中塚内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年11月30日

(平成24年11月30日(金) 12:32~12:57  於:金融庁会見室)

1.発言要旨

 本日は、閣議がございました。
 それから、原子力災害対策本部がございました。
 それから、社会保障制度改革国民会議の第1回目が開かれまして、少子化対策担当大臣として出席をいたしてまいりました。
 それと、皆さんお手元に資料がお配りをしてあると思いますけれども、本日、郵政民営化法上の新規業務の条件付き認可が、かんぽ生命に対して行われました。お手元の認可書に付した8条件のうち、項目3から8を御覧をいただきたいと思いますが、これを見ていただければお分かりいただけるとおり、これらは、今回、金融庁が、新学資保険の認可申請を受けて、保険業法に基づき、現在、審査を継続している項目であります。
 したがって、本日、郵政民営化法上の条件付き認可を行いましたが、今後、ここに付された条件について、かんぽ生命と議論をしていくわけでありますが、これらの条件が成就をし、金融庁・総務省が承認する際には、同時に、保険業法上の認可も行われることとなります。こうした認識は、関係省庁間で共有をされておるところであります。
 今後、審査におけるかんぽ生命の更なる努力を促し、保険業法上の審査、これは、実際、郵政民営化法上の今回付した停止条件ということにもなるわけでありますが、できるだけ早急に進めるよう努力をしていきたいと思っております。
 なお、今回、条件付きで認可する学資保険、これは既存商品の「改定」ということでありますけれども、全く新商品となるがん保険や医療保険、これは異なります。認可申請があっても、より慎重な検討が必要であると考えております。
 詳細については、また後ほど事務方より説明がありますので、そちらでもお答えを申し上げます。

2.質疑応答

(問)先ほど大臣は停止条件とおっしゃったのですけれども、紙には停止条件という言葉がないのですけれども、停止条件が付いているという理解でよろしいわけですか。
(答)もちろんです。そこの3から8のところですね。3、4、5、6、7、8と承認ということが書いてありますが、承認されなければ新商品の販売には至らないということでありますから、これを停止条件と申しております。
(問)それから、保険業法上の認可というのは、下地(郵政民営化担当)大臣によると、「来年4月1日にやりたいと言っている条件は整っている。仮に、保険業法上の認可が今日の時点で出ていなくても、4月1日にやることは出来る。」と言っています。(中塚)大臣は、どのようにお考えですか。
(答)これは、この場でも度々皆さんに申し上げてきたとおりでありますが、審査は未だ不十分であります。だからこそ、郵政民営化法上の今回の認可に当たりまして、必要と思う停止条件を付したということでありまして、今後、これらの条件をかんぽ生命の更なる努力を促しつつ、しっかりと審査をしていくということです。
 ですので、その停止条件が解除されるということが保険業法の認可ということになるわけでありますが、ただ、条件の中には多額の支払い漏れとか、長期にわたる満期保険金の未払いなんかが発生しています。誠に遺憾なことでございます。ですので、今後の審査において、かんぽ生命の保険金等支払い管理態勢の再構築、これも求めていかなければなりません。
 ということで、結論が出る時期というのは、なかなか予断を持ってお答えをすることはできない、コメントは差し控えたいと思っておりますし、4月というのは、たぶん会社側に立った御発言なのだと思いますが、であるならば、ぜひ、それこそ審査に御協力をいただきたいと。また、いろいろな支払い管理態勢の構築等にも、かんぽ生命に御努力をいただきたいと思っております。
(問)住宅ローンとかゆうちょ銀行からの申請案件がありまして、現在、郵政民営化委員会で審査をしていると思うのですけれども、これらについても結論が選挙の前に出れば、どのような御判断をお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
(答)こちらもこれまでも申し上げてきておりますが、審査はまだ十分に進捗しておりません。結論を出せる段階にはございません。
