前原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年11月2日

(平成24年11月2日(金) 9:24~9:52  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

おはようございます。私から、3点お話をさせていただきます。
本日、電力需給に関する検討会合及びエネルギー・環境会議の合同会議を開催いたしまして、需給検証委員会の検証結果を踏まえまして、今冬の電力需給対策を決定いたしました。
今冬、各電力管内では、電力の安定供給に必要な予備率3%以上を確保できる見通しでありますが、特に北海道電力管内では、寒冷地のため電力不足が国民生活に甚大な影響を与える可能性があるため、次のとおり、今冬の電力需給対策を決定いたしました。
まず、沖縄を除く全電力管内について、12月3日から3月29日までの平日、数値目標を伴わない一般的な節電要請をいたします。北海道電力管内につきましては、電源脱落へのリスクに備え、12月10日から3月8日の平日、7%以上の数値目標付きの節電を要請いたします。また、過去最大級の電源脱落が発生する場合も想定いたしまして、多重的な万全な対策を講じます。
本日、決定しました今冬の電力需給対策に基づきまして、地方自治体にも協力をいただきつつ、今冬の電力需給に万全を期してまいります。国民の皆様には御不便をおかけいたしますが、節電への御協力をよろしくお願い申し上げます。
2番目でございますけれども、本日、第105回総合科学技術会議を開催し、その場におきまして、ノーベル賞受賞の山中伸弥教授をお招きして御意見をお聞きしつつ、科学技術イノベーションをめぐる課題について、議論を行う予定でございます。会議はフルオープンで行われますので、議論をお聞きいただければ幸いでございます。
最後に、宇宙関連で一言御紹介をさせていただきたいと思います。
鹿児島県の肝付町から、JAXA内之浦宇宙空間観測所が開設されて50周年を迎えるとともに、ペンシルロケットで有名な糸川博士の生誕100周年を記念した行事が、11月10日に現地にて開催されるとの御案内をいただきました。我が国宇宙政策にとりまして、大変意義深いイベントであると考えております。私は、宇宙政策を担当する大臣といたしまして直接参加をし、お祝いを申し上げたいところでございますが、当日は宇宙戦略室の担当者を派遣いたしまして、私からの祝辞を代読してもらおうと考えております。
また、肝付町は、このような歴史を踏まえ、肝付町「スペースサイエンスタウン」構想を推進されていると伺っております。政府として、本構想が我が国宇宙政策の推進に寄与するよう、必要な連携・協力に努めてまいりたいと考えております。
私からは以上です。

2.質疑応答

(問)電力需給についてお伺いいたします。北海道電力管内7%以上の節電を要請されたということですが、北海道電力はもともとのパイが大きくないために、1つの火力が脱落しても、かなり大きな電源の欠損につながると言われています。10%台の電源脱落も言われておると思うのですが、7%で十分なのかということと、今年の夏の関西電力のように計画停電の準備ぐらいはするべきだったのではないかと、そこを教えてください。
(答)御指摘のように、北海道電力管内全体の発電量、供給力は596万キロワットということで、他社に比べて相対的に少ない発電量でございます。予備率は5.8%でございまして、3%を上回っているにもかかわらず、なぜ7%以上の節電要請をするかといいますと、この5.8%というのが33万キロワットでございますので、一番大きな火力発電所が70万キロワット、そして次に大きな火力発電所が60万キロワットということで、1つあるいは2つが脱落をすると、相当大きな影響が及ぶということの中で、7%以上の節電要請をお願いしたところでございます。
7%が果たして十分なのかということでございますけれども、他方で北海道電力の管内におきましては、節電の定着率が3.3%ということでございまして、そういう意味におきましては、今までも御協力をいただいており、それが定着しているわけであります。また、厳寒の北海道において計画停電を行うことは、計画停電地域において道民の生活、あるいは命に関わる大変深刻な事態を招きかねないということで、計画停電は何とか回避したいという考え方を我々は持っております。7%以上の節電要請をいたしますけれども、仮に火力発電所などが停止するという緊急事態に陥ったときには、大口需要家に対しまして、電力買取りのお願いをあらかじめしておき、そして電力を融通していただくというような二重、三重の備えをする中で、我々としては対応していきたいと思っております。
