松原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年1月13日

(平成24年1月13日(金) 21:07~21:30  於:警察庁第1会議室)

1.発言要旨

 このたび国家公安委員会委員長・内閣府特命担当大臣、担当としては消費者及び食品安全であります。及び拉致問題担当大臣を拝命いたしました松原仁でございます。よろしくお願いいたします。
 野田総理からは、国民の安全を確保するために治安の確保に全力で取り組むこと、最近のサイバー空間における脅威や悪質・巧妙化する暴力団情勢に的確に対応するため、法整備を含めた新たな治安対策に取り組むこと、東日本大震災の被災地や被災者の安全・安心の確保を図るとともに、大震災の教訓を踏まえた今後の災害対策能力の向上に努めること、国民の健康を守るため関係大臣と密接に連携し、生産から消費まで食の安全・安心を総合的に確保する、そして国民の不安の強い放射性物質からの食の安全・安心の確保に全力を尽くすこと、事業者中心の行政を転換し、消費者や地域の現場の視点を大胆に取り込むという消費者庁発足当時の理念を踏まえ、消費者の安全・安心を高める消費者行政を強力に推進し、そのために消費者事故等の調査機関を設置する等の法案を国会に提出し、成立を期すこと、国の責任において拉致問題の解決に取り組み、全ての拉致被害者の一刻も早い帰国に向けて全力を尽くすこと、更には公正取引委員会に関する事務を担当させるとの御指示がございました。
 政府の治安対策の責任者である国家公安委員会委員長という重責を担うことになり、身が引き締まる思いであります。政府の治安対策の責任者である国家公安委員会委員長というこの立場の中で、まず東日本大震災による行方不明者の捜索、被災地における安全・安心を確保するための諸活動等を引き続き推進していく必要があると認識いたしております。
 併せて、災害及び各種事案に対する危機管理にも万全を期してまいりたいと思います。
 また、暴力団対策やサイバー空間の脅威への対策が治安対策上重要課題であり、取締りの徹底はもとより、法整備や関係機関、各種業界等と連携した社会全体の取組の強化が必要であると認識をいたしております。
 総理からの御指示を踏まえ、国民の安全を確保するための各種対策を強力に推進するよう指導してまいります。国民の信頼と期待に応えるべく、国家公安委員会の委員の方々と力を合わせ、諸施策を強力に推進をしてまいります。
 消費者行政については、消費者庁、消費者委員会は発足から2年5か月となりますが、消費者・生活者が主役となる社会に向け、益々多くの課題に直面をいたしております。このため、消費者庁が消費者行政の司令塔として、震災復興の取組を含めた消費者の安全・安心の確保、消費者事故等の情報収集・分析、対応の強化、地方消費行政の強化などに一層しっかり取り組むように努めてまいります。また、消費者委員会が消費者行政全般に対する監視機能を発揮できるよう努めてまいります。
 食品安全については、食の安全は国民の命を守っていく上で重要な政策課題であり、国民の健康の保護を最優先に科学的知見に基づき、食品の安全性を確保することに全力を尽くしてまいります。
 拉致問題は、我が国に対する主権侵害かつ拉致被害者にとっては憤りを抑え切れない重大な人権侵害です。私は超党派の国会議員で構成する北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟で10年以上にわたりこの問題に携わってきて、この問題の重大さと責任を大きく痛感いたしております。
 一方、目に見える具体的な成果、進展がない状態が続いており、これまで携わってきた者の一人として大変残念であり、また申し訳なく思っております。
 拉致問題については、野田総理を本部長とする拉致問題対策本部の下、御家族等へのきめ細かな対応、情報の収集・分析の強化、関係国等との国際的連携の強化などについて関係省庁と力を合わせて取り組まれてきたところであります。私としては、拉致問題担当大臣の立場として野田総理をお支えするとともに、昨年12月の金正日国防委員長の死去を受け、情報収集態勢等の強化に一層努め、引き続き拉致問題対策本部を中心に国の責任において、全ての拉致被害者の一刻も早い帰国に向け、全力を尽くす所存であります。