 金融庁からは、民営化委に対しまして、これまで審査の進捗状況を逐一報告をして、御説明をしているところであります。例えば、ゆうちょ銀行の融資業務(について)11月15日に説明をしておりますけれども、申請書上、貸付業務全般について申請が行われているということですが、これまでは住宅ローンと上場企業等向け融資しか説明を受けておりません、私どもは。この二つの分野についても、自己勘定により行う融資であります。全く新しい業務です。議論すべき項目は非常に多く、審査はまだほとんど進んでいないという状況にあります。現在の審査の進捗状況から見て、およそ認可の可否について判断する段階にはございませんということを民営化委員会には申し上げてあります。ですので、今後の当庁の審査の状況を十分踏まえて適切に判断されることを期待をしたいと思っています。
(問)なぜ保険業法の認可は出さないのに、郵政民営化法上の条件付き認可は出したのかというところを改めて簡単に教えていただけますでしょうか。
(答)日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命が新しい業務をやるという時に、二つの法律手続があると。民営化法と、それから業法に基づくものと二つあると。  そういった中で、西室委員会において、ああいう意見書が取りまとめられました。その意見書に基づいて郵政民営化フォローアップ会議が行われて、そこで関係閣僚で議論をいたしました。また、党側からもお入りをいただいたわけであります。
 私どもとしては、私どもの主張を貫き通しました。認可ということをするに当たっては、停止条件を付さなければならない。それは、保険会社としてちゃんと契約者の保護ということを考えていかなければいかん立場であります。そういったことから、今回のような結論になったということであります。
(問)今回の一連の認可の可否を巡る動きについてですけれども、選挙直前に、政府・与党が郵政フォローアップ会議も、大臣がおっしゃられたように開きまして、それで全特(全国郵便局長会)を支持母体とする国民新党の自見代表が出席したりとか、あとその後、衆院選で苦戦が予想されている民主党の閣僚が認可を後押しするような動きもあったと思われますけれども、こういうような動きについて、金融行政を所管する大臣としてはどのようにお感じでしょうか。
(答)連立のパートナーである国民新党は、この郵政改革を非常に大きな政策課題としてずっと取り上げていらっしゃったわけであります。そういう意味で、この件に御関心が非常にあるということは、私も以前から存じ上げておりました。
 ただ、私どもとしては、やはり私どもに課せられた行政の使命というのがございます。その行政の使命というものを、しっかりとその場でも主張をさせていただきましたし、今日のこのような結論に至ったということであります。
(問)ちょっと話が変わるのですけれども、今日、第2弾の経済対策が閣議決定されたと。あわせて、規制改革も第3弾が決定されたと思うのですが、その中で、金融庁の単独の項目も、証券市場の活性化と、あと1番目と2番目の銀行規制緩和とかが挙げられていましたが、規制緩和とかが挙げられていても、万が一政権交代で(政権の)枠組みが代わってしまった場合、ああいった規制緩和の方針というのは変わらないのかどうかというところを、ちょっと大臣のお考えをお聞かせください。
(答)経済対策でありますが、中小企業支援の項目についても盛り込ませていただきました。それから、証券市場の活性化ということで、金融商品取引法上の企業の合理的で公正な開示のあり方について検討を行うということが盛り込まれておって、具体的には、「アメリカにおけるJOBS法の制定等諸外国の状況や、我が国における証券市場の状況を踏まえた、企業内容等の開示の合理的な見直し」を含めて、平成25年に検討を行うということになっておりますから、金融庁としては、この閣議決定を踏まえて、今後、市場関係者等の御意見もお伺いしながら、しっかり検討をしてまいりたいと思っております。
 政権が代わったらということですが、今、代わらないように努力をしている最中でありますので、そのことについてはコメントは差し控えさせていただきます。
(問)郵政に戻って恐縮ですけれども、この8条件が明らかになったのですけれども、これだったら、何で保険業法も条件付き認可が出せないのか。逆に言えば、保険業法に条件付き認可が出せないなら、なぜ郵政民営化法の条件付き認可を出したことになったのか。
