前原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年10月26日

(平成24年10月26日(金) 10:50~11:09  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

おはようございます。まず2点お話をさせていただきたいと思います。
本日の閣議におきまして、予備費の使用につきまして閣議決定がなされました。本件に関連して私からは閣議におきまして、配付している資料に基づき次の発言をいたしました。「本日決定された予備費の使用は、遅くとも11月中を目途に策定する経済対策の一環となるものである。これにより、日本再生戦略の重点3分野の施策のうち、緊要性の特に高いものを加速するとともに、被災地からの要望の強い復旧・復興に必要な事業及び大規模災害に備えた防災・減災対策を緊急に推進することが可能となると考えている。各大臣におかれては、これらの施策の効果が早急に発現するよう、施策を速やかに実施に移し、その進捗管理を確実に行っていただくよう、お願いをする。政府は、引き続き、大震災からの復興と景気の下振れ回避に万全を期すとともに、我が国経済にとって当面の最大の課題であるデフレ脱却に向け、日本銀行と一体となって断固として取り組んでいく必要がある。このため、今般の予備費の使用決定に続き、遅くとも11月中を目途に、経済対策を決定し、速やかに実施に移すので、よろしくお願いする。」と発言をしたところでございます。
それから2つ目は、今週から日本再生戦略を強力に推し進めるため、取組みの現場視察を実施しておりますけれども、その第2弾といたしまして、明日27日、つくば国際戦略総合特区及び宇宙航空研究開発機構(JAXA)筑波宇宙センターを視察いたします。
具体的には、生活支援ロボットの実用化に向けた開発や宇宙開発等の現場としてサイバーダイン社ロボットスーツ「HAL」というのですかね。それから生活支援ロボット安全検証センターにてロボットの安全性に関する各種試験、物質・材料研究機構にてレアアースフリーや高性能磁石、あるいは宇宙航空研究開発機構の日本実験棟「きぼう」運用管制室ほかを訪問いたします。
また、第3弾といたしまして明後日28日に、アジア№1航空宇宙産業クラスター形成特区を視察いたします。具体的には、国際競争力強化に資する航空宇宙分野の生産現場として、川崎重工名古屋第一工場は、ボーイング787の製造です。それから三菱重工飛島工場、三菱リージョナルジェット、H2ロケットの製造、これらを訪問いたします。
私からは以上です。