繰り返しになりますけれども、北海道の厳寒の冬において計画停電するということは、道民の生活のみならず命にも関わる重大な問題を引き起こすと考えておりますので、計画停電を回避するために、幾重にも重層的な対応策を考えさせていただいているということでございます。
(問)本日、不動産・インフラ投資に関する有識者会議が夕方開かれますが、大臣は、国土交通大臣を1年間務められて、正に不動産・インフラは所管だったと思われますが、この前は低い市場化率をお示しになられましたが、国土交通大臣としての1年間の中で対策を打つことができたかと思うのですが、そのときになぜ、結果的にできなかったことが今、これから有識者会議を開くことによってできるようになるという見通し、そういったものがあればお聞かせください。
(答)私が国土交通大臣になりましたのは平成21年9月17日だったと思います。そして、10月26日に国土交通省成長戦略会議をつくりまして、5つの分野についての取り組みを御議論いただきました。そして、その中の1つが、正に民間資金の活用ということでございまして、PPP、PFIあるいはパッケージインフラ輸出ということで、とにかく財政が厳しい状況の中で、民間の資金を活用した取り組みを進めてまいりました。
そのことによりまして、例えばできたことを幾つか申し上げますけれども、1つは、国際コンテナ戦略港湾というものを先導いたしました。126の重要港湾を66に絞り、2つの阪神港と京浜港が結果的に選ばれたのですけれども、この国際コンテナ戦略港湾に集中をいたしまして、平成23年3月に法案が成立をいたしましたけれども、公設民営という考え方の下で、民間の資金を受け入れられる素地を民営化ということでやりました。そしてまた、京浜港については東京港と横浜港、そして阪神港については大阪港と神戸港ということで、2つに分かれていたものを統合して民間会社としての運営をする中で、民間資金が受け入れられる受け皿を作って、今進めているところでございます。
あと、関空、伊丹空港の統合ということで、これもコンセッション、公設民営ということで民間の経営、資金が入るような枠組みも、法律改正で行ったところでございます。
それから、使い勝手の悪かったPFI、リース方式が主流であったPFI法を改正して、そしてコンセッションや、あるいは対象分野も拡大をしました。また今までは地方自治体、行政からの企画立案しかできなかったものを、民間からの提案ができるような形にしてPFI法を改正し、民間の資金が入るような形にいたしました。
また、REITにつきましては、今ある建物を証券化して、そして市場に売るということを今までやってきたわけでありますが、私のときに、不動産特定共同事業法というものを改正しようと。これは倒産隔離を行って、古い建物も民間資本を入れて証券化し、そして新たな建物にすることによって、より価値を上げて建替えが進むようなものを法案としてまとめましたけれども、残念ながらまだ法案が通っておりません。引き続き通さなくてはいけないということで、取り組んだものであります。
あと、さまざまな環境変化の中で今回議論していただこうと思っております中身は、例えばJ-REITの国際化を是非議論していただいて、それが法律改正が必要なのかどうなのかということも議論していただこうと思います。J-REITの国際化というのは、例えば海外に大手スーパーなどが出られたときに土地を取得するわけでありますけれども、取得するその土地というものが、J-REITの資金でできないかと。そのことによって、海外に出ていくそういった大手スーパーなどの資金調達コストが軽減されると同時に、新たな市場ができないかということで、そういったものも検討していただこうと思っております。私もかなりこういう問題は、先ほど申し上げたように手掛けて、成果も出ておりますけれども、もっと新たな民間資本の活用というものの中で、PPP、PFIあるいはREIT市場が活性化をされないかということの中で、新たな勉強会を作って更なる取り組みができないかということを提言していただきたい。そして、必要な施策についてできるような状況に持っていきたいと考えているところであります。
(問)先程の質問に関連してお伺いしますけれども、J-REITやPFIの普及がデフレ脱却にどのように効果を生むのかということについて、もう一度改めて御見解をお願いできますでしょうか。
