前原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年10月16日

(平成24年10月16日(火) 11:30~11:52  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

私からは特にございません。

2.質疑応答

(問)国家戦略室の体制について、整理させていただきたいのですけれども、まず、予算編成の基本方針というのが今後つくられると思うのですけれども、どれぐらいの人数でどなたがチーム長になってやられるのかということをお伺いしたいということが1点と、その国家戦略室の役割としてはグリーン政策大綱を含めてエネルギーと、日本再生戦略のフォローアップ、それから予算という三つのチームになるという理解でよろしいのでしょうか。
(答)いつ解散になるか分かりませんし、私が大臣に就任したときには二、三カ月のタームで何をやるべきなのかという整理をいたしました。もちろん経済財政運営は日々極めて注視をすべき、また、適切なタイミングで様々な対応、対策をとっていかなくてはいけないということで、タームとは関係なくしっかりとやっていかなくてはいけませんが、国家戦略担当大臣としましては、今御指摘のあったように、私の仕事は主に三つだと考えております。
一つは、予算編成の基本方針をつくる。これは何度もお話をしておりますように、平成21年10月23日の閣議決定において、予算編成の基本方針については、国家戦略室が原案を作って、そして予算編成に関する閣僚委員会を開き、そして閣議決定をする、こうなっているわけですね。査定は財務省が行うと財政法上そうなっているわけであります。したがって、基本方針を我々はつくるということでありますが、国家戦略室の何人を使うということまでは決めていませんけれども、和泉参与をヘッドにして、作業を進めるようにということは申し上げております。その前提となるのは日本再生戦略のフォローアップ、これは着実に実行されなくてはいけないし、絵に描いた餅ではいけないということで、書いたことについてしっかりと実行されるということが前提でなければいけないということの中で、まずこのフォローアップをしていただいているということが一つです。
二つ目にやるべきことは、グリーン政策大綱をつくることであります。これも実は日本再生戦略のグリーン、ライフ、6次産業化が三つの柱になっておりますし、また、予算の組替え基準についてもこの三つを4倍、2倍、2倍、そして、その他の成長戦略に1.5倍ということになっております。これも予算編成の基本方針にも関わってくるわけでありますけれども、我々が責任を持ってやらなくてはいけないテーマだと考えております。
三つ目が原子力委員会の改編をやらなくてはいけない。年内に方針を決めなくてはいけないと思いまして、ヘッドはもう決めましたけれども、有識者会合を動かしていくということの中で考え方を取りまとめる。また、これはすべて関連し合いますので、国家戦略室でしっかりと全員が関与し、そして、しっかりやっていただくということになりますけれども、国家戦略室だけではなくて、今の話は正にエネルギー・環境会議を動かしていく中で、全体をどう各省庁の役割を明確化し、また、工程管理をするかというのが我々の役割でございます。そういう観点からこのエネルギー・環境会議をしっかりとまとめて、そして、それぞれの役所に役割を果たしていただくということが国家戦略室としての大きな仕事になっていくのではないかと考えております。
(問)予算編成の基本方針にも関わるかもしれないのですけれども、今朝、復興推進会議がありまして、来年度予算における復興関連費の全国防災も含めて、どういった方針をこれからの予算編成の中でしていくのか。あともう一つ、今走っている予算編成の際は大臣、政調会長で予算編成に関わっていらっしゃったと思うのですが、そのときにこの全国防災のいろいろな予算の使われ方についてどのような議論、疑念があったのかというのをお聞かせください。
(答)まず、もう予算化をされているもの、特に私が政調会長として自民党、公明党の3政調会長との間でまとめた第3次補正予算について申し上げれば、大半は復旧・復興に関わるものでありますけれども、他方で全国防災という項目も掲げまして、そこに予算をつけてまいりました。
先程、私も復興推進会議で発言したのですけれども、例えば学校の耐震化については、我々、政権交代をする前は公立の小学校、中学校の耐震化率は約67%ぐらいでございましたけれども、今回の第3次補正予算が執行されれば90%にまでこの耐震化率は上がるということになります。したがって、もちろん東日本大震災があって、そして、この地域の復旧・復興に大半は注がれているわけでありますけれども、他方で、いつどこでまた大地震が起きるか分からない中で、特に子供の命、安全を守らなくてはいけないということで、この小学校、中学校の耐震化に予算をつけたことについては、私は理にかなったものであると思います。