2.質疑応答

(問)経済対策の予備費の使用決定についてお伺いします。
 総額国費4,000億円、事業費7,500億円によって、どの程度の経済効果、経済下支え効果があるのかという大臣のお考えをお聞かせください。
(答)今回の予備費の使用によりまして、実質GDPの0.1%強の押上げ効果があるという推定をしております。
(問)今日、消費者物価指数が5カ月連続でマイナスとなったのですが、大臣は、今の経済状況をどのように受け止められていますか。
(答)今日、総務大臣から、消費者物価指数についての報告がございまして、コア、またコアコアを含めて前年比マイナス、コアコアについてはマイナス0.6%であったと思いますけれども、物価下落、緩やかなデフレが続いているということであります。
今回の経済対策もしかりでございますけれども、まずは一番私が気になっていることは、とにかく11月末には枯渇をする可能性がある国の予算、財源を担保するための特例公債法案を何とか与野党で話合いをしていただく中で、まとめていただきたいと思っております。これがやはり一番大きなポイントではないかと思っております。
今回の経済対策ももちろん大事でありますし、特に緊要性の高いものについて中身を入れたつもりでございますけれども、やはりマクロ経済全体、あるいはマーケットの心証も含めて、この特例公債法案がしっかりとまとまるということが大事でございますので、そういう意味において、これを何とか来る国会で成立を期したい、与野党の御協力をお願いしたいと思っております。
また同時に、世界で中央銀行が金融緩和をしている中で、我々としては、日銀自らが2月の政策決定会合におきまして、「当面は物価上昇率1%を目途に」とおっしゃっている、これが実現できていないわけです。物価下落が続いているということを考えると、強力な金融緩和も日銀には求めたいと考えております。
(問)昨日、石原都知事が辞任を表明したのですけれども、大臣、受止めをお願いします。
(答)報道ベースでしか存じ上げておりませんけれども、新党を作られるということであります。第三極というものが多くできる中で、どのような政策を訴えて国民に対して信を問うのかということは、我々も大事な点でございますので、訴える政策をしっかりとお互いが示して、堂々と国民に信を問うことが大事なことではないかと考えております。
(問)経済対策について追加でお伺いしたいのですが、この今回の額を見て、景気の下振れリスクに対応する額として十分だという御認識なのかどうかというのを1点お伺いしたいことと、GDPの押上げ効果が0.1%強とおっしゃったのは、足元で出るのがそれぐらいという認識なのでしょうか、どれぐらいの期間を含めて0.1%とおっしゃっているのかをお願いいたします。
(答)まず、今回の予備費につきましては、年度内に施策効果のほとんどが発現すると見込まれておりますので、即効性はあるのではないかと思っているところでございます。また同時に、下振れリスクというものをこれで支えるのに十分かと言われれば、実質GDPの0.1%強でございますので、総理の思いとして、しっかりと11月中に経済対策をまとめます。まず先鞭をつける意味での第1弾であるという位置づけでお考えをいただければと思っております。
同時に、先程申し上げたように、予備費の枠が他にもあるわけでありますけれども、仮に予備費を満額使うにしても、特例公債法案が成立をしなければ、それが実行できない状況でございますので、いずれにしても、今回は第1弾、そして11月中にまとめる経済対策、また特例公債法案の成立が我々としては必要であると考えているということでございます。
(問)11月中にまとめる経済対策は、補正予算という形でまとめるということでよろしいのでしょうか。
(答)まだ決まっておりません。繰り返しになって恐縮でありますけれども、特例公債法案が通っていない状況の中で、次の展開について明確に今申し上げることはなかなか難しい、見通せない状況であります。したがって、特例公債法案を通していただくということが、まず一つの大きな前提になろうかと思いますが、その上で、例えば、特例公債法案を賛成いただく条件として、減額補正ということをおっしゃるのであれば、その時に併せて経済対策の補正を入れられるかどうかということも与野党の協議の対象として、選択肢としてはあるのではないかと思っております。年度内に、交付国債に代わる年金特例公債を発行するということになるわけでありますので、いずれにしても、いつの段階かに補正は必要になると思いますけれども、11月中にまとめる経済対策については、まだ決定をしていないということでございます。
(問)経済対策の中で「iPS細胞の研究推進」というのが入っているので、これについてお尋ねしたいのですが、今回は経済情勢を踏まえて緊要性の高い施策を選んだということなのですが、iPS細胞の再生医療というのはまだ実際には実現していなくて、少なくとも今後何年かかかるという点からすると、どちらかというと、今の経済対策というよりかは、将来への投資のような側面があるのではないかという気がするのですが、その辺り前原大臣は、これがなぜ経済的に今緊急性があるのかというのはどのようにお考えでしょうか。
(答)今回の経済対策においては、日本再生戦略で特に重要であると考えている3つの分野、「グリーン」、「ライフ」、「6次産業化」を特出しするという形で我々はまとめさせていただきました。そのライフの中に、このiPS細胞が含まれるわけでございますけれども、今後どういう形で使われるかどうかは別にして、先般、神戸の視察を行いまして、私が聞いたのは、網膜の手術においては、もう既に再生医療の申請を行っていて、早ければ年明けすぐくらいには実際にこのiPS細胞を使った網膜手術というものが行われると、これはどのぐらいの期間を認可に要するかということにもよりますけれども、そういう段階に来ているという説明がございましたので、そんなに何年も先ということではなくて、かなり足元までこのiPS細胞を使った実際の再生医療というものは進んでいるのではないかという状況だと思っております。また、それを更に加速をさせるために、一日でも早く網膜のみならずさまざまな再生医療が実現するために特出しをさせていただいたと御理解をいただければありがたいです。
(問)追加で伺いますが、「網膜」と今、大臣がおっしゃったので伺うのですが、網膜の分野というのは、他の組織と比べてもかなり早い、レアなケースとされていて、他の部位の再生医療というのは、やはり何年かかかるのではないかというのが研究に携わっている方の大方の見方だと思うのですが、その辺りはいかがですか。
(答)先程も申し上げましたように、私が視察をさせていただいた事例として網膜は申し上げましたけれども、他の分野でも、この山中教授のノーベル賞御受賞を契機に、ぜひこういった分野を盛り上げていこう、そして困っておられる患者さんたちをこれで救おうという機運が盛り上がっておりますし、それに我々も呼応し、しっかりとバックアップをしていかなくてはいけない。今までのタイムスケジュールであればかなり先になっていたものを、今すぐ実用化しないにしても、今ここで予算を特出ししてバックアップをすることによって、実際の医療、治療が一日でも早くなるのであれば、今お金を出す意味というのはあるのではないかと考えているところであります。
(問)それが経済対策につながるということでしょうか。
(答)先程もこれは別の観点からお答えをいたしましたように、全ての予算につきましては、年度内にほぼ予算消化がされることでございますので、この38億円以外の他の分野におきましても、経済効果は即効性としてあるという認識を持っているところでございます。
(問)今回の経済対策は即効性が期待できるというお話でしたけれども、11月にまとめる経済対策では、手当てをするべき分野はどういったところにあって、それをするためにはどの程度の規模感が必要なのかという、現在の大臣のイメージをお聞かせいただけませんでしょうか。
(答)今、各省にこの経済対策、11月中にまとめるものを検討していただいております。まだそれについての規模を申し上げる段階ではございませんし、また、特例公債法案がどうなるのかということにも大きく左右されることでございますので、とにかくこの特例公債法案の早期成立を心から望んでいるところでございます。
経済対策を別途行うということでございますから、今回の予備費を第1弾と申し上げました。という意味においては、できる限り即効性を持った経済対策にこの11月にまとめるものもしていかなくてはいけないと思っておりますし、その重点分野となるのは、今回の予備費を使ったものと同様に、日本再生戦略の中でも特に3つの分野、そしてやはり東日本大震災の復旧・復興が中核になるのではないかと考えているところでございます。
(問)大臣は民主党有力議員なので、政治回りのことで。石原新党が発足を表明いたしましたけれども、いつかは別にして、その政治的インパクトについてどう思われるか。
あと、お触れになるかどうかお任せしますけれども、過去の尖閣国有化をめぐり、石原さんの危うさを指摘されたこともありますけれども、現状どのような政治家と受け止めているか。
(答)先程もお答えをしたのでありますけれども、新党を作られるということになれば、次の衆議院選挙を目指したものとなると考えられます。大事なことは、何を一体訴えてやるのかということだと思いますので、我々も政権与党として、今まで3年間の実績をしっかりと伝える努力をしながら、今の改革の方向性、税金の使い道を変える、人への投資、成長分野への投資、そして中央から地方へ、こういったことをしっかり進めていくということを訴える中で、堂々と国民の信を問いたいと考えているところであります。
(問)11月にまとめる経済対策なのですが、各省から上げてもらう期限、いつぐらいまでを考えていらっしゃいますか。
(答)まだ何日ということは決めておりません。しかし、遅くとも11月いっぱいにという御指示を総理からいたただいておりますので、早急にまとめていただけるように今、鋭意努力をしていただいているという認識でおります。

(以上)