甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年1月15日

(平成25年1月15日(火) 11:11~11:32  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

私からの冒頭発言は特にございません。

2.質疑応答

(問)この後、日銀についての会合が官邸であると思いますけれども、次の日銀総裁について、財務省のOBはだめです、大学教授はだめです、PhDがなければだめだなどと様々な方がおっしゃっていると思うのですけれども、甘利大臣として、次の日銀総裁に求める一番の条件というのは何だとお考えでしょうか。
(答)有能な方です。国際的な発信力があり、国益を踏まえて世界をリードできる方。そして総理のお考えをよく理解していただける方だと思います。出自については問わない方がいいと思います。あくまでも有能な方ということだと思います。
(問)経済財政諮問会議の役割の一つに、予算編成の基本方針を作ることがあると思います。今月中に平成25年度予算編成の政府案を作るというスケジュールで、経済財政諮問会議をこれから開くとなると、総理の外遊などで、開けるスケジュールがなかなか少ないかと思うのですが、次の経済財政諮問会議でそういう予算編成の基本方針を定めると考えていてよろしいでしょうか。
(答)おっしゃるように、経済財政諮問会議というのは経済財政全般に対する基本設計です。その中には予算編成の基本方針も入っていると、少なくとも過去の経済財政諮問会議ではそうなっていると、そう理解をいたしております。次の会議では、それらに関していろいろ議論があろうかと思います。できるだけ、整合性をとれるタイミングを図りたいと思っております。
(問)今の大臣のお考えでは、予算編成の基本方針は、なかなか時間がない中で作るとなると、前政権が作った政策経費71兆円、国債発行額44兆円という枠も、一つの目安になるというお考えでしょうか。
(答)政府の基本方針として、自由民主党が出している中長期の財政再建に関する方向づけについては、これを堅持するという話を財務大臣がされているわけであります。民主党との違いは、例えば、新年度予算に関して71兆円、44兆円という縛りはかかっていない。中期目標、2015年にプライマリーバランスの赤字幅半減、2020年黒字化という着地点が書いてあるわけでありまして、そこにたどり着く経緯というのは、柔軟性を持っていいかと考えております。
(問)最初の質問に戻りますが、日銀の関係で昼からの会合についてなのですけれども、これは大臣としてどういう位置づけで、どういうことが議論になるとお考えでしょうか。
(答)総理が金融の専門家をお選びになったわけで、私が選んだわけではありませんから、私がどういうことを期待するかというよりも、金融の専門家の方々が、金融政策全般についてどういうお考えを持っておられるか、その認識をうかがって、参考にするということだと思います。
(問)関連ですが、政府と日銀の共同文書についてなのですが、そこでも議論になるとは思うのですが、今日はどの辺まで議論されるのでしょうか。総理の外遊前に、ある程度の方向性を決めたいと大臣はおっしゃっていましたが。
(答)あくまでも参考にするだけです。
(問)総理が物価目標2%の明記を、共同文書について明記を、公に発言されておりますが、逆に、政府に規制緩和や経済成長について何らかの義務を課すなど、そういうようなことを明記する、あるいは政府にもそういう説明責任みたいなものを、経済成長、規制緩和などについて課すような、そういうような方向はございますでしょうか。
(答)総理御自身がおっしゃっていることを全体的に分析すれば、中央銀行は中央銀行としてやるべきことがある。もちろん、だから政府が何もやらなくてもいいということではない。政府としてやるべきことはきちんとやっていくということであろうと思います。お互いがお互いのやるべきことをきちんと遂行していく先に、目標とする政策は当然達成できるということだと思います。ですから、お互いがお互いのやるべきことをきちんとやるということを明示することではないでしょうか。
(問)重ねて大変恐縮なのですが、お互いがやるべきことをやるというのをできているのか、あるいは、できなかった時に、例えば、経済財政諮問会議などで、それぞれが説明する責任を負うというようなことは、明記するお考えはありますか。
