甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年1月23日

(平成25年1月23日(水) 14:32~14:45  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要を報告申し上げます。
景気の基調判断は、「景気は、弱い動きとなっているが、一部に下げ止まりの兆しもみられる。」とし、先月から上方に変更をいたしております。
これは、自動車販売の下げ止まりなどを背景としまして、個人消費が底堅く推移し、生産にも下げ止まりの兆しが見えること、このところの円高是正であるとか株高などが、企業マインドにも好影響を及ぼしつつあること等を踏まえたものです。
先行きにつきましては、当面は弱さが残るものの、輸出環境の改善であるとか、経済対策の効果などを背景としまして、再び景気回復へ向かうことが期待されます。ただし、海外景気の下振れが、引き続き我が国の景気を下押しするリスクとなっていることに注視が必要であります。
政府としては、円高是正、デフレからの早期脱却のため、デフレ予想を払拭するとともに、機動的、弾力的な経済財政運営により、景気の底割れを回避してまいります。
また、日本銀行には2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するよう、大胆な金融緩和を推進することを期待しております。
私からは以上です。

2.質疑応答

(問)8か月振りの上方修正となりましたけれども、このうち安倍政権への期待や政策効果というのはどれぐらい含まれているとお考えかというのが一つ。もう一点は、先行きについて、昨日出されたばかりの日銀との共同声明がどういう波及効果を及ぼしてくると御覧になっているか、大臣自身のお言葉で教えていただけますでしょうか。
(答)事実としての要件が幾つかあります。
 一つは、エコカー補助金が終わって、自動車販売が減少しました。その下げ止まり、反転の兆しが見えてきていると、消費が底堅いということです。
 ただ、もちろん、設備投資等なかなか厳しい面もまだあるわけでございます。こうした、経済の実体の部分と緊急経済対策を実行に移していくということと、それから日銀との政策協調、連携の強化を発表して、これがデフレ予想を変えていくこと等々、これから実施していく対策部分とそれからマインドの部分、これらを併せて、今回の判断と見通しを示させていただきました。
(問)民間のエコノミストの間では、日本経済が既に底入れをしたという見方をする方も少なくないと思いますが、その点について大臣の御所見をお願いいたします。
(答)正確な判断というのは、データが出そろった後で、後で振り返って分かるものでございまして、これは内閣府の経済社会総合研究所の判断を待ちたいと思っております。
 ただ、景気ウォッチャー調査等々、体感する感覚は良い方に向かっているのではないかと。景気は気の部分もかなりありますから、ここはあてにするということではなくて、大事にしたいと思っております。
(問)月例経済報告の判断はここのところずっと下げてきて、先月据え置いて、今月上げてというので、トレンドというのはやはり明らかに少し変わりつつあるという認識でしょうか。
(答)はい。政権交代をいたしまして、矢継ぎ早に対策を打ってきております。それがマインドに跳ね返っていると、その先に実際の経済効果が発現していくということで、先行きの見通しについては、明るい材料がかなり出てきているのではないか。これが景気に反映されていくことを期待しております。
(問)景気が悪化をずっとたどるという局面は脱しつつあるのだと思うのですけれども、これが本格的な回復過程に乗っていくかどうかという、そこを見る上で、大臣はどういうところに注目されていますか。
(答)一番大事なことは、成長戦略が確実に実施をされていって、民間投資がそこに向かって喚起されていくということが一番大事だと思いますし、注目をいたしております。期待値があって、ムードは上がってきております。そして、実際に短期で言えば、いわゆる公需といいますか、官需で需要は作られていくわけであります。その先が一番大事だと思います。規模の大きい民間経済が、実際に投資に向かって動き出していくということが一番大事で、そこの道筋を描けるかどうかということが一番肝要だと思っております。
(問)今回の上方修正の内訳として、一つはアベノミクスで株高、円安という効果が生まれたということと、そもそも実体経済として企業がずっと増産を見込んでいたということがあると思いますけれども、今回、つまり11月から景気が持ち直しているといいますか、下げ止まりの兆しが見えている中で、先日決められた経済対策、あれだけの規模が必要だったのかという声も一部にあると思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
(答)当初よく言われていましたのが、需給ギャップが相当な規模になっていると。これを全て財政出動で埋めるということでは必ずしもないのですけれども、かなりの部分が充当できるということが大事だという指摘が随分ありました。
 もちろん需給ギャップを埋める方法は、前にも申し上げましたけれども、公需、官需で埋めていく方法、それから輸出で他の国に引き受けてもらう方法、それからイノベーションで新しい需要を喚起していく方法、いろいろありますけれども、それらが相まって、最終的には民需主導の回復軌道に乗っていくという絵図を描くことが大事で、やはり立ち上がりの一番重いところを押して勢いをつけるのが、官需でやっていかなければならない部分がありますから、それに最低限必要な規模は確保できたと思っております。
(問)来年度経済見通しのお話なのですけれども、近々発表されると思うのですけれども、昨日、日銀は来年度見通しをプラス2.3%と出してきたのですけれども、この数字は政府と日銀の共同声明を踏まえた数字なので、そういうことを踏まえると、政府の見通しもこの日銀の数字からかけ離れたものにはならないようなことになるのではないかと思うのですけれども、そういった理解で大体よろしいでしょうか。
(答)日銀の見通しとかけ離れたものではないと思います。
(問)景気回復の基調に乗っていくためには、やはり海外経済の回復による輸出主導だと思うのですが、今回、貿易統計が間に合っていないようですが、今、大臣から御説明いただいたのは、内需の面でのお話だと思うのですが、この外需の環境をどのように見られていらっしゃるのか。米国、中国、良くなっているようなところがあるように書いてありますが、今後、輸出主導で成長軌道に乗っていくのでしょうか、教えてください。
(答)中国の経済については、好転しつつあると思います。併せて、尖閣諸島を巡る不買運動の動きが収まってきているという二点があると思います。
 アメリカも統計を見てみますと、例えば、住宅価格がピーク時の6割を超えて戻ってきている等々、良い材料が出てきています。財政の崖については、先延ばしという指摘もありますけれども、とにかく危機は、一旦は回避をされたと。そして、恐らくオバマ大統領は、この2か月延ばした先のリスクに対しても、うまくハンドリングをしていくのではないかと期待をしておりますから、そういうプラス要因はあろうかと思います。
 ヨーロッパ、EUについては、抜本的な問題はやはりまだ解決をされておりませんから、不安定要素は残っているのではないかと思います。

(以上)