古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年8月28日

(平成24年8月28日(火) 9:44~9:58  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

おはようございます。
まず最初に、月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要を報告いたします。
景気の基調判断は、「このところ一部に弱い動きがみられるものの、復興需要等を背景として、緩やかに回復しつつある」と、下方に変更いたしております。これは、我が国の景気は、内需に牽引される形で上向きの動きが続いているものの、世界景気の減速等を背景に、輸出がこのところ弱含んでいること、さらに、こうした外需の弱さ等によりまして生産が横ばいとなっていることなどを踏まえたものであります。
先行きにつきましては、当面、世界景気減速の影響を受けるものの、復興需要等を背景に、景気回復の動きが続くものと期待されます。ただし、欧州政府債務危機を巡る不確実性が依然として高いなかで、世界景気のさらなる下振れや金融資本市場の変動が我が国の景気を下押しするリスクとなっていることには注意が必要であります。政府といたしましては、我が国経済の当面の最大の課題でありますデフレ脱却に向け、日本銀行と一体となって、断固として取り組んでまいります。
もう一点あります。マンスリートピックスについてでございますけれども、今月は「中国の輸入市場における日本のプレゼンス」というテーマです。最近、日本の中国向け輸出が減少するなど、中国の景気やその背後にある輸出入市場の動向に関心が高まっている中で、中国市場において日本企業がどのような状況に置かれているかに焦点を当てております。そういった意味では、大変時宜にかなったテーマではないかと思っております。
トピックスの中身を若干御紹介いたしますと、まず、中国の輸入の伸びが鈍化する中で、アメリカ、EU以上に日本の落ち込みが大きくなっております。これは中国の内需の鈍化を反映して、中国向け輸出の約5割を占める「電気機器、一般機械」が落ち込んでいるためと分析をしております。また、中長期的に見ますと、「電気機器、一般機械」では、韓国などアジア地域が技術力の向上を背景に台頭し、「輸送機器類」ではドイツがブランド力を生かしてシェアを拡大させております。そういう中で日本のプレゼンスが伸び悩んでおり、中国市場における戦略の立て直しが日本企業の課題となっている。そういう内容が含まれております。
私も中国のマーケットについて、ずっと日本企業の担当として中国に駐在している方と先日、お話をする機会がありましたが、やはり中国の富裕層は相当広がっていて、こうしたところの購買力は非常に高い。特に、中国の人たちはブランド志向があって、この中でもありましたドイツの車が輸出を伸ばしているというのは、ブランド力にひかれている分もあるのだろうと思います。そういった意味では、やはり日本のブランド力を高めていくこと、日本再生戦略の中でも、どうブランドをつくっていくか、そしてまたブランドを高めていくかということは、成長戦略にとって非常に大きな課題の一つでありますけれども、中国市場などで日本企業、日本の商品の販路を拡大するという意味では、これからはブランド力をどう高めるかということも一つの大きな焦点ではないかと思います。
そうしたことも今回のレポートから垣間見られるのではないかと思いますので、是非皆さんにもご覧いただければと思っております。
私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)月例経済報告についてお伺いいたします。今回、中国、欧州、米国もそうですけれども、世界経済についても下方修正されるなど、非常に海外の経済が悪くなっていて、それに伴って日本の輸出、生産も悪くなっているということだと思います。この流れが今後も多分続くと思いますが、大臣、今言われたように、緩やかな回復は、今後も続くと見られているということですが、海外のこういう悪い状況をカバーしてさえも、そういう今後もいい状況が日本は続いていける、内需がカバーしているとお考えでしょうか。
(答)指標を見ていただければわかりますが、内需はかなり強い動きを示しております。輸出関連の生産が減っているなど、そういうところはありますけれども、個人消費は引き続き緩やかな増加傾向にありますし、設備投資等も前年比プラスが見込まれております。また、復興需要等による公共投資が堅調に推移しております。そういった意味では、内需は、1~3月期に比べると4~6月期は、1~3月期が高かった分だけ少しスピードが緩んでいるというところはございますけれども、私は、内需の回復の動きは顕著だと思っておりますので、その動きをしっかりと続けていく。今、復興需要が中心でありますけれども、民需主導の成長路線に乗せていく、こうした取組をやっていくことは非常に大事だと。もちろん、海外経済のそういうさらなる下振れリスクはあるわけですから、そういうものは十分注視していかなければいけないと思いますが、内需については、私は底堅いと考えております。