我々、政調会長として3党で合意したのは枠の話であって、中身についてはしっかり精査をされなくてはいけないと思います。つまりは東日本大震災の復旧・復興、福島原発の事故の終息あるいは除染の活動、こういう問題と全国防災、いわゆるカテゴリーの中にあって、少しおかしいのではないかというものがあるとすれば、やはり私は復興予算としてはおかしい、つまりは一般の予算としてやるべきものであって、復興予算に紛れているのはおかしいと思うものがあれば、しっかり精査をしなくてはいけないと思っております。
いずれにしても、新たな予算編成の基本方針をつくるに当たりまして、平成25年度の一般会計としての予算と、復興に関わる予算、これは復興財源になりますので、別途考えなくてはいけない問題でございますので、今回様々御指摘をいただいている用途替え使用というものがあるかないかをしっかり精査した上で、そういうものがないように我々としては、その基本方針の中にもその方針はしっかりと書き込んでいきたいと考えております。
(問)原子力委員会の改編についてなのですけれども、改編の方向性としては、メンバーが問題なのかあるいはそれ以外の議論の進め方なのか、そこら辺のお考えを聞かせていただけますか。
(答)メンバーにつきましては、今、内々ヘッドになる方はもう内定をしております。そして、その方と御相談をしながら有識者会議のメンバーリストを今つくりつつあるということでございます。そして、決まった段階において短期集中にはなりますけれども、原子力委員会の改編あるいは国としてどう原子力行政に関わっていくべきなのかどうなのか、新たにできた原子力規制委員会というのは極めて独立性の高いものでありますけれども、この役割と、また、原子力委員会を改編したものの役割分担、あるいは現に使用済み燃料がある、また、プルトニウムの平和利用は国際社会に対する責務である、こういう国として果たすべき責務をどのように担保する組織をつくるかということについては、原子力についていろんな意見を持っておられる方を有識者会議のメンバーにして短期集中でしっかり議論をしていただきたいと思っているところでございます。また、その有識者会議のメンバーリストが固まれば皆さん方に御報告をさせていただきたいと考えております。
(問)高速道路無料化の件についてお伺いします。25年度の予算要求で高速道路課にお聞きしたところ、無料化の社会実験の予算計上の概算要求はなされないとお答えがあったのですけれども、言うまでもなく民主党政権になって高速道路の無料化は目玉政策の一つであったわけですし、前原大臣も鳩山内閣時代の国土交通大臣だったということで、この政策がこのままどうなってしまうのかというところと、今後の選挙に向けてこの高速道路の無料化がどういう扱いになるのかというところをお伺いしたいと思います。
(答)まず、私が国交大臣のときに約1,000億円の予算を使いまして、高速道路でいうと約2割の高速道路無料化の社会実験という形でやらせていただきました。これについては喜んでいただけたところ、あるいはごく一部でありましたけれども、無料化は困る、むしろ混雑をして時間が計算できなくなったのでやめてほしいという自治体もございました。
そして、2年目にはさらに拡大をしようということで1,200億円の予算を計上いたしまして、高速道路の無料化実験を拡大しようとしていたわけでありますけれども、そのときに皆さん御承知のとおり、3月11日に東日本大震災が起きまして、そして、復興予算を組まなくてはいけないということになったわけでございます。そして、3党での取り決めにも関わってくる話でございますけれども、高速道路無料化の社会実験は5年間凍結をさせていただいて、そして、2年目の予算の1,200億円掛ける5年間、合計6,000億円につきましては復興予算に回すということで、5年間は高速道路無料化の社会実験は凍結をさせていただくということになっているわけでございます。
そういう意味では、我々はどの程度無料にするのかあるいは料金体系を最終的に幾らにするのかということについては、皆さん方にお約束をしたような方向性というのは変わっておりませんけれども、3月11日に起きた東日本大震災の復興を優先させるということで、5年間については社会実験を行わない、復興予算に回すという取組をさせていただいたところでございます。
(問)森口尚史氏が参加して、内閣府で助成金を出している東大の研究プロジェクトに対して、内閣府が調査を始めていると伺っています。研究対象のiPS細胞の凍結技術に関して東大では行われていなかったということが判明しておりますけれども、科学技術担当大臣として受け止めをお願いします。