 独占禁止政策を中心とする競争政策については、審判制度廃止等を内容とする独占禁止法の改正法案が閉会中審査となっているところであります。同法案の成立に全力を尽くすなど、公正かつ自由な競争を確保するための基盤整備を図るべく、全力で職務に当たらせていただきたいと思います。
 以上、重要な政策課題に取り組むことにより、身の引き締まる思いであります。
 野田総理の下で、私はこの仕事として行うことは、様々な意味でこの「守る」ということだと思います。拉致という問題は、日本国民を「守る」という、そのことにも繋がりますし、同時にこういった消費者行政、そして国家公安委員会の治安対策も一人一人の国民を「守る」というところで、一つの横串があると思っておりまして、全力で野田政権の下で、そのために努力をし、努めていきたいと思います。
 以上であります。

2.質疑応答

(問)御就任おめでとうございます。
 最初に警察庁の記者クラブを代表して4点質問させていただきます。
 まず国家公安委員長に就任されての抱負、それから現在の日本の治安に関する課題について御見解をお聞かせください。
 2点目に取調べの可視化について、御意見、御見解をお願いします。
 3点目は暴力団対策のことについて、4点目に拉致問題に関して、それぞれどのように取り組んでいくのかお願いいたします。
(答)1問目の抱負と課題ということであります。既に今冒頭申し上げましたが、若干重複いたしますが、政府の治安対策の責任者として国家公安委員会委員長という重責を担うことになり身が引き締まる思いであります。国民の安全を確保するため、治安の確保に全力で取り組んでまいりたいと思います。
 現下の警察行政の課題について申し上げると、まず東日本大震災による行方不明者の捜索、被災地における安全・安心を確保するための諸活動等を引き続き推進していく必要があると認識いたしております。併せて、災害及び各種事案に対する危機管理にも万全を期してまいりたいと思います。
 また、暴力団対策やサイバー空間の脅威への対策が治安対策上重要な課題であり、取締りの徹底はもとより、法整備や関係機関、各種業界等と連携した社会全体の取組の強化が必要であると認識いたしております。これらの課題について、国家公安委員会による警察の管理を確実に行うことにより、適切に対応してまいりたいと思います。
 2問目の問でありますが、被疑者の取調べを録画等の方法により可視化することについては、既に国家公安委員会委員長が主催する部外有識者からなる研究会を設けるなど、幅広い観点から多角的な検討がなされております。この研究会については、治安水準を落とすことなく可視化を実現するために、既に可視化を実現化している諸外国が持つような新たな捜査手法の導入等について併せて研究をする必要があるとの判断で設置されております。現在、最終報告を取りまとめるべく検討が進められていると聞いており、その結果を踏まえて適切に対処してまいりたいと思います。
 また、これらの検討事項については、現在、法制審議会においても審議されていると承知いたしております。この問題は警察捜査や治安そのものに大きく関わる極めて重要なものであることから、法制審議会においても警察捜査の実情や研究会における検討結果が十分に反映される必要があると考えております。今後とも法務大臣と連携をとりながら検討を進めてまいりたいと思います。
 3点目の暴力団対策でございます。暴力団は対立抗争や関係遮断を図る企業を対象にした拳銃発砲事件を敢行するなどをしております。引き続き市民社会に大きな脅威を与えております。また暴力団は関係企業、共生者等を利用し、資金獲得活動を一層潜在化・巧妙化させているものと認識をいたしております。
 一方で各種業・取引等から暴力団排除や全ての都道府県における暴力団排除条例の制定等にみられるように、社会における暴力団排除の機運はかつてないほどの高まりを見せております。暴力団の壊滅は、治安対策上の重要課題の一つであり、今後とも警察の総力を挙げた取締りを徹底するとともに、関係者の安全確保等の徹底を図りながら、社会全体が一体となった暴力団排除活動を推進するように警察庁を指導してまいりたいと思います。
