中塚内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年11月6日

(平成24年11月6日(火) 10:50~11:06  於:金融庁会見室)

1.発言要旨

 今日は閣議がございました。
 私のほうからは以上です。

2.質疑応答

(問)先週金曜日、証券取引等監視委員会の方でジャパン・アドバイザリーに対する課徴金勧告があったと思うのですが、あれも一連の増資インサイダーの流れをくむ事案だったと思うのですが、まだこういう事案があったということについての、まず所感をお聞かせください。
(答)まず、野村證券から公募増資情報が漏えいをして、インサイダー取引が行われたということについては、誠に遺憾であるというふうに考えております。
 ただ、今回の事案は、明示的にインサイダー情報の伝達が行われたものではなく、アナリストの社内規則に基づく対応が結果的に情報伝達を招いてしまったというふうに聞いております。
 さらに、今回の事案の発生原因である社内規則の画一的な適用については、野村證券が既に策定・実施している再発防止策により、対策が講じられているというふうに考えております。
 いずれにしても、インサイダー取引というものは、我が国市場の公正性や透明性に対する投資家の信頼を損なうおそれがあります。金融庁としては、この勧告を受け、法令に則って厳正に対処をしてまいりたいと考えております。
(問)それに関連してですが、今、大臣の方からもちょっと発言で触れられていましたが、今回のケースは野村證券もリリース出していましたけれども、野村證券の方からの自主的に点検した結果、これがインサイダーに当たるのではないかという申告から端緒が発覚したという事案だと思うのですが、そういう意味では結果的に(証券取引等)監視委員会とかの検査とかで通常の検査・監督の中で余り分からなかった事案ともとれると思うのですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)本件においては、「野村證券が継続的に行っている自主的な点検・調査において、問題を把握したということで、証券取引等監視委員会に報告がなされ」「その後も監視委員会の検査において、同社より協力がなされている。」という発表が監視委員会でなされていることは承知しておりますが、一方で、監視委員会は、本件検査の具体的な端緒については、コメントをしていないというふうにも承知をいたしております。
 いずれにしても、金融庁・監視委員会といたしましては、今後も引き続き検査・監督体制の強化に努めてまいりたいと思っておりますし、行財政事情が非常に厳しいわけでありますが、与えられた権限と、そして与えられた定員の中で、最大限の成果が上げられるように、外部からの情報提供も有効活用するなどして、的確かつ効率的な検査・監督に努めてまいりたいと考えております。
(問)今の関連で一つ(質問です)。
 お話にもありましたけれども、野村證券が業界レポートからエルピーダメモリについての記載を削除していたことで、結果的に増資が近いというのが伝わったと。その野村證券がとった行動について、責任とか問題があるのかどうか。どうすればよかったのかというところを教えて頂けますでしょうか。
(答)さっきも申し上げましたけれども、社内規則の画一的な適用がこういったことを招いてしまったということでありますが、当時は、社内規則で増資公表の1週間前になった銘柄については、アナリストが対外的に配布する業界レポート(等)から記載を一律に削除する扱いをしていたということであります。
 野村證券は、こうした情報漏えいを防止をするために、6月29日に公表した再発防止策の中で、増資公表直前までアナリストによる新規レポートの作成やコメントの発信を原則として認めるということでありますとか、アナリストレポートや業界レポートなどから増資情報が発生した銘柄の記載を削除する取扱いを廃止をするといったような改善策をもう既に策定し、実施していると。
 ということで、どうすればよかったのかというお尋ねでありますが、今回のこういった事案に鑑みてしっかりと、もう対応策については打ち出して頂いているというふうに思っております。
(問)今朝、下地郵政民営化担当大臣が、「(郵政)民営化委員会が一度決定したら金融庁は覆すことなどあり得ないのだ。」というような発言をしているのですけれども、(中塚)大臣はこのような考えをお持ちなのか。民営化委員会と金融庁の審査の関係についてどうお考えですか。
(答)それは法律に則って手続きを進めていくということに尽きると思っております。これは民営化委員会の意見を聴かなければならないということですので、最終的には私どもが判断をしなければいけないということでありますし、それは改正郵政民営化法に定められた手続きでありますが、それ以外にも私どもは銀行法や保険業法に基づいた手続きというものも取らなければなりません。
(問)今の続きでいいますと、西室委員長の民営化委員会が決定をした、オーケーを出したとしても、金融庁として反対をする、認可は出せないというケースもあり得るということですよね。
(答)反対するということではないと思いますが、定められた手続きに則って対応をしていくということです。
