松原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年7月6日

(平成24年7月6日(金) 9:48~10:01  於:内閣府本府1階記者会見室)

1.発言要旨

 昨日、経済産業省より、東京電力の家庭用電気料金の値上げ認可申請について、消費者庁に対し協議が来たところであります。現在、内容を精査しており、先日公表された41項目のチェックポイント詳細版を基礎的材料として、チェックポイント検討チームの意見を聞いて、まずは検証作業を進めてまいりたいと思います。
 また、同日、消費者委員会に対しても、同査定方針について意見を伺うべく付議をしたところであります。
 今回の電気料金値上げの議論の背景の一つとして、経済産業省の審査要領があることは承知をしておりますが、消費者庁としては消費者への料金原価に算入することについては、国民的な消費者の目線で、審査要領にとらわれることなく検討することが必要と考えております。
 なお、物価問題に関する関係閣僚会議への共同付議については、まずは検証作業を進めていくことが重要であると考えております。
 我々としては、真摯にできる限りスピード感を持って対応することは大事だと考えておりますが、付議に当たっては、当方の疑問に対してきちんとした回答が得られることが重要であり、その時期について予断を持って臨んでいくわけではありません。消費者担当大臣として、この問題の国民生活に与える大きさ、重み、消費者の意識を念頭に置きつつ、今般の値上げ申請に対して対応してまいりたいと、このように思っております。
 以上であります。

