松原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年8月17日

(平成24年8月17日(金) 11:23~11:39  於:内閣府本府1階記者会見室)

1.発言要旨

  本日の閣議において、平成25年度概算要求組替え基準が決定されました。今後、警察庁、消費者庁及び拉致問題対策本部事務局において、当該基準に従い、9月7日の締め切りに向けて、取りまとめ作業を加速させていくことになります。私自身もそれぞれの担当大臣として、必要な予算を確保しつつ、無駄を排除し、要求の効率化が図られるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えます。
 尖閣諸島上陸を目指す活動家等が乗船する船舶が接続水域に進入したとの情報を受け、警察庁においては、15日、午後2時21分、警備局長を長とする警察庁対策本部を設置し、関係省庁と連絡、連携を図りながら、関連情報の収集に努めてまいりました。
 沖縄県警察においては、活動家等が魚釣島に上陸する場合に備え、所要の部隊を派遣していたところ、活動家の一部が魚釣島に上陸したことから、出入国管理及び難民認定法違反と認め、15日、午後5時54分、5名の活動家を現行犯逮捕いたしました。逮捕の報告に接し、私からは警察庁に対し、犯行の動機、背景などを含めた捜査を尽くした上で、地元警察において適切に対処するよう申し伝えたところであります。
 逮捕した被疑者5名については、沖縄県警において捜査の状況を踏まえ、関係法令の適用について関係省庁とも十分に協議をした上で、出入国管理及び難民認定法第65条に基づき、その身柄を入管当局に引き渡したものと承知をいたしております。なお、先程開催された関係閣僚会議において、私からは、「今回の事件のように、我が国領土、主権を侵害する目的で不法入国、上陸する行為は、通常の不法入国、上陸とは区別し、重く罰するべきである、そうした法制の整備について検討していくべきではないか」という発言をさせていただきました。
 先日、官房長官から発表があったとおり、日本と北朝鮮の諸懸案について議論するため、日朝政府間協議を近いうち再開するべく、そのための予備協議を8月29日、北京において開催することとなりました。官房長官も述べられているとおり、いわゆる日朝間の諸懸案の中には、当然ながら最重要課題として拉致問題があり、この点が今回の予備協議において確認され、来るべき日朝政府間協議において、拉致問題に具体的な進展が得られることを強く望むとともに、自分としてもでき得る限りの努力を行っていく所存であります。
 なお、拉致問題関係でありますが、署名数について御報告をいたします。昨日、横田御夫妻の支援団体であるあさがおの会から約3万筆の署名を受け取り、累計が約871万筆となりました。なお、家族会、救う会まで届いているものを加えますと、911万筆を超えているということになります。私としては、拉致問題の早期解決を願って署名された方々の思いを強く受け止め、一日でも早い解決に向けて全力を尽くす所存であります。
 それから、消費者関係でございますが、特定商取引法の一部を改正する法律案が先週10日に衆議院で可決され、成立をいたしました。本改正は、高齢者の方々をはじめとした、国民が安心して暮らせる社会を構築するため、近年トラブルが急増している訪問購入に係る取引を公正なものとし、その被害を未然に防止するためのものであります。これにより売り主である消費者はクーリング・オフ制度を活用することが可能となるとともに、同制度の期間内であれば、消費者は購入業者に対して物品の引き渡しを拒絶できるようになります。また、原則全物品を規制対象とすることや、売買契約の締結について、勧誘の要請をしていない者への勧誘の禁止等、参議院において提案された内容も盛り込まれており、消費者保護に一層配慮したものとなっております。今後関係省庁とも連携しながら速やかに施行準備を行い、施行後は、訪問購入のトラブルから消費者を守るため、改正法の執行に万全を期してまいりたいと思います。
 また、民主党、自民党、公明党、社民党によって共同提案されていた消費者教育の推進に関する法律案が、先週10日、衆議院で可決され、成立をいたしました。この法律は消費者教育の総合的、一体的な推進を目的としており、消費者が主体となって、公正かつ持続可能な社会を形成する消費者市民社会への積極的参画を支援することも基本理念の一つとなっております。
 本法は、国に対して消費者教育の基本的な方針を閣議決定することをはじめ、学校・地域における消費者教育の推進や人材の育成など、様々な施策を実施することを求めております。また、消費者教育推進会議を消費者庁に設置することといたしております。併せて、地方自治体に対しても、消費者教育の総合的、一体的な推進に努めるよう求めております。消費者庁としても、各地域の消費者教育の推進を支援してまいりたいと、このように考えております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)尖閣の話なのですが、今のお話の中で、「領土侵害目的などであれば、不法入国・上陸とは区別して、より重く罰すべきだ」というお話がありましたけれども、この発言は大臣から当然あったと思うんですけれども、他の閣僚の皆さんの様子とか、同意する意見とかありましたでしょうか。
(答)内容については、官房長官が、この会議の内容は記者会見をするところでありまして、私から、私の発言だけ申し上げたところであります。
(問)4年ぶりに日朝の政府間交渉が行われるということなのですが、今、李明博大統領が竹島に行ったりですとか、中国の方が尖閣に行ったりしているような状況の影響というのは、どのように見ていらっしゃいますか。
