古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年9月19日

(平成24年9月19日(水) 10:07~10:30  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

おはようございます。まず私から一言申し上げます。
去る9月14日に、エネルギー・環境会議におきまして、革新的エネルギー・環境戦略を決定し、原発に依存しない社会の一日も早い実現を目指していくという今後のエネルギー政策の大きな方向性を提示いたしました。本日、この戦略を踏まえて、これからのエネルギー・環境政策を遂行していく旨の閣議決定を行ったところでございます。
今回の閣議決定は、この戦略を踏まえまして、今後、グリーン政策大綱、地球温暖化対策の計画、またエネルギー基本計画、原子力の人材や技術の維持・強化策といったエネルギー・環境政策の具体化を図るなど、実際の政策決定プロセスを見据えたものであります。これによりまして、政府一体となって戦略を踏まえた政策を遂行していくことを明確にいたしたものでございます。
私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)エネルギー・環境政策について伺います。革新的エネルギー・環境戦略の全文を日本再生戦略のように閣議決定するのかと思っていたのですが、そうではないのでしょうか。
(答)今、御説明を申し上げましたように、この戦略を踏まえて、今後グリーン政策大綱や地球温暖化対策の計画、エネルギー基本計画、原子力の人材や技術の維持・強化策といったエネルギー・環境政策の具体化を図ることとなりますので、そうした実際の政策決定プロセスを見据えたものでございまして、何らこの決定内容を変えたなどそういうものではございません。
 ちなみに、このような本文をそのまま閣議決定しないというのは、原子力委員会の原子力政策大綱や規制改革会議の規制改革推進のための答申など、これまでもそういう形が様々とられておりまして、閣議決定の方式として、今回このような形をとらせていただいたということでございます。
(問)2030年代の原発ゼロを戦略ではうたっておりますが、これを閣議決定して後々まで拘束力を持たせるというようなお考えは議長としてはなかったでしょうか。
(答)今回のエネルギー・環境戦略も、確かな方向性を示すと同時に、状況に応じた柔軟性を兼ね備えているというものであります。こうした大きな方向性というものを定めたわけでありますから、そこに向けて、まず足元のところから一つ一つ具体的な政策を詰めていくということが極めて重要なことです。それが最終的に私たちの目指している2030年代に原発稼働ゼロが可能となるような状況をつくっていくものになると考えております。
(問)今回は、エネルギー・環境戦略の原文については、どのような扱いで書かれて、参考資料という扱いになるのでしょうか。
(答)これを踏まえて、これからの個別具体的な政策をまとめていく、その場合の一番大本になるということであります。
(問)総理も、不断の見直しが今後も必要、柔軟な議論が大切だということをおっしゃられておられますけれども、今後の不断の見直しというのは、具体的にはどういうような形で、どういうようなスキームで進めていかれるのか、もう少し詳しく御説明をお願いいたします。
(答)まず、今回の戦略を踏まえて足元のところ、特に、この戦略は皆さん、原発に依存しない社会の一日も早い実現のところにばかりフォーカスを当てていらっしゃいますけれども、それを実現するためにも、大事なことはグリーンエネルギー革命をどう実現するかということであります。この部分については、グリーン政策大綱を年末にまとめていく作業にこれから入っていくわけでありますから、まさにそういう足元のところをしっかり具体的な政策を詰めていく、まずその作業を行った上で、進捗状況については、今後とも随時エネルギー・環境会議においてフォローしていく形になろうかと思っております。
(問)政府が今回決められた大きな方針というのを今後も不断に見直すということではないということなのでしょうか。
