甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年1月8日

(平成25年1月8日(火) 11:17~11:36  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
本日、第1回目の日本経済再生本部を、閣議後に開催いたしまして、議題の1として、この本部の運営要領を定めました後に、議題の2におきまして、民間投資を喚起する成長戦略の具現化と推進を図るための調査・審議の場であります「産業競争力会議」の設置を決定いたしました。次に、議題の3でありますけれども、経済対策の取り進め方と対策骨子について御説明をいたしまして、御議論をいただきました。対策骨子の内容はお手元の資料のとおりでありますので、後ほど御覧いただきたいと思います。
それから、各大臣からの主な発言を御紹介申し上げます。
茂木経産大臣からでありますが、「全閣僚がワンボイスとなって経済対策を実施していく必要がある」という発言であります。
下村大臣からは、「人づくりや研究開発を通じた国づくりが重要である」という発言であります。
また岸田外務大臣からは、「国際展開戦略として、経済連携の推進、資源獲得戦略、ODA、これらが重要である」と。
それから山本大臣、総合科学技術会議の担当大臣でありますが、「科学技術イノベーションの推進が重要である」。
森雅子消費者担当大臣からは、「地方消費者行政の活性化であるとか、担い手としての女性の潜在力を引き出して、子供を安心して生み育てるための環境整備が重要である」等々の発言がございました。
最後に安倍総理から、以下の4点の御指示がございました。
まず1点目でありますが、新政権の経済再生の「第一弾」として、しっかりとした経済対策を11日金曜日を目途に取りまとめるとともに、早期に補正予算を編成すること、という指示であります。
2点目の指示といたしまして、設置が決定されました産業競争力会議においては、野心的な成長戦略を本年半ばを目途に策定をすること。
そして3点目の指示といたしましては、新たな規制改革会議を早急に設置して、日本経済再生本部等との連携・協力の下で、経済再生に資するものから優先的に見直す仕組みを作ること。
そして4点目として、総合科学技術会議と日本経済再生本部との連携を強化すること、以上の4点の指示がありました。
本日の議論、そしてもちろん与党の意見も踏まえつつ、総理の御指示どおりに、11日金曜日を目途に経済対策を取りまとめることになりましたことから、この11日に第2回目の日本経済再生本部を開催することといたしました。
それから、産業競争力会議の民間有識者メンバーについてであります。お手元に配らせていただきました9名の方々を内定いたしました。発表させていただきます。株式会社サキコーポレーション代表取締役社長の秋山咲恵さん、東レ株式会社代表取締役取締役会長の榊原定征さん、コマツ取締役会長の坂根正弘さん、株式会社みずほフィナンシャルグループ取締役社長グループCEOの佐藤康博さん、慶応義塾大学総合政策学部教授の竹中平蔵さん、株式会社ローソン代表取締役社長CEOの新浪剛史さん、東京大学大学院工学系研究科教授の橋本和仁さん、武田薬品工業株式会社代表取締役社長の長谷川閑史さん、楽天株式会社代表取締役会長兼社長の三木谷浩史さんであります。
学識経験者に加えまして、製造業からサービス業にわたり幅広く産業界から優れた見識をお持ちの方々にお願いすることとなりました。今後は、所要の手続を行いまして正式に御承諾をいただきまして、議員として就任いただく予定でございます。
私からは以上です。