 また、こうした暴力団の動向に対処するため、警察庁においては暴力団対策法の一部改正を検討しております。全国において施行された暴力団排除条例とも相まって、暴力団対策を効果的かつ適切に推進していくこととなるよう改正を検討してまいりたいと思います。
 最後の御質問は、拉致問題に警察としてどのように取り組むかというお尋ねでありますが、北朝鮮による拉致容疑事案は我が国の主権を侵害し、国民の生命・身体に危険を及ぼす治安上極めて重大な問題であります。警察では拉致容疑事案と判断された事案はもとよりのこと、拉致の可能性を排除できない事案についても改めて徹底した捜査を進めております。今後ともこうした徹底した捜査を推進するとともに、関係機関と緊密に連携を図りつつ、警察の総力を挙げて事案の全容解明に努めるよう指導してまいる所存であります。
 また、私は国家公安委員会委員長と拉致問題担当大臣を兼務いたしておりますことから、拉致問題の解決と全ての拉致被害者の一刻も早い帰国に向け、政府として、なお一層努力をしてまいりたいと思います。
 以上であります。
(問)御就任おめでとうございます。
 2つございまして、1つは今日拉致被害者家族会で飯塚繁雄代表、大臣に御就任されたことを非常に喜ぶべきこととして、できれば総理と一緒に、松原大臣と総理と御一緒にどういう戦略でやっていくか話してみたいというようなことをおっしゃっておられまして、御家族とこれからどうやって向き合っていくかというようなことが1つ。
 あとそれから、先ほど新しく北朝鮮側が対応を始める可能性があり、この対応を作り出す努力をしていかなくてはというお話が就任の会見でございましたが、どのようなアイデアがあるかお話しいただけますでしょうか。
(答)前段については、できれば今日が13日ですから、来週、再来週にもそういった御家族の皆様と私自身はお会いする機会をどこかで適切につくってまいりたいというふうに思っております。そうした中で今の情勢分析をその間行いながら、また総理とも御相談をしてまいりたいというふうに思っております。
 北朝鮮側が今のこの金正日氏の死去に伴って大きく様変わりする可能性があることは申し上げたとおりでありますが、そこの情勢を見定めるためにはもう少し時間も必要であろうと思うし、また情報分析も必要だと思っております。ただ、いずれにしても先ほど申し上げましたように、従来と違った対応を北側が取る可能性もあると。したがって、ここは大きな拉致問題解決のチャンスが来るだろうと思っておりまして、そのための努力をしていきたいと思っております。
(問)拉致問題に関してなんですが、長年ずっと携わってこられて、御家族の皆さんの信頼も厚いということで、ではどこから始めるのか。その具体的な何かプランが、これまで考えてきた中であるとすればお聞かせください。
(答)この拉致問題に関しては、私はこの10年間、本当に最初は大きな進展があったわけですね。拉致被害者の方が帰国されるとかあったわけでありますが、その後なかなか進展がない状況が続いてまいりました。ですから、1つはこの10年間の総括をきちんとやっていく必要があるというふうに思っております。そうした中でどういうことが有効であるかというのは今後真剣に検討していきたいというふうに思っております。この段階で具体的にということを明示的に申し上げることはまだできませんが、早い段階でそういったプランを考えていきたいというふうに思っております。
(問)今後その問題解決に向けて、松原大臣のところで一元化してやるのか、それとも色々ルートを使ってやるのか。直接的に言えば中井洽さんであれば、単独での議員外交を今後も認めるのか認めないのか、お伺いします。
(答)全ての可能性を我々は排除しないで、この問題の解決を目指すべきだと思っております。ただ、最終的な着地点は国と国との交渉になることは見えているわけでありますから、それはそれで重要であると。今回、中井さんのことは、承知はいたしておりますが、まだコメントする状況ではありませんので、当然この拉致問題に関しての従来担当大臣をなさってこられた方々等には私も就任の御挨拶で回ります。そういったことも含め、この件は中井さんから直接どういう状況だったか、これは話を聞きたいというふうに思っております。