(答)まず、事実関係をお話させていただきたいと思います。
最先端研究開発支援ということで最先端研究開発支援プログラム、これは先端研究助成基金1,500億円で進めさせていただいているものがございます。それは二つ大きなカテゴリーがございまして、最先端研究は30課題、これは山中先生のiPS細胞も含んでいるわけでありますけれども、平成21年度から平成25年度で1,000億円使うということでサポートをしております。もう一つは、若手・女性の研究活動を支援するということで1,500億円から1,000億円を引いた500億円については、平成22年度から平成25年度において、329課題において研究費の配分額を決定しているということでございます。
これはどういう支援かといいますと、潜在的可能性を持った次世代の若手・女性研究者を支援するというものでありまして、若手の年齢は原則45歳を上限としていると。女性の割合や地域性を考慮するということも行ってきたところでございます。
その中の329の研究の一つに、東京大学の三原誠先生が研究代表者となって、課題名は「医工連携による磁場下過冷却(細胞)臓器凍結保存技術開発と臨床応用を目指した国際共同研究」がございます。期間は平成23年2月10日から平成26年3月31日までで、研究費総額は1億6,000万円が使われているということでございます。
この研究のサブテーマとしまして三つありまして、「過冷却」凍結による癌細胞のより良い保存、及び、術中迅速診断技術向上と臨床応用が一つ、二つ目が臓器「過冷却」凍結保存技術の確立と臨床応用、三つ目がバイオリソース/iPS細胞・癌(幹)細胞「過冷却」保存技術の確立というこのサブテーマとして三つございまして、この三つ目のバイオリソース/iPS細胞・癌(幹)細胞「過冷却」保存技術の確立に森口氏が関わっておられたというところが分かっているところでございます。
これまでの内閣府の調査におきましては、この1億6,000万はすべての研究のお金でございまして、森口氏がすべてを使っているということではございません。我々の現段階の調査におきましては、森口氏の雇用のために本プロジェクトから支出された経費につきましては総額約967万円、これは平成23年3月から平成24年9月までということでございまして、これは確認ができているということでございます。その他、森口氏がこのプロジェクトの中でどういう役割を担っておられたのか、勤務実態はどうだったのか、あるいは関与された研究内容等についてはどういうものだったのかは、現在確認中でございまして、詳細分かり次第、また皆さん方に御報告をさせていただきたいと考えております。
(問)そういう人件費のために助成がされていたということですけれども、まだ研究のプロジェクト期間は残っていると思うのですが、その残っている部分については、例えば何か支給を差し止めるようなことはお考えなのでしょうか。
(答)先程申し上げましたように、この1,500億円の中の1,000億円というのは30テーマ、これは山中先生のiPS細胞などでかなり費用がいっている。もう一つは500億円で329の課題でありまして、先程申し上げたように、この三原誠先生がチーフを務められるものに約1億6,000万円が使われている。そして、研究期間は平成23年2月10日から平成26年3月31日までということでありまして、御指摘のようにまだ残存期間がございます。
どういう研究をされているかということはもちろん御報告をいただいておりますし、また、そういう審査があったからこそ研究助成対象になったわけでございますけれども、現時点においては、この雇用のために967万円が使われたということでございまして、森口氏が勤務実態はどうだったのか、あるいはこのプロジェクトのどういうところに関わっておられたのか、こういったものについてはこれからしっかりと調査をさせていただきたいと考えているところでございます。また調査の結果が分かり次第、御報告をさせていただきたいと考えております。
(問)関連ですけれども、まだこれから調査ということですけれども、これまで森口氏は虚偽の発表、そういったことをしていることがありますので、調査の結果次第では、例えば返金を求めたりなどそういったことはあり得るのでしょうか。
(答)まだ予断を持って何かを決めているということではございません。税金を使って研究をしていただいているわけであります。それも有望な若手の研究者を育てるということで貴重な税金を使っているということから鑑みれば、やはり一番大事なことは研究内容がいかがなものであったのかということと、そして、その中での支出の中身が適切であったのかどうなのかというところから判断はされなくてはいけないのではないかと思っております。そういう観点も踏まえて今後、実態調査を内閣府で進めさせていただきたいと考えているところでございます。

(以上)