岡田副総理記者会見要旨 平成24年6月26日

(平成24年6月26日(火) 17:05~17:47  於:合同庁舎4号館1階108会議室)

1.発言要旨

 私からは、先程、特別委員会採決に引き続いて、本会議採決が行われました。社会保障・税一体改革であります。
 まず、委員会採決。100時間を超える、公聴会を除いても100時間を超える審議、非常にいい、充実した審議が行われたというふうに思います。議論していく中で、論点といいますか、そういったものが次第に絞られていった。それを踏まえて、3党間で協議をしたということで、ある意味、委員会、国会審議の一つのモデルのようなものではなかったかというふうに思います。
 最後の採決のときに、私は前に座っている民主党の若い議員の顔をずっと一人一人見ていたのですが、非常にいい経験をしたというか、充実感に満ちた顔を皆さんがしていて、よかったなというふうに、改めて感じたところであります。
 野党の、特に今回反対に回られた、つまり3党協議に参加されなかった野党には若干3党協議で修正した後の審議時間が短かったということで、若干御不満もあったかもしれませんけれども、委員長の名采配でですね、かなり金曜日も昨日も今日も、そういったところに十分配慮した審議時間の割り振りなども行われて、非常にいい形で特別委員会としては採決まで至ったのではないかというふうに思っております。
 本会議のほうは、一人一人いろいろな方が賛成に向けて努力をいただいたわけですけれども、残念ながら一定数の方々が反対、あるいは欠席ということになりました。これは非常に残念なことではありますが、それだけこれは難しい案件ですから、そういう意味ではよくぞここまでというふうに率直に思っております。
 消費税、竹下内閣、あるいは橋本内閣、いずれも内閣をある意味ではつぶすような、そういった大変大きな案件だったわけですが、野田総理のリーダーシップの下で、そして野党の皆さんの御協力をいただきながら、無事、衆議院を通過をしたということであります。非常に私自身感慨深いものがございます。
 これから参議院にいきますので、まだまだ気は張ったままということではありますが、しっかりいい審議を参議院でも行って、最終的に成立ということに導いていきたいというふうに思います。
 この間、いろいろ報道もしていただきましたが、何か消費税増税だけが通ったみたいな報道がメディアの中で一部あったのは極めて残念なことで、今回8法案であります。8法案のうちの税法は2法、残りの6法は税法以外ということであります。
 社会保障置き去りという声もあるようですが、それは全く間違いということであります。その6本の中で、我々の当初政府案で提案した年金や、子ども・子育てに関する中身、一部変わったものもありますが、条文をちゃんと読んでいただければ、さほど後退はしていないということは御理解いただけると思います。年金などは殆ど所得の多い人の年金給付を削るということ以外は、実質的には全部残ったということでありますので、規模が一部小さくなったり、形が年金から福祉的な給付に変わったりというものがありますが、基本的にはそのまま残っている。
 それから、子ども・子育てについては、やや理想的な形に持っていこうとして、少し早過ぎるということで、スローダウンした部分がありますが、方向性、それからお金、7,000億つぎ込むということについては、各党の間に異論はなかったので、そういう意味で、いい形でまとまったのではないかというふうに思っております。
 こういった中身があるにも関わらず、消費税だけだというのは、もし、そういうふうに言われるところがあるのなら、何故こういう事実があるにも関わらず、消費税だけだと主張されるのか、むしろ聞いてみたい気がいたします。
 それから、中長期的な後期高齢者医療制度の廃止と、それから年金の抜本改革ですが、年金の抜本改革については、私はかねがね民主党の改革案と、それから現行法の改善でいくという自公の案と、その二つを机の上に並べて、きちんと胸襟を開いて議論すべきだということを何度も申し上げてまいりました。
 まさしく今回そういう形になったわけで、国民会議、あるいは3党間の協議、そういったものがきちんと決められていて、国民会議は1年ということでありますから、法成立後速やかに立ち上げて、しっかりとした深い議論が行われることを期待しているところであります。
 スウェーデンでは、これは政治家が中心ですけれども、やはりしっかり議論を行って、そして抜本改革を成し遂げたということであります。今回、失敗は許されないわけで、早く国民会議を立ち上げて、それぞれの意見を持ち寄って、率直に話をすべきではないかと思っております。