(答)デフレ脱却というのは、物価が上昇に転じて、そしてそれが逆戻りしないような見通しがつく、これがデフレ脱却の簡単な定義だと私は思っておりますけれども、そのためには、基本的に実体経済が良くならなければいけないと思っています。日本は、私から言わせると4つの制約要因を抱えていて、人口減少、少子高齢化、莫大な財政赤字、そして長引くデフレ、この4つの制約要因を克服するために何が必要かといえば、それは1,500兆円と言われる民間の資金をどうやってうまく、今まで税金や借金で行っていたものに代替をしていくのかということと同時に、民間の資金が入ってこれなかった分野に入れるようなマーケットを作って、日本経済の活性化にどうつなげていくのかということが大事だと私は思っております。
そういう意味では、先ほど申し上げたような取り組みはやってまいりましたけれども、まだまだ私は取り組みが足りないと思っております。もちろんこういうものは、先ほど申し上げたように阪神港と京浜港の民営化はできましたけれども、統一をするというのは来年以降でありますし、民間資金が本格的に入っていくのはそれ以降になりのますので、まだそれは結果が出せない状況であります。関空にしても、恐らく一体化をしてコンセッションで何十年かの運用権を売却するというときに、初めて民間の資金が大量に入ってくるということで、まだその成果は出ていないわけでありますが、とにかくプラットフォームを作り、そして民間の資金が入った形でのさまざまな運用ができるものをしっかり行う中で、我々に与えられた4年間の任期では、そういう意味での結果が出なくても、将来に結果が出て、そして我々の政権交代のときに、正に民間資金の活用、民間活力の活用というプラットフォームを作ったがゆえに、大きくその資金が入るような状況が作れたのだと、政権交代の成果として後で検証していただけるように、しっかりとそういうものを我々としては進めてまいりたいと考えているところであります。
(問)特例公債法案をめぐって、野党の方にもやや軟化の動きといいますか、話し合う機運が出てきたのですが、このあたりはどのように受け止めていらっしゃいますか。
(答)法案そのもの自体は国会で御議論いただくことでございますので、我々は、国会がお決めになったことについて、粛々と政府として対応させていただくということに尽きると思いますが、経済財政あるいは予算編成の基本方針をまとめる担当大臣として、野党が特例公債法案の審議に前向きに応じていただけるということは大変ありがたいことだと思っております。正に政局を超えた国益の観点から御判断をいただいているものと高く評価をしたいと思っております。
このことによって、マーケットの不安、あるいは日本の国債市場への評価の見直しというものについての、言ってみればマイナスの要因が払拭されることを期待しておりますし、この特例公債法案が早く成立する中で、予算の執行を通じて日本経済にプラスになることを期待しているところでございます。
(問)今の質問に若干関連するのですけれども、野党側が公債特例法案の審議に応じると、その応じた暁に成立した場合に、年内の解散を強く求めていますけれども、その一方で、総理は先日の衆議院本会議の答弁で、経済状況への対応も含めて、やるべきことをやった上で判断したいと言われていまして、3つの課題に、新たに経済対策が加わったのではないかという見方が出ていますけれども、前原大臣は、その見方についてはどう見ていらっしゃいますでしょうか。
(答)官房長官も会見でお答えをされているように、それが総理の解散権を左右する、縛るものでないという答弁をされていたと思いますし、官房長官がお答えをされたことで尽きていると私は思っております。
いずれにしても解散権は総理にあるわけでありますし、また、3党党首会談において真摯に話をされる中で、自らの言及したことについての責任として、大事な政策案件をおっしゃったわけでありますので、そういう意味におきましては、野党にはしっかりと御協力をいただき、与野党を超えて、超党派で今の日本の喫緊の課題についてしっかりと対応することが大事ではないかと考えております。
(問)近いうちは年内だろうという見方については、依然として変わっていらっしゃらないでしょうか。
(答)私の考え方は変わっておりません。しかし、その前提としては、解散権は総理が持っておられるということでありますけれども、以前述べた私の考え方は変わっておりません。
(問)今日の閣議決定の中で、内閣官房と内閣府の機能の見直しの基本方針が決定されたと思うのですが、特命担当大臣として内閣府の所管をお持ちになっていらっしゃるお立場、あるいは過去に各省庁の閣僚をお務めになったお立場として、この見直しに対する問題意識など、現状を把握されている中でどういったことに取り組むべきかということ、お考えがあればお願いします。
