古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年7月31日

(平成24年7月31日(火) 10:12~10:40  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

おはようございます。
本日は第1回の宇宙政策委員会が8時から官邸で開催されましたので、御報告をさせていただきます。
今日の委員会におきまして、こちらにお座りの葛西委員が委員長に選任をされましたので御紹介をさせていただきます。
本日は、主な議題といたしまして、宇宙政策委員会の今後の進め方についてと平成25年度宇宙開発利用に関する経費の見積りの方針について御審議をいただきました。
宇宙政策委員会の今後の進め方については、今年度、主に平成25年度宇宙開発利用に関する経費の見積りの方針についてと新たな宇宙基本計画の策定に向けて審議を行っていただくこととしております。特に、宇宙基本計画につきましては、現行の計画が平成21年度から平成25年度までの5年計画として策定されておりますが、今般、宇宙開発利用の体制が新たに発足したことに加え、JAXAの中期目標が平成20年度から平成24年度までの5年計画であり、今年度が最終年度であることから、今年度内に新たな宇宙基本計画を策定し、この新たな基本計画に基づき、JAXAの中期目標を策定することが必要と考えております。
次に、平成25年度宇宙開発利用に関する経費の見積りの方針につきまして、今後の宇宙政策は、新技術の獲得一辺倒から脱し、宇宙産業が将来の我が国経済を支える国際競争力のある産業となるための取組や、国民生活の質の向上等に資するような取組が求められているため、これらのバランスをとりながら推進していくことが重要であると考えております。
また、厳しい財政状況の中で宇宙政策を戦略的に実施するためには、施策の重点化や効率化を進めることが不可欠であります。このような観点から、25年度概算要求前までに内閣府として宇宙開発事業に関する経費の見積方針を公表したいと考えておりまして、そのために必要な御審議をしていただくことといたしております。今後、宇宙政策委員会におきまして積極的な調査審議をいただくことを期待いたしております。
私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)2点お願いします。
 今日審議のあった来年度の経費の見積り方針ということですけれども、これについてどのような議論がありましたでしょうか、これを1点お聞かせください。
 もう1点、今の御発言にも関わるのですが、宇宙基本計画を新たにつくるということですが、いただいた書類の中で、現行の計画を策定した当時とは状況が異なってきているという記述があるのですけれども、これは、何がどのように変わってきたのでこれから新しいものをつくるのかということをもう少し教えていただければと思います。
(葛西委員長)宇宙政策委員会の委員長に選出されました葛西でございます。
まず、経費の見積り方針についてでありますが、様々な意見が委員から出されました。主な意見を御紹介申し上げます。
一つは、重複や無駄を排除して、実利用を中心に進めていくことが宇宙基本法の基本理念だと思う。そして、自国でロケットを有して自立的な輸送系の技術を保有していくことが大事だ、次期輸送系の戦略はしっかり検討してもらいたいというのが一つございました。
あとは、何をやるかに加えて、どのようにやるかと、「どう」という視点が大事である、それはコストにも関わってくることでございます。自立分散型でいくのか、ヘッドクォーター型でいくのかなど戦略的に検討していくべきではないかという議論もありました。
また、25年度の経費の見積もり方針と宇宙基本計画の見直しをできる限り整合的に進めていくべきであるという議論もありました。
あるいは、現行基本計画の中で各事業の進捗状況をよく評価し、25年度見積り方針を作成すべきである、国際的・国内的情勢が変わってきている中で、宇宙基本計画の見直しは正に今必要な時期になっているという議論がございました。
もう一つ、宇宙基本計画の見直しや、企画調査部会の設置も重要だ。その中で部会の設置については輸送、有人・惑星探査、宇宙科学、リモセンなどにこだわらず、震災後の安心・安全対策、エネルギー対策なども視野に産業を検討対象にした部会を設置していくべきだという議論がありました。
宇宙開発は長期にわたるもので、人材の育成が大切であり、小中学生も含めた対応を検討すべきだ、また、企画調査部会で宇宙だけに閉じてしまうのではなく、エネルギー・環境問題などより広い問題の土俵の中でそれを位置づけて調査を進めるべきだ、あるいは情報を収集するだけでなく分析が必要であり、情報の収集には政府・民間の協力が不可欠なので、その点をお願いしたい、国家戦略としての宇宙と総理から言われましたので、幅広い議論を進めるとともに、国家戦略として重複しない形でその宇宙政策を進めていくべきであるというご意見がございました。
(答)2点目の宇宙基本計画のお話でございますけれども、アメリカなども宇宙政策をその後変更し、あるいは国際状況の変化もございます。また、国内においては、昨年、東日本大震災が起きたりなど、内外の変化に即応して今回見直しをするということであります。