 後期高齢者医療制度については、そういった議論の場でという発想は最初はなかったわけですが、なかなか知事会も簡単には賛同してくれないという中で、関係者を入れて、どういう形が最も望ましいのかということを議論すると、そういう意味でも国民会議という場は非常にいい場であるというふうに考えております。
 今回のこの衆議院を通ったばかりでまだ結論は出てませんが、日本の財政的なリスクというものを大きく減らすことに繋がるということで、そういう意味で歴史的な私は出来事ではないかというふうに思っております。
 私自身、国会でもマニフェストについてよく聞かれましたが、勿論、マニフェストには消費税を上げるとは書いてありませんし、4年間は上げないというふうにむしろ述べてきたわけで、そういう意味でマニフェストを見て判断をされた有権者から見ると、やや違うではないかと、そういう御意見が出るということは理解できますし、私はそういうふうに理解された方々には申し訳ないことだというふうに思っております。
 明白なマニフェスト違反というふうには私は思っておりませんが、しかし多くの方々の受け止め方が4年間は決めることすらしないのだというふうに受け止めているとすれば、それは申し訳ないことだというふうに思っております。
 ただ、野田総理もいろいろなことを言われていましたが、私は菅政権、実はこれは野田さんになって急に消費税の話が出てきたわけではなくて、菅総理のときから消費税の話が出てきたわけであります。
 確か1月4日の年頭の記者会見で、菅さんが菅政権としてやるべきは、TPPと消費税であるというふうに言われました。ここである意味ではアジェンダセッティングなされて、その後3・11が起きて、全体のスケジュールが遅れ気味になった。しかし、そういう中でも社会保障・税一体改革についての議論というのは、粛々と与謝野大臣の下で続いてきたという流れです。そういう中で、菅さんの後を受けた野田さんがそれをここまで持ってきたということであります。
 私は、消費税について将来引き上げざるを得ないというふうには思っておりましたが、政権交代が実現したときに、最初のこの4年間でそこまで行くことなく、何とかしのげるのではないかというふうに思ったこともあります。それは2期目の仕事ではないかというふうに感じたこともあります。
 ただ、その後起きた大きな二つの出来事。一つは3・11大震災、もう既に20兆円の国費を投じているわけです。3回の補正、幹事長として私も補正予算の編成に携わりました。そして、今年度の予算、勿論それで終わるわけではなくて、まだまだ追加的な国費の投入が予想されるわけで、それは所得税の増税によって、将来的には担保されるものの、財政を大きく負担がかかっていることは間違いない。元々大変な状況にある財政に更に負荷がかかったと、これが一つですね。
 それから、もう一つはヨーロッパの今の経済情勢、日本も他人事ではない。状況の変化によっては、より大きなリスクを負っていると。そういう二つの変化の中で、私は次の選挙を待つことなく、消費税について道筋は作らなくてはならない。実際に上げるのは次の選挙の後としても、道筋は作らなければならない。そういう思いで担当大臣にも就任し、そして進めてきたところであります。
 国民の皆さんにこれからもしっかりと説明をし、御理解いただく、そういった機会を更に増やしていきたいというふうに思っているところであります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)【一体改革関連法案修正案審議・採決関連】
 朝日新聞の河口です。本日の消費増税法案の採決には、反対票を投じられた方が57名いらっしゃって、これの今後の政権運営と参議院審議における影響というのをどのようにお考えになっているか、お聞かせください。
(答)審議に影響がないように、努力しなければいけないと思います。
(問)政権運営は。
(答)政権運営って具体的にどういうこと。
(問)政権運営というのは、例えば57というのは与党が過半数を割るような状態になりますので、与党だけですと。不信任案が仮に出た場合には、その方たちが賛成すればという前提付きですが、そういう数字になりますが、こういった点で政権運営として不安定にならないかというようなお尋ねでございます。
(答)今回、8法案のうちの3法案に関して、それぞれ反対者が出たということは事実です。そのことと今おっしゃるような不信任案の賛否とかということは、直接結び付くものではないというふうに思っております。
