岡田副総理記者会見要旨 平成24年8月21日

(平成24年8月21日(火) 14:58~15:24  於:合同庁舎4号館1階108会議室)

1.発言要旨

 私からは、冒頭に一言。シリアでお亡くなりになったフリージャーナリストの山本美香さん、昨年11月に開催された提言型政策仕分けの際に外交分野での評価者を務めていただきました。紛争中取材した経験に基づいた貴重な御意見をいただくなど、行政刷新の取組に多大な御貢献をいただきましたが、今回このようなことになり、御逝去を心より悼み、謹んで御冥福をお祈りしたいというふうに思います。
 私からは、以上です。

2.質疑応答

(問)共同通信の蒔田ですけれども、社会保障制度改革推進法についてお伺いしたいんですが、今日の朝、小宮山大臣が施行が22日であるというふうにおっしゃられて、国民会議は設置後1年ではなくて施行後1年なので、設置しなければ期限がどんどんと過ぎていく状況かと思うんですが、今まだその法案通って国民会議設置、なかなかいつというめどもついていない状況だと思いますけれども、今この現状についてどう思われるでしょうか。
(答)野党のほうからは、早く解散総選挙と新しい体制の下でという声も聞こえてきますけれども、解散がいつなされるかというのは総理の決めることで、別にそれに関わらず早く設置をしたいと強く思っております。
 ただ、これは3党であらかじめ協議をしていただく話もありますので、政調会長には他の2党、公明党、自民党とも国民会議に関してお話をしていただきたいということはお願いしてありますが、今そのための御努力をいただいているところではないかと思っているんですが。
(問)朝日新聞の河口です。関連してお尋ねします。例えば、自民党の幹部の皆さんは、国民会議の人選につきましては、選挙後、新しい政権が決まってからやるべきではないかとおっしゃっていますが、この辺りについてはそのまま先送りをすべきか、それとも早急に現在の選挙といいますか、現在の枠組みで早急に人選まで進めるべきだと、その辺どういうふうにお考えでしょうか。
(答)先程お答えしたつもりですが。
(問)NHKの田村と申します。独法改革についてお伺いしたいんですが、独法改革、基本方針出た後もURですとか、あとその他にも幾つか検討している項目あると思うんですけれども、そのうちURについて、確か夏頃には方向性を出すということだったと思うんですが、それの今現在の検討状況ですね。特に国交省でいわゆる分社化等に反対するような意見もあるという話も聞くんですが、その辺、今月中にお取りまとめなのか、時期的なものも含めて、どのようにお考えでしょうか。
(答)8月中にはというふうに考えています。いろいろな御意見が調査会の中にもあることは事実ですけれども、ただ基本的なコンセプトといいますか、考え方については、かなり早い段階から打ち出して、確かもう14回ぐらいいろいろ議論していますかね。かなり積み重ねてきたわけですので、元に戻すような議論というのは、それは私は認められないというふうに考えております。
 いろいろな細かい設計のところで、考え方のところで、いろいろな御意見が調査会の中にもありますので、そういうことについては、あと一回、二回の議論の中で詰めていきたいというふうに思いますが、一定の範囲の民間でもできるような住宅賃貸事業については、これを組織として別のものにして、将来の上場も狙えるような形で、まさしく株式会社として運営していくと。そして、そこで上げた利益がきちんとUR13兆円の借金の返済に回るようにするという基本的コンセプトは、もうこれは固まったものだと私は思っています。
(問)フリーランスの安積です。10月に中国大使の丹羽さんが退任されることになっているんですけれども、丹羽大使は岡田さんが外相時代に任命されたということなんですけれども、この丹羽大使の任命期間中の功績というか、そういったことについて評価していただけませんでしょうか。
(答)まず外務省人事について各紙いろいろ書いておりますが、何も決まっておりません。ですから、今、10月にとかというお話もありましたが、そういうことは何も決まっておりませんので、それ以上申し上げようがないわけであります。
 なぜこんなにいろいろな記事が出るのか。少なくとも誰かがそういう情報を故意に流しているとしか思えないわけですけれども、極めて問題だというふうに思っております。
