蓮舫内閣府特命担当大臣記者会見要旨(行政刷新会議後) 平成23年9月15日

(平成23年9月15日(木) 19:45~20:03  於:合同庁舎4号館4階408会議室)

1.発言要旨

 お疲れさまでした。お待たせをいたしました。
 先程第20回行政刷新会議を開催させていただきました。
 冒頭、野田総理よりあいさつがありまして、野田内閣発足後、初めての行政刷新会議を開くに当たって、大きな二つの方針を明らかにされました。
 まず一つは、これまで進めてきた各種改革につきまして、その取組を更に加速させ確実に結実させるということ。二つ目は、事業仕分けについても、より深化させ、行政刷新の取組を確固たるものとするという2点の大きな御指示をいただきました。
 あと、今回は内閣が代わったこともありまして、各閣僚及び有識者議員の紹介が改めてございました。
 片山善博慶應義塾大学法学部教授・前総務大臣、片山さんは大臣就任前と同様、再び有識者議員に御就任をいただきました。また、葛西敬之JR東海会長、松井孝典東京大学名誉教授にも新たに有識者議員に御就任をいただきました。
 本日の議題は3点です。独立行政法人改革について、規制・制度改革について、行政事業レビューについてでございました。
 独法の改革については、昨年12月の閣議決定「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」を、これまでフォローアップを行ってまいったんですが、その中身について報告をしました。詳細は、お手元の資料1を是非、御覧ください。非常に細かなところまでフォローアップはしております。さらに、改革の第2弾としましては、組織・制度の見直しを行うことにしておりますので、行政刷新会議の下に分科会を設けまして、年内にも結論を得るべく検討を進めることについても御決定をいただきました。
 分科会では、最も適切なガバナンスの仕組みが構築されるように議論をしていきたいと思うんですが、今日も様々な御提言を賜りました。
 例えば、これは川端大臣から、前には御担当の大臣ということもあったのですが、行政刷新会議と連携をして取り組んでいくという大前提で、研究開発の強化にぜひ取り組んでいただきたいという御提言をいただきました。その中で、研究開発法人の在り方も是非考えてもらいたいという御提案がありました。このことに関しては、古川・現科学技術担当大臣からも、是非前向きに取り組みたいという御意見があったほか、総理からは「研究開発は、この国の成長についても、この国の財産としても非常に大事だ」というような御意見があった後に、ただ、独立行政法人というのは手足でありますから、まずはその頭脳といいますか、司令塔、ガバナンスをしっかりと決めることが大事だと。その上で、古川大臣の下で科学技術イノベーション戦略本部をしっかり作って、ここを司令塔として、私たちの独法の組織・制度見直しの分科会と歩調を合わせて進んでもらいたいという指示をいただきました。この指示どおりにこれからも進めてまいりたいと考えております。
 それ以外に、次は規制・制度改革についてでございます。
 平成22年3月からの第1クール、平成22年10月からの第2クール、その後、発災がありまして第3クールの立ち上げを一旦見送っておったんですが、今回新たに第3クールの活動を開始するべく、分科会を立ち上げることを御決定いただきました。
 第3クールでは、まず大局的・基本的な議論を行い、改革の対象とする分野などを見定めた後、詳細な検討を進めていきたいと思っております。
 委員の中からは、海外とのハーモナイゼーションが非常に大事だと。そこにしっかりと目を向けて、例えば海外で自由なことが、なぜ我が国ではできないんだろうかという視点も含めて、しっかり議論していただきたいという御意見をいただきました。
 また、それに対して、例えば海外といいましても、EUにはEUの、あるいはアメリカにはアメリカの、その国、地域独特の規制・制度がありますので、海外ということで一律に日本にそのまま取り入れるということではなくて、やはり日本の中で地域、あるいは国民性というものも考えて、守るべきものは守ったほうがいいのではないかという極めて建設的な御意見も御提示をいただきました。
 次に、行政事業レビュー。
 まず平成24年度概算要求の提出期限が9月末とされたことに伴いまして、通常のレビューシート等の公表時期を、併せて1カ月遅らせること。ただ、新規要求事業につきましては、行政刷新会議として速やかにチェックする観点から、現行9月中旬のところを、10月上旬を目途に公表するよう改正することにつきまして、御決定をいただきました。
 また、東日本大震災復興関連事業の精査について、チェックシートを事務局で各府省にお示しするとともに、閣僚懇談会の場で、私から各大臣にも、事業の精査をしっかりと行い、国民への説明責任を果たしていただくようお願いしたことも御報告をさせていただきました。
 こちらも委員から積極的な、活発な御意見の交換がございました。無駄排除のために仕分けというのをこれまで行ってまいりましたが、お尻を叩くだけでは効果が限定的ではないか、それと併せて、仕事の仕方、仕組みを変えていく、発想を変えていく必要があるのではないか、この検討を是非するべきだという意見をいただきました。
 併せて、公務員制度改革も行政改革であるので、是非考えていただきたいという御提言をいただきました。一律に給与を削減するということもあるけれども、本当に公務員のやる気につながるような改革の在り方、本筋の改革を是非お願いしたいというような要請も賜りました。
 私からは、国家公務員制度改革、今回一緒に担当することになりました。行政刷新とは、切り取る、切り離すことができない改革だと思っておりますので、例えば退職管理基本方針の在り方であるとか、あるいは民主党政権になってから天下りは認めておりませんので、逆に定年延長と併せて、どうしても上のほうの方たちが多くなってくる。それが結果として、人件費を削減というのと逆の効果を呼んでいることもありますので、どういう在り方が望ましいのか、やる気を削がない、逆にやる気を見出す形で公務員制度改革、給与の削減、人件費の削減もございますが、同時に行っていくことができるのか、是非一度、機会を設けさせていただいて、行政刷新会議の中で御議論いただきたいという意見を私からはさせていただきました。
 私からは以上です。何かありますか。