(問)毎日新聞の野口ですが、3党協議についてはうまく妥協点を見いだして、モデルケースになったと評価されているのですけれども、自民党、公明党とは今の民主党、執行部、政権のほうで認識の共有とか信頼関係ができたのですけれども、それは何故そちらのほうは信頼関係がこの3党協議を通じてできたのかというのと、逆に党内のほうは57人も反対が出て、認識の共有だったり、党内での妥協点が見いだせなかったと。
 では、逆に何故、党内のほうは見い出せなかったのかというのをどうやって分析されているでしょうか。
(答)自民党、公明党と信頼関係がどのくらい築かれたかというのは、私は決め付けるというか、断言する立場にはございません。ただ、今回の法案については信頼関係に基づいて協議が調ったということだと思います。それが全体的な信頼関係に広がることが期待されますが、それは物事はそう簡単にはないというふうに思っています。
 党内はいろいろな意味で私も含めて、多くの方々がそれぞれ説明、説得に努められたと思いますが、残念ながらそれが及ばなかったということです。
 一つ付け加えるとすると、特に自民党がそうなのですけれども、審議の中でも一部出てましたけれども、今の財政状況を招いたことについての責任感、ずっと与党としてやってこられて、何とか自分たちも責任を共有してやっていかなければいけない、解決に向けて努力しなければいけないという、そういう気持ちが自民党の中にはかなりあったのではないかと。
 勿論、我々の責任を免れるつもりで言っているのではなくて、我々も与党ですから責任があるわけですけれども、過去を振り返れば今の借金のうちのかなりの部分は自民党時代にできたもの、あるいは自公時代にできたものということは事実ですから、そういったことに対して、政治家としての良心というか、責任感というか、そういうものが自民党の先生方の中にあったということが私は一番根っこのところで、今回合意できた理由ではないかなというふうに思っています。
(問)フリーランス記者の上出です。岡田副総理の立場からは、社会保障・税一体改革ともそれを一生懸命見詰められたと思うので、ちょっと気が付かない範囲なのかもしれませんが、3党合意の関係でちょっと質問します。
 いろいろな審議があった横で、幾つかの大きな問題がほとんど審議時間もなく通り過ぎていって、その一つが原子力基本法がその中に「安全保障」という言葉が。
(答)ちょっと待って、今テーマごとにやっていますから。
(問)それで聞いているのですが。
(答)ですから、今まず原子力基本法の議論じゃないので。
(問)関連法案のその中で、関連審議を大事にするあまりそういうのが漏れてしまって、一部メディア、韓国や何かから批判されているということと繋がるので、後でもよろしいでしょうか。
(答)はい。
(問)東京新聞の生島ですけれども、57人に関して不信任に直接結び付く話ではないというのは、そのとおりだとは思うのですけれども、総理が政治生命を懸けた法案に対して、57人が反対していると。今後、一つの党としてやっていけるのかという疑問があるのですが、その点についてどのように考えていらっしゃいますか。
(答)いろいろな見方がそれはされるのは自由ですけれども、我々は同じ党の中にあって、ずっとやってきたわけですから、しっかりと困難を乗り越えてやっていきたいというふうに思っています。
(問)困難を乗り越えていけるというふうな認識を持っていらっしゃるのですか。
(答)基本的にはそういうふうに考えております。
(問)フリーランスの宮崎信行と申しますが、今回のこの当初会期末から一体改革法案採決に、衆議院の採決に向けて、定数是正ができていなかったということによって、総理の求心力がやや失われていた面があるのではないかと思います。その点、如何思われますか。
(答)ちょっとそれには私には分かりませんね。定数是正を重視する人がいたことも事実だし、世の中にそういう声があったことも事実ですけれども、それがどのぐらい影響したのかと。
 それから、そもそもこの難しい問題ですから、簡単に解決できない。我々は法案まで出したわけで、やるべきことはやったわけですけれども、あとは相手のある話ですね。ですから、それ以上はちょっとコメントは控えたいと思います。
(問)どのくらい影響があるか分からないとおっしゃいましたので、影響はあったとお考えですね。
(答)そのことはコメントしません。
(問)毎日の野口ですけれども、先程、自民党の方々、先生方は非常に責任感があったと評価していたのですけれども。