(答)この方針を踏まえて、具体的な政策を行っていく。その進捗状況を踏まえて、様々な観点からの検証や見直しというものは、将来まですべてを今確たる見通しができるわけではありませんから、エネルギーの安定供給という視点、あるいは国民経済に対する影響、また、国際情勢など様々な状況を踏まえて、不断の検証の見直しを行うということでございます。
(問)閣議決定は、今回の戦略を踏まえてということで行われたということですけれども、今後、大きな方針を不断の検証で変更する際の手続としては、もう一度それを見直す閣議決定が必要になるということなのでしょうか。
(答)手続論のお話について、今将来のことを議論することは余り有益ではないと思いますけれども、やらなければいけないことは、この戦略を踏まえて、きちんと足元から具体的にどう現実的に原発に依存しない社会をつくっていくか、足元から一歩ずつ進んでいくことが極めて重要なことだと思います。そういったものをしっかりやっていく。繰り返しになりますけれども、今回の戦略というのは大きな方向性、確かな方向性と、そしてそこに歩むに当たっては状況に応じた柔軟性を兼ね備えていかなければならない。これまでの原発を推進していく、むしろそこにエネルギーの安定供給の重点を置いていくというこれまでの政府の方針を大きく180度の転換をしていく、そうした大きな決定をしたわけでございますから、そういった点では足元のところから実現に向けて着実に一歩一歩進んでいくということをやっていくことが重要であって、現時点で将来どうするか、その手続はどうするのかなどを考えるような段階ではないと思っております。
(問)その閣議決定されたものの文言というのがあると思うのですが、長くなかったら決定されたものを教えていただけますでしょうか。
(答)閣議決定の文言は、「今後のエネルギー・環境政策については、革新的エネルギー・環境戦略を踏まえて、関係自治体や国際社会等と責任ある議論を行い、国民の理解を得つつ、柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行する」と、こういうものでございます。
(問)建設中の原発の取り扱いについて、大臣は金曜日の会見で、具体的な適用は今後検討していきたいとおっしゃったと思うのですが、土曜日に枝野大臣が青森県で建設を容認したというふうな発言をされたと思うのですが、昨日の官房長官の会見では、「古川さんに若干の誤解があったかもしれないが」とおっしゃっていまして、実際建設中の原発というのはどのようにされるのでしょうか。
(答)私の発言に舌足らずなところがあったかもしれません。この前私が申し上げたのは、戦略の中では、別に個別のものについて決めているわけではないということを申し上げたわけでございます。その上で、枝野大臣が御発言をされたのは、かなり前だと思いますけれども、以前に政府が出した建設の許可や認可などを取り消すことはしない。その上で、実際に今後の原発を稼働させるかどうかということについては、原子力規制委員会が独立の立場からその後の安全性の確認をしていくことになると言われたと承知をいたしております。そういった意味では、私の言い方に若干舌足らずなところがあったことはお詫びを申し上げたいと思います。
(問)エネルギー・環境戦略ですけれども、閣議決定できなかったということですよね。
(答)先程申し上げましたように、今回のような形で閣議決定をさせていただいたということです。
(問)普通、戦略は閣議決定するのが当然ですよね。そのような戦略を踏まえて今後の政策をやっていくという閣議決定は、この戦略について閣議決定したとは到底言えないのではないですか。これほど重要な戦略について、真正面から閣議決定できなかった理由を教えてください。
(答)先程も申し上げましたけれども、戦略を踏まえてこれから具体的な実際の政策決定のプロセスを行っていく、そうしたことを決めたものでございます。
(問)閣議決定もしていない戦略に基づいて、これから政策をつくっていくということはあり得ないでしょう。
(答)これまでもそういうことを行ってきています。
(問)あえて閣議決定しない理由は何だったのですか。
(答)あえてしないということではございません。
(問)大臣は昨日まで、閣議決定すると言っていたでしょう。昨日、大臣は官邸でのぶら下がり会見で、明日閣議決定しますということを言ったではないですか。
(答)今日、閣議決定をいたしました。