2.質疑応答

(問)読売新聞の清永です。
 すみません、細かい点なんですけれども、二つの分科会のスケジュールのことなんですけれども、初会合はいつ頃を予定されているんでしょうか。
(答)現段階では、今日分科会の発足、あるいは人選についてお認めをいただいたところでございますので、すぐさま皆様方の日程調整の作業に事務的に入らせていただきます。できるだけ早く、特に独法の場合には、なるべく早く分科会のおまとめをいただきたいとお願いをしますので、迅速に進めたいと思っています。
(問)月内というイメージで大丈夫でしょうか。
(答)月内じゃなきゃだめでしょうね。本当に、一日も早くと思っています。
(問)もう一点なんですけれども、行政刷新会議の親会議の中で、公開の部分で、大臣のあいさつされた中で、「被災地、あるいは被災地外でも日本の国力を高めるための規制・制度改革を新たに進めていきたい」とおっしゃられていましたけれども、具体的に特に被災地の関連でいうと、どういったイメージがおありなんでしょうか。
(答)これは復興特区という制度も、今回、法案も含めて平野大臣の下でお進めになられていますが、そこに資する形で規制・制度改革の要請が確実にあると思っています。
 ですから、今の段階でジャンルを絞るのではなくて、現地の方たちの御要望は、平野大臣の下で相当把握されておると思いますので、なるべく早い段階で大臣と会わせていただいて、意見の交換をして、協力できることは一緒にしていきたいと思っております。
 被災地外というイメージでは、やはりエネルギーということは大きなテーマではないかと思います。
(問)TBSの岩田と申します。よろしくお願いします。
 野田総理は所信表明演説で「政権交代後に取り組んできた仕分けの手法を深化させて、行政分野の改革に取り組む」とおっしゃっていたんですが、どう深化させるおつもりでしょうか。
(答)正に「深めていく」というやり方で、これまで第3弾まで事業仕分けを行ってまいりました。今度は、ではどのように深めていけばいいのか。特に第3次補正という形では、正に被災地の復旧・復興に資するものという形で、我々は事前確認シート等の形で関与をさせていただいておりますので、広い意味で言いますと、事業仕分けは、もう既に各省と我々が連携をとって内在化している、第一歩は踏み出していると思っています。
 それは「国丸ごと仕分け」の行政事業レビューが定着するための取組と併せて行っておりますので、広い意味では深化はされているのですが、「外部性」「公開性」という意味で、国民の皆様方に税金の使われ方をしっかり見ていただく、納得していただくというやり方は、どういう形が望まれているのかは、もう少しお時間をいただきたい、私どもの下で、今、正に精査をしているところです。
(問)すみません、あともう一点。
 今日の代表質問で、みんなの党の渡辺代表から、総工費105億円と言われる朝霞の公務員宿舎をなぜ建設再開したかという質問が出たんですが、この宿舎は、一昨年の事業仕分けで建築見直しの判定を受けていたんですが、去年12月に当時の野田財務大臣が建設再開を決定しました。この経緯についてはどう受け止められますか。
(答)仕分けの結果は、廃止ではなくて、見直しを行う。見直しを行っているときに、計画がある三つの公務員宿舎について、「凍結」という結果でありました。
 その間、担当省庁の財務省の下で、専門家を入れてしっかりと検討していただきました。5年間かけてマイナス15%、全体で3.7万戸の宿舎数を減らすという大きなまとめをつくっていただいて、その中で売却できる土地、あるいは建物は売却をしていくし、あるいは長寿命化することによって、長く使える宿舎は大切に使っていく。あとは集中をさせるということで、その中の一つで朝霞というのは集中をさせて、合理的であり効率的であるという判断をされました。
 他方で、あのとき同時に凍結した千葉にある稲毛海岸住宅は、これは中止をしています。また、杉並区の方南町の住宅、こちらも同じく再開をしています。ですから、めり張りが随分ついて、改革の結果というのは、私はこれから5年間で進めていくことになると思います。
 ただ、見た形で、どうしても朝霞の住宅が、建設が始まると「これは無駄ではないか」と思われてしまうのは、私は否定はしません。ただ、全体像で15%削減して、それが歳出削減につながり、当然削減につながったものは復興財源に寄与するというのは、是非国民の皆様方に知っていただきたいし、メディアの皆様方にも一部だけ取り上げて切り取って報道するのではなくて、全体像を正確に報道していただければと、お願いします。