(答)ちょっと要約が粗過ぎるよね。相当僕は微妙に言葉を選んでいますので、記事にするときには、私の引用なら私の表現をそのまま引用していただきたいと思います。
(問)なかなか完全に信頼関係というのは難しいかもしれないけれども、評価できる面もあるということですけれども、今回、党内のほうではマニフェストを守れということで、なかなか妥協点が見いだせなくて、岡田副総理は幹事長をやったときに非常に苦労されたと思うのですけれども、話をいろいろする中で、党内で話をするよりも野党の方と話をしたほうが通じるところがあるのではないかということを今回感じたことというのはありますか。
(答)それは特にございません。人によってそれぞれですから、別に党内より他党のほうが話しやすいとか、そういうことは別にありません。それぞれ信頼関係を築ける人か、そうでないかと、いうのがこれは党派の問題ではないと思います。
(問)朝日新聞の伊藤です。議場では、岡田副総理は野田総理のお隣の席だと思いますけれども、今日、本会議場で何か総理とお話をされたかと、あと先程、感慨深かったと御自身のことをおっしゃいましたが、岡田さんから見て野田さんはどんなふうに採決を終わったとき見えたのか、教えてください。
(答)ふだんと変わらなかったのではないですか、総理は。
(問)話はされたのですか。
(答)いろいろな話は少ししましたけれども、それはここでお話しすることではないと思います。
(問)月刊誌のFACTAの宮嶋です。3党協議、あるいは今日の採決に向かった動きというのは、総理のリーダーシップというのは評価できると思うのですが、組織ということを考えたときは、70人という方がここまで議論してこういう結果になるというのは、ある意味でガバナンスというのですか、民主党のガバナンスというのは一体どうなっているのだろうかと。
 副総理は多分気には入らないと思いますけれども、多くの新聞を含めてもう分裂模様のような言葉も書かれているわけですよね。分裂模様だとか、党内のことは。これは組織が政党としてのガバナンスを欠いていると。
 これは総理のリーダーシップに起因するものなのか、それとも民主党の持っているそういう何か性格的なもの、この点については前回私は原発の問題についても伺ったのですけれども、そこのところをしっかり国民に説明しませんと、選挙になっても民主党という政党はどっちを見ているのか分からないという感じがしてならないのですけれども、副総理のお立場としまして、民主党のガバナンス、自公に比べてもこの問題はしっかり説明をしていただいたほうがいいかと思うのですけれども、如何でしょうか。
(答)私は今、執行部ではありませんので、あまり私の意見を言わないほうがいいとは思います。ただ、やはり組織というのは手順を尽くして物事を決め、ましてやリーダーがそのことにコミットするということであれば、それに従っていただくと。途中のいろいろな議論では意見が出ても、最後はまとまるというのがあるべき姿。残念ながら、今回の採決の結果は、そこには大分届いていないということは事実です。
(問)フリーランスの上出です。ちょっと簡単な質問です。この57人欠席して、全体で70人が反対のほうを向いたということについて、これ、当初の予想と比べて如何でございますか。
(答)私はそういうことを予想しないことにしていますので。
(問)朝日新聞の南です。今回の一体改革の法案、民自公の3党協議によって成り立った一つのモデルケースになると思うのですが、今後、特例公債法案であったり、もうちょっと時間が経ってきますと、来年度の本予算の編成などもありますが、こういった課題についても民自公の3党が中心となった体制で進めていくことが望ましいと副総理はお考えなのでしょうか。
(答)まずは法案ですね、特例公債法とか。そういったものは通すためには、やはり自民党、あるいは自民党、公明党の賛成がなければ通りませんので、やはり、この3党でいろいろな議論をしていくと、去年も同じだったのですけれども、それしか他に道はないと思います。予算編成とかそういうことになりますと、これは先の話だし、基本的には我々が政府を構成しているわけですから、現時点で何か踏み込んだことを言うつもりは私はありません。
(問)もう一点関連でよろしいですか。法案が通らないという現実がある中での民自公、3党を中心にした体制というのを政権として追求されてきたと思うのですが、それに対して民主党の中でついてこれない方がかなりいらっしゃるという現実も今回直面したと思います。そういった中で、その整理について、どのような形で今後進めていくのが望ましいとお考えでしょうか。
(答)何を。