(問)月例経済報告について、お伺いさせていただきます。そうすると、今回の下方修正は、大きなトレンド転換というよりは、一時的な減速というのが大臣の御認識ではあるということでよろしいでしょうか。
(答)内需に関して言えば、引き続き回復のトレンドは続いている。しかし、外需要因のブレーキが少しかかっていることによって、スピード感が少し緩まっている状況であると見ております。
(問)エネルギー・環境戦略についてお伺いしたいのですが、電源構成、中長期の目標を設定した場合に、ロードマップというのは必要だとお考えかどうかという点をまずお伺いしたいのですが。つまり、今年度、来年度、再来年度の目標をセットするかどうかということで、短期的なマクロ経済の影響は大きく異なると思います。その場合、家計部門や企業部門のコスト増を通じた影響があるかどうかというのは、改めて示した上での議論が必要になるのではないかと思うのですが、そうした短期的な工程表というのが必要かどうかという点について、大臣の今の御認識、お考えをお聞かせいただけますか。
(答)どのような形で戦略をまとめるか、戦略の後にはエネルギー基本計画もございます。どういう形でどの場面でどういう方向性を示していくかは、これから検討するところでございますので、今の時点で予断を持ってコメントするということは差し控えさせていただきたいと思います。
(問)中長期のエネルギー戦略について、法制化や閣議決定というのは必要かどうかという点について大臣のお考えをお聞かせください。
(答)日本再生戦略も閣議決定いたしているわけですから、少なくとも閣議決定はするつもりでおります。ですから、それ以上のことについては、まさにこれから戦略を決めていく中で考えていくことではないかと思っておりますので、閣議決定は当然行うものと考えております。
(問)2点あります。1つ目は、前回の閣議後会見でも、大臣はできるだけ早く原発をゼロにというような話があったと思うのですけれども、ゼロにする時期などについて目安や目標など何かお考えがあれば、お願いします。
(答)まさに今、国民的な議論の総括を行っているところでございまして、そういうものも踏まえて最終的に戦略をまとめていく。その中でどのような戦略にしていくかということを考えることだと思っております。
(問)もう一点は、パブコメや意見聴取会のアンケートなどでは、大多数の方が原発依存度ゼロを支持しています。一方で、昨日の検証会合などでは、意見の理屈は参考になるけれども、数字は参考にならないのではないかという意見等もありました。大臣はこのパブコメやアンケートの支持率、数字についてはどういうふうにお考えですか。
(答)当初から、検証を行う前から、定性・定量、両面から評価・検証しなければいけないと思っています。したがって、もちろん支持率は定量という意味では一つの大きなメルクマールだと思いますけれども、それだけではなくて、定性的なものもやはり考えていく。最終的にはそうしたものを総合的に評価して考えるということ、この検証会合の2回でも先生方から言われたのは、こういうことで聞くのはいいけれども、最後はやはり政治がきちんと責任を持って決める話だというお話がございます。私もそのとおりだと思います。そういった意味では、定性的・定量的なものをそれぞれどちらもそれは重く受けとめた上で、最終的には総合的に勘案をして、政治が責任を持って判断を示すということだと思っています。
(問)エネルギー・環境戦略なのですが、先ほど少なくとも閣議決定はするつもりとおっしゃいましたが、中長期に至る話だと思うので、中長期にわたって実効性を担保する必要があるかと思うのですが、大臣はそういう中長期に担保する必要はあるとお考えですか、何らかの仕組みをつくって。
(答)閣議決定した以上は、それを覆さない限りはその閣議決定は生きていくわけですから、将来に向けてもそれを実行していくことを担保しているものだと思っています。
(問)大臣は常々、政権交代ができる国会になっているとおっしゃいますけれども、次あるかどうかわからないですけれども、政権交代を経たとしても、それは実行されるとお考えですか。
(答)閣議決定は、政権交代が起きたら、その前政権までに行った閣議決定が全部白紙になるということはありません。これは他の政権であっても、閣議決定したものは、それを覆さない限りはその閣議決定は生きておりますので、閣議決定というものは、拘束力はあるものと考えております。
(問)先ほど、国民的議論の件で、定性・定量、両面重要だと大臣はおっしゃられましたけれども、以前、大臣から、多くの国民と原発を早くなくす社会にしていきたいというところで意見を共有しているというお話がありまして、今回の検証会合の総括において、そういった国民が原発のない社会を望んでいるといったようなことが盛り込まれない可能性というのはあるのでしょうか。
(答)今日の夕方、検証会合でお示ししますので、お待ちください。

(以上)