樽床内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年11月30日

(平成24年11月30日(金) 11:24~11:53  於:会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。それでは、まず、冒頭に私の方から何点かございますので。
 まず、10月17日の総理指示を受けまして、策定作業を進めてまいりました経済対策が、「日本再生加速プログラム」として本日の閣議で決定をされました。総務省関連の施策の主なものといたしまして、震災復興特別交付税の増額によりまして、「津波被災地域における住民の定着促進を通じた地域の復興の支援」を盛り込んだところであります。ちょっと分かりにくいかも分かりませんが、線引きをして、移転をしていただくという地域を決めたわけでありますが、線引きからちょっと外れる地域の方々が、ちょっと外れただけで線引きから漏れたと、こういうことで大変お困りになっておられたというところがありまして、そういったところをですね、被災団体からも、これはあまりにも厳格に線引きの外と後で、ばちっとするのは実態に合わないと、こういういろいろなお話がございました。そういったことをしっかり踏まえて、地域の実情に応じて増額措置を講じようというものであります。これ以外にも、日本のコンテンツ、何度も会見で申し上げておりますが、コンテンツの海外展開を支援するということも、盛り込ませていただきました。また、地域の潜在的な魅力を引き出すための環境整備、更には、「情報通信技術の利活用推進」、更に、「情報セキュリティの強化」、更に、「大規模災害時の消防等の災害対応力の整備や地域の防災力の向上」などを盛り込んだところであります。また、地域主権の関連の施策といたしましては、「日本再生戦略」の実現前倒しといたしまして、「国土・地域の活力向上」というところがありますが、そこにおきまして、地域自主戦略交付金を含む交付金の活用が盛り込まれたということであります。これらはですね、今後、補正予算を編成する中で、これらの施策を具体化し、デフレ脱却・経済活性化に向けて確実に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、本日、地域主権推進大綱を閣議決定いたしました。地域主権推進大綱は、地域主権改革の更なる推進を図るために策定するものでありまして、これまでいろいろ行ってまいりました改革の取組の成果を踏まえ、今後の取組方針を明らかにしたということであります。私は就任した当初からですね、遅くとも年内には大綱の閣議決定を目指すと、このように申し上げてまいりました。様々な出先機関の問題も、閣議決定もいたしましたが、急ぐように指示をしておりましたので、この度、調整が整って閣議決定をしたということであります。今、来週から行われようとしております政治決戦におきましても、この地域主権というものはですね、消費税の扱いも含めて、様々な議論になっていこうと思っておりますので、こういった時期に政権としての明確な意思を示すということは、誠に、私は重要なことではないかと思っております。こういうような大綱を閣議決定したということを前提にいたしまして、今回の選挙戦で、選挙戦はおかしいですね、政治決戦で、地域主権の在り方、それに絡んで消費税の在り方等々が、各、それぞれの政党間、候補者間で活発な議論をしていただければと、このように思っております。
 それから、3点目でありますが、本日の閣議におきまして、12月3日に任期が満了いたします地方財政審議会委員の方々について、翌日の4日に新委員を任命するということで了解をされました。新委員につきましては、既にお配りをしております資料のとおりであります。国会閉会中ということでありますので、次の最初の国会によって、両院で承認をいただくと、こういうことになろうかと思いますが、こういう今の段階で、こういう手続をさせていただきましたのは、地方交付税の交付額を決めていく、また、地方財政計画の作成など、こういったものを審議をしていかなければならない。来年度の予算案について、地方財政の面は合わせて非常に重要なことでありますので、このような時期にですね、空白を、審議会の委員の皆さん方が空白であることは許されない、このような国の行政の使命というところから、少し変則ではありますが任命をさせていただいて、次の国会で御承認いただきたいと、このように思っております。
 続きまして、労働力調査の結果、消費者物価指数及び家計調査の結果について、閣議に御報告をいたしました。労働力調査によりますと、10月の完全失業率は4.2%、前月と同率でありました。雇用情勢につきましては、引き続き今後の動きを注視する必要があると、そう認識をしております。
 消費者物価指数によりますと、10月の生鮮食品を除く総合指数は、1年前と同水準であります。下落幅は前月から縮小しております。この下落幅の縮小は、ガソリンの上昇幅が拡大したということによるものだと考えております。  
