会に出席をしていましたIMFのラガルド専務理事、OECDのグリア事務総長、インドネシアのパンゲストゥ観光創造経済大臣、米国のカンター下院共和党院内総務、そして、日産自動車株式会社のゴーンCEOと会談を行いました。一連の会談におきましては、それぞれの立場から世界経済の課題について意見交換を行いまして、先方からは、安倍内閣の新たな経済財政政策に高い関心が示されたというところであります。
今回の出張を通じまして、アベノミクスへの関心の高さと安倍内閣の日本経済再生に向けた取組が、国際的に高く評価されているということを認識いたしました。今回のダボス会議参加を通じて得た知見を、今後の我が国の政策運営に生かしてまいりたいと思っております。
私からの報告は以上です。

2.質疑応答

(問)今日、春闘が始まりましたけれども、デフレから脱却するためには、物価の上昇だけでなくて、企業に従業員の賃金を上げてもらう必要があると思うのですけれども、この辺りの大臣のお考えを聞かせていただきたいのと、先日、税制面で賃金や雇用を増やせば、一部優遇されるというような措置がありましたけれども、ほかに経済界の賃上げに向けた働きかけとして、何か考えていることがあれば教えていただきたいです。
(答)デフレというのは、消費の停滞から生産の停滞、そして、所得の停滞への負の連鎖であります。これをプラスの連鎖にしていきたいと我々は考えているわけであります。そこで、「三本の矢」という政策を提案し、これを今、実行に移しつつあるところであります。
同時に、今、御指摘にありましたように、雇用を増やすとか、待遇を引き上げた場合に、これを法人税の減税対象とするという税制改正案を今国会に提出させていただきます。それらを通じて、賃金の上昇、雇用の改善に貢献した企業は、それなりの特典があるという環境整備をしたわけであります。
あわせて、先般も麻生副総理から民間有識者に対して、企業から出ている代表の方々がお二人いらっしゃるわけでありますが、企業としての責務についても強い要請がありました。企業は債務を減らすことに努力をしてきたと、今度は、それを従業員、会社の構成員に還元するということに取り組んでいくべきだという発言がありました。
これ以外も、そういう環境整備について、これから総理と相談をしていきたいと思っております。
(問)今の御質問について、もう少しお聞きしたいと思います。経団連は、賃上げはおろか、ベースアップあるいは定昇の凍結、こういったところにまで踏み込んで、要は、もう労働側との話合いが成り立たないような感じであります。いくら金融緩和をしても、企業が給料を上げてくれないと誰も消費しないのであって、ここへの取組が安倍内閣は少し足りないのではないかと。企業に対してもっと強く出るべきではないのかということが一つ。経済財政担当大臣として、こういう企業の経済全体を底上げしていこうということに対する協力のなさに対して、率直にどういうふうに思われているのか、まず教えてください。
(答)私、かつて労働大臣のときに、企業側に対して、雇用に対しての責任の要請をしたことがあります。政労使の三者の対話の場も作ったことがありました。
経済財政担当相として、日本経済のどうしても取り除けなかった根雪のような存在のこのデフレを脱却する、そのための環境整備について、政府は取り組んでいる。その日本経済の主たる構成員である民間経済主体に対しても、同様の責務を感じてほしいということは、これから都度都度、発信をしていきたいと思っております。
ただ、もちろん順序としては、デフレを脱却する環境整備が起きてくる、その果実をどう分配していくかという順序が当然あります。企業側は恐らくその順序をおっしゃっているのだと思います。私どもは、順序がきっちり動いていくように、最大の努力はしてまいります。その過程において、更に強い要請もしていきたいと思いますし、いろんな機会を作っていきたいと考えております。
(問)経済財政諮問会議ですが、いろいろ議論すべきメニューも出てきたようですが、今後はどのくらいの頻度で開かれていくのか、また、次回はいつぐらいを考えていらっしゃるのか、教えてください。
(答)次回は、2月中に開催をいたします。頻度としては、月一、二回は開催をしたいと考えております。
(問)国民会議の三党実務者協議のことでお尋ねしたいのですが、今、民主党との間で、今後のスケジュール感、議論の進め方について、隔たりがあるようなのですが、恐らく夏の参議院選の争点化するかどうかの、その辺の思惑もあると思うのですが、大臣として、この社会保障の議論を参院選の争点化にすべきかどうかどうか、その辺について、どうお考えでしょうか。
(答)社会保障というのは、政権が交代しようと、安定的に推移していかないと、一番不安に陥るのは国民であります。外交、安全保障、そして特に社会保障、政権がどうあろうと安定的に推移をさせていかなければならないこの種の、課題については、政争の具とすべきではないというのは強く思っております。
日程につきましては、三党実務者協議、そして、有識者の国民会議がダブルトラックで進んでいくということであります。法律上は8月21日がタイムリミットになっているわけであります。そのことを、国民会議の構成員の方々も、あるいは実務者協議の構成員の方々も、よく認識をされていると思っております。遅滞なく成果が出るように、両者に要請はしてまいります。
(問)為替については言及なさらないということは、重々承知の上でお聞きするのですが、ドル・円相場が90円台に戻ってきて、円安がまた戻りつつありますけれども、ダボス会議で、日本のアベノミクスについて、円安誘導という誤解が解けたという効果が大きかったとお考えでしょうか。
(答)ダボス会議で共有されたのは、金融政策、必要な経済政策をとっていく上で、結果として市場が判断をして出てくるものについては、そのとおり素直に受け止めるべきではないかということだったと思います。意図してどちらかに誘導するということによって出てくる結果については批判があるけれども、その国が抱えている課題を克服していくための対策を打って、その結果として出てくるものについては、それはまさに市場がそれにふさわしい結果として評価をしていることであるから、それについて批判をすべきではないということだったと思います。
今、起きている現象は、日本が抱えている最大の課題であるデフレの脱却に向けて、今まで悪戦苦闘してきた結果、脱却できないと。それが日本経済を停滞に至らしめ、世界経済を牽引するリード役を果たせていないと。世界の経済に対する責務を果たせていない状態を脱却するための行動に対して、ついてくる結果であると御理解をいただいていると思います。

(以上)