中塚内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年10月9日

(平成24年10月9日(火) 10:50~11:04  於:金融庁会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日、閣議が開かれまして、京都大学の山中教授がノーベル賞を受賞されたということで、関係の大臣からご発言がありました。山中先生は京都大学のご出身ではありませんが、私の母校でもあります京都大学の関係者という意味では、8人目のノーベル賞受賞者ということで、アジアでナンバーワンだとお聞きしておりますが、大変に嬉しいこと、喜ばしいことだと思っております。
 それから、本日は、この後、IMF(国際通貨基金)・世界銀行総会の防災セミナーに出席するために仙台にまいります。
 それから、明日は、(本日)1泊いたしまして、東日本大震災事業者再生支援機構の池田社長とお目にかかってまいります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)AIJで多額の損失を計上した長野県建設業厚生年金基金で、今回、新たに未公開株投資でも多額の損失が出ていたということが発覚しました。投資顧問2社と信託銀行も運用管理を任されていたということが分かったのですけれども、所管の大臣としてのご所感と、金融庁としての行政対応について教えてください。
(答)ご指摘のような報道があったことは承知いたしておりますが、個別の行政対応に関わることでありますので、コメントについては差し控えさせていただきます。
 一般論で申し上げればですけれども、投資一任業者等につきましては、業務の適切性について、検査・監督を通じて常日頃から実態把握に努めております。仮に法令違反等が認められれば、厳正に対処していくことになります。
(問)関連して、今の件について、まだ詳細は分からない部分が多いと思うのですが、未公開株投資において、信託銀行や投資顧問の役割が問われている部分もあると思うのです。今後、その調査を続けていく中で、今まで再発防止策も出されてきていると思うのですけれども、新たなものを見ながら追加の対策というものを出していく必要性については、どのようにお考えになっているかお願いします。
(答)個別の事案ということで、お答えはいたしません。それを前提とした対策ということについても、お答えすることは差し控えたいと思っております。
(問)厚生年金基金が高い利回りを求めて、大きな損失を出すケースが出ていると思うのですけれども、資産を管理している信託銀行ですとか投資顧問会社を所管する大臣として、こういったケースが出ていることについてのご所見を、一般論として聞かせていただけますでしょうか。
(答)これも一般論ですけれども、年金基金の運用の管理を行う信託銀行でありますとか投資一任業者においては、法令を遵守し適切に業務を行うということが何よりも重要であります。そういった観点から、法令違反等があれば、法令に基づいて厳正に対処してまいりたいと考えております。
(問) IMF・世銀総会の件ですけれども、各国の要人の方と大臣の間で、何かバイ会談とかがあれば、そのスケジュールなどを教えていただければと思います。
(答)さっき申し上げましたが、今日、仙台防災セミナーにまいります。そこには、モロッコの総務大臣ですとか、パキスタンの国家経済委員会の副議長等がいらっしゃって、ディスカッション、災害対応についての意見交換を行うと。世銀の副総裁、それからOECD(経済協力開発機構)の玉木(事務)次長等もご出席と聞いております。
 この他ですけれども、今のところで日程が確定しておりますのは、イタリアの証券取引委員会のベガス委員長と欧州情勢についての意見交換を行います。それから、国際会計基準審議会(IASB)のフーガーホースト議長とも、IFRS(国際会計基準)等について意見交換を行う予定になっております。
(問)複数のそういった意見交換の場があると思うのですけれども、大臣としては、どういったことを日本の金融担当大臣として訴えていきたいかというところをお聞かせください。
(答) IMF・世銀総会でも、やはりテーマになると思いますが、世界経済の動向ですとかヨーロッパの財政・金融問題、そしてその対応策の進捗状況や、世界各国、各地域に与えるいろいろな影響といったことについては、かねてより関心を持っておりますので、意見交換ができればと思っております。また、日本が昨年3月11日に経験いたしました東日本大震災ですけれども、その際の私どもがとった初動の態勢や、また今日も引き続き行っております被災地の金融面からの経済復興、復興支援の方策等についてもお話ができればと思っております。
(問)先日、AIJ問題を受けて再発防止策をまとめられましたが、ポイントとなっているのは信託銀行の監視機能というか、チェック機能を働かせなければいけないという趣旨で、そこが一番のポイントだったと思うのですけれども、これから出てくるであろう事案を踏まえたことは言えないと思うのですが、それが再発防止策として十分であるのかどうかということについて、現段階でのご所見をお聞かせ願えますでしょうか。
(答)個別の行政対応についてはお答えいたしません。その個別の対応に関わる仮定のお尋ねについても、差し控えさせていただきたいと思っております。
(問)東洋経済の浪川と申します。数回、会見を休んでいまして、他の方が聞いていたら申し訳ない。
 投資顧問にせよ、証券会社も、この数カ月、大きな問題を起こしたところがあるわけですけれども、金商法の建前が、それらの業者に対して参入自由、退出も早いという建て付けとなっていて、つまり、業としてやるのも簡単だけれども、登録制ということでやっていて免許制でないということを、1回議論する必要はないのでしょうか。
(答) これについては、かつて免許あるいは認可であったものが、登録制に移行したといった経緯があり、AIJについて申し上げれば、そもそもAIJ投資顧問自体は認可を受けて業を営んでおられて、法律が変わり、登録制に移行したということです。その意味において、こういった事案が発生したのは極めて遺憾でありますので、いろいろな面から再発防止というのは、検討しなければいかぬということで、先般、考えを明らかにし、パブリックコメントもいただいたということであります。AIJの事案等に鑑み、対応策を発表いたしました。今は、それをしっかりと実行に移すというところに全力を挙げたいと思っております。
(問)今のは投資顧問のお話なのですが、証券会社の場合はどうでしょうか。
(答)証券会社についても、これは同様です。いろいろな証券会社に関する事案がありました。一つ一つの事案について、何が原因で、どういったところを改めればよいのかということについて検討を重ね、また、今も金融審議会において、議論をいただいておるところであります。そういった議論も踏まえ、法律改正が必要ということであるならば、こういったことが二度と起きないように取り組んでいきたいと思っています。
(問)臨時国会についてですけれども、前原大臣がテレビ番組で、「臨時国会を開かないということは、政権党としての役割を放棄しているに等しい。」ということをおっしゃっています。そういう意見は、野党にも与党内にも強いと思うのですけれども、(中塚)大臣は臨時国会の開催について、やはり必要であるとお考えなのかどうか。
(答)国会を開く、開かないというのは、また各党での話合いもあることだと思っております。ただ、政府としては、審議いただきたいという法律があるわけでありまして、その法案の取扱いがどうなるのかというところに一番大きなポイントがあると私は思っておりますので、また各党での議論の推移というものをよく見ていきたいと思っています。
(問)確認ですけれども、AIJの再発防止策の一番のポイントは、信託銀行の監視機能の強化ということでよろしいのですよね。
(答)再発防止策のポイントというのは、幾つかあると思っております。第三者によるチェックというものがちゃんと行き届くようにするということでありますとか、また罰則の問題とか、そういったことがあるわけであります。これについて、もう9月4日に公表しました。パブリックコメントもかけましたので、準備の出来たものから順次実施していきたいと思っています。

(以上)