古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年6月29日

(平成24年6月29日(金) 10:46~11:06  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

おはようございます。
今日はビートルズ記念日でございます。1966年6月29日にビートルズが初来日したことを記念して記念日になっているのですが、ビートルズといえば世代を超えて知らない人はいない大スターですけれども、こうしたスターが生まれると、その国の文化などもセットで伝わっていくことがあります。いわばスターの生まれる、ソフトパワーとも言っていいと思うのですが、最近よく日本でも韓流スターブームで、ここにいる女性の皆さんは韓流スターがお好きな方もいらっしゃるかもしれませんが、こういう人たちが世界で知られると、それに伴ってそういう人が宣伝をする商品が売れたりなどして、先日もちょっとある方から伺いましたら、ベトナムあたりでは大変韓国の化粧品がよく売れる。なぜかというと、ベトナムでも、韓国ドラマや映画などに出ている有名な女優さんが宣伝をしている。ところが、日本の化粧品会社の宣伝している女優さんは有名ではないので、やはりそういうところで人気に差が出るという話も聞いたことがあります。そういった意味では、韓国などはグローバルマーケティングの視点から、韓流スターを初め、文化を外に出していくことに伴ってビジネスも後についていく形で展開する。そうしたことを積極的に国としても行っているようでありますけれども、我が国においても、今、私のもとで日本再生戦略、成長戦略を中心とした取りまとめを行っておりますけれども、こうした文化の力も非常に重要だと思っております。
先日の日曜日に、私の友人でもあります別所哲也さんが14年前に始めて、今回14回目になったショートショートフィルムフェスティバルの授賞式に参加をさせていただきましたけれども、映画などもそういった意味では大きな力を持っていると思います。今後、日本再生戦略をまとめていく中では、そうしたソフトパワーというものを日本の成長戦略に位置づける、一つの大きなツールとして考えていきたいと思っております。
私から2点御報告をさせていただきたいと思います。
まず1点目は、今日の17時からエネルギー・環境会議を開催いたします。
これまでの総合資源エネルギー調査会、原子力委員会及び中央環境審議会の議論とともに、6月8日のエネルギー・環境会議で取りまとめた選択肢に関する中間的整理を踏まえ、本日、エネルギー・環境戦略に関する選択肢を決定いたします。この選択肢を踏まえまして、7月から国民的議論を開始し、8月を目途に革新的エネルギー・環境戦略を取りまとめる予定であります。
もう一点、幸福度研究について申し上げます。
昨日、中川大臣部局でございますけれども、平成23年度の国民生活選好度調査が公表され、その中で、個人の幸福感についての調査結果も公表をされました。結果は、個人の幸福感について10段階の平均値で見て6.41でありまして、2010年度の6.46と比べて大きな傾向の変化は見られませんでした。
こうした幸福度研究は、2年前の新成長戦略において掲げた新しい成長のあり方を考えるに当たっての基礎となるものであります。経済成長はそのこと自体が目的ではなくて、経済成長は国民の幸福度を高める、質的なものを目指していかなければいけない。量だけではなくて、質を伴った成長を目指していく観点から幸福度の研究も行ってきております。
日本版の幸福度指標の構築につきましては、昨年末に公表いたしました幸福度指標試案を受けまして、経済社会総合研究所におきまして、生活の質に関する調査を実施し、結果を4月に、幸福度に関する研究会に報告・公表したところであります。現在、調査データにつき精査・解析を行っておりまして、その結果に基づいてさらに改善した形で本年度も調査を実施していく予定であります。
また、国際的連携につきましても、10月にはインドにおいて幸福度測定の世界中の関係者が一堂に会する統計、知識及び政策に関する第4回OECD世界フォーラムが開催されることになっておりまして、昨年、アジア・太平洋地域会合を主催した我が国からも積極的に参画し、調査研究の成果を世界と共有をしてまいりたいと思っております。
今後ともこうした形で国際機関及び各国政府とも連携をしながら、日本版の幸福度指標の構築に向けて着実に研究を進めてまいりたいと思っております。そのことによって、単に量的な成長だけではなくて、国民の幸福度の向上につながる新しい成長を目指してまいりたいと考えております。
私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)昨日、小沢元代表が輿石幹事長とお会いした際に、先般、衆議院で通過しました一体改革の法案について撤回するように求めたということですけれども、この件について、小沢元代表が撤回を求めたことについてどのようにお考えでしょうか。
(答)政府・与党として手続を経て決定をして、国会でも長きにわたる時間、審議を行って、今、ねじれ国会の中で成立をさせるためには、野党も含めた合意が必要だということで3党協議の合意を経て、衆議院で可決したものであります。この決めたことをしっかりと実行していくことが大事なことだと思っております。
(問)輿石幹事長は、小沢元代表を説得するに当たって、参議院での再修正の必要性についても触れられておりますが、再修正する必要はあるとお考えですか。
(答)輿石幹事長のコメントを正確には承知をいたしておりませんので、どういうふうに幹事長が言われたかについては、コメントは差し控えさせていただきたいと思っています。
(問)コメントとは別に、参議院で再修正をする必要があるかどうかについてはどのようにお考えでしょうか。