(問)すみません、最後にもう一点だけ。
 今回、組閣で行政刷新担当大臣として、改めてまた独立されて任命されたということなんですが、その受け止めもお願いできますか。
(答)非常に重い職責を拝命したと思っています。今まで以上に気を引き締めて取り組みたい。
 行政刷新というのは、事業仕分けだけではないわけですから、例えば今、第3次補正、復旧・復興に資する予算案が編成されていますけれども、その財源が、ややもすると増税ありきというような方向にとられてしまいがちなんですが、行政刷新という観点からしますと、例えば税外収入、政府保有資産、今日も昨日も野田総理は国会の本会議答弁で答えておりましたけれども、例えば郵政株であるとか、今政府が保有しているものを最大限有効に活用していただいて、最終的に増税せざるを得なくなったときの、その幅を圧縮する、その時期を短くするための努力を当然していただきたいと、私は行政刷新の立場から安住財務大臣には、もう既に申し入れてあります。安住大臣からも、それは当然の話なので、今言われている数字以上に努力をして税外収入を確保したいという言葉もいただいています。
(問)朝日新聞の三輪です。
 今回、片山さんはあれですけれども、民間議員を3人選ばれた理由と、それぞれの方に期待する点をお願いします。
(答)葛西さんは長年にわたって財界の要職ということで、まさにトップランナーとして走ってこられた方であり、知見も相当おありだと思っております。また、これまでも、どの政権においても、様々な会議体でもメンバーを務めてこられた経験も豊富なので、正に行政改革に大変お詳しい方だと総理が思っておられて指名されたと思っています。
 あと、松井さんは、惑星物理学者としての実績は勿論なんですけれども、総理の大変思い入れの深い科学開発、研究開発にも造詣が当然おありですし、事業仕分けの評価者としても参加をしていただいたことがございますので、行政刷新会議のメンバーに相応しい知見を有しておられるということで、総理が指名されたと思っております。
(問)重なりますけれども、3人増やしたというのは、やはり行政刷新会議を強化させるというふうに捉えていい……。
(答)今までも、強化はし続けてきたと思います。そこに今回は、厚みが増したのかなと思っています。
(問)医薬経済社の槇ヶ垰(まきがたお)です。お世話になっております。
 規制改革分科会についてなんですけれども、先程9月中に開催したい、月内にも開催する意向を示されたのは、これは独法のほうだけですか。規制改革についても……。
(答)まずは独法ですね。規制改革は、平野大臣との歩調も合わせる部分を大切にしたいと思っておりますので、そちらが始められるかどうか、ちょっとまだ分かりませんが、ただ、「急ぎたい」という私の思いがありますので、できるだけ、一日でも早く開ける体制を整えたいと思います。
(問)すみません、あともう一点なんですけれども、昨年は規制仕分けを行ったと思うんですけれども、今年考えている規制改革の今後のプロセスですね、何か今の段階でお考えがあればお聞かせください。
(答)いや、特段、規制仕分け第2弾をしようとは思っておりません。やっぱり第3次補正であるとか、あるいは概算要求も出ておりますので、各省それなりに事務事業が相当お忙しいと思っておりますので、まずは分科会において、しっかりと議論をしていただく。その議論を受けて中身の濃い提言を結実させていただいて、それを実現するために各省政務三役と折衝を行って少しでも前に進めていくという、この方法はこれまでと同じであります。
(問)日刊工業新聞の宇多川と申します。
 先程の、安住大臣に復興財源について御要望を伝えられたというお話ですけれども、何をどうすれば財源を作り出せるという、その具体的な案件ないし方法論というのは何か御提言はなさったんでしょうか。お聞かせください。
(答)基本的には、財務大臣を中心に、無駄の削減、あるいは税外収入を最大限積み上げるように、初閣議のもとで総理からの指示もありましたので、その中で安住大臣が進めておられると承知しています。
 ただ、そのときに私からも行政刷新の観点から、増税ありきではなくて税外収入、政府も資産で保有しているのが相当ありますから、現実的にどれが活用可能かというのも、是非、視点に入れてくださいという部分の要請ですから、私からこれをこういうふうにしてくれと、具体的に言ってはいません。

(以上)