前原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年12月18日

(平成24年12月18日(火) 10:41~11:06  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

おはようございます。特にございません。

2.質疑応答

(問)先日の衆議院選挙で、民主党は選挙前から4分の1程度に議席を減らしまして大敗したわけですけれども、この敗因をどう分析されていますでしょうか。
(答)今回の選挙の敗因というのは、やはり3年3カ月前の政権交代の高い期待にお応えできなかった。マニフェストでできていないものもあることに対する公約違反であるとか、あるいは党のマネジメントがしっかりできていない、いつもがたがたして、特に社会保障・税の一体改革では大量の離党者を生んだ。また、我々は今でも必要だと思っていますけれども、マニフェストには書いていなかった社会保障と税の一体改革の消費税増税をやった。これに対して、期待から失望、怒り、落胆に変わったことが一番大きな要因ではないかと思っております。
ただ、政権がだめになったときに、その受皿、選択肢がなければ民主主義は機能しないわけですから、我々は、今度はしっかりと力をつけて、現政権に対して是々非々で、国家・国民の観点に立って、しっかり国会で対峙をして、やはり我々のほうがいいと言われるような状況をしっかり作り出して、改めて再度、政権交代を実現するために、これから再スタートを切らなければいけないと思っています。
(問)再スタートという話がありましたけれども、22日にも新しい党の代表を選ぶことになりますけれども、前原大臣自身が先頭に立って党の再建にあたるという考えはありますでしょうか。
(答)選挙が一昨日終わったばかりでありまして、今のところ全くの白紙の状況であります。また、今後の党のあり方については、国会に残っている仲間、再選した仲間、あるいは残念ながら議席を失った仲間、そういった人たちと一緒に少し話をさせていただきたいと思っています。
(問)10月30日に政府・日銀で結んだ共同文書についてなのですが、たてつけとして、政府側の署名は前原大臣と城島大臣が大臣としてなさっていると思うのですが、前原大臣、城島大臣が離れた場合に、この文書の有効性というのはどうなるのか。その後の大臣、ポストにつく人の名前で引き継がれるのか。そういったたてつけはどうなっているのでしょうか。
(答)結んだときに、城島大臣や私が辞めた場合のことについて議論したわけではありません。ただ、私の認識としては、政府と日銀の間であの確認文書を結んでいるという認識でおります。ただ、これから新しい政権ができる中で、日銀との間で様々な議論、あるいは協力関係も模索をされると思いますので、一義的には、新たな政権が日銀との間でどういう協力なり、あるいは具体的な取決めをされるかということは、次の政権がお考えになることではないかと思っています。
(問)関連してなのですが、明日、明後日、日銀の金融政策決定会合がございますが、政権移行期ではありますが、大臣御自身、出席される御意向はありますか。
(答)出席をするつもりはございません。もう既に国民の審判は下って、現時点において我々は職務執行内閣ということで、新たなことを決めるというよりは、危機管理も含めて、しっかりと政治の空白をつくらないということが大事な仕事であります。新たな提案なり、あるいは様々な議論というのは今後の新たな政権がなされるべきことだと思っておりますので、私は出席いたしません。
(問)事務方が出席されるということでしょうか。
(答)はい、松山さんが出席していただけると思います。
(問)代表選の話に戻るのですけれども、民主党、非常に厳しい状況ではあるのですけれども、もう夏の参議院選挙も目の前に迫っているような状況で、民主党の新しいリーダーのあるべき姿ということについては、どういうふうにお考えでしょうか。