(問)戦略について閣議決定すると言っていますよ。何でそういうことをきちんと真正面から答えないのですか。さんざん国民にあれだけ意見を発表させ、議論をさせ、あれだけの意見を集めて、原発ゼロの戦略をつくったのでしょう。それを閣議決定しなかったら、国民に対する背信行為ですよ。その理由をきちんと言ってください。過去に例があるというのは、理由として全く意味がないですよ。
(答)繰り返しになりますけれども、従来からも閣議決定のあり方には様々な形があります。
(問)では、何で過去にそういう閣議決定したことがあるのですか。
(答)何を聞かれても、これは同じことですから、同じ答えになるということです。
(問)そうではなくて、過去にそういう閣議決定したというなら、どういう意味でそのものを決定しないでそういう形で閣議決定したのか、過去の事例の理由というのは何だったのですか。
(答)大きな方向を決めて、それをもとにして、今後具体的な政策に落とし込んでいく、そういう前段階でありますから、この大きな方向性を決めたものについては、従来においても、その本体を閣議決定するという形ではなくて、それを踏まえて具体的な政策を実行していくということは過去も行われていることでございます。今回もこの戦略というのは、これから具体的にしていかなければいけない、その前段階として、この戦略を踏まえてこれからエネルギー・環境政策をしっかりと遂行していくことを決めたということであります。
(問)大きな方向だから、閣議決定する必要があったのではないのですか。
(答)繰り返しになりますけれども、この方向性を決めた上で、具体的にしていく、そうした方向をきちんとこの中でも踏まえてということで決めているわけでございますから、これを変えたものでもございませんし、きちんとその決定を踏まえて具体的な政策に落とし込んでまいりたいと考えているということであります。
(問)大臣の説明を聞くと、やはり戦略は閣議決定することができなかったのだなという言い訳をしているようにしか聞こえませんね。
(問)皆さんと同じような質問になるのですけれども、日本再生戦略では戦略自体を閣議決定したと思うのですが、今回、こういう形の閣議決定になった一番の背景にあるものというのは、どういったことなのでしょうか。
(答)特に何か大きな意図があってということではなくて、繰り返しになりますけれども、この戦略を踏まえてこれから具体的なことをやっていくという形で今回決めさせていただいたというものであります。
(問)何か具体的に配慮すべき相手方がいたなど、そういったことはではないのでしょうか。
(答)閣議決定の今回の形式としてこういう形をさせていただいたということであって、特にその裏に特別な意図があるということはございません。
(問)古川大臣は、以前から原発ゼロ社会をすごく推進されてきたと思うのですけれども、大臣御自身として、今回のこういう形での閣議決定というのは満足のいくものだったのでしょうか。
(答)政府として大きな方針を決めたわけであります。しかし、足元からの一歩というものは、やはり現実を踏まえてやっていかなければいけません。そうした方向性、この戦略をしっかり踏まえてやっていくことが決められたということは大変大きな意味があると考えております。
(問)今回こういう形で閣議決定することになったのは、いつ決まったのでしょうか。
(答)こういう形でやっていこうということは、この戦略を決めていく中で決まっていったということであります。
(問)具体的にいつというのはなくて、古川大臣の中ではこういうふうにやろうと最初に決めていたということでしょうか。
(答)最終的に閣議決定をするというのは、戦略が決まっていく中で決まっていく話でございますから、特にいつなどそういうことで申し上げるものではないと思っております。
(問)枝野大臣は先程の会見で、金曜日にこういう形にすることを決めたと言っていますが、それは違いますか。
(答)決めたというか、皆さん方の様々な御意見もあるのだと思いますけれども、私は戦略を踏まえて今回の閣議決定を行うということを決めたと承知をいたしております。
(問)話が変わりますが、戦略自体の扱いについて、先程、戦略を踏まえた個別具体的な政策をまとめていくとおっしゃいましたが、戦略自体はどのような扱いになるのか、要するに参考文書になるのか、そこら辺について教えてください。
(答)これが一番のベースになって、これを踏まえてこれからの政策を一つ一つ具体化していくということであります。
