小宮山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年9月14日

(平成24年9月14日(金) 10:21~10:36  於:厚生労働省内会見室)

1.発言要旨

 今日は、冒頭私から4点、申し上げたいことがあります。
  一つは、今日の閣議で平成24年版の労働経済の分析、いわゆる労働経済白書を報告しました。今回の白書は、分厚い中間層の復活に向けた課題をテーマにしています。働く人たちの所得の増加が、消費の増加を通じて、日本経済の活性化に繋がるという日本経済の好循環を取り戻すためには、分厚い中間層の復活が必要だと訴えています。そのためにも、誰もが持続的に働くことの出来る社会を構築していくこと、企業だけでなく社会全体で、非正規雇用も含めた能力開発を行って、人的資本を蓄積していくこと、ディーセントワーク、尊厳のある人間らしい働き方を実現していくことが不可欠です。厚生労働省としては、こうした基本認識のもとに、労働政策の課題に積極的に取り組んでいきたいと考えています。労使関係者をはじめ、多くの方々に是非この白書を読んでいただきたいと思っています。
 次に、百歳の高齢者へのお祝い状と記念品贈呈についてです。今日の閣議で、百歳の高齢者へのお祝い状と記念品の贈呈について、報告しました。老人福祉法では、9月15日を老人の日と定めています。その記念行事として、今年度新たに百歳になる方全てに、内閣総理大臣からお祝い状と記念品を贈呈します。対象者は、2万5823人です。また、9月1日現在、住民基本台帳による国内の百歳以上の方の総数は、5万1376人です。最高齢は、男性が115歳、女性は114歳になっています。これが閣議関連で、あと2つは私のほうからです。
 一つは、それぞれ記事が出ていたものですが、事業所内保育施設設置・運営等支援助成金が、希望者が多くて、今年度分が枯渇してしまっているということです。これはやはり子ども・子育てに力を入れているので、何とかそこは資金を捻出してということで検討しました。これまで子ども・子育て施策を周知徹底をし、力を入れてきたので、昨年の半ばから申請が想定を超えて、本当は想定を超えるのにもしっかりと対応しなければいけないのですが、想定を超えて現実問題として急増しました。1月から募集して、4月で枯渇してしまったと。これは、来年度予算まで待つということは出来ないと思いましたので、申請は終了したということでしたが、これは重要な施策のため、速やかに支給を再開するよう、関係部署に私のほうから指示をしました。詳細が決まり次第、速やかに周知を図りたいと思っていますが、来月10月中旬には再開が出来るように、準備を進めていきたいと思っています。
 もう一つは、これもやはり子どもの関係ですが、小さいお子さんからの、小児からの脳死下での臓器提供に関連して、医療機関からの児童に対する虐待の有無の照会について、児童相談所の対応で連携が進んでいないというご指摘があります。子どもからの臓器提供については、これはずっと法案審議の時から言われてきましたが、虐待を受けた子どもが臓器提供者にならないように、他にも関係機関がありますが、特に医療機関と児童相談所の連携が重要になります。このため、今年2月の健康局関連の全国課長会議で、全国の都道府県で、児童相談所が医療機関からの虐待の有無の照会について答えられるかどうか、調査した結果を公表しました。同時に、少なくとも臓器移植の場合については、各自治体の個人情報保護条例上触れないということを、きちっと各自治体の審議会などで、ちゃんとそこを確認してほしいということなのです。児童相談所が医療機関からの照会に対応出来るように、個人情報保護条例上、それは抵触しないということを、きちんと枠組みを作っていただきたいという要請も行っています。今後とも、その働きかけを行うことにしています。これについては、あらためて関係局、雇用均等・児童家庭局になりますが、そこに連携の強化を求める通知を発出するように、私のほうから指示をしました。
 以上4点です。 