(答)要は、保険業法に基づく民間保険会社なわけですね。ですので、当然、新規の業務なり、改定という時には、保険業法上の認可が必要になるということであります。これは、上乗せ規制という意味で、郵政民営化法という法律がございます。これは、国営から完全に民間になるまでの移行期間について定めた法律ということだと理解をしておるわけであります。ですので、そういう移行期間へのプロセスを定めた法律については、条件付き認可という形式も可能だろうと判断をいたしましたが、他方、保険業法で申し上げると、保険商品というのは事前にちゃんと審査をして、それから認可をする仕組みということがあって、これら事前審査の項目を認可の停止条件にするということは法律の体系上できません。ということもあり、これは私どもの方でしっかり判断をさせていただくという判断をしたというか、前々から私はそのように申し上げているつもりではいます。
(問)これは、国民新党に対する政治的配慮ではないかという批判は出るのが必至だと思うのですけれども、そういう意見についてどう思われますか。
(答)保険業法上の認可はおろしておりません。ですので、政治的配慮はありません。
(問)東洋経済の浪川です。
 かんぽ(生命)の保険の件ですけれども、いずれにしても、こういう結論を出されたということは、その前提として起きた不払いの件というのは極めて大きいことであるというふうに認識なさっておられるということで理解してよろしいですか。
(答)やはり保険契約者の保護ですね、これは最優先に考えていかなければいけない課題です。請求案内漏れもございました。それから、満期(保険金)の支払い漏れもございました。これらは、保険会社の根本に関わる問題であります。これは、しっかりとかんぽ生命において対応していただかなければいけないわけであります。
(問)僕もそのとおりだと思うのですけれども、先ほど民営化委員会の記者会見にお邪魔して、西室委員長の方からお話があって、それにちょっと確認をしてきたのですけれども、「民営化委員会で今回の不払いのことが審議の最中に分かったとしても、あの範囲なら判断に影響なかった。」というふうにおっしゃったのですけれども、そうすると、業法以前に何かもっと根源的なところで、重大なことと、あの程度、あの範囲ならと言うのというのは絶対的な差があり過ぎてしまって、これからいろんな認可というか申請があった時に、民営化委員会と金融庁で認識がその都度大幅に違って思い知らされるなという感じがしないでもないなと思うのですけれども、いかがでしょうか。大臣がおっしゃった言葉と西室さんがおっしゃった言葉。
(答)民営化委員会の西室委員長の御発言については、コメントは差し控えさせていただきますが、繰り返しになりますけれども、私どもとしては、これは重大なことだと思っています。だからこそ、保険業法の認可はおろさなかったと。今後、保険業法の審査は継続をいたしてまいります。そういった不備が払拭をされ、支払いのための態勢がしっかりと構築をされたということが確認をできた時には、民営化法上は停止条件が解除されるわけでありますし、保険業法も認可がおりるということでございます。
(問)先ほど大臣がおっしゃった、がん保険とかそういうものは新規なので、当然ながらより慎重になると。それは、かんぽ生命ですが、ゆうちょ銀行の場合でも、これで申請しかけているというか、新規業務ですよね。既存業務というのは、こういう失敗をしたから何が不足か明らかになったわけだけれども、新規業務というのは何が不足だか分からないわけですよね。そういう意味で、逐一調べていくというような意味合いもあるというふうに理解してよろしいですか。
(答)概ねそのとおりであります。それこそ、さっきも言いましたけれども、これは自己勘定により行う融資という全く新しい業務の申請でありますから、議論をすべき項目、検証すべき項目は非常に多いと思っておりますし、審査はまだほとんど進んでいないという状況でありますから、およそ認可の可否について判断できる段階にはございません。
(問)そもそもですけれども、日本郵政グループという組織についてお伺いしたいのですけれども、大臣としてどのように見ていらっしゃるのかということを。現在、日本郵政は政府が100%出資しておりまして、それで、かんぽ生命とゆうちょ銀行は日本郵政の完全子会社の状況にあると思うのですけれども、それでトップは斎藤次郎さんという元大蔵次官であると。
 先進国でも、中国とかは別にしまして、ゆうちょ銀行の預貯金残高170兆円とか、かんぽ生命の総資産が100兆円弱あると思うのですけれども、結構、類を見ないような巨大な官製金融機関なのだと思うのですね。
 それで、そういうところは、例えば今回の場合ですと、審査が不十分な中で政治力を前面に出して新規業務を進めていくということが今回はあったわけですけれども、こういう巨大な金融機関について、大臣は所管の大臣、共管という面もあるのですけれども、どのように御覧になっていらっしゃるのでしょうか。