(答)議席がかなり減りまして、そして、来年の参議院選挙についても、5年半前は我々が大勝した選挙ですので、これにどう取り組むかということは、なかなか難しいと私は思っております。今回の選挙結果を見て、やはり第三極が出たところについては接戦になったり取りこぼしたりしている。小選挙区制の中で、今回の選挙においては、第三極が出たところについてはかなり厳しい結果になっている。もちろん自民党との対決で負けたところも多数ございますけれども、やはり第三極との票の食い合いというものがありますので、私自身のイメージとしては、党の再建ということと同時に、来年の参議院選挙を考えたときに、29の選挙区が一人区の選挙であるので、このままいろんな政党がまた乱立して戦った場合においては、お互いがつぶし合って、結果的には自民党を利するということになるのではないかと思いますので、そこをこれからどう考えていくのかということは大きなポイントになろうかと思います。
それから、今の民主党執行部が決められたので、私はそれに従いますけれども、これだけ大敗をしたということについては、やはり国民の皆さん方は民主党に対する猛省を促しておられると思います。反省と猛省、これがないと再スタートは切れないと思いますね。新たな顔を決めただけで、私は民主党が再スタートを切れるとは思っておりません。したがって、少し時間をかけて新しい体制のもとで、この3年3カ月の総括をしっかりやった上で、反省点をしっかりと踏まえた上で再スタートするということを、少し時間をかけて真摯に国民に対して示さないと、再び民主党に対する期待をいただくということは、私はなかなか難しいのではないかと思います。固有名詞というよりは、誰がトップになろうが、今の二つについてはしっかりとやられるべき話ではないかと思っています。
(問)先ほど3年3カ月の総括というお話がありました。自民党の安倍総裁は経済財政諮問会議の復活ということをおっしゃられておられますが、改めて民主党政権の国家戦略会議と国家戦略室についての御見解をお伺いしたいのですが、国家戦略局に格上げするための法案が通らなかったということはそもそもあると思いますけれども、官邸主導で国家戦略の重要事項を決めていくという当初の目的について、何が機能して、何が機能しなかったのか、その原因について、どのようにお考えでしょうか。
(答)過去のことを振り返っても仕方がありませんが、前回の参議院選挙で負けたことというのが、やはり民主党政権のつまずきの、私は大きな要因であると思います。このことによってねじれが生じて、我々がやろうとしたことについてはしっかりできなかったことがたくさんあります。今、御指摘をいただいた国家戦略室を局に格上げする、法的な位置づけというものは極めて大きなものだと私は思います。2カ月ちょっとという短い間でございましたけれども、やはり予算編成や国の方針を決めるということになったときに、財務省との関係というものが非常に微妙になると私は思います。もちろん財務省と対立をするという意味ではありません。私の政治主導は、役人と協調しながら、しかし政治が決めたことについて役所もしっかりとそれに従ってもらう、協力をしてもらうということですので、決して財務省と対立をするという意味ではありませんけれども、役所をしっかりと政治主導に従わせるためには、法的な根拠のある器というものは大変重要であったと思いますので、国家戦略室のままで局に格上げできなかったということは、一つの痛恨の極みではないかと思います。そういう意味では、経済財政諮問会議はまだ法的に生きておりますので、それを新たな政権が使われるということについては、あり得るだろうし、また、我々は別の形として国家戦略局というものを目指していたわけでありまして、新たなしっかりとした体制で御努力をいただくことについては、国民・国家のためになることであれば、我々はエールを送りたいと思っています。
(問)小選挙区制度になってから、毎回、得票数と議席数の乖離が大きくなっていると思うのですけれども、今後、こういった選挙制度について、どういった点を改めていくべきだとお考えでしょうか。
(答)今回は法律を通しただけで、その区割りまでいかずに選挙が行われました。まずは、1票の格差という最高裁の判断を踏まえて早期に具体的に是正するということが大事であることが1点。
それからもう1点は、先月の16日の党首討論で野田総理と安倍総裁が合意をされた定数削減を、消費税を上げる前に、しっかりと来年の通常国会で実現するということが大事だと思います。
その上で、根本的な選挙制度について申し上げれば、私は、初当選が日本新党で、まさに政治改革特別委員会の委員として、この小選挙区比例代表並立制というものを進めてまいりました。政権交代のある政治をということで取り組んできて、だからこそ民主党の政権交代があったと思っています。ですから私は、今もこの制度については、政権交代を可能にする制度として、肯定的に考えております。