 それから、丹羽さんは現中国大使ですけれども、経済人としての経験を生かして、特に地方をよく回っていただいたと思います。地方の書記とか省長クラスというのは、やがて中国のリーダーになっていく方たちも多いわけで、そういう地方を回る、特に日本からの経済人なども一緒に回られたり、そういったことで、多くの中国の国民と接するための努力、本来大使としてやらなければいけない重要な仕事の一つでありますが、そういったことについて非常に御努力いただいたと思います。もちろん、従来から大使が行ってこられた中国政府との様々な折衝、交渉といったことについてもしっかりやっていただいているというふうに考えております。
(問)朝日新聞伊藤と申します。社会保障と税の一体改革についてお伺いしたいんですが、少し前ですけれども、8月10日に総理が会見をされた際に、成立を受けての。冒頭でマニフェストに書いていないということをまずお詫びしたいというところから会見を始められましたけれども、これについて副総理はどのように受け止めていらっしゃるんでしょうか。
(答)マニフェストに書いていないことは事実ですので、国民にとってある意味で負担になる消費税の引上げということが、これも一体改革ですから、マニフェストに書いていないことをやったということについて、総理が率直に気持ちを述べられたということは、私は良かったと思います。
(問)それに関連してなんですけれども、「近いうちに」と言われている解散・総選挙の際のマニフェストには、やはりこの一体改革について民主党としては書き込むべきだというふうにお考えでしょうか。
(答)これはもう決まった話ですが、しかし、実際やるのはこれからですね。2013年、14年の4月からですから、いろいろな考え方あると思います。ただ、私、党のほうにおりませんので、マニフェストの進捗状況、準備のですね、についても把握をしておりませんので、私が何か今の立場で言う話ではないと思います。
(問)つまり、今度、「信を問う」と言っているんだけれども、一体改革について全く触れないというのは、何となく変な気はするんですが、そこら辺は何か書き方を工夫するとか、別のやり方があるということでおっしゃっているんでしょうか。
(答)率直に申し上げて、私マニフェストの作成に関わっておりませんし、その立場にもありませんので、何か私が自分の感想を述べるべきではないというふうに思います。もちろん、ただ選挙になれば消費税の引上げを含む一体改革について、当然、各党間で議論になるし、国民に対してもしっかりと説明していかなければいけないと、印象としてはですね。そういうふうに思っています。
(問)朝日新聞の河口です。竹島問題についてお尋ねします。
 本日、関係閣僚会議を開かれましたけれども、まず改めて大統領の竹島上陸ですとか、今般の発言についての御感想と、もう一つは日本政府として、国際司法裁判所への提訴を含めた対応を考えていらっしゃるかと思いますが、基本的な対応の姿勢というのをどういうふうに考えていらっしゃるか。
(答)基本的なことは政府として既に述べておりますので、私が繰り返す必要はないと思います。何か個別に御質問あれば、お答えしたいと思います。
(問)では関連で。本日、金星煥外交通商相が委員会で、先般、大統領が天皇訪韓の条件として謝罪を求めたことに関連しまして、「韓国に来れば当然謝罪すべき部分があれば謝罪しなければならないのは間違いない」と改めて述べられました。この点については、如何お感じになりますか。
(答)天皇陛下の訪韓について、まず日本からそれを持ちかけたということはないんですね。訪韓そのものについて。むしろ逆であります。そのことの事実認識ははっきりとさせておく必要があろうというふうに思います。そして、何も決まっていない段階で謝罪であるとかないとか、そういう議論が私は適切であるとは思いません。
 良好関係は非常に重要ですので、もう少しお互いですね。少なくとも政府にある人間は慎重に対応していくべきではないかというふうに思っております。特に元首に関わること、元首、あるいは天皇陛下に関わるような話。これは日本であれ、韓国であれ、そうだと思います。