(問)またちょっと郵政の話ですけれども、2日の下地郵政改革相の記者会見で、日本郵政の金融の2社(ゆうちょ銀行、かんぽ生命)の株について、持ち株の方、50%売った段階ですぐ上場できるように準備を指示したというふうにおっしゃったわけですけれども、大臣はこの間の会見で、金融2社の売却というのは必要条件であるが十分条件でないという言い方をされましたけれども、この金融2社の株式に関して、持ち株の50%を売った段階ですぐ上場できるというのは必要条件を満たしたことになるのでしょうか。
(答)そのお話についても、私、直接お伺いをしたわけではありません。前回、申し上げたとおりで、それは必要条件ではあるが十分条件ではないと。お一人前の方のお尋ねにも関連をいたしますが、要は新規業務を認可するに当たっていろいろな手続きをしなければいけないので、それは必要条件ではあるが十分条件ではないということです。
(問)今の親会社が50%売った段階で金融2社を上場するということは、金融2社の株式に関する扱いに関しての必要条件というのは満たしたというふうになるでしょうか。
(答)それについては、私自身は直接聞いたわけではないのでコメントは差し控えさせて頂きます。
(問)今、大臣が、野田内閣の一員ですし、下地大臣がいろいろ御自分の見解を自由奔放に述べられているわけで、直接お会いになってお話しになるという気はないのでしょうか。
(答)これは、もちろん同じ内閣として行政を推進していくわけですから、そういう打ち合わせる必要がある時には打ち合わせなければいかんというふうには思っておりますが、ただ分担管理で事務を行うということもございます。
 いずれにしても、法律で定められた手続きに則って処理を進めていくということに尽きると思っています。
(問)通信文化新報です。
 先ほど民営化法のほかに銀行法・保険業法でも見るというふうなことをおっしゃったのですけれども、そうすると、その場合の認可するための論点というのは何が重要になるのですか。
(答)それは前回ちょっと細かくお話をさせて頂きましたが、例えばそれは内部管理態勢の問題ですね、金融機関として求められるコンプライアンスでありますとか、それからリスク管理態勢でありますとか、そういったところについてはしっかりと見ていかないといけないというふうに思っています。
(問)G20の声明について、大臣の今回の声明で特に日本の金融当局として気を使った点などを中心にちょっとコメント頂けますでしょうか。
(答)4日、5日にG20財務大臣・中央銀行総裁会議が行われて、世界経済や欧州情勢についての議論が行われたというふうに承知しておりますし、加えて金融規制改革のこれまでの進捗状況とか今後のさらなる作業についての議論が行われたというふうに聞いております。
 グローバルなシステム上重要な金融機関の新たな暫定リストの公表とか、国内のシステム上重要な金融機関に関する政策的枠組み、それからシャドーバンキングの規制・監督の強化に関する最初の提言などが出されたということでありますが、歓迎しておりますし、シャドーバンキンクについては、今後更なる検討を要請をするということであります。その他、合意済みのバーゼルIII、店頭デリバティブ改革などの着実な実施のための必要な措置をとるということが再確認をされたということであります。
 加えまして、私としては、今の金融規制改革の中での特にアメリカの域外適用の問題というのについては大変に大きな関心を持っております。財務大臣がお戻りになられたら、そのことについてまたどういう議論が行われたかということについては詳細にお伺いをしたいというふうに思っております。
(問)りそな(ホールディングス)の細谷会長が亡くなられた件で、これまで当局としてもいろいろ関わりがあったわけですけれども、何かあればお願いします。
(答)非常にびっくりしております。突然のことでありました。
 来週お目にかかることになっておりまして、もちろん副大臣の頃にもいろいろとお話しさせて頂いたことがありますが、久しぶりにお目にかかれるということで楽しみにしておりました。
 平成15年ですか、りそなホールディングスの会長に就任をされてから経営再建に本当に御尽力を頂いたと思っておりますし、経営改革も順調に進んできたわけであります。そういった中で、本当に突然の訃報に接しまして大変に残念に思っておりますし、これまでの御功績に本当に心より敬意を表しますとともに、お悔やみを申し上げたいと思っております。
(問)来週来る予定になっていたというのは、これはどういうあれなのでしょうか。
(答)御挨拶ということですが。
(問)別のテーマですけれども、昨日、あおぞら銀行が(中小企業金融)円滑化法終了を見据えて、地域の金融機関の中小企業向けの債権を買い取る「事業再生ファンド」を運営する専門子会社を作ったのですけれども、こうした動きはほかにもありますけれども、大臣としてはどのように御覧になっているか教えてくださいますでしょうか。
(答)円滑化法が来年3月末で適用期限を迎えるといったような中で、4月に「政策パッケージ」を公表いたしました。その政策パッケージの中でも、「事業再生ファンド」の設立というものを促しているところであります。
 そういった意味においても、金融機関が自主的に「事業再生ファンド」を設立して、地域の中小企業の事業再生を支援するということは、非常に結構なことだと、前向きな取組みとして評価をしているところであります。
 どうもありがとうございました。

(以上)