(問)古川大臣にお伺いしたいのですが、今回、この政策委員会が初めて開かれて、もともと宇宙政策の縦割りをなくして一元化していこうという思いがあったと思うのですが、改めて設置した思いなどのメッセージをお聞かせください。
(答)もともとこの宇宙の体制については、宇宙基本法自体が議員立法でできております。野田総理がその中心的な役割を果たされたわけでありますが、もともと、宇宙が縦割りで、各省庁がばらばらに行動しているのではないかという思いから、やはり政治主導で一元的に宇宙政策を行っていく体制をつくっていかねばいけないということで、宇宙基本法が議員立法で制定されたところに原点があったところです。その宇宙基本法の中に司令塔をつくるべし、そういう御指示があって、それに基づいて、少し時間がかかってしまいましたけれども、今回こういう形で新たな司令塔が発足したわけでありまして、まさに基本法の趣旨をきちんと実現をしていくことが極めて重要なことだと思っております。
(問)基本計画の見直し等や、来年度予算の見積りも含めて、かなり幅広にわたるのだと思うのですけれども、このメンバーだけで審議をするということでしょうか、政策委員会の下につくる企画調査部会やその他の部会はそこから関わってくるのでしょうか。
(答)葛西委員長のもとで委員会の皆さんが中心になって御議論いただき決めていただくことだと思っております。
(問)今日いただきました資料を見ますと、企画調査部会に関しては設置するとなっていますけども、宇宙、輸送、有人、その他ですけれども、必要に応じてとなっていますけれども、これは企画調査部会だけを設置することを決めたということでしょうか。
(葛西委員長)部会は随時必要に応じてつくっていきますが、今日は時間の急ぐものとして企画調査部会をまず立ち上げたということであります。
(問)議事の運営に関してなのですけども、原則非公開ということを運営規則に書かれましたけども、この理由について教えてください。
(答)従来から、宇宙開発利用の戦略については、外交・安全保障や国際戦略などを踏まえて本質的かつ自由闊達な議論を行っていただくということでありますから、議事自体については非公開とさせていただきますけれども、その内容についてはブリーフィングや、また議事録をつくっていくなど、そういう形できちんとお示しをするものは示していきたいということでやらせていただきたいと思っております。
(問)関連なのですけれども、運営規則を読みますと、議事録を作成し、一定期間を経過した後で公表するとありますけれども、これは一定期間がどのくらいかということと、委員の発言については記名で御公表されるということでしょうか。
(答)基本的には、できるだけ速やかにだと思っております。各委員の皆さん方に御自分の発言でございますので確認をしていただいて、その確認を踏まえて公表させていただくということであります。
(問)記名でですね。
(答)基本的にはそうだと思います。
(葛西委員長)基本的には、他の委員会等が行っているのと同じように、今、大臣言われましたが、本人に発言内容を確認してもらわなければいけませんから、内容をきちんと本人に、「私の言いたかったことはこういうことです」ということは確認する時間が要ると思います。それから、議事の内容については、誰が何を言ったかということよりも、会議としてどういう議論が出て、どういうふうにまとめられたかというところが大事なので、私は記名にすべきでないと考えております。
(問)大臣と委員長とで意見が分かれていらっしゃいますけれども、どういうふうに結論づけられるのでしょうか。
(答)議事録については、委員長ともお話しさせていただきたいと思いますけれども、これは委員の皆さん方の御了解も得た上で、発言者についてはお示しをしていく方向で考えたいと思っています。
(問)昨日決まった日本再生戦略についてお伺いします。
予算要求の関係で、昨日、前原大臣が、日本再生戦略に関わるものについては積極的に財源を捻出していくようにというような趣旨を財務当局に言って、党も応援していこうという姿勢を示されたと思うのですが、このことについての大臣のまず御所感をいただきたいのと、もう一つが、党がかなり積極的にこの日本再生戦略の概算要求基準の方針、そういうものの策定に関わっていきたいという意向があるようなのですが、3重点分野、ライフやグリーン、農林漁業、その農林漁業は民主党の意向がかなりあって入ったという経緯もあって、その三つの分野の中でも、党が農林漁業により配分したいなど、そういう意向が今後働いていく可能性があるのか、そこら辺について教えてください。
(答)予算編成は、政府・与党が一体となって行うべきものだと考えております。今回の日本再生戦略取りまとめの議論の中でも、与党の皆さんともしっかり議論させていただいてまとめさせていただいたわけでございます。今後とも与党の皆さんと一体となって来年度予算編成に向けて歩を進めていきたいと考えております。