ただ、小選挙区ですから、最大50%近くの票をとっても死に票になって、そして、民意が集約をされるという制度ですので、今回のように、あるいは前回のように、スイングの激しい議席数になるということはやむを得ないことではないかと思っています。それをある程度補完するのが比例代表という仕組みであって、こういうものが並立をするということの中で、民意をある程度の集約をしていくということになるのではないかと思います。
このスイングの激しさをもって、また中選挙区への見直しという議論もあるやに聞いておりますけれども、いろんな議論があっていいと思いますが、私が一番初めに国会議員になったときの選挙は中選挙区でした。この中選挙区というのは、自民党が擬似政党として派閥を抱えて、そして、派閥が金を集めるために様々なスキャンダルを金銭面で起こしたと、したがって、小選挙区にするに当たって政党本位のものに変えていく、だからこそ政党交付金というものもできたわけでありますので、そういう意味においては、私は、あのときの中選挙区のマイナスというものも、もう一度議論しないと、そのときの弊害があったからこそ小選挙区比例代表並立制に変えて、私は今でも、これは過渡期だと思っています。つまりは、民主党という政党は非自民で集結をして、そして小選挙区を戦って、だからこそ幅が広かった。様々な、そして政権運営上の問題を来たしたということも事実でありますので、まだまだ過渡期なのかもしれません。まだ私は、この制度がだからだめなのだという結論にはなっていないし、もともと小選挙区比例代表並立制を導入した時の問題点というものもしっかり加味した上で、これをベースに、今後も議論していくべきであると考えております。
(問)国家戦略室の関連ですけれども、経済財政諮問会議を自民党政権は使うということですけれども、現政権の間に国家戦略室を解散するという形になるのですか。
(答)どういう御意向をお持ちなのかということについて、新聞情報でしか我々は承知しておりません。我々が責任を持たなくてはいけないのは、この国家戦略室には、他省庁から兼務で来ていただいている方もおられますし、また、民間の企業から派遣されている優秀な方々もおられます。したがって、26日に新たな政権ができることになりますけれども、自民党側と内々話をする中で、どういう御意向なのかということをしっかりと私としてヒアリングさせていただき、そして、他省庁から兼任、併任で来られている方々の処遇、あるいは、もう自分の退路を断ってこの国家戦略室に来られている方もおられます。つまりは、仕事をやめて、これにかけてきておられる方もおられます。それから、民間企業から優秀な方々を出していただいているということも含めて、26日までの間に、新たな政権をつくられる側との内々の話の中で、この整理をどうするかということについては、私の最後の責任の一つとして取りまとめをさせていただきたいと考えております。
(問)特に国家戦略室については、法案が通らなかったというよりは、民主党側が取り下げたという、自分で出しておきながら取り下げるという非常に珍しいパターンだと思うのですが、そういうのも含めますと、やはり現政権の間にきれいにして、来てもらった人にはねぎらいの言葉を言って送り出すというのが普通というか、通常なのではないかなという気も少しするのですけれどもいかがでしょうか。
(答)前段のところについては、形としては取り下げた形になっていますけれども、ねじれが生じなかったら我々は局に上げているということを、衆参の多数で行っていたと思います。取り下げたのは、交換条件として政務三役を若干増やすということに与野党間で合意をしたから取り下げたということであって、好き好んで取り下げたわけではありません。
ただ、後半のところについては御指摘のとおりだと思います。今まで民主党政権に、国家戦略室の中で汗をかいてくださった優秀な皆さん、それは官僚の皆さんであれ民間の皆さん方であれ、あるいは、みずから仕事までやめて、そして、この国家戦略というものに携わりたいと思って来てくださる方の今後のあり方についても我々は責任を持つということについては、御指摘のとおりだろうと思います。