(問)食品安全についてお伺いいたします。未だに食品から放射性物質の検出が相次いでおるんです。その辺の不安は払拭されたとは言えない状況にあります。それに対して消費者庁と消費者委員会がこれからやらなければならないこと、今の対応で十分なのかどうか、大臣のお考えをお聞かせください。
(答)いわゆる放射能の問題、食品の安全の問題でありますが、現状においても消費者庁としては様々な専門家を地方自治体等に派遣をして活動しているところであります。その場で情報提供したり、またリスクコミュニケーションの強化をしているところであります。そうした中で、その一歩を更に我々はこういった中で放射性物質検査機器の貸与を進め、御案内のように、現在は24台でありますが、合計224台以上をこの5月末までに配備を予定いたしております。こういったことを行って─これは特に自らが消費している人、もしくは消費者の方が申し込まれた場合にこういったものを使っていただくということで、そういった様々なことを通して安全性の確保のために努めていきたいというふうに思っております。
 あとはこの地方自治体の職員等を対象とした研修会等も開催して、地方自治体による検査体制づくりのバックアップもきちんとしていきたいというふうに思っております。
 今の段階で安全かと言われれば、これは今ある中で我々は精いっぱい安全を模索するということでやっておりまして、このことによって一定の効果は得られるだろうというふうに思っております。
(問)大臣は会見の中で消費者庁は司令塔であるべきというふうにおっしゃっていましたが、放射性物質の検査に関しては、厚生労働省の検査や農水省の検査に不備があって規制値が超えたものが市場に流通したという事実があります。消費者委員会はそのような事態に対して何も対策をとらず、何か消費者委員会として、消費者庁として、そういう他の省庁との連携、指導などをしていくおつもりはありますでしょうか。
(答)今言ったような、そういったことについても、我々は消費者サイドに立って、今おっしゃった農林水産省にしても他の省庁にしても、それは生産者サイドに立った物の見方でありますから、私たちは消費者サイドに立っておっしゃるような意味で消費者の身体を守るという観点で行動していきたいと思っておりますから、当然必要なときに言うことは言うということで、もちろん改善がなされるかどうかも含め、推移を見ながら検討していきたいと、進めていきたいと、このように思っております。
(問)安愚楽牧場の問題なんですけれども、戦後最大の消費者被害と言われていますけれども、この問題について消費者委員会でどのように諮るかというところをお考えをお聞かせいただきたいのと、もう一点なんですけれども、輸入牛肉の月齢緩和について食の安全性の観点から消費者団体からのまだ依然として反発もあると思うんですけれども、どのように説明をしていくのか。
(答)前者については個別の法執行の問題にも係ることでありますから、お答えをこの場でというのは色々と議論がありますが、どちらにいたしましても事業者に対する法執行力を強化して、消費者の利益を守るために行動を起こしていきたいというふうに思っております。具体的な中身については更に詰めていきたいというふうに思っております。
 もう一つは何でしたっけ。
(問)輸入牛肉の月齢緩和の措置なんですけれども、消費者団体から食の安全性の観点から反発もあると思う、ありますけれども、今検討がなされている段階でどう理解を図っていくかというところをお考えをお聞かせください。
(答)これは昨年12月19日の厚生労働省の食品安全委員会に対しての諮問等もあるわけでありますが、現段階においては私はここで申し上げられるのは、今後諮問内容を踏まえて科学的知見に基づいて客観的かつ中立・公正に食品健康影響評価を行っていくというところからスタートすることになろうというふうに思っております。その上で今言ったような対応を考えるということになろうと思います。
 では、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございます。

(以上)