(問)民主党の中でついてこれない方がいるということの現実を、どのような形で整理していくことが望ましいとお考えでしょうか。
(答)ついてこれないというか、考え方が一致しないということですから、それは丁寧に説明をして、説得をしていくということに尽きると思います。
(問)説明をすれば、それは十分まだ一緒にやっていく余地があるということなのでしょうか。
(答)それは具体的案件が出てきたときに、説明する努力が我々に求められているということだと思います。
(問)フリーランスの宮崎と申します。今の件にも関係するのですが、今日、委員会での採決、法案の採決だけで13回採決がありました。内閣提出法案と、その修正案と、新しく議員立法、それは採決だけで13回です。委員会に参加していた人は、当然ついてこれると思いますけれども、そういった委員長報告に本会議での判断といったところで、なかなか把握しづらい人なんかもいるのではないかと思うのですが、こういったところは今後モデルケースですから、何か教訓のようなものは感じられるものはございませんでしょうか。
(答)ただ、いろいろな3党で、どういう議論を行って、どういう結論になったかということは、政調で会議を開いて説明していますから、そこで出ておられた方は分かっているんだと思います。
(問)朝日新聞の河口です。今回、増税法案に反対をされた方に、すごく簡単な聞き方をしますが、大義というものがあると思いますか、今回の反対をされた方に。総理は答弁の中で、マニフェストに書いていないことを今回やることになった、なぜ反対論があるのかと聞かれたときに……
 総理も反対論が何故あるのかというような質問に対して、やはりマニフェストに書いていないことをやるということになったのであるとか、有権者が見ると嘘つきというふうに言われているというようなことを御答弁されていましたけれども、やはり反対をされるという方にも大義があったというふうにお考えになりますか、それともやはりそういう党内の手続きを経たものであるから、その反対については大義はないというふうにお考えになりますか。
(答)それは大義の定義ですね。非常に難しい案件だったことは間違いない、みんな苦労したことも事実だと思います。普通なら内閣がつぶれるような、そういったことを、一つの内閣でやり切ってしまったわけですから、勿論、衆議院だけですけれども、それはいろいろな意見が出るし、地元に帰れば、様々な批判にさらされるというのは、これは当然なのですけれども、そのつらさというのは分かっていなければいけないと思います。
(問)朝日新聞の南です。先程、副総理、御答弁の中で、「与党議員として、民主党として、困難を乗り越えてやっていきたい」ということをおっしゃられたわけですが、今回の法案に当たって反対を主導された小沢一郎元代表のようなグループでも、今後も困難を乗り越えて一緒にやっていきたいという思いが今もあるのでしょうか。
(答)基本的には勿論そう考えています。一人一人取れば、非常に優秀な、いい人材も沢山います。ただ、今回の本会議場においてとった投票行動について、党としてどう考えるかというのは、これは幹事長と、総理というよりは党代表である野田さんの間でまずよく御議論いただいて、最終的には党の手続きに従って進めていただきたいというふうに思います。
(問)東京新聞の生島ですけれども、ちょっと今の話にも関連するのですが、小沢さんとの民由の合併というのは、9年ぐらい前にあったと思うのですけれども、当時から、小沢さん「壊し屋」という表現をされていらっしゃいまして、今回も、まだ確定はしていませんけれども、新党という構想も出ているようなのですが、民由合併というのは、今の民主党にとって正解だったのかどうか、その点について何か御感想はございますでしょうか。
(答)私は政府の人間ではなかったり、党の役職に就いていないということなら、いろいろな個人の感想は述べられますが、今のこの立場であまり自由に物を言うつもりはありません。
(問)朝日新聞の伊藤です。ちょっと数か月前にもお伺いした同じ質問なのですけれども、反対されている方の主張の中に、今は景気が悪いから増税してはいけないと、いつかは増税してもいいけれども、という御主張をされた方が多かったと思うのですが、これから衆議院を通って、参議院でも通ったとした場合に、より景気を底上げしていく方法を本当に真剣に考えないと、実際の増税はできないと思うのですけれども、その点について、もう少し真剣度を出してやる姿勢の見せ方というか、やり方というのがあるというふうにお考えでしょうか。