(問)民主党政権で私は思うのは、行政としての政策決定プロセスという点では非常に乱暴であって、例えばエネルギーの戦略会議、この前、戦略ができましたけれども、国民的議論をまとめた後に一回そのまとめの会議を開いて、その後には、党の議論はありましたけれども、政府としては何の議論もなく突然結論が出てしまう。その結論は党の中身と大分違っていると。これでは国民は、どういう議論があって、どういう考え方で政府が決めたのかというのは分からないわけで、しかも、重大な国のエネルギー政策に関わるもので、これは大臣の責任ではないと思うのですけれども、そういうケースは多々見られて、これでは、きちんとした政策、よき政策プロセスがよき結論を導く、あるいは国民のコンセンサスを形成するという基本が、民主党政権は、全くとは言いませんけれども、極めて未熟であったという気が私はするのですが、その辺は大臣いかがですか。
(答)様々な御意見があると思いますので、一つの御意見として承っておきます。
(問)この3年3カ月に限らず、今回大敗を受けて、過渡期という言葉もありましたけれども、ああしておけば良かったかなのような、歴史に「もし」はないですけれども、そういう強く思っていることがあったら御披露いただければなと思います。
(答)先ほど申し上げたように、やはり前の参議院選挙で負けたのが大きな要因ですよね。それが私は一昨日の敗戦にかなりつながっていると思っています。マニフェストももっと実行できたと思いますし、ねじれを生じたことによって、結局、野党と妥協に妥協を重ねなくてはいけなかったということです。
もしもはありませんので、負けたことも事実ですし、それを前提に、もっとうまい政権運営ができたのではないかという御批判があれば、それについては御意見として承っておきたいと思います。
(問)3点伺いたいのですけれども、一つは、改めてなんですけれども、今更という話かもしれませんが、政権与党として、この解散時期がどうだったのかという点を1点。
もう一つは代表選ですけれども、党内には話し合いによってこれを決着すべきではないかというような意見もあります。そうした意見を前原さんはどのようにお考えかということと。
そして最後ですけれども、全く別件ですが、知日派の米議員として知られたダニエル・イノウエ氏が今日亡くなられたということですけれども、今後の日米関係、議員外交のあり方も含めて、どのような御所見お持ちでしょうか。
(答)まず、解散の時期でありますけれども、野田総理が政治生命をかけるとおっしゃって取り組まれた社会保障・税の一体改革は三党合意がなされたわけでありますけれども、参議院の最終盤において、これが崩れる可能性が出てまいりまして、そこで三党の党首会談が行われて、そして、近いうちにということをお話しされているわけです。それについて、野田さんがうそをついてもしゃあしゃあとする人なのか、あるいは、うそのつけない人なのかということを考えた場合には、野田さんというのは誠実でうそのつけない人、いい悪いは関係ありません。そういう方であったということからすると、私は、年内に行われるということはもう必然だったと思っております。4人目の総理をもし選ぶということなら全く別ですよ。別でありますけれども、私個人の意見としましても、野田総理で私は解散すべきだと思っていましたので、遅れれば遅れるほど議席はもっと減っていた。ですから、このタイミングより更に遅れていたら、今でも結構惨憺たる結果ですけれども、もっと惨憺たる結果になっていたのではないかという気がいたします。
党選挙については、いろんな御意見あると思いますし、私は、先ほどから申し上げているように、まだ頭の中が真っ白というか、白紙の状態でありますので、その話し合いがいいか悪いかについても全くノーアイデアであります。
それから、ダニエル・イノウエ上院議員とは私も大変親交深く何度も何度もお会いをしましたし、そして、日米議員交流の窓口になっていただき、本当に日米関係の発展に御尽力をされた方であり、心から敬意と感謝を申し上げ、そして、お亡くなりになられたことに対して心からお悔やみを申し上げるとともに御冥福を心からお祈り申し上げたいと思っております。
大事な方を失ったということは事実でありますが、日米関係の重要さというのは変わりません。私もこれから野党の議員にはなりますけれども、日米関係の強化に今まで議員外交も含めて努力してきた者として、イノウエ上院議員の遺志を継いで、今まで築いた人間関係を更に太くする努力をして、イノウエ上院議員のまた御労苦に報いたいと思っております。

(以上)