(答)衆議院で3党合意の中で可決したものであります。また参議院において審議が行われるものであると思いますので、基本的にはそれに従って議論がされるべきものだと思っております。
(問)最後1点です。昨日、前原政調会長が、増税する際には、半年前に判断をするのだけれども、補正のタイミングを含めてしっかり政府と連携してまとめたいとお話をされておりましたが、今、政調会長との間では何か具体的に話をされているのかどうか、お願いいたします。
(答)政調会長と具体的な話はいたしておりませんが、従来から申し上げているように、消費税の引上げをお願いする前の2年間、経済再生に専念をしていくためには、まずは一日も早いデフレ脱却を実現する。それに向けて総合的な政策パッケージをつくっていく。そうした検討を今も行っているところでありますから、そうした取組をしっかり行っていく。その中には、必要があれば、様々な経済対策も含めてとっていくことも当然含まれるものと考えております。
(問)今の消費増税法案の関連なのですけれども、民主党から反対票を投じた方が57人出たことで、今後の政権運営や参議院の審議への影響はどういうふうにご覧になっていますか。
(答)今、代表、幹事長のもとで規約に基づいた処分が考えられていると思いますので、代表、幹事長のそうした取組にお任せをしたいと思っております。
(問)衆議院を通過しましたけれども、前の総理大臣、鳩山議員も反対票を投じられました。その中で、やはりマニフェストで言っていないのに消費税を上げるのは公約違反だという根本的な議論、批判があったと思うのですが、大臣はこれについてどう思われますか。
(答)従来から総理を初め皆さん御説明されてきたかと思うのですが、今、ギリシャの危機以降、欧州で起きている政府債務危機は、政権交代のときにはそうした状況というものはまだ存在していなかったわけであります。政権交代後、ギリシャ危機をきっかけとして欧州の政府債務危機が、様々な金融不安や世界経済を非常に不安定な状況に陥れているわけでありますけれども、このギリシャ危機をきっかけにして、世界のマーケットで、政府の公的債務に対する見方は非常に厳しくなってきている。この点について、きちんと財政をグリップしている姿をしっかり見せていくことは、財政政策において、必要に応じて、今も日本は積極財政をとっているわけでありますけれども、必要なときにきちんと財政政策が打てるためにも財政に対する信認をきちんと確保していくことが極めて重要になってきているわけであります。こうした状況は、総選挙後の新たな直面した状況の中で起きているわけでありまして、我が国の膨大な財政赤字を抱えている状況は、大変厳しい目で世界からも見られているわけであります。これについては、日本が財政健全化に向けてしっかりとその足どりをとっていく姿を示していくことは、重要なことであって、そうした状況も踏まえて2年前に財政運営戦略をまとめたわけであります。  その中でも、今後とも財政の中で増え続けていくところは、やはり高齢化に伴って増えていく社会保障費であります。しかも、その社会保障費について、今でも多くを借金に頼っている状況では、社会保障制度に対する持続可能性に対して懸念を持たれるだけではなくて、財政そのものの持続可能性に対しても懸念を持たれる恐れがある。そうした観点から、社会保障の財源をしっかりと安定をさせていくと同時に、財政の健全化も図っていく。こうした視点から財政運営戦略をまとめ、その考え方に基づいて社会保障と税の一体改革の取組を行っているわけであります。このような総選挙後に新たに直面している状況に応じてしっかり対応していくのは、その時々の政権を担っている者として、大事なことであると考えております。
(問)ギリシャ問題が発生してヨーロッパがおかしくなっていますけれども、そのため日本国債が暴落したりなどはせず、むしろ逆のことになっているわけであって、それをもって消費税の引上げを合理化するのは理由にならないのではないですか。
(答)今申し上げましたが、財政運営戦略のもとで、財政に対する信用を確保するために、きちんとやっていかなければいけないということであります。しかも、暴落をしていないからという話がありますが、暴落をしてから、ほら見たことかということは、あってはいけない話でありまして、万が一にもそういうことがないような状況を作っていかなければいけないというのは、政権にある者としての責務だと思います。そのことは今ヨーロッパ諸国も、そうした状況を起こさないために必死に努力をしているわけでありまして、こうした姿勢は、各国政府に求められる責任ある態度ではないかと思っております。
(問)大臣の考え方は、マニフェストに違反しても、その後のギリシャ問題で事情の変更があったから許されると、そういうことですか。
(答)常に政権にある者は、その新しい状況に対応していかなければいけません。選挙のときにはそういう状況にはなかったわけでありますけれども、しかし、その後に生まれてきた状況の中では、以前以上に財政に対する信認、厳しい目がマーケットから示されている。こうしたことに対しては、対応していくのが責任ある政府の対応であると考えているところであります。
(問)それが消費税の引上げだというのは、違うのではないですか。いろいろな方法があるわけでしょう。
(答)どういう方法があるのですか。
(問)それは、あなたが考えることでしょう。
(答)私どもはそう考えてやっているということであります。
(問)マニフェストでやらないと言って選挙をやって政権与党になって、日本の円が暴落したり、国債が暴落するという事態とは、全く反対の方向になっているにもかかわらず消費税を上げられたのでは、選挙民としてはマニフェストって一体何なのだと、これは究極の裏切りだと思うのですよ。それに対して、経済の事情が変わったからだという程度の理由で、消費税の引上げを合