(答)経済財政諮問会議を総理が再起動されたということは、中央銀行の総裁と政府の責任者の方が一堂に会して、金融政策を含めていろいろ議論する場がなくなってしまった。それは極めて大事な場であるから、再起動させたという意味合いもあるのだと思います。ですから、当然、その場で、金融政策についてのあらもしき姿についてお互いが意見交換をし、あるいは、それぞれが掲げた目標があるとするならば、それを検証していく場にも当然なっていくのであろうと思っております。
(問)基本的なところで恐縮ですけれども、安倍政権でデフレからの脱却、2%のインフレを目指すということなのですが、日本は緩やかなデフレで、実質成長はしているという一つの経済の姿をしていると思うのですが、これをやめてインフレに持っていくという、なぜ、デフレが悪くてインフレに持っていくのか、基本的なお考えをお聞かせいただければと思うのですが。
(答)デフレというのは、今年よりも来年の方が物価が下がる、来年より再来年は更に下がるということであります。消費や投資はどういう行動をとるかといいますと、今年、消費を投資するよりも、来年にした方が、相対的コストが安くつくということになりますと、消費、投資を控えるという行動になります。しかしながら、消費、投資が控えられると生産が縮小してまいります。生産が縮小してくると、企業の収益が落ちてきます。給与は下がってきます。つまり、これは何を意味するかといいますと、縮小していく連鎖が始まるということであります。そうしますと、一方で、例えば、社会保障費は自然増で1兆円ずつ増えていきます。支出は拡大していきます。収入が収縮していく中で支出が拡大しているのを賄うことは基本的にはできません。ですから、インフレ期待、投資、消費が早目に起きて、それが生産にはね返って、その循環で景気が拡大してくる、経済が拡大していく、収入が拡大していく、そして、社会保障や借金返済の目途がついてくる、それを目指すのは当たり前のことだと思います。
(問)いわゆる政府や借金のある企業、借金のある人たちには、ある意味でインフレというのはプラスなのかもしれないですけど、国民生活から見た場合には、やはり物価が上がる。給料が上がるのは、遅れて上がるわけで、逆に生活が厳しくなるのではないかという不安を持っている国民もいると思うのですが、その辺についてはいかがでしょうか。
(答)経済が成長していく中で所得が増えていくという方式を、しっかりと道筋を引いていくということが大事なことであります。これは、企業経営者の考え方もあろうかと思いますし、政府の呼びかけもありますし、あるいは税制上の措置もあります。今回、労働分配率を上げていくための税制を、今、検討中であります。それらを通じて経済成長が実際に国民の実入りにはね返ってくる、そういう道筋を作るのが政府の仕事だと思っております。
(問)大臣の問題意識についてお尋ねしたいのですけれども、このところ、日本企業が外国企業に負けている理由の一つとして、電機業界が特に顕著ですけれども、日本の企業は企業数が多過ぎるということを長年言われ続けていると思います。今後、企業の合従連衡を進めていった方が望ましいとお考えか。あと、具体的に合従連衡すれば、例えば、減税をするなど、そういった具体的な支援措置を政府が積極的にやっていくべきかというところを教えてください。
(答)非常に重要な視点だと思います。韓国が成功したのは、金融危機を通じて国家が主導して、分野ごとに、そこを担っていく企業数を結果として絞り込めたということが強みであると思います。つまり何を意味するかというと、国内予選で疲弊をしてしまって、国際戦の決勝に出たときには体力が残っていないという状況を排除することができたわけであります。今の日本の状況下で、韓国のような強硬措置が打てるかというと、これはなかなかできません。あくまでも誘導措置でしかないと思います。しかしながら、誘導措置として企業を丸ごとというのでもないのですけれども、分野ごとにチャンピオングループを形成して、国内予選で疲弊してしまい過ぎるということがないようにしていくというインセンティブ政策はあってしかるべきだと思っています。
(問)今の大臣の発言ですけれども、日本企業、産業のすばらしいところ、強さというのは、むしろ国内に複数の企業がいて、常に国内で競争している。それが自動車などの強みになっている。確かに、電機の最終加工、組み立てのところで負けているところはありますけれども、そこを全体としては、むしろやはり競争が常にあると、複数のガリバーがいるのではなくて、競争があるというのは強みなのではないかなという気もするのですが、その辺の産業政策としてのお考えはいかがなのですか。