(問)大間原発の件をお伺いしたいのですけれども、先程から、戦略を踏まえてと何回もおっしゃっているということは、大間原発が仮に運転したとしても、2030年代にはゼロになるという理解でよろしいのでしょうか。強制終了するということでしょうか。
(答)この戦略でも掲げているところでございますけれども、2030年代に原発稼働ゼロが可能になることを目指してあらゆる政策手段を投入していくと、そうした大きな目標を定めたものであります。
将来のことを、なかなか先のところまで確たるものを今確認できるわけではありません。従いまして、そういった将来のその時点での見通しについては、これからグリーンエネルギー革命がどれくらい進んでくるのか、どれくらい普及していくのか、やはりそうしたものとの見合いで考えていかなければいけないものであると思います。そういった意味では、現時点で将来の2030年代がどうなるのかということを申し上げられる段階ではない。足元からしっかりこのグリーンエネルギー革命を進めていき、原発がなくてもやっていけるような状況をつくっていく。そして足元をしっかり見据えた上で、将来が見通せたところでまた判断すべき問題ではないかと考えております。
(問)今回の戦略の決定ですけれども、昨日、経団連など経済3団体が揃って会見をして、政府の方針に対して異論を唱えて、また青森県など地元の原発立地自治体からも異論が出ている。さらに、アメリカなども、核の平和利用という観点から異論を唱えていらっしゃるというような状況で、政府の関係者の複数の方から、今回の決定の仕方について、そうした声に配慮したという意味合いもあったのだと、そういった声も聞こえてくるわけですけれども、そういった関係者に配慮するという意図もあってのこういった閣議決定だということは言えるのでしょうか。
(答)戦略をまとめる中で、私どももそういった様々な御意見にしっかり耳を傾けながら、だからこそ、この戦略は、確かな方向性とそして状況に応じた柔軟性、こうしたものを持って、そして将来に対する見通しというものは現時点で確たることは言えないわけでありますから、そういう将来については謙虚な姿勢で不断の検証の見直しを行っていく、そうした方向性を決めたものであります。全体として皆様方の様々なお声を踏まえて、何よりも大事なことは、昨年の福島の事故を踏まえてこれまでのあり方というものを変えていかなければいけない。エネルギー政策以前に、私たちの生き方や価値観という問題にも関わると思いますけれども、そうしたものを変えていかなければいけない、そうした大きな視点に立って、政策の大転換を行うということを判断したわけであります。その判断を実行に移していくためには、やはり足元からしっかり丁寧に一つずつ具体的な政策を実行に移していくということが極めて重要であると考えております。今回の閣議決定というのは、そういった足元から丁寧に具体的な政策を実行していく、そして大きな将来の目標に向けて歩を進めていく、まさにそうしたものを決めたものだと御理解をいただければと思っております。
(問)何度も確認していますけれども、改めて、テクニカルな質問になりますけれども、戦略そのものは、今日の閣議決定の中では、手続上は参考文書という呼び方で位置づけになるのでしょうか。
(答)別に文書の位置づけというのは、そこはどういう呼び方をするかは、参考と言おうが何と言おうが、あくまでこれは戦略を踏まえて、これから具体的な政策に実行していくものだと思っておりますので、別に何か分離したものとかそういうものではなくて、まさにこの戦略と一体となって、これからの政策が遂行されるものと御理解をいただきたいと思っております。
(問)本日、日銀の金融政策決定会合が2日目となりますけれども、月例経済報告でも景気の下方修正をした中、日銀に期待することをお願いします。
(答)昨日、今日と金融政策決定会合が開催されている最中でございますので、会合についてコメントは差し控えたいと思っておりますが、一般論で申し上げますと、従来から申し上げているとおり、金融政策については、日本銀行が当面目指すこととしている消費者物価上昇率1%をできる限り早期に実現して結果を出すことが極めて重要であって、日本銀行に対しては、デフレ脱却が確実となるまで強力な金融緩和を継続するよう期待をしているということでございます。

(以上)