(問)月刊誌のファクタの宮嶋ですけれども、原子力規制委員会の人事について伺いたいんですが、これは私、何度かここで伺っておりますが、この人選については事実上、細野さんに一任であったと。与党内にもこれについて議論があり、野党の7党も政府側のこの5人についての情報公開が不十分であると。三条機関で新たに3.11の後の国民の安全とかということを考えましたら、国会に同意を求める場合は、政府も与党だけじゃなくて野党にも配慮して、本当の意味でいい人を選ぶという過程がやや私はおろそかになっていたんではないかと。こういう問題で、こういうのがもめるということ自体が私は非常に残念なんですけれども、改めてベストの人を選んだというスタンスは別にしまして、もう少し政府が与野党にしっかり合意得られるような説明の仕方とか、そういう工夫が必要だったんじゃないでしょうか。
(答)具体的な進め方について、私、承知しておりませんので、コメントのしようがないんですね。野党との関係についても私が把握しているわけではありません。ですから、それ以上のことは言いようがないわけです。
 ただ、重要なことは早くその人選を政府が提出したものは、政府として自信を持って御提案しているわけで、早く決める必要があると。そうでないといろいろなものが動き出さないということは、しっかりと認識していただく必要があるというふうに思っています。
(問)フリーランスの安積です。昨日なんですけれども、政府・民主の後に、輿石幹事長が帰ろうとされたときに、何か岡田副総理のほうから話があるというふうに引き止められたということなんですけれども、どういう話があったのでしょうか。
(答)そういう中身をお話しするわけにはまいりませんので、そこはお話をいたしませんが、なるべく幹事長とはコミュニケーションを取ることにしておりまして、私がお伺いすることが多いんですけれども、たまたま今回は官邸にお見えになりましたので、官邸で少しお話をしたということです。
(問)朝日新聞の伊藤です。岡田副総理のコラムに、「一体改革の成立の瞬間に安住大臣とお話しして、『奇跡のようなものだ』ということを話した」というくだりがあったんですけれども、実際振り返ったときに、つまり本当にもうだめじゃないかと、成立しないんじゃないかと思ったというのは、どの場面とどの場面だったんでしょうか。
(答)私は最後は必ず成立するというふうには思っていましたが、やはり三党合意、これがなかなか前に進まないと。特に公明党が慎重姿勢という中で果たして合意ができるかどうかという場面と、最後の政局的に自民党の中でですね動きが出て、本来の良識ある対応が失われかけたという、この二つじゃないですかね。しかし、私はやはり自民党も長らく政権の座にあった党として良識が必ずあろう、通るだろうというふうには思っておりましたので。
 実際「奇跡」と言ったのは財務大臣のほうで、私もそれに同意はしましたけれども、割と私は最後は何とかなるという楽観主義者です。
(問)朝日新聞の河口です。先程の外交の関係でお尋ねしたいんですが、先程の御発言で、もう少しお互い、特に政府にある人間は慎重に対応すべきではないかという御発言でしたけれども、これは日本側も慎重さを欠く場面があったのかという点と、もう一つ、中国、特に中国、韓国は政治の権力が替わるような時期で、非常に、また日本も総裁選も代表選もあるというような時期で、かなりエスカレートしやすい土壌にありますが、この辺の政治情勢という面については、どのように分析されておりますか。
(答)韓国は確かに大統領選挙があるんですね。その大統領選挙において何か日本に対する強硬論を候補者同士が競い合うような、そういう場面にしてはいけないというふうに思います。もっと前向きな、そういう議論がなされることを期待したいと思います。
 日韓両国は、これはアジアの中にあって、いろいろな面で協力しなければいけないわけです。民主主義国家であり、経済的にもアジアのリーダー的存在ですから、お互いそのことは十分自覚をして、もちろん、領土問題は非常にシビアな問題で、これは毅然とした対応を求められますが、そのことが日韓関係全体に大きな傷を負わせるようなことになってはいけない。そういう意味で冷静にというふうに申し上げたわけです。
(問)(共同通信・蒔田記者)すみません、閣議議事録のことでお伺いしたいんですが、そもそも論みたいな話があるんですけれども、検討チームがスタートして、10月をめどに一定の結論ということになっていますが、これはこれまで公文書管理の有識者の提言も踏まえて、記録作成で公開というような、ある程度その前提で進む議論なのか、それとも、そういう前提もなく、それ自体の問題の是非を問うて、結果的に記録を作成したり公開することはしないという方向性で結論が出ることもあるのか。方向性としては、どのようにお考えになっているんでしょうか。