(答)藤村官房長官も発言をしているとおり、北朝鮮を巡る諸問題については、平素から米国及び韓国と綿密な連携をしており、日朝政府間協議に関する今回の予備協議の開催についても、アメリカ政府のほか、韓国政府に対しても事前に連絡をしているものと承知をしております。今、御指摘のような様々な事柄はあっても、この拉致問題に関しては、時間との戦いの中で、今言ったような外交の連携の中で、解決に向かって頑張っていきたいと、このように思っております。
(問)これまでとは日韓の関係とかも変化する可能性もあると思うのですけれども、その辺りは。
(答)それは今申し上げたとおり、このことに関しては、米国政府、韓国政府にも事前に連絡をしているものと承知しておりますから、少なくとも人道的見地から、また今までの日本の側の立ち位置から、この問題に関しては、彼らは我々と同じ認識を持ってもらっていると、この問題解決には一緒に連携をしたいという認識を持っていると、このように考えております。
(問)日朝に関してなのですが、最重要課題で、当然本協議でも議題になってくるだろうということを大臣はおっしゃいましたけれども、昨日の朝鮮中央通信の論評の中にも、拉致問題を今回協議することは協議の趣旨に反するというような話も出ていまして、仮に本協議で拉致問題が話し合われないという場合には、協議自体を、そのものを打ち切るとか、そういうことになるのか、その辺り、大臣の見通しを含めてお願いしたいのですが。
(答)これから行われる予備協議について、ここで予断を持って発言することは控えたいと思っております。日本政府としては、日朝間の諸懸案に当然拉致問題は含まれているというふうに考えているわけであります。
(問)先程の領土侵害目的であれば、罰則強化というお話がありましたが、現行法でも引き渡しせずに、送検して、刑事手続きすることは可能だと思うのですが、今回の即引き渡しした判断について大臣の御所見をお願いします。
(答)沖縄県警において、必要な捜査を尽くした上で、関係法令の適用について、関係省庁と十分に協議をし、出入国管理及び難民認定法第65条に基づき、5人の身柄を入管当局に引き渡したものと承知いたしております。この判断については、総理大臣も了としたと承知しておりまして、このことについて関係閣僚会議で情報共有と方針を先程確認したところであります。
 私としては、今後、今回のような尖閣諸島への不法上陸事案の発生を防止するため、政府一体となった対策が必要であると考えており、関係閣僚と綿密に連携を図ってまいりたいと思っております。
(問)昨日、自民党の外交部会で、公務執行妨害としたほうがいいのではないかといった御指摘もあったんですが、国家公安委員長として大臣の受け止めと御所見をお願いします。
(答)先程も様々議論があったわけでありますが、そのことについては官房長官が記者会見で発表すると思います。そのことも含め、この判断について総理大臣も了としたと承知をし、これについて関係閣僚会議で情報共有と方針を確認したということであります。
(問)一昨日、大臣が靖国神社に参拝された時に、「臣 松原仁」と記帳されたとおっしゃってましたけれども、この「臣 松原仁」の意味合いはどういう意味でしょうか。
(答)国民に尽くすという意味で、私は書かせていただきした。
(問)臣がいるということは、やはり君主がいると思うのですけれども
(答)それは、国民に尽くすという意味で書かせていただきました。
(問)君主は天皇ではなくて、主権者の国民としての意味ですか。
(答)主権者の国民に尽くすという意味で、私はそういう意味で書いたものです。
(問)でも、一般的にそう書くと、天皇に尽くすというふうに受け取られると思うんですけれども。
(答)私は国民に尽くすという意味で書かせていただきました。
(問)関連でいいでしょうか。吉田茂元首相がこの言葉をお使いになって、それをなぞらえたというわけではないでしょうか。
(答)吉田茂さんがそういうふうに使ったことは知っておりますが、それとは違って、国民に尽くすという意味で私は書きました。
(問)天皇ではないという理解でよろしいでしょうか。
(答)国民です。日本の国民と日本のために尽くすという意味です。
(問)自民党のほうから、一昨日の逮捕の時に、大臣が、あと羽田さんも登庁していなかったということで、問題視するとの指摘があるんですけれども、大臣、この15日の夕方の居場所というか、その辺、あとどういった経緯で連絡が入ったかといった辺りを教えてください。
(答)連絡は都度入っておりまして、国会の議員会館のほうに大体2時半前後までおりました。その後は、様々な連絡を受けていたということでありますが、連絡の経緯としては、14時50分ぐらいに秘書官から「接続水域に入った」ということ、またそれに先立つ14時20分前後に、先ほど申し上げましたように、「警察庁に対策本部が設置された」という報告を受けました。15時51分に活動家が領海に入ったわけでありますが、16時10分にこのことに関しての報告を受けました。17時35分、これはもう夕方でありますが、上陸ということであって、海保も随分と努力をしたと思いますが、上陸されてしまったということでこの段階では自宅において、この報告を聞いたところでありますが、私は17時50分に報告を聞き、私のほうとしては、更に詳しい内容に関して外事課長から報告を聞いたところであります。
(問)公務遂行には問題はなかったということでよろしいのですか。
(答)私は問題なかったと思っておりますし、国家公安委員長の立ち位置というのは、地方警察に対して指示をする立場ではありませんから、報告を聞いて、その中で判断をし、先ほど申し上げたように、その犯行の動機、背景などを含めた捜査を尽くした上で、地元警察において適切に対処するように、その際、外事課長に対して伝えたところであります。

(以上)