(答)今の状態を見れば、景気は少しいい方向に向かっているということですが、14年の4月の段階でどういう状況かと、それはやはり消費税引き上げの影響が大きくマイナスに働かないような、そういう条件というのは整えていかなければならないというふうに思います。
(問)その関連で言うと、菅政権の時代からも成長戦略というものはやってきてはいるけれども、なかなか本当に実行力が上がっているかというと難しいという結果も出ているかと思いますが、ここの実現度をより上げていく方法というのは、何かあるのでしょうか。
(答)新たな成長戦略、いわゆる成長戦略を基にした考え方は年央にまとめるということになっていますから、それを早くまとめて、しっかりと実現していくということだと思います。
 ただ、現実そう簡単でないことは事実で、ずっと過去20年ぐらい、いろんなことを試みてはうまくいっていないわけですから、相当真剣に取り組まなければならないというふうに思います。
(問)朝日新聞の河口です。先程こういった反対の方が多数出たことに対して、参議院の審議には影響が出ないようにしなければならないというふうにおっしゃっておりましたが、やはりそういった自民党サイドも厳しい処分というのを求めておりますが、参議院の審議が始まる前、もしくはもうある程度早い段階で、処分というものを決めてしまわなければいけないというふうにお考えになりますか。それとも、ある程度どういう日程感で決めていったほうがいいかという……。
(答)これは党の手続ですから、何か私がこうだという、そういう問題ではないのですね。党のほうでしっかりと御議論いただくと。勿論、私も政府・民主のメンバーの一人としては、私の意見を言うことはあるかもしれませんが、基本的にはこれは党ですから、政府ではないのですね。そこはわきまえて私自身、行動しなければならないというふうに思っています。
(問)朝日新聞の河口です。特に、賛成をされた若い方にとってみると、決して有権者には褒められるばかりではない、厳しい決断だったわけですけれども、その方たちの中には、やはり反対された方、棄権された方には厳しい処分をして、けじめを付けて貰いたいという声もかなり強いと思いますが、そういった方たちのそういう思いというのは妥当だと思われますか。
(答)コメントしません。そういうこと全体を含めて、それは党の機関の中で、あるいは役員会の発議、常任幹事会での決定、その前に倫理委員会の意見を聞くと、そういう手続は決まっていますから、それに則って進めていただきたいと思います。
(問)【一体改革全般関連】
 東京新聞の生島ですけれども、今日は本会議の討論の中で、社民党の服部さんが、総理と政府与党に申し上げたいと。政権交代で生活再建を約束したマニフェストは死んだと。政権交代のドラマは今日で完全に終わったというふうに反対討論をされていたのですけれども、御感想というのはあれなのですけれども、そういった声に対してどのように思われますでしょうか。
(答)いろいろな意見はありますので、一々コメントしません。
(問)フリーランスの上出です。
 先程、3党合意について評価されていたのですが、一方で、ちょっとそのために議論ができなかったような問題があって、メディアとしては大きな問題。原子力基本法というのが、結局3月15日に衆議院に提出されて、20日に可決するまで、参院で。ほとんど報道されていない、気がつかなかったと、説明もなかったというような、事実上ですね、そういう感じになって。
 これはこれで問題ですけれども、御担当ではないので、この中身は聞きませんけれども、そういった幾つかの問題が、やはり「密室」と言われるようなものが、現実にやはりあったのかなと、そういうのを聞くと思ってしまうのですね。そういうこともあって、これのやり方についての総括として、本当に全部めでたし、めでたしではないんではないかというのが1点と。
 もう一つ、国民会議、これもやはり3党が中心になってやると思うのですが、その辺りはやはりその辺の国民への公開だとか、そういう議論だとか、そういうのはどういうふうにされているのか、この二つについてお願いします。
(答)まず原子力基本法は随分議論はされていたし、勿論、国会でも議論されたわけですから、それは何か密室でやったというのはよく分からないです。
(問)「安全保障」という言葉が付け加わって、これが軍事利用できるほうに拡大解釈されるということで、韓国なんかからも随分メディアから批判されている、その問題です。それが知らない間に行われていたということです。そういうこともあったという。
(答)委員会の議論では、殆ど問題にならなかったのではないですか。知らなかったということはないと思います。
