小宮山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年5月11日

(平成24年5月11日(金) 10:05~10:21  於:厚生労働省内会見室)

1.発言要旨

 それでは、今日は私のほうからお知らせも含めて4点、冒頭申し上げたいと思います。
 一つ目は、厚生労働省版の提言型政策仕分けについてです。厚生労働省では、これまでも独自に事業仕分けを実施してきましたが、今年は、去年の秋に行われた政策的・制度的な問題にまで掘り下げて検討を行う行政刷新会議の手法を参考にして、省内の提言型政策仕分けを行います。この提言型政策仕分けは、複数の部局にまたがる分野などについて、現在の様々な施策の効果を組織横断的に検証・評価し、今後の政策の在り方を提言していただく、そういう目的で行いたいと思っています。テーマの選定に当たりましては、分かりやすく言えば各局の縦割りみたいな、組織の中のことによって今行っている施策から抜け落ちているものがあるのではないかということ、また、実施している施策の効果が不十分な点があるのではないかということ、それから重複して実施されているものがあるのではないか、こういう観点に立ちまして、リーマンショック後の雇用対策ですとか、医療と介護の連携など5つのテーマを取り上げることにしました。外部有識者の目で、現在行っている施策をしっかりと検証・評価をしていただきまして、今後効率的で効果的な政策の形成に活用していきたいと思っています。第1回の会合は5月25日(金)に、外部の皆さまにも公開して実施する予定です。もう一言だけ言うとですね、結局いろいろな補助金だとか、政策が各局の縦割りでやっているために効果が低かったり重複しているのではないかという指摘を受けて、私もそういうことは感じていました。ただ、一度に局の縦割りを止めなさい、とただ言ってもなかなか難しいので、具体的なテーマごとに、もっと局同士の壁を取り払って、もっと機能的に出来ないかという視点でやっていきたいと考えています。
 それから二点目は、孤立死の防止対策です。あらためて防止対策を取りまとめて、先進的な取組みを実施している地域の事例も交えて、総合的な通知を出しました。最近の孤立死には、三十代とか四十代の方が同居をしていても孤立死に至る、という特徴がありまして、高齢な方、障害を持った方という枠を超えた、総合的な取組が求められていると考えています。一つは、これまでに生活に困窮している人の情報の一元化や、関係者間の連携強化をお願いしてきたということ、また、民間事業者等と連携する上で、前にも申し上げましたが、個人情報の取り扱いに必要以上に過敏になって、なかなかそれがうまくいかないというケースもあります。人命に関わる場合は個人情報保護の適用外となるということがありますので、消費者庁や、電気ガス事業を所管する経済産業省とも連携をとって、こうした個人情報の取り扱いについて、あらためて水道事業者あてに厚労省として通知を出し、電気ガス事業者に対しても、経済産業省から通知が出されています。最終的には、地域で実践をしていくということが重要なのですが、既に民間事業者の協力を得ながら地域の連携体制を構築したり、先進的な取組みを行っている自治体もあります。こうした取組みを参考に、それぞれの地域で実情に応じた対策を講じていただきたいと思いまして、こうした地域の事例もあわせて総合的に通知をしたということです。孤立死防止の取組みというのは、関連補助金を優先的に採択をするなどして、厚生労働省としても後押しをしっかりしていきたいと考えています。
   三点目、これは女性の就労促進特命チームという、私のもとでつくっているものについてです。先日も会見でお話したかと思いますが、4月9日の国家戦略会議で、野田総理から「関係閣僚による女性の活躍を推進する会議を設けて、6月までに重点課題を整理して年内に工程表を策定してほしい」という発言がありました。それを受けて、毎回申し上げているように、今回大臣の私と西村副大臣、藤田政務官と女性の政務三役が揃っているということもありまして、ずっと女性労働は野党の頃からこのメンバーで手掛けてきましたので、「女性の就労促進特命チーム」を、私のもとでつくりまして、これまでに既に4回開催をしてきています。いろいろと煮詰まってきているところもあるので、5回目の会合を5月14日の午前9時半から開催します。ここは今まではクローズ(非公開)でやってきたのですが、頭撮り(会議冒頭の取材)をしていただいて、終わった後ブリーフ(概要説明)もさせていただきたいと思うので、取材をしていただければと思っています。今後開催予定の関係閣僚会議でも内容をプレゼンする予定ですが、「女性の活躍促進・企業活性化プロジェクト」として2~3年間という期限をきって、集中的に政府をあげて実践していきたいと。これまでも少しずつやってきた女性の活躍促進の「見える化」、これを推進していくこと、それから、政府各省連携をとって企業へ直接働きかけを行っていくということですとか、そのための「女性の活躍促進・企業活性化推進営業大作戦」とこちらが営業をかけていこうということです。施策は山ほど積み上がっているのに実際進まないということを、どうやって進めるかということに知恵を絞っていますので、よろしくお願いします。
   それからもう一つは、お知らせですけど、バス業界などへの私からの要請についてお知らせします。今回の関越自動車道でのバスの事故を受けて、今日の夕方、バス業界など関係業界に対しまして、労働基準法、改善基準告示の遵守を内容とする要請を私から直接行うことにしています。後ほどまた詳しくご案内しますが、17時20分を予定していますので、内容については手渡し後に資料配布をしたいと思います。
   私のほうからは以上です。