 家計調査によりますと、全国二人以上世帯の10月の消費支出は28万4,000円でありまして、1年前に比べますと実質0.1%減少し、2か月連続の減少となりました。詳細につきましては、統計局から既にお配りをしているところであります。
 次に、郵政の認可の話でありますが、株式会社かんぽ生命保険から、9月3日付けで認可申請がありました学資保険の改定につきまして、先日の政府・与党フォローアップ会議での議論を受けまして、総務省、私どもと金融庁において調整を行ってまいりました。11月30日、今日を目標に、目指して調整をするということでございました。調整が終了いたしまして、本日、今日、11月30日付で、郵政民営化法上の認可を行うということといたしました。認可に当たりましては、先日、かんぽ生命が発表いたしました保険金の請求案内漏れに関しまして、新商品の販売までに請求案内対応を終えるということ。システム改修における信頼性、安定性を確保するなどの条件と、そういうことを条件といたしておりますが、条件の詳細につきましては、後ほど資料をお配りをさせていただきます。更に、その認可のですね、認可書の中に、保険業法の必要な項目も、保険業法上必要な項目も、すべて盛り込まれております。つまり、認可書の中に保険業法が、内容が盛り込んで、中に、この、埋め込まれていると、こういうことになっておりますので、今日、認可いたしますときの条件、郵政民営化法上の条件については、これらの条件が成就して、私ども総務省と金融庁が承認をする際には、保険業法がそこに盛り込まれておりますから、その承認したときに、同時に保険業法上の認可ももれなく付いてくると、こういうことになります。ですから、粗方同時決着ということのフォローアップ会議での方針通りに、今日、決定をするということになろうかと思います。なお、かんぽ生命に対しまして、今日の午後、私から認可書を交付すると予定をいたしております。時間はまた追って御報告をいたします。こういったことを受けまして、かんぽ生命においては、業務運営態勢の整備などをこれから精力的に進めていただきまして、しっかりとした体制で、来年4月1日のサービス開始を迎えていただきたいと考えておりまして、その御努力を心から期待を申し上げているところであります。
 冒頭、以上であります。長くなりました。

2.質疑応答

(問)幹事社から、地方交付税に関して1問、お願いします。消費税をですね、地方税化するとともに、地方交付税を廃止してですね、地方税となった消費税を財源とした、新たな地域間財政調整を行う仕組みを設けるという考え方が浮かんできていますけれども、それに対する大臣の見解をお伺いできますでしょうか。
(答)これはですね、まず、議論を二つに分けなければいけないと思っておりまして、一つが、消費税を地方税にするという、このポイントと、それから、共有税ですか、共有税という名称でしたかね。あれは、地方共有税という名称でしたか。という、こう二つに分けるわけですね。10%という私どもの税率を11にして、二つに割って、5と6に割って、一方を地方税にする、一方を地方共有税にすると、こういう考え方をお示しをいただいております。このことについて、私の方からの認識で、まず申し上げればですね、共有税の方につきましては、これは消費税ですから、これ、かなりですね、地域間でばらつきが生じてまいります。恐らく、かなりのばらつきが生じると思っておりまして、予測されると言いますか、ほぼ確実だと思いますが、東京にですね、かなり多額の税収が入ると、こういうことになっていくというふうに想定されます。それを、それぞれの自治体間で調整をするということでありますから、そうなりますと自ずと、私が住んでおります大阪も、かつては、明治の頃は東京をしのぐ経済規模がありまして、だんだんそれが並んでいきまして、今はやはり東京の一人勝ちと、こういう状況でありますが、今の現状でいきますと、やはり東京から比べると、かなり東京の一極集中に押されておると、こういう状況でありますので、我々は、大阪は日本第2の都市だと、今でも自負をいたしておりますが、第2の都市である大阪も、東京に頭を下げてそのお金を頂くと、こういうことになりまして、すべての自治体が東京詣でをして、東京に頭を、みんな下げなければいけないという事態に陥るのではないかということを、大変心配をいたしております。国、霞が関詣でではなくて、東京都庁詣でが日本全国発生するのではないかと、こういうことを思っておりますので、少しこの地域間の格差ということから考えると、更に東京の一人勝ちを進めていくということを強く心配をいたしております。行司役がいないわけでありますから、行司役が無くなった段階で、一番たくさん消費税の収入を得る東京に、みんなが詣でてしまうというふうに心配をしております。ですから、私は以前から申し上げておりました、地域主権をどんどん進めていって、それがかなり完成に近い形になった前提で議論をするということであっても、中央の政府はですね、外交とか、安全保障とか、マクロ経済成長とか、どうしても国で統一的にやらなければならないというものに特化をする。日常の我々の暮らしに関することは地方自治体が行うと。