2.質疑応答

(問)この産業競争力会議メンバーの選考理由と、元経済財政担当大臣の竹中平蔵さんが入っていますけれども、どんな役割を期待されるかを教えていただけますでしょうか。
(答)それぞれの分野で卓越した見識をお持ちである方、それから産業競争力について、あるいは規制改革について問題認識をしっかりと持っていらっしゃる方、提言ができる方を中心に選ばせていただきました。
 竹中さんにつきましては、過去に小泉政権時代からいろいろと自民党政権の経済財政運営に関する先導役の一人を務めていただきました。その経験も踏まえてお願いをした次第であります。
(問)今の竹中さんのお話なのですが、竹中さんは自民党政権時代、小泉さんの時に、経済財政諮問会議で非常にリーディング的な役割を果たされたのですが、経済財政諮問会議でのメンバーの起用ではなく、産業競争力会議での起用になった経緯、理由についてもう少し教えていただければと思います。
(答)経済財政諮問会議で今まで御活躍をいただきました。経済財政諮問会議と連携をとる産業競争力会議、所を変え、若干見方を変え、つまり今度は実施設計と実行を担う部分でありますから、そこで新たな力を発揮していただきたいと思いました。総理ともよく相談をさせていただき選定をさせていただきました。
(問)関係のない話で大変恐縮なのですが、今日一部報道で、政府と日銀が結ぶとされている政策協定について、雇用の安定化を目指していくという方針を政府、日銀で調整をされていると報道がなされておるのですが、一大転換と思われるのですが、そのような検討は進んでおるのでしょうか。
(答)全く何も言っていないことがどんどん出されていますが、安倍総理は総裁選に臨む時点から、物価安定目標を2%程度とおっしゃっていました。これをしっかり掲げて、目標として政府、日銀が共有をしていく、そのことを中心におっしゃられていたと記憶をいたしております。でありますから、当然、物価安定目標を中心に、政府と日銀の協力体制ということを文書等の形で確認をしていくということになるのであろうと思っております。
(問)今日、提出された経済対策の骨子の前文に、「縮小均衡の分配政策」から「成長と富の創出の好循環」という言葉がありまして、財政再建と積極的な景気対策というその両方に配慮した文章だと思うのですが、この文章の狙いというのを改めていかがでしょうか。
(答)前政権下では、どちらかと比重を置くのが極力平等に分配をしていくというところから入っていると思います、切り口はですね。私ども自民党はかねてから党公約でも申し上げていますとおり、分配する前にパイを大きくしていくという工程が入らないと、結局等しく平等に貧乏になるというだけではないかという点を指摘させていただきました。でありますから、私どもは、まず成長して配分をするパイを大きくしていくということがまず政権の要諦であるという認識であります。これはプライオリティ、比重をどちらに置くかという考え方の違いかもしれません。
そうした中で、かつて私どもに対してお叱りをいただきました公共事業を中心としたばらまきが財政の健全性を損なってきたのではないかという御指摘もありました。必ずしもそうだとばかりは思っておりませんけれども、しかし、私どもは、経済成長していく中で、成長が財政再建にも資するという構図をしっかりと見出していきたいと思っております。財政再建だけが先行しますと、経済成長するための柔軟な枠組みというのは縛られてしまいます。しかしながら、財政再建に目配り、気配りをしないと、国債の信用は失墜をしていくということであります。国債の信頼性を確保しながら成長を確保し、そしてその中で財政再建を織り込んで財政の健全性、持続性と成長を両立させたいと思っております。
(問)確認させていただきたいのですが、今日のこの骨子案というのは、決定された、了承されたということでいいのでしょうか。
(答)そうです。
(問)あと、幾つか報道で出ていますが、補正予算が事業規模で20兆円を超えるというような報道が出ておりますが、これはこれまで大臣がおっしゃっていた、巷間言われているような相当規模という認識でよろしいのでしょうか。
(答)数字は今、具体的に詰めているところでありますが、だんだん明らかになってくるであろう中身について、それを集計していきますと、かなり大胆な規模になっていくのではないかと予測されます。
(問)関係ない話で恐縮なのですけれども、TPP参加の是非についていろいろな御発言が相次いでいるのですけれども、それについて甘利大臣の現時点でのスタンスと、どのような党内なり政府内での手続を経て最終的に方針は決まっていくことになるのかというのを改めて教えていただけますでしょうか。
(答)自民党はこの公約の中で、日本の国益を損ねるような前提条件が一歩も動かないのであるならば、この交渉には参加できないと申し上げているわけであります。その一方で、日本が今日あるのは、貿易を通じて経済を大きくしてきたと。日本の発展に貿易が大きな貢献をしてきたということは正面から肯定をしているわけであります。でありますから、我々が肯定するような形にどうなっていく余地があるのか。国益に資する最善の道を求めるということは、貿易立国としての日本の基盤を評価していく中で、新しい仕組みとしてのTPP、これは私も経済産業大臣を2年務めましてWTO交渉、少数閣僚会議にも直接参加した身として思うことは、国際通商交渉というのは、自分が譲れない項目を持って参加をし、お互い協議の中で一つ、また一つと外していくのが本来のやり方です。最初から無条件で上がって、自分の必要なものを取っていくというのは、ポジティブリストとネガティブリストのような関係で全く正反対の協議であります。その際には力の強い、単に交渉力が強い国がひとり勝ちをするという形であってはならないわけでありまして、私どもは、参加国がそれぞれ貿易の自由化のメリットを享受できると、そういう手法があるはずだ、そのことに関して関係国の了解が得られる道があるかどうか、それが国益に資する方法を模索するということであろうと思っております。
(問)麻生財務大臣が先日のテレビ番組で、日本銀行との共同でつくる文章について、「政策協定」という言葉にこだわる必要はないという認識を示されているのですけれども、甘利大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
(答)麻生副総理の発言をお聞きになる時には、非常に意味が深いものが含まれているということを御認識して聞いていただければと思います。麻生大臣は、一方で中央銀行の独立性をきちんと確保しつつ、政府と日銀が目標を共有して、それぞれの役割を果たして取り組んでいく方法があるということを思っておられるのだと思います。つまり日銀の具体的な手法を縛るということではなくて、日銀の独立性を担保しつつ、しかし、目標に向かっては寸分狂いなく政府、日銀が歩調を合わせていくということの表現がそういう表現になったのかなと思っております。何らかの協定を結ぶことの必要性がないとおっしゃったわけではありません。

(以上)