2.質疑応答

(問)昨日、国会で子ども・子育て新システムが審議入りしましたが、総合こども園について野党から、認定こども園の拡充でいいんじゃないかという厳しい意見が出ていましたが、大臣はどのようにお受け止めになられましたでしょうか。
(答)今日の報道を見ても「野党は反対」というようなタイトルをとっている社もありますが、ただ、野党の皆さんも議論を深めていきたいということで、全部真っ向から反対ということではなかったと私は受け止めています。質疑の中でも申し上げたように、幼稚園と保育所を合わせた幼保連携型の認定こども園というのは、先駆的な取組として、今後の総合こども園の前身という形だと捉えています。そういう意味では、全国認定こども園協会からも、子ども・子育て新システムのためのワーキングチームでも公式にヒアリングをしていますし、その他にもいろいろとご意見を伺ってまして、実際に認定こども園をやっている皆さんからは、二重行政の問題とか、そういうところが解消する今回の新システムをご評価いただいていると思っていますので、これからしっかりと与野党で話し合いをしていく中で、私は、必ず合意点は見いだせると思っています。
(問)もう1点、先程の女性の就労促進特命チームですが、女性の活躍促進の「見える化」というのは具体的にどういったことなのかとか、企業に直接働きかけというのはどういったことについて働きかけているのかとか、具体的なこと教えていただけますか。
(答)「見える化」というのは、それぞれの業界の中で、男性と女性の具体的にどういう点をチェックすると、どのような差があるのか、ないのかが見えるようになるということです。これまでも3つの業界について、具体的なマニュアルを作ってきています。ただ、あまり皆さんによく知られていないので、そうしたことをさらに広めていこうということがあります。具体的に当面は年央にと言われている6月にまとまる日本再生戦略の中に、しっかりと打ち込むことにしていますので、政府としての取組として出来るようにするということがあります。それから、その他にもここで扱っていることは、これから先のパート法の改正だとか、これからの法改正とか運用の在り方とか、いろいろな分野に関わることになるので、各局からそれぞれ人に集まってもらって、事務方も関心を持って取り組んでいる人に集まってもらって知恵を出して集中的にやっているということです。中身については、月曜日にブリーフィングをさせていただきたいと思っています。
(問)熊本県の通称「赤ちゃんポスト」についてお伺いします。赤ちゃんポストが出来てから5年目が経ったということですが、これまでの取組について大臣はどのようにお考えですか。
(答)熊本での「コウノトリのゆりかご」と呼ばれている取組については、取組が始まったときから、賛否といいますかいろいろなご意見があったことは承知しています。ただ、この5年間で81人の子どもたちが、このことによって助かったという事実は事実としてあるわけです。そういう事実だということできちんと見ていく必要があると思っています。ですから、こういうことをもっと進めるべきだとか、こういうことはやめるべきだとかいう意見は全く持っていません。
(問)その中で、特に匿名性が重視されているということで、それについて、逆に子どもが自分の親とかについて知る権利を奪っているのではないかという指摘もあるのですが、どうお考えですか。
(答)ここに81人を預けたといいますか、置いていった親にしてみれば、匿名性があるからそこへ預けられたということがあるわけで、そういう意味では、いろいろなご議論があることは承知していますが、民間の思いがあってされていることなので、しっかり見守っていくことだと思っています。
(問)これは、民間の取組なのですが、例えば国としてこの問題について取り組んでいくというお考えは。
(答)ここから、そういう話になっていくかどうかはともかく、今、子ども・子育て新システムの議論に入ったところですので、とにかく持ちたい人が、子どもを持って、なにより生まれてきた子どもたちが安心して育つことが出来ることが、社会の中で足りないということのひとつの表れかと思っているので、今回、就学前の居場所を作るということで、新システムで幼保一体改革をやっています。その他にも虐待防止の取組と合わせてこんにちは赤ちゃん事業とかいろいろと政府としても出来るだけのことはしています。これは、国だけが出来る、公だけができる、ということではないので。特に今は家族の人数が2人台になってしまって、東京などは1人台と小さくなっている中で、もちろん野党自民党の皆さんがおっしゃるように、親・保護者が第一義的に責任があるけれども、大家族の時代などと違って、地域の在り方も変わっているわけで、社会として、公だけではなくて、共助と言いますかその地域とか周りからサポートするという体制をどうやって作っていくかという全体の在り方の問題だと思っています。
(問)孤立死の関係で質問させていただきます、孤立死の実際の事案がありました、北海道や埼玉では、民間事業者を交えた個人情報の提供はできないかという検討会議も行われているようですが、いずれの会議でも民間事業者が難色といいますか難しいという意見が相次いでいるようですが、今後、協力を具体的に得ていくなにか仕組み作りや検討の場を設けたりするお考えはありますか。
(答)これは、政府でやるというより、先程申し上げたように自治体の中で、先程おっしゃったように埼玉県の行田市で福祉のところが中心になって総合相談体制の整備をしているとか、北海道の富良野町で「地域包括支援ネットワーク強化推進事業」の取組の中でやっているとか、それぞれの地域の中で先駆的な取組を合わせて、個人情報保護というけれども、こういう場合は大丈夫なんですよということと合わせて具体的な取組もお知らせしていますので、それぞれの地域の中で取り組みいただくということがいいと考えています。

(以上)