小宮山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年7月13日

(平成24年7月13日(金) 9:56~10:10  於:厚生労働省内会見室)

1.発言要旨

 今日は冒頭私のほうから、11日からの梅雨前線による九州北部の大雨、本当に経験したことのないような大雨ということで、今朝現在、亡くなった方が18名、行方不明が8名。亡くなられた方々には心からお悔やみ申し上げます。また多くの方が避難をされています。被災をされている方にはお見舞いを申しあげたいと思います。今日は、中川防災担当大臣が現地に入るということですので、政府としては対応に万全を期すようにという指示が出ています。災害救助法で大分県竹田市、熊本県阿蘇市、熊本市、南阿蘇村に災害救助法が適用されまして、被災者に対しては避難所や炊き出しの提供が行われています。厚生労働省としては、被災地での救助が迅速、円滑に進むよう被災県と連携を図りながら、最大限努力をしていきたいと思っています。
 私のほうからは以上です。

2.質疑応答

(問)何点か質問させていただきます。まず一点目が、胆管がんの発症者が相次いでいることについて、一部報道で、死後5年の遺族補償など時効の判断をしないようにという指示をしたという記事が出ていますが、厚労省として、全国の労働局に対し、通達あるいは通知を出したという事実はあるのかということと、今後の対応について大臣のお考えがあればお聞かせ下さい。
(答)胆管がんについて、印刷業の洗浄業務に従事する労働者が発症しました、胆管がんの問題について、発生原因を究明することが重要だということは先日の会見でも申し上げたところです。従来より時効を理由に労災請求を受け付けないという取り扱いはしていませんが、今回の胆管がんの労災請求でも、このことを徹底するように指示をしたということです。従来から、時効を理由に機械的に労災請求を受け付けないということがないようにという指導はしてきています。指示をした事実があるかということですが、今回もその徹底を図るために、担当から各労働局にあてて、メールで指示を行っています。時効の起算日をいつにするかを今検討していますので、そういう中で、今時効だからとはじくことがないようにという指示です。
(問)2点目が、小沢新党についてなのですが、党名が、国民の生活が第一という名前になりましたが、民主党のマニフェスト、スローガンでもあり、この件について、民主党の政治家としての小宮山さんのお考えをお聞かせいただきたいのですが。
(答)昨日の両院議員総会でも、これは、本家本元の民主党のほうが「国民の生活が第一」を下ろす必要はないという意見も出ていました。これからどういうキャッチコピーにしていくのが良いかということについて「これから検討する」と党のほうで言われていますので、それは党の中の検討で、また新しいものを作ればいいと私は思っています。国民の生活が第一ということは、ある意味当たり前のことなのです。その当たり前をキャッチコピーにしなければいけない状況が、政権交代の前にはあったということです。今、政権交代後、国民の生活が第一ということでずっとやってきているので、それは当然だということになってきていると私は思いますから、あまりその言葉に拘る必要は私はないのかなと。そのことはもちろんベースに置きながら、更に新しいフレーズを考えていくことが良いのかなと私は思っています。
(問)3点目が、イレッサの副作用の訴訟の関連です。厚労省の検討会の議論では、抗がん剤を救済制度の対象にするということについては、消極的な意見が占めていて、なかなか原告が期待した制度の創設にはつながらない見通しとなっていますが、大臣として、この問題をどのようにお考えになるのかということと、改めて議論の場を設けるというお考えはあるのかどうかについて、お伺いします。
(答)抗がん剤による健康被害を何らかの形で救済してほしいということは、政策上の課題だと受け止めていますので、十分に検討を尽くすべきということで、去年の6月から「抗がん剤等による健康被害の救済に関する検討会」で検討していただいています。今日の検討会で、昨年12月に出された中間とりまとめ、その後の検討会での議論をもとに、とりまとめ骨子案について議論をいただきます。新たな検討の場という質問ですが、まだ検討が終わっていません。この骨子案をもとに、この場で検討します。かなり難しいということはあるのですが、出来ないということの結論を出した訳ではないので、ちょっと難しいという報道が前に出過ぎているのかなと私は思っています。確かに、色々難しい点もありますが、検討会で有識者の皆様に更に十分に検討していただきたいと思います。