(問)日本再生戦略が決まったという節目ですので、中長期的なビジョンとしてお伺いしたいのですが、国家戦略室の位置づけについて、昨日、総理からも、国家戦略会議を今後も軸にというお話があったと思いますけれども、どのように今お考えかということと、今の体制として、この年末まで、またグリーン成長大綱もありますけれども、このままの体制でいかれるとお考えなのか、それとも、人的な拡充なりが必要だとお考えなのか、お願いいたします。
(答)今、質問の中に国家戦略室と国家戦略会議両方がまざっていたのですが。
(問)国家戦略室の体制の話をお願い致します。
(答)国家戦略室については、官民の両方から来ていただいて皆さん方が、それぞれ別々にではなくて一体的に仕事をしていただいております。今回の日本再生戦略などでも、両方の皆さんが一緒になってやったわけであります。国家戦略室は、これまでの従来の行政組織と違ってプロジェクトチーム方式で様々な課題に対して対応していくという新しい取組の仕方をいたしております。
例えば、グリーン成長戦略も、プロジェクトチームを作って、国家戦略室のメンバーが中心になりますけれども、それだけではなくて、他省庁のメンバーも入れたり、必要に応じて外の人たちのサポートも借りたり、そういう閉ざされた仕事のやり方ではなくて、開かれた形で内外のいろいろな知見を集めていくというやり方をしています。
私は、国家戦略室の試みというのは、もともと最初の国家戦略室のときから、ここでの行政のやり方が新しい行政のやり方を試行していく、行政のイノベーションを実現する、そういう場だと考えて取り組んでまいっております。例えば科学技術の分野、グリーンイノベーションの分野については、科学技術部局と一体的に行動を行っていくことで運営をして、また、國酒プロジェクトなども他省庁や、あるいは外の人なども巻き込んで検討していくという形で運営をしてきております。
ですから、国家戦略室のメンバーに期待していることは、そういうプロジェクトチームを組成して、様々な人たちをうまくマネジメントしていく能力というものを期待しているわけでございまして、今後ともそうした国家戦略室チームのメンバーの役割は、そうした形で続いていくと思っています。
そういった意味では、どれだけいろいろな国家戦略室のメンバーが中心になってプロジェクトチームを立ち上げるかというところと関わってくると思いますが、まずは今のところは、これまではかなりのメンバーが日本再生戦略策定の調整に向けてエネルギーを使っておりましたので、今回はまとまって、いよいよ実行していく段階になってくるわけでありますから、実行をきちんとフォローしていく、そしてチェックをしていく、そういう体制に向けて、今のメンバーの中でのチーム編成というものは、基本的にそういうものを考えていきたいと思っております。また、日本再生戦略を着実に実行していくために必要な人材の補強が必要になれば、必要に応じて補強もしていきたいと考えております。
(問)エネルギー政策の件でお伺いしたいと思いますが、原発比率の三つの選択肢と、核燃料サイクルの今後の方向性も幾つか選択肢を出して、今、国民的議論をされていると思いますが、古川大臣の中では、御自身が選ぶとしたら、これだというのはもうお考えとして固まっていらっしゃるのでしょうか。
(答)今取りまとめの段階でございますので、私個人の意見を述べるのは差し控えさせていただきたいと思っております。
(問)昨日の国家戦略会議で、同友会の長谷川代表幹事から、原発ゼロの表明をするのは時期尚早ではないかという御意見が出たと伺っておりますけれども、この御意見について古川大臣はどうお考えになりますか。
(答)そういう御意見があられる方もいらっしゃることは承知はいたしておりますので、今回、長谷川委員からそういう御意見をいただいたと承っております。
(問)特に日本再生戦略を実現するには経済界の力というのは無視できないものがあると思うのですけれども、そういう意味で、この経済界の発言は、ある意味、重視されるお考えでしょうか。
(答)経済界といいますか、私は、長谷川さん個人としての御意見を述べたものだと認識をいたしております。
(問)話題は変わるのですけれども、野党時代から古川大臣が取り組まれてきた新しい年金制度のことで一言お伺いしたいと思います。
一体改革の関連法案が通った後に、社会保障制度について国民会議で1年議論するとなっておりますけれども、特別委員会の議論を聞く限りは、この年金について3党合意した自民や公明と民主の間で必ずしも意見が一致しているとは思えないのですけれども、今後どのような形でこの年金制度のあり方というのを決めていくべきだとお考えでしょうか。
(答)従来から何度も申し上げておりますけれども、もともと年金制度のような長期にわたるもの、年金制度だけではなくて、やはり社会保障制度全体に言えるかと思いますけれども、こういうものは安定というものが必要であります。したがって、大きな変更をするというのは、党派を超えて合意を形成して、そして実行に移していくことが非常に大事なことだと思っています。ですから、民主党の年金改革案は、スウェーデンの年金改革案をベースにしたものでありますけれども、それは形だけではなくて、スウェーデンが行った年金改革の議論のあり方、そして実行のあり方も取り入れていくべきだということは、一番最初に年金改革をまとめたときから、今回のような国民会議という名前ではなくて、当時は改革協議会だったと思いますけれども、法案の中に盛り込んでありました。