こういう棲み分けをしなければならないというふうに、以前から申し上げておりましたが、その中央政府がどうしてもやらなければならない仕事の中に、私は、不可避的に発生する地域間の格差を解消するという役割は、どこまでいっても中央政府の大きな役割として残るというふうに、私は認識をしております。やはり、どうしても生じるわけです。ですから、先ほど言いました、行司役が無ければ全部東京の一人勝ちになってしまう。東京と、例えば、私は大阪ですが、大阪であってもかなりの格差が生じてまいります。いくら頑張ってもですね。まして、私は島根県で生まれ、幼年期を過ごしましたが、私が生まれた島根県の田園風景を思い返しますと、ああいう、私が生まれた地域とですね、東京で、どこまでいっても、やはりある程度の地域格差、成果としての格差が生じるのは、これはある程度やむを得ないと、これはもういかんともしがたいものがあるというふうに思っておりますから、そういうものを、最後、調整する行司役として、国は、やはりそこはやらなければならないという、私は基本的な考え方があります。今回の地方共有税という話は、その行司役は要らないという話でありますので、その行司役を、我々は要ると思っておりますし、それが要るのか、要らないのかということが、少し明確でない。文面どおりに見ると要らないということになって、要らないということになると、今でも石原代表がですね、大阪を従えておられるような構図になっておりますが、更に東京が日本全国、東京都が日本全国を従えると、こういう構造になってしまうのではないかということを、私は心配をいたしております。
 それから、2点目として、消費税を地方税化するということにつきましては、これはいろいろ考え方がありますが、今回の消費税で、私どもの方針は、年金と医療と介護と、そして、子育て、この必要な財源を目的税として消費税を充てると、こういうことでありますから、この4分野の財源を地方税にするということは、年金、医療、介護、子育て、これについて、すべて地方自治体でやっていただくと、こういうことになってしまうわけでございまして、いろいろあるにしても、最終的には、国ではなくて自治体がですね、年金、医療、介護を全部運営すると、で、権限も持つと、財源も負担すると、こういう話になります。こうなると、先ほどの地方の格差というものが、社会保障、年金、医療、介護、子育ての分に、もろに影響するということになりますので、ここもですね、こういうものについては、これは、統一的な仕組みは国がやらなければどうしようもなくなるのではないかという観点をもっております。放っておきますと、年金、医療、介護はつぶれてしまうと。こういうことについて、どのように考えるのかということについて、この政治決戦の中で議論が行われればというふうに思っております。ちなみに、年金の積立方式と賦課方式の問題がありますが、年金制度が、更地から作り上げられていくという、これまでなかった仕組みが初めて作られて、年金制度というものが初めて作られて、そのときに積立方式で始めると。今から50年ほど前に年金制度を作った、制度設計をした、そのときからもう全部積立方式でやっていると、始めたという経緯があれば、積立方式は民間の保険制度もみんなこれでありますから、また、国民の皆さん方も、普通、保険と言えば積立方式というふうにイメージされますから、それはそれでいいのかも分かりませんが、50年経過をした中で、大きく一気に積立方式に、今日決めて、明日、もし積立方式に転換すると、今、年金をもらっておられる方は、年金をもらえるのがどれぐらい、いかほど減るのかということを考えますと、非常に粗っぽい議論ですが、半分以下になってしまう可能性が十二分に存在をいたしております。そういうことを考えると、年金制度というのは、現役世代にずっと掛けて、それからもらうということですから、移行期間にしっかり、皆さん方の掛けていただいた保険料、そして、もらい始めた給付というもの、トータルを考えますと、40年、最低40年という、払い続けてこられた40年間というものを掛けて変えていかなければ、全面的に移行できないという、これは宿命を持った分野の施策だと思っております。それをどこまで圧縮するにしても、1年、2年で、50年間の過去の経緯を全部ちゃらにしてしまうことは難しかろうというふうに思っておりますから、そういうことを諸々考えますと、社会保障、年金、医療、介護というものが、安定した制度であり続けるというためには、やはり消費税をその目的税として、我々が立てております方針が一番現実的で、そして、安定した仕組みではなかろうかというふうに私は思っております。すべて、いろいろな意見を私は否定するつもりはございませんが、その基本の考え方をどう整理をするのかと。繰り返し申し上げますと、どうしても生じる格差は、国が行司役になるべきか、なるべきでないかということ。国が行司役にならなければ、東京都が一人チャンピオンに、ガリバーになってしまうということ。それから、年金、医療、介護、子育て、この社会保障の分野を安定的に維持していこうとするのか、つぶれる危険性が大きくても、一気に転換をして、つぶれたらつぶれたでしようがないというふうな基本的な考え方に立つのか、最初のスタンスが、非常に、結果として大きく左右するのではないかと思っております。