(答)ライバルがいることが競争力を高めるということは、そのとおりだと思います。しかしながら、外国の日本のライバル企業と日本の企業を比べてみまして、例えば、研究開発に投ずる予算の桁が違います。そういう中で、現状のままで日本企業が生き残っていけない分野がたくさん出てきたのは事実であります。国内競争を通じて技術が錬磨される、イノベーションが起きる、それはそのとおりでありますけれども、過度な消耗戦によって体力を失う、そして本番の舞台に出ていったときには、もう体力が残っていないということは、これは必ずしも日本国として産業群としての競争力にはなっていないわけであります。その兼ね合いということがとても大事だと思います。
そこで、国がやるべき部分と企業がやるべき部分、企業の研究開発投資は、例えば、世界一に返り咲きましたトヨタ自動車の研究開発費を見ましても、3年以内の実用化の部分がほとんどだと思います。そして10年、15年を超える基礎研究について投じられているお金は、研究開発費全体のうちごくわずかだと思います。基礎研究については、国が担う部分がある。そして、応用実用化についてはもちろんビジネスとしてやっていただくわけであります。そこの連携ということをよりスムースにできないかということが、今回の産業競争力会議のテーマにもなろうかと思っております。
日本は技術立国であります。その技術立国というのは、多少の為替のハンディを乗り越えても勝てるというのが本来の姿であります。私自身が産業政策を、今日までライフワークとしてやってきた経験からして、為替のせいにできる範囲というのは決まっているのだと思います。円がいくらならいいと、それは自分の技術開発力を放棄して、為替だけで勝っていこうという姿になってしまいますから、多少の為替のハンディキャップがあったとしても勝ち抜くだけの技術力をつけていくのが、本当の日本の産業政策の姿だと思っております。
(問)為替の話なのですけれども、現在、89円半ばぐらいまで円安が進んでおります。金融緩和期待もありますので、円安が続くというような見通しもありますけれども、大臣は、為替の経済への影響について、どのように御覧になっておりますでしょうか。
(答)為替水準について閣僚が発言するのは適切ではないと思います。変動相場制の下では、市場が判断することであります。ただ、かつて我々が政権を奪還する以前のレベルについては、明らかに日本の国状を反映しているとは思えません。今は、それに見合った水準に市場が自動修正をしつつあるのではないかと思っております。当然、過度な円安になれば、今度は輸入物価にはね返ってきます。輸出については追い風になるでしょうけれども、国民生活についてマイナスの影響も出てくるということでありますから、輸出と国民生活への悪影響を最小にする、そこの最大公約数のところで収まってくれることを期待しているということであります。
(問)産業競争力会議の件なのですけれども、今月中に開催されると思うのですが、大臣として、テーマなど、どこのあたりまで議論されるかということと、日程が23日頃というような報道があるそうなのですが、そのあたり予定されておられるかどうか教えていただけますか。
(答)その頃を目安に開催をしたいと思っております。テーマは、まず、参加委員の方の自由討議から始まってくると思いますが、産業競争力会議では、いきなり個別の技術についてどうするという議論よりも、日本が抱えている今の社会の中での解決すべき課題を抽出することからスタートするのではないかと思っております。その課題を解決するために、こういう技術が必要だ、という各論への入り方になってくるのではないかと思います。
日本は課題先進国であります。つまり、日本が抱えている社会的な課題は、いずれ欧米が抱える、中国が抱える、将来の課題になります。そこへのソリューションを見出していくということが目的ではないかと思っております。それはいろいろな意味で、これからその課題と立ち向かわなきゃならない国に対しての、日本のビジネスモデルも含めた輸出力になっていくのではないかと思います。
(問)政権交代後、社会保障の国民会議がまだ開かれていませんが、今後の予定について今のところどのようになっていますか。
(答)これも、今月中に開きたいと思います。できるだけ早く三党協議を開いていただいて、そして、有識者会議を開くという段取りになっております。速やかに有識者会議を立ち上げる日程が決まると思います。

(以上)