スウェーデンの歴史を振り返ってみますと、この年金改革の議論で党派、与野党の対立で何度も選挙の争点になったりして、結局、制度は変わらないのだけれども、党派対立だけで時間だけ費やすということがかなり続いて、そういうものを踏まえて、お互いに同じテーブルについて議論しようということになって、90年代に入って超党派のテーブルをつくって、そこにその分野の専門家の人たちが集まって、スウェーデンの場合は7年近い議論の期間をかけたのだと思いますが、そうした時間をかけてまとまったのが今の新しいスウェーデンの年金制度で、その議論の途中で政権交代があったわけでありますけれども、政権交代をした政権も、このまとまった年金制度を実行に移すということで、1999年から新しい年金制度に移行して、今スウェーデンも、移行期間20年ぐらいやっていますからまだ移行期間中だと思います。そういった意味では、年金制度の議論はそれぞれの党派が意見を持っていても、最終的には党派を超えた合意をつくっていくことが重要であって、そうした議論が是非この国民会議のもとで行われることを期待したいと思いますし、私も是非そうした議論にできるなら参加をしていきたいと思っております。
(問)エネルギー・環境戦略についてお尋ねします。
古川大臣は、もともと政府は8月中をめどに決定するということを目標にしていたと思うのですけれども、先週のテレビ番組の中で、古川大臣、期限は切っていないと発言されたことなどを受けて、一部報道では、政府が決定を先送りする方針を固めたというような報道も一部見られます。発言の真意がどうだったのか、それと8月という政府の目標に変化があるのかないのか、あるいは期限を決めずに国民的な議論を続けていくとすれば、どういった要因でもって、どこで区切りをつけていくのか、お考えをお願いします。
(答)期限を切ってはいないという発言はしていないと思います。その期限よりも大事なことは、きちんとこれからの議論や整理を国民の皆さん方にも納得していただけるような手順でやっていかなければいけないということです。ですから、今年の8月を目途に取りまとめたいと考えておりますけれども、最初からこの期限ありきで硬直的に進めるつもりではないということを申し上げたということであります。
(問)関連ですけど、8月中の決定には特にこだわらないと、国民に納得してもらうまで議論を続けたいという考えを示したものだととらえていいでしょうか。
(答)8月を目途に取りまとめたいと考えていますけれども、そこに向けてきちんと丁寧に説明責任を果たしていくようなやり方でやっていきたいということであります。
(問)目標自体は変わらないということでしょうか。
(答)8月を延期したなどを決めているわけではなくて、8月目途に目指していきたいと思っていますけれども、だからといって、例えばパブリックコメントをきちんと整理もしないでなど、そういうことはしませんということです。
(問)別の質問になるのですけども、先程国民会議の件で、古川大臣、できれば自分も参加したいという思いを述べられましたけども、3党で合意する過程で、その20人の委員については、国会議員も兼務することができるという形に変わったわけですけれども、昨日、輿石幹事長は記者会見の中で、委員は国会議員から人選せずに有識者らが議論することが望ましいという考えを示していらっしゃいます。これは党の意向だと思うのですけども、政府の一員として、これまで関わっていらっしゃった大臣として、どのようにお考えになりますでしょうか。
(答)私は政府の一員としてさっき申し上げたわけではなくて、これまで年金に関わってきた者として、個人として申し上げたわけであります。どういう形の人選にするかというのは、今回は3党合意の中で設置が決まった話ですから、法案が通れば、そのときにどういう人たちを人選するかというのを政党間で御議論いただいて決めていただくものだと思っております。
(問)宇宙の政策委員会のことでもう一つ追加でお願いします。
今日、先程までいらっしゃった葛西委員が委員長に選ばれたということなのですが、ここの資料にもありますけど、前の専門調査会でも座長を葛西委員がやっていらっしゃって、印象として、かつ議論も同じように非公開で進めるということなので、ぱっと見たところ、あまり法律的な枠組みが変わったということ以外、あまり変わらないような印象があるのですけれども、この専門調査会の議論とは中身的にはどこがどう変わっていくのかというのを教えていただきたいのですけど。
(答)専門調査会では、これまで議論されていたことを変えなければいけないという前提で議論するわけではないと思っております。これまでも様々な御議論をいただいてまいりました。その積み重ねというのは極めて重要なものだと思っております。今回、かなりのメンバーがこれまで議論していただいて、また、事務局長だった山川先生にも今回委員にお入りをいただいたということで、これまでの議論の積み重ねの上に司令塔としての体制をつくることが大事なことだと思っております。何か中身を変えるために器を変えたということではありませんので、これまでの議論の積み重ねを踏まえて、是非まとめていただきたいと考えております。

(以上)