 長くなりましたが、以上であります。
(問)テレビ朝日の小野です。被災地派遣についてなのですけれども、各自治体からの応援派遣についてなのですけれども、総務省管轄の。これは、被災3県でですね、今、土地買収の交渉が難航していまして、区画整理の専門家、専門職員の派遣の数がちょっと足りないということで、現地からは非常に、悲鳴が上がっているということなのですけれども、大臣、この実態を把握されているかということと、対応をどうするかということ、それをお願いします。
(答)すべてのことについて事細かくですね、私自身が把握をしているわけではありませんが、粗方そういう、非常にその権利の問題で、微妙なですね、調整をしなければならないという分野において、その専門家の方の数が不足をしているという認識は、強く持っております。それについて、ですから、認識は持っておりますので、その専門家を全国の自治体と協力して、派遣をさせていただいて、特に国土交通省の関係者、OBも含めてですね、そういったことが分かる人を一生懸命派遣をいたしておりますが、規模が余りにも大きいものですから、まだ十分に満足していただけるところまでのマンパワーに至っていないということであります。強く認識をいたしておりますので、全力で努力をしてまいりたいと思っております。
(問)朝日新聞の河口です。先ほどの消費税の地方税化や共有税の話ですが、やはり、今回の総選挙はですね、脱原発ですとか、そういったところが、焦点が当たりがちですけれども、この問題についても、やはり民主党としてはですね、違いというものをきちんとアピールしていくべきだという、焦点にしていくべきだというふうにお考えになりますでしょうか。
(答)私は特に、地域主権というのはですね、担当の責任者として、また、私自身が20数年一貫して訴えてきたということからすると、私は、この問題は非常に大きいというふうに思っております。ですから、私自身は、この地域主権の在り方については、しっかりと訴えていきたいと思っておりますが、これについては、各それぞれの方がですね、どのようなことでお訴えになられるのか、これは各自の御判断だと思います。また、私どものマニフェストはほぼできておりまして、一番最後にというか、あとの方で、昨日発表されたものですから、これまで我が党の中で、そこのことについて十分に触れていないのかも分かりませんが、あとはそれぞれの候補者なり、党幹部が、この政治決戦の中で国民の皆さん方に訴えて、そして、国民の皆さん方の御判断をいただくことに、課題になるのではないかというふうに思っておりまして、最大のポイントは、このまま、その仕組みをそのままいけば、東京一人勝ち、東京詣でということになる。大阪の知事も東京の知事に頭を下げて、東京で上がった税金を大阪に分けてくださいというふうに言わざるを得なくなってしまうということであります。もう既に言うておられるのかも分わかりませんが、更にそれが強まってしまうということを、心配をいたしております。
(問)昨日の時点で、粗方第三極と言われるところも、政権公約のようなものをですね、発表して、出揃った感がありますけれども、それを横断的に見て、大臣、どういった所感をお持ちでいらっしゃいますか。
(答)私は、政策議論はですね、いろいろしていきたいと思うのです。どう考えるのかと。これは考え方ですから、今、申し上げましたのも、そういう政策について私はこう考えると。これは、人の批判でもなくですね、みんなそれぞれ、いろいろな問題については、みんなそれぞれいろいろな意見がありますから、みんなそれぞれの考え方は尊重しながら、最終的にどういうふうに決めていくのかと、これは政治プロセスでありますから、それぞれの方の政策を批判するつもりはございません。どれがいいのかというのは、これは、最終的にやってみなければ結果は出ないわけでありますから、やる前からですね、言う必要はないと思っております。そういう観点から、政策議論は別にして、第三極の皆さん方のいろいろな、この一連の動きにつきまして、私はコメントをする立場にはないというふうに思っておりまして、それぞれの方がそれぞれ一生懸命考えて、努力をされておられることであろうと思っておりますが、国民の皆さん方からすると、多少混迷を深めているというふうに映っているのかなと。私どもも、ちょっと全体を把握しきれないと、こういう状況がありますので、私どもが把握できませんから、大体、皆さん方も一体、説明、聞かれるのですね。何がどうなったのと聞かれましてもですね、私もちょっと、昨日までのことはこうでしたが、ちょっと今日のことは分かりませんと、こういう発言をせざるを得ないという状況ですので、もう整理をされる、ほぼ終わっただろうと思いますので、これから、来週からの本番戦に向けてですね、それぞれ、皆がそれぞれの立場で頑張られることだろうと思っております。
(問)そのほか、よろしいですか。はい、ありがとうございました。
(答)はい、どうもありがとうございます。

(以上)