2.質疑応答

(問)労働白書が公表されましたが、分厚い中間層の復活を課題に掲げられていますが、復活に向けた具体的な重点施策と言いますか、能力開発とか色々あると思いますが、重点施策と意気込みついて、あらためてお願いいたします。
(答)やはり分厚い中間層と言うは易いのですが、なかなかどうするかということは難しいのは皆さんご承知のことだと思っています。その中で、今回の社会保障の改革の中でも全員参加型の、それぞれの人が持っている能力を活かして、全員が参加する権利があるという考え方で、ここは消費税5%が絡まなかったものですから、なかなか皆さんにも報道していただけませんでしたが、今回、社会保障改革の中にも全員参加型、ディーセントワークということを、盛り込んでいるところです。そのためには、特に私の問題意識としては、これまでは会社の終身雇用で、会社の中で能力開発を進めてきたけれど、今、非正規労働者が4割近くになっている中で、特に非正規労働者の人たちに、どういう職業訓練、能力開発をするのかということが、大きな課題だと思っています。これまでも、職業能力開発局をはじめ関係のところで検討してきているのですが、厚労省の今までの局の中で、今までの仕組みの中でやっていても、解決出来ない部分があるのではないかということで、それでちょっと少し今までの既存の仕組みに囚われずに、もう少し広い観点から、全体としてこれは取り組むべき課題だと思っているので、厚労省の中で有識者による検討会を立ち上げたいと思っています。まもなくそれを立ち上げて、今までの制度のどこを、ここをちょっと細かく変えてという話ではなくて、どういう形で、人材育成、能力開発が出来るかということは、検討したいと思っています。能力開発のところは、社会保障改革の中でも、女性、若者、能力開発という3つの柱を掲げましたので、特に非正規の能力開発が、大変重要かなと思っています。それと、非正規も増えている中で、やはりディーセントワーク、人間としてちゃんと尊厳を持って働けるということは、働き方に関わらず、同じ価値の仕事をしたら同じ報酬があるという、均等待遇に近づけていくということ、どのように法改正を企業への働きかけやらやっていけるかということ、私の問題意識では、そういうふうに思っています。
(問)もう1点ですが、なかなかお答えにくいかもしれませんが、民主党代表選で国会討論会などで論争されていますが、大臣の目から見た印象と、他党のことなのですが、今日、自民党総裁選の立候補者が出そろいましたが大臣はかねがね三党合意の枠組みが重要だとおっしゃっておりましたが、谷垣総裁が出ない形での5人の出馬ということで、期待といいますか感想というかどのように受け止めていらっしゃいますか。
(答)民主党の代表選については、4人の候補者がしっかりと議論していると思っています。私は再三申し上げているように、内閣の一員としても今回の社会保障・税一体改革をしっかりとぶれずに成し遂げているということも含めて野田総理を支持しています。どうしても現職の総理のほうが受け身に立つといいますか、非常に現実的な堅実な議論と主張をしていると思いますので、1対3になってしまって建設的な議論にならない部分があるのがちょっと残念かなと思っています。是非、残りのあと1週間の間に建設的議論を4人の候補が展開をして民主党としての政策が多くの方々に理解いただけることを、私としては期待したいと思います。
 自民党の総裁選のほうは、他党のことでございますので、粛々とやっていただければいいと思いますが、今ご質問あったように三党合意というのは、やはり動かない国会、既成政党全部それだからダメだと言われているような中で、これだけ大きな問題を三党で真摯に議論をして修正合意をしたということは、動かない国会を動かす1つの大きな一歩だというふうに思っていますので、是非それが継続していただける方がなられるというのはあります。ただ、伺っていると5人の方皆さん三党合意はしっかり守るとおっしゃっているようなので、そこのところはあまり大きな争点にはならないのではないか。それと、総裁選後のどういう形で作っていくかということと、今まで同意したことを守るかということ、そこは線が引かれる部分なのかなというふうに思っています。
(問)こちらも一部報道で、子ども家庭省の設置を含めた検討会議を来週にも設置されるということが報道されていますが、そのことについて、もし設置されるのでしたらその狙いであるとか、検討の内容についてお尋ねしたいのですが。
(答)今回、通していただいた子ども・子育て支援法など子ども施策を充実するための3つの法案の中では、今まで文科、厚労と分かれていたものを一元的に所管をするために内閣府に子ども・子育て本部を作るということは法律で決まっているところです。それにとどまらず今回の三党で確認し合意をした中に、法公布後2年を目途に一元的に子どもの行政を扱う行政組織について検討して、必要な措置をということが盛られていますので、これは、私どもは「子ども家庭省」という言い方をして、公明党さんなどは「子ども省」とおっしゃっているので、具体的な名前は書かれていませんが、今回三党でそういう合意が出来たということは、私は大変大きな前進だと思っています。そのためには、8月22日に法律が公布されて2年というと再来年の8月21日までの間にどういう形にするかを決めなければいけませんので、そういう意味で、検討する場を立ち上げたいと思っています。これは、少子化対策担当大臣でもあります私が頭になりまして、実務は官房副長官に座長になっていただき、内閣、厚労、文科の政務がメンバーとなって、今朝出ていた報道で一部違っていたのが、「有識者の会議を」となっていましたが、有識者は後です。今は、それぞれ子ども・子育ての法案を軸となって作ってきた三府省の政務で会議を立ち上げます。諸外国の実例とか色々日本の中でどうするのかということの検討を来週に始めたいと思っています。書かれていた論点はあっているのですが、その子ども家庭省といったときにどちらへ寄せるのか寄せないのかというような、どこまで幅を広げるかで、民主党で当初考えていたのはノルウェーの子ども家庭省をモデルに作りましたので、そこは男女共同参画と消費者が入っていたのですが、消費者はもう消費者庁が日本では出来ているので、子どものことと女性の働くことのほうに寄せるのか、そうすると今イクメンとか言っているのに、お父さんはどうするのというようなことがあります。先進国の流れを見ていると子どもに関する一元的な省庁は教育に寄せている例が多いんですね。ただ、日本の場合に現実的にどう可能なのかということがあります。そうしたことを含めて日本ではどういう形にすれば、今回、保育とか教育に関しては、厚労、文科ですが、その他塾は経産省とか、学童のいわゆる放課後児童クラブは厚労ですし、全児童になると今度は文科も関わるとか、あるいは安全・安心となると警察も関わってくるとか、犯罪者は法務省、色々と子どもの予算が少ないのに、各省庁にバラバラに子どもの政策がなっていること、こういうことから、子ども政策を重視してきた民主党として野党の頃から子ども家庭省ということはずっと言ってきました。ようやくそれが実現に向けて一歩踏み出せるということで、しっかりと議論をしていきたいと思います。

(以上)