(答)私としては基本的に記録を残し、そして将来的にはそれを公開するということを考えています。しかし、一方で情報公開法というものもあり、情報公開の専門家の立場から見たときに、それに対する例外を作ることになりますので、それはどういう形が望ましいのかという議論は当然あると。そういうことについて、両方の立場の専門家でよく議論して貰いたいと、こういうことです。私の姿勢は一貫しているんですが。
(問)北海道新聞の山岡と申します。民主党代表選についてですが、民主党内のほうで民主党復活会議というものが立ち上がって、野田首相が出た場合に、それ以外の候補者擁立するというふうな動きもありますが、その辺りの動きについての受け止めをお聞かせいただければ。
(答)個別のことについて、私が何かコメントすることは適切でないというふうに思っています。
(問)関連なんですが、副総理として代表選があったほうが党内の活性化につながるのか、それとも党内の融和というか、一致結束するという意味で無投票で再選、野田首相が再選するほうがいいと思われているのかについてお聞かせいただきたい。
(答)いろいろな議論がこの間ありましたし、国民的にもそれぞれ重要なテーマについていろいろな議論があるところですから、私は代表選があるということは別に避けるべきことではないというふうに思います。
(問)フリーランスの安積です。竹島問題についてお伺いいたします。
 今回、例えば鈴木宗男氏などは「竹島の日」、2月22日を国の「竹島の日」にすべきではないか。今は島根県が制定している日なんですけれども、そういうふうに提唱しています。副総理は、外相時代に「竹島の日」の記念式典については、県の記念式典なので参加をされませんでした。これを国の記念日にしたりとか、あと国の行事にするというようなお感じで日本固有の領土であるということを内外ともにアピールするという方向性は如何でしょうか。
(答)それはこういうタイミングで何かものを言わないほうがいいと思うんです。少し冷静に対応したほうがいいと思います。
 ただ、今「竹島の日」に私が出なかったというお話でしたが、「北方領土の日」は、私、出ておりますから、そのことは申し上げておきたいと思います。
(問)北方領土は国が決めた日でありますし、またあれは国の主催の式典だったと思います。岡田さんだけではなくて、前原さんもその後に、今はなき九段会館で出ていらしたことは私も承知していますが、こういうときだからこそ、もう一度、領土を見直すというようなお考えはないでしょうか。
(答)先程言ったことに尽きているというふうに思いますが、いろいろな問題について冷静に議論する、そういう環境も大事だと思います。
(問)朝日新聞の河口です。国会でではですね、選挙制度改革の、衆院のですね。かなり焦点となっておりますが、特に全国回られていて、消費増税というか、一体改革のお話をされている中で、かなり政治の側が身を切るということを求める声も強いと思いますが、その辺り、定数削減も含めた選挙制度改革というのを民主党としては、これは是が非でもやらなきゃいけないと思いますが、この辺りについて、自民党にどう協力を呼びかけていくのか、またどういうふうに進めようとされているのか、政権としてはどのようにお考えでしょうか。
(答)基本的には党で国会対応としてお決めになることですので、余り申し上げるべきではないと思いますが、随分忍耐強くこの問題に取り組んで、党としては取り組んできたというふうに思います。法案も国会に衆議院に出ているわけですから、きちんと前に進めることが必要ではないかというふうに思っています。
(問)テレビ朝日の成田です。原発のプランなんですけれども、2030年をめどにゼロという報道が一部で出ていますけれども、それについての受け止めと、あと取りまとめの時期についての。
(答)いろいろな考え方があるのかもしれませんが、報道について一々コメントすることはいたしません。別に誰かがはっきり言ったとか、決めたとか、そういうものではありませんので。憶測の報道についてはコメントいたしません。

(以上)