前原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年11月12日

(平成24年11月12日(月) 12:05~12:17  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

お疲れさまでございます。
本日、公表いたしました2012年7-9月期GDP速報一次QEにおきまして、実質成長率が前期比マイナス0.9%、年率にいたしますと3.5%マイナスと3四半期ぶりのマイナスとなりました。
その要因といたしましては、世界景気の減速等を背景として輸出が大幅に減少したことなどが挙げられます。今回の結果は、7-9月期の我が国の景気が弱めの動きとなっていることを確認するものとなりました。
こうした中で、特例公債法案の一日も早い成立が不可欠でございまして、更に景気下振れリスクに対応するために、遅くとも今月中を目途に経済対策の策定を進めていきたいと考えているところでございます。
私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)この7-9月期一次速報と、今後の見通しも含めて、内閣府が試算する今年度と来年度の成長率の見通しは下方修正がやむを得ないと思うのですが、大臣の今のところのお考えをお聞かせください。
(答)今回のマイナス0.9%の寄与度の内訳は、内需部分がマイナス0.2%、外需部分がマイナス0.7%ということでございまして、先程お話をいたしましたように、やはり輸出の落ち込みというものが大きい。それはやはり世界経済の減速が大きな要因になっているのではないかと思っております。
他方で、国内におきましてはマイナス0.2%ということで、エコカー補助金が打ち切られたにもかかわらず、復興需要というものが下支えになっている面というのがあると思います。したがって、今後の景気動向を何をもって判断していくかということになれば、世界経済の動向をしっかりと把握する必要があるということだと思います。
先般、アメリカの大統領選挙が行われまして、オバマ大統領が再選をされましたけれども、財政の崖というものに対してしっかりと対応していただくということが、前提になるわけでございますけれども、アメリカ経済の数値は、いろんな数値において改善の兆しが見られるわけでございます。具体的に申し上げますと、製造業総合景況指数は2カ月連続で上昇している、それから、消費者信頼感指数が2カ月連続で上昇している、非農業部門雇用者数の伸びが拡大しているというような明るさが見えておりますし、住宅投資も増えているということが挙げられるのではないかと思います。
他方でヨーロッパにつきましては、やはりまだまだ先行きについて楽観のできる状況ではない、むしろ警戒をもって見ていかなくてはいけない部分もありますし、そういう状況に関連して、中国の経済成長率の鈍化もございます。したがいまして、トータルで判断をしていく中でどのように今後の経済成長率を見ていくかということについては、まだまだ精査が必要であり、今の段階ですぐさま下方修正をするということは考えておりませんけれども、ただ現況はかなり厳しいという認識は持っておりますので、我々として打てる対策をしっかりとっていくということが大事な点ではないかと考えているところでございます。
(問)今回の結果を受け、経済対策が重要になってくると思いますが、総理の解散の判断時期にはどのような影響を与えるとお考えでしょうか。
(答)解散の時期を御判断されるのは総理御自身でございまして、それは総理がどのように総合的にお考えになるかということに尽きると思っております。
私としては、与えられた責務、また指示をしっかりと果たしていきたいと思っております。総理からは先月、遅くとも11月末までに経済対策をまとめるようにと指示を受けております。これの第一弾として先般、4,000億円超、そして事業費としては7,500億円超の第一弾の経済対策をやったわけでございますけれども、更に何らかをやっていこうとすれば、やはり特例公債法案の成立が前提になりますので、国会において野党に御協力をお願いし、まずそれを成立させるということが大事なポイントになろうかと思います。その上でどのような財政的な措置がとれるのかどうなのか、補正予算も含めて、我々としては、私の立場としてはできる限りの選択肢、総理が最終的に御判断をされるための材料というものは用意をしておきたいと考えております。
(問)先日、9月の景気動向指数が6カ月連続でマイナスとなって、景気が後退局面に入った可能性が高いという発表があったのですけれども、今回のGDP発表を受けて景気が後退しているという局面に入っていると言えるのでしょうか。
(答)先日、公表されました景気動向指数などを見ますと、事後的に見て景気後退局面に入っていたことになる可能性も否定はできません。しかしながら、景気局面の判断につきましては、データが出そろった段階において内閣府の経済社会総合研究所において判断をされるということになろうかと思います。
(問)デフレの現状についてお伺いします。今デフレ脱却に向けた推移の中で、7-9月のGDPデフレーターが前期と比べてマイナス幅を縮小しておりますけれども、その一方で、内閣府からは輸入の部分で原油価格が下がったところが逆にGDPのデフレーターにプラスにきいているという説明がありました。今、足元の日本経済のデフレ状況について、今回、7-9月期のGDPを受けてどのような認識でいらっしゃるかというのを改めてお願いいたします。
(答)今、御指摘のように、2012年7-9月期のGDPデフレーターが前年同期比マイナス0.7%、前期比マイナス0.0%ということになっております。今回のQEでは、GDPデフレーターの前年同期比は12四半期連続のマイナスということになっているわけであります。
今ありましたように、輸入デフレーターにつきましては、原油価格の低下を背景に低下いたしましたけれども、それほどには内需デフレーターが低下せずに、結果としてGDPデフレーターの低下幅が小さくなったということでございまして、デフレ脱却に向けていい方向性が出ているということではないのだろうと思います。むしろマクロ的な需給ギャップにつきましては、マイナス幅が拡大をしたのではないかという見方をしております。したがって、我が国経済は依然緩やかなデフレ状況にあると認識をしております。
ちなみに、9月のコアコアの物価上昇率はマイナス0.6%ということでございまして、6月から連続してマイナスが続いているということでございます。
(問)今回のGDPの大幅なマイナスを受けまして、専門家の間では早くもやはり経済対策も必要だけれども、やはり一段の金融緩和等によって経済の下支えが必要ではないかという声が専門家の間ではもう今日早速出ているようですけれども、大臣、改めてお考えをお願いできますか。
(答)先般の日銀の政策決定会合におきまして、政府と日銀で共通認識に関わる文書を作成いたしました。これは、お互いが早期のデフレ脱却に向けて最大限の努力をしていくという約束を取りまとめたところでございまして、そういう意味では、政府も財政、規制緩和、成長力の強化など様々な施策を行っていかなくてはいけませんし、また、日銀もデフレ脱却のための強力な金融緩和というものを推進してもらいたいと思っております。
いずれにしても、両者が協力をしてデフレ脱却を図る、そして、景気の回復基調に転ずるための努力をしていくということが大事なことではないかと考えております。

(以上)