(答)まず認可とおっしゃいましたが、保険業法上の認可はいたしておりません。そのことは、はっきり申し上げたいと思います。
 それから、十分な審査を経ずに新規業務を認めるようなことは、どんな国であっても適切ではないというふうに思っております。それは、純然たる民間企業であれ、政府系の金融機関であれ、100%出資の金融機関であれ、私どもは契約者の保護ということが一番大切というか、いろいろある中でも特に大切だと思っています。そういう意味では、しっかりと審査をしていくということに尽きると思っています。
(問)ちょっと細かいのですけれども、この文面を見ると、条件を満たして同時に保険業法上の認可も行われることになるとあります。そうすると、今後、引き続き業法上の審査を厳格にやっていかれると思うのですけれども、そこで審査する項目というは、事実上、ここに挙げられている8項目と同じと考えていいのか、それともプラスアルファで何かあるのか、ちょっとその点をお願いできますか。
(答)そういう意味では、ここに書いてある8項目の中でも特に3から後の8番のところですが、これは保険業法のエッセンスだというふうに考えていただいて結構です。ですので、これをクリアすることが保険業法の認可がおりるということでありますし、保険業法の認可がおりればこの停止条件も解除されるという言い方も言えなくもないのですけれども、いずれにしても、ここに書いてあることを全部クリアしていただければ、それは保険業法の認可もおりるということになると。ですので、私どもとしては、今の審査をちゃんとやっていくということに尽きると思っています。
(問)大臣も先ほどおっしゃいましたけれども、かんぽ生命に関しても、支払いの問題の対応とか、非常に問題があると。そういう一般の国民から見ると非常に問題とか課題が多いところに対して、今日この時点で業法上の認可をするのかどうか、そういった判断をしなければいけないということになったと。今日は、もちろん業法上は認めなかったわけですけれども。非常にまだ問題が多い組織に対して、いくら申請があろうと、この時点で判断をしなければいけないということになったこと自体を異常だというふうに感じられませんか。
(答)それは、本件は保険業法だけの問題ではなく、郵政民営化法という法律があったと。その郵政民営化法の手続の中で、郵政民営化委員会の意見を聴かなければいけないという規定がございました。その郵政民営化法に決められた委員会からの意見書というものについて、関係閣僚また与党とも協議をした結果、こういうことになったということでありますが、私どもとしては保険業法を預かる立場として、それはしっかりクリアをされないうちに新商品の販売ということには至らないと、その主張をずっと貫き通したということであります。
(問)全く別の話題で恐縮ですけれども、アメリカのFRBが、外資系銀行のアメリカ部門の資本増強を要求する計画を明らかにしました。理事が講演の中でおっしゃったのですけれども、どんな銀行に適用するかというのはまだ発表はされていませんが、もし日本の銀行にも適用することになると、アメリカでの資本の増強が必要になり、また新たな負担が発生することになるのですが、このことに関する大臣の受止めと、またタルーロ理事は理由について、アメリカの国内の金融システムの安定化に資するためというふうに説明されているのですが、日本で同じような論理の下に同じような規制を検討するような可能性はあるのか。その2点についてお願いします。
(答)お話のような報道があったということは承知はしておりますけれども、これは確か2010年に成立したドット・フランク(法)に基づいて外国金融機関の健全性に関する基準を設けるということだったと思います。
 ただ、今お話にもありましたけれども、現時点で基準の詳細とかいうことが明らかになっているわけではないので、コメントについては差し控えたいと思っておりますし、邦銀に与える影響ということについても同様です。
(問)国内でこのようなことを検討されるような可能性というのはあるのでしょうか、日本で。
(答)我が国においてということですか。
 今、金融審議会の方で、確か外国金融機関の国内の支店とか現地法人のあり方について議論をしておる最中であります。このことについて議論をしているかどうかということは別ですけれども、そういった場で、また幅広く議論をされることを期待をいたしております。
 どうもありがとうございました。

(以上)