 それから、国民会議のほうは、なるべく法律が成立した後、早くスタートさせたほうがいいというふうに思います。これは1年間ということですから、結論が得られるように積極的に動かしていきたいというふうに思います。
 ただ、公開するかしないかとか、そういうことは具体的にはまだ議論していませんので、私が特にここで申し上げることはございません。国民の皆さんに分かりやすい、そういう議論の場であることが必要だと思います。
(問)【その他】
 朝日新聞の伊藤です。前回の会見のときに、反対している方が党内にいらっしゃるということをどう思うかとお聞きしたときに、国民にとっては理解不能ではないかというふうにお答えされたかと思いますが、今回57人が反対したということについても、やはり国民にとっては理解不能だと思っているというふうに映っていますか。
(答)現実にそれぞれ判断して、重い決断をして投票行動をとったわけですから、あまり十把一からげで、それを言うのは適切ではないと思います。
(問)じほう社の近藤と申します。高額療養費の拡充についてなのですが、これは一体改革大綱の中でも盛り込まれていて、政府としても必要性を感じていらっしゃると思うのですが、その財源については一部報道でもありましたが、消費税引き上げ分の一部を充てて拡充していくという可能性は政府としてどうお考えなのでしょうか。
(答)今、条文になっている以上のことは特にございません。もういろいろな議論は、これからまた積み重ねていかなくてはならないと思います。
(問)朝日新聞の河口です。本日も、やはり解散して信を問えというような、野党側からの意見もありましたが……
(答)ありましたっけ。
(問)ええ、そういうのがありまして、解散してというか、早期に信を問えというふうに言っていますね。
 それで、先程一内閣つぶれるような非常に大きな案件が衆議院を通過したわけですけれども、やはりこの一体改革の成立を果たせれば、一つ総理がこれまでおっしゃっている「信を問う場合」というのは、やるべきことやった上で信を問うというふうにおっしゃっていますが、そういった環境が整うというふうにお考えになりますか。
(答)それを判断するのは総理です。
(問)この機会なのであえて伺いますけれども、FACTAの宮嶋ですけれども、組織がやはり最終的な決断をするとき、やはり元々の理念とか考え方の座標軸というのがあって、それがないと、なかなか反対意見がいつまでも反対のままというようなことになると思うのですけれども、結局それについては、よく民主党には「綱領がない」というようなことが言われております。
 この幾つかの重要な、こういう問題を超えてこられて御苦労されて、やはり民主党は本当に国民に理解されるには、理念とか座標軸とか、何かそういうものがないと、その度に難しい判断だから意見が分かれていると。その繰り返しではとてもという感じがするのですけれども、その綱領、「綱領」という言葉がいいのかどうか分かりませんけれども、そういう問題については副総理はどんなふうにお考えでしょうか。
(答)綱領については、今、議論しているはずなのですね、たしか直嶋さんのころではないですかね。私のときに、幹事長のときに始めたのですが、大震災が起きて、しばらく凍結してあったものを、また議論しているはずです。それは議論していただければいいと思います。ただ、今のこの世の中で、何かそういう座標軸的なイデオロギーというか考え方があって、その物差しを当てれば全て答えが出るというほど、簡単ではないと思います。
 今大きな話題になっている、例えば、原子力の再稼働の問題とか、消費税、社会保障・税一体改革の話とか、こういうのは、そういう物差しで決まってくる話ではなくて、今の二つの案件でも、それで全部きちっと分かれているわけではなくて、ある人は、こっちは賛成、こっちは反対ということで、もうばらばらですよね。それぐらい問題は複雑だし多元的で、あまり東西対立のときみたいな、あるいはマルクス主義、共産主義と資本主義みたいな、そういう時代では、もうないと思います。
(問)朝日新聞の南です。今日は野田政権にとって非常に節目になる日だと思うのですが、一方では野党との協力を得て、最重要課題について成立に向けた道筋を付けることができたという点があると思います。
 その片方で、与党が分裂をしているという見方があるわけですが、副総理から御覧になられて、今日の出来事というのは、野田政権の政権基盤にとって強くなったとお考えでしょうか。それとも弱めてしまった部分が、実績を積みながらも弱めてしまったとお考えでしょうか。
(答)一つの次元では判断できない問題ですね。

(以上)