2.質疑応答

(問)今の予断を持って臨んでいくわけではないと仰っていましたが、検討が大体終わったこの状況で、電力料金の値上げの時期は今の時点で大体どれぐらいの時期を想定して。
(答)申し上げたように、スピード感を持って対応していきたいと思っておりますが、昨日の夜、経済産業省側から資料が提示されたので、それを読みこなす作業をしながら、真摯に進めていきたいと思っております。
(問)まだ昨日示されたやつでは、原価に関してそんなに、500億円程度しか削減できなかった。ですから、圧縮した分は、値上げ幅9%台後半から前半ぐらいになるのではないかと言われていますけれども、これだけしか削減できなかったことは、どういうふうに受け止められていますか。
(答)検証に当たって、昨日来たペーパーをこれから見てまいりますから、そこの部分のコメントはその後にしたいわけでありますが、検証に当たっては金額や伸び率ではなく、まずは査定方針案における各種費用や項目が適正なものとなっているか等について、消費者庁の検討チームで先般取りまとめた41項目のチェックポイントを基礎的な材料として、予断を持たず検証していくと。
 例えば、健康保険料の問題等もありますが、これで国民的消費者目線から妥当性があるかどうかを12名のメンバーで協議をしていくと。
 妥当性があるとなれば、そのことは妥当性があるというふうに我々は認識しますし、つまり金額、伸び率ということではなくて、我々から見て、消費者が汗をかく、この料金値上げは消費者が非常に汗をかくことになるわけですから、それ以上の汗を東電側がかいているという、その共有認識を持てるかどうかが一つの大きなポイントになると思います。そこの部分を検討していきたいというふうに思っております。
(問)そこの汗をかくというのは、まさにチェックポイントの一番最初に、41項目の一番最初に示された給与を3割削減するべきであるというようなところになると思うのですけれども、昨日の査定方針案では、大企業並みの年収556万円で納得するということでしたが。
(答)先ほど申し上げたように、この要領がありますよね。審査要領、これは経済産業省の方でそういったものでやってきたわけですが、我々は消費者庁としてこの要領にとらわれることなく考えていきたいと思っております。
 ですから、例えば個別に言えば、健康保険に関して、当初75%であったのが60%ということで、昨日の答申では56%になっているのですが、一般の私なんかも品川大田におりますが、中小企業では五分五分でありまして、56%で五分五分の人たちに大きな電力料金値上げを促すのに、国民的消費者目線から共感が得られるかというのは、恐らく、これから我々の中で議論されると思うのですよ。
 ですから、そこは予断を持っては言いませんが、昨日出たものは、我々の検討会で簡単に同意できるものかどうかは、私は疑問を感じております。これは議論していかなければいけないというふうに思っております。
(問)来週、特定失踪者ご家族の藤田進さんの弟隆司さんが特定失踪者のご家族としては、初めて国連を訪問されるとのことですが。
(答)今回の藤田さんのジュネーブ訪問については、藤田さんの強制的失踪作業部会の委員との面会日程に合わせて、ジュネーブ訪問するわけでありますが、藤田さんに特定失踪者問題を始めとする拉致問題について、国際社会への理解促進を図るための事業に係る事前調査を政府としてお願いしたものであります。特定失踪者の方に対してのご家族に対するものとしては、これは初めてのケースになろうかと思いますが、特定失踪者問題への取組の強化を求める声に配慮をしたものであります。
 今回の藤田さんの活動等も通じて、特定失踪者問題に対する国際社会への理解促進に更に取り組んでまいりたいと、このように思っております。
(問)分かりやすく言うと、国際社会にこの問題をどう訴えていくかどうかということを受けて。
(答)冒頭言ったように、拉致問題についての国際社会への理解促進を図るための事業に係る事前調査と。
 従来は拉致認定の部分だけでこういったものが行われる素地があったのですが、やはり政府としては拉致の可能性が排除できない特定失踪者についても、この拉致問題の国際社会の理解促進のために活動していただくその道を開くということになろうかと思っております。
 特定失踪者のご家族の立場から見て、どのような手法が国際社会への理解促進に有効なのかを調査・報告していただくというのが今回の予定になっております。
(問)先ほど松原大臣は健康保険料に対して、中小企業の負担割合、五分五分との比較ということでおっしゃいましたけれども、例えばJALですとかりそな銀行ですとか、公的支援を注入された会社の人件費の削減、3割削減というものと今回のスキームに東京電力に対する2割の給料削減、こちらの比較に関しては、どのような所感をお持ちでしょうか。
(答)これまで申し上げたとおり、チェックポイントは消費者庁による検証や物価問題に関する関係閣僚会議への付議等、今後の手続における総合的な検証のための基礎的な判断材料として活用していきたいと考えております。
 チェックポイントにあるように、人件費30%削減を目指すということは、今お話があった公的資金を投入した日本航空の事例を見ても、国民的消費者目線の共感を得る上で最も適切であるとの観点から、議論を進めていきたいと考えております。経済産業省との協議においては、チェックポイントを活用しつつ、人件費を含む例えば調達、前にも申し上げたように、入札率の問題等もこの検討会では議論になっております。こういった調達等を含む、人件費、調達その他を含むコスト削減等を検証し、その上で総合的に判断をしていきたいと、このように考えております。
(問)それで、スケジュールなのですけれども、来週中にも消費者庁が検討チームを。
(答)当然、遅くも来週中には開くということでありまして、その会合でこの検討チームとしての意見交換をし、そして検討チームとしての方向性を出していきたいと。
 冒頭申し上げたように、消費者委員会にも、私の立場から付議しておりますので、消費者委員会は消費者委員会で8条委員会としてきちっと精査をした議論が進むと思います。こういったもの全般を見て、あとは我々の意図するところを経済産業省にくみ取ってもらって、そして国民的消費者目線で、国民も汗をかくと、しかし東京電力はもっと汗をかいているという姿勢を見せてもらいたい、このように思っております。
(問)それで、最終的には大臣同士になると思うのですけれども、それも近々ということでございましょうか。
(答)それは予断を持って申し上げられませんが、速やかなスケジュールの中で、それは誠心誠意スピード感を持って議論していきたいし、それに対して誠心誠意ご回答もいただきたいと、このように思っております。
(問)来週中にも枝野さんと会うということですか。
(答)まだ予断を持っては申し上げられません。
(問)電力料金について質問させていただきたいのですが、消費者団体からは、依然として人件費などにとどまらず、要するに、今回の東電に賠償を、つぶさずに支払わせるスキームについて、不信感ですとか、疑問の声がいまだに上がっていて、隔たりが非常に大きいですが、その辺で消費者からのどのような理解を得て進めていけばいいか、お願いします。
(答)様々な議論が検討会でも行われているところであります。そういったことに関しては、当然議論としてありますが、チェックポイントの41項目をベースにして、今回我々は考えるというふうに、とりあえず集約をしておりますので、基本的にはこの41項目、別にその検討会における意見として添付するようなものは、当然出てくるかと思いますが、この項目でやっていきたいというふうに思っております。
 今のお尋ねの部分に絡むかもしれませんが、福島原発関連の賠償対応費用、安定化費用及び減価償却費を原価に含めることにつき、明快かつ合理的な説明がなされているかというのは、チェックポイントの中に入っているところであります。

(以上)