(答)私は、政権交代後、国交大臣兼内閣府特命担当大臣をやらせていただきまして、防災、沖縄・北方、宇宙、それから原子力、こういった役割を持たせていただいたわけであります。また今回、内閣府特命担当大臣を拝命して、今仕事をさせていただいているわけでございますけれども、新たな問題、新たなテーマ、そして大事なことは、省庁横断的に物事を取り組まなくてはいけないというのはそのとおりであります。だからこそ内閣官房あるいは内閣府に仕事が集まってくるということについては理解できないわけではありませんけれども、一つの大きな問題点は、それがサンセットになっていない。やはりスクラップ・アンド・ビルドが必要で、役割を終えたものについては、時限措置として無くしていくというようなことが本来、よりしっかりと定着をさせるべきだったものができていないということが1つだと思います。
そして2つ目には、本来であれば、内閣府あるいは内閣官房でしっかり整理をしてまとめたもので、あとは執行のみを行うということについて言えば、各省に戻してもいいというものがあろうかと思いますけれども、それについてまだ内閣官房や内閣府にあるというものもあるということの中でも、その見直しというのがあるだろうと思います。
あと3つ目は、内閣府独自の職員の方々の数が制約をされていて、各省から、あるいは民間も含めて来ていただいて、併任をかけて仕事をしてもらっているということで、仕事の割には人が少ない。そして職員に多大な、過大な負担、しわ寄せが行っているという面は否めないと私は思っております。
そういう意味においては、今頭に思い浮かべただけで、仕事をさせていただく中ですらすらと3つ問題点が浮かび上がってまいりますし、恐らくじっくり考えればさまざまな細かな点、あるいは大きな点も含めて問題点があるのだろうと思います。この内閣官房、内閣府の仕事の整理を内閣全体で行う中で、全てが効率良く、そしてスムーズに仕事ができるような体制は必要だと思います。今回の見直しを契機に、私も内閣府特命担当大臣の一人として、効率化、そして言ってみれば本来の仕事がしっかりできるような組織に変えていけるように取り組んでいきたいと考えております。
(問)1つ前のテーマですけれども、近いうちということと、経済対策取りまとめを今月指示という中で、今月中の取りまとめを実施すると、補正を普通考えるわけですけれども、理想的にはどういうスケジュールで与野党と協議しながら補正をまとめたいとお考えでしょうか。
(答)あくまでも解散権、解散の時期を決めて、解散を決断されるというのは総理大臣でございますので、それが前提としてのお話になるということをまず申し上げた上で、私は経済財政政策あるいは国家戦略担当として、今の経済動向に目配りをしっかり行うということと同時に、本予算にも絡んでくるものとして、予算編成の基本方針を作る立場として、補正予算を作るにも、その方向性に合致していなくてはいけないという意味から、与えられた仕事をしっかりと行うということが大事だと思います。
したがいまして、今、私が総理からいただいている指示は、遅くとも今月内に経済対策を私、経済財政政策担当大臣を中心としてまとめなさいと言われているものをまとめるということに尽きるのだろうと思います。
そして、ねじれ国会の中で他党との関係のこともありますので、総理が御判断されやすいような幾つかのオプションを内々考えて、経済対策としてお示しをするということになろうかと思います。そして、最終的にそれをどう選ばれるかということは、与野党の交渉を踏まえた総理大臣が御判断されることになると思いますので、そういうスケジュールや時期などを私が申し上げるのではなく、与えられた指示の中でしっかりとした経済対策を幾つかの選択肢の中でまとめることが私の仕事であると認識をしております。
(問)総理が3条件として挙げられていたものの中で、自公の協力で物事が進もうとしているわけですけれども、この間の国会審議を聞いていますと、総理が近いうちとおっしゃったことというのは、果たして3党の話なのか、あるいは国民も含めた広い意味での約束なのかというところに論点も1つあるように思われるのですけれども、このことについて前原大臣、どのようにお考えであるのか。また、それを踏まえた上で、政府としてどのような態度で臨むべきであるのか、お考えをお伺いします。
(答)総理のお言葉ですから、総理御自身がどういう思いを持って話されたかということについては、国民にも説明をされることが筋で、私が解釈をするというのは違うかもしれませんが、私の捉え方として、3党の党首会談で話されたものが、マスコミを通じて外に出ているということは、国民も総理の言葉として受け止めていると解釈することが私は自然ではないかと思っています。

(以上)