(問)2点質問させて下さい。神戸市の産婦人科医院で体外受精後の受精卵を染色体を全て調べる新型の着床前診断が行われて、不妊患者16人に対して子どもが生まれたということが明らかになりました。日本産科婦人科学会のほうでは、命の選別につながるということで、遺伝病の患者などに限るとしておりますが、今回のケースに関しては全て対象外で会告違反ということになります。その一方この検査を受けた体外受精の成功率が3倍近くになっていることがありまして、少子化の中でこうした治療を望む患者もいるともみられます。質問の1点目は大臣はどのようにお考えになっているかというのを教えて下さい。2点目は、学会の幹部からも学会の会告だけではなくて、国としても法整備が必要ではないかという声も挙がりましたが、大臣は法整備の必要性についてお考えを教えて下さい。
(答)これは、ご承知のように大変難しい問題です。私も議員になってから、あるいはその前からずっと生殖医療のことについて(携わってきました。)どこまで人間が手を加えていいのかどうかということ。不妊治療での体外受精について、法整備が出来ていないということもあります。特に体外受精で生まれてきた子どもの権利をどうやって守るかということで、これは、超党派の議員立法を作ろうということで、色んなことをやってきていますけれども、この問題は日本に生殖医療とか、生命倫理の基本になる法律がないということが一番の元にあるわけです。そのことと、今回のことと直接関係あるかというと、ベースにはそういう問題がある。その上で出生前診断では男性・女性を産み分けるという話も一時出たりもしていました。やはりその中で良い卵子と良い精子を結びつけていい子どもを生むということは、やはり命の選別に当たると思います。たしかに、今学会で定めているものについてやっているわけですが、結局、国として生殖医療としてどこまで規制をして、何を認めるかというのは大変難しい問題なので、私はそういう法整備は必要だと思っていますが、このことをきっかけにそれがすぐ動くかというと、例えば生命倫理については、民主党もそうですし、自民党も憲法改正でその中に入れようということを言っているわけです。諸外国をみてもそれは憲法で決めている国も個別の法律で決めている国もあります。これだけ技術が発達してきている中で、そうした生命倫理、生殖医療に対する法整備が日本が遅れているということは事実です。これについては、政府としてもどうするのか。特に生殖医療については、前の政権のときから色々と報告などが審議会から出ても法整備に結びついていない実情があるので、これは、色んな意味で検討しなければいけないと思っています。ただ、厚生労働省が音頭を取ってやるのかというと、そういうことでもない。やはり国民的な議論があった上で、どういう法整備が必要かということがないといけない問題だと思っています。議員個人としてはこういうものには取り組みたいと思っていますが、厚生労働大臣として旗を振るかというとそういうことでもないのではないかと思っています。
(問)先日、国家戦略会議のフロンティア分科会が出した報告書について、昨日の国会でも少し話題になりましたけれども、雇用政策に関する部分の言及があって、40歳定年制であるとか有期雇用の活用ということがうたわれていて、労働関係者にかなり波紋を呼んでおりますが、現在の厚労省が提出している法律の政策志向性から考えると、いささか逆のことを言っているように思えるのですが、大臣はどうお考えですか。
(答)(国家戦略会議)フロンティア分科会は有識者の方達に自由に議論をしていただいて出したと。自由に議論していただいてたことを政府として出すということとどうなのかというところだと思うのですが、今回は、そういう手法で国家戦略室のほうでされたことなので。ただ、良く中身を読んでほしいのですが、40歳定年というのも、75歳まで働くために色々なケースがあるでしょうと、中には40歳定年で第2、第3の働き方をしてもいいという書き方をしてあるのですが、タイトルにそれが取ってあったこともあって、その前に75歳まで働くためにと書いてあるのですが、そちらは報道せずに、40歳定年というところだけが報道されているので、そこのところは、あそこの分科会で出そうとした報告書の真意を正確に捉えていないと思っています。ただ、厚労省としては有期雇用の法案も出していますし、それから高齢者の雇用の確保で、65歳まで働けるようにということをやっていますので、それは軸が違います。これから将来色々と活性化をした働き方をするためには、どういうことが考えられるかというアイディアを出したもので、そのことを政府がそうするということではないという、説明の仕方と出し方が誤解を生むことがあったのかなと思っていますけれども、そういう手法もあっていいのではないかと。ただ、「これはこういう位置づけで出しています」ということがあったほうが良いのと、あとは、報道していただく方もタイトルだけではなくて中身をよく読んで真意をちゃんと報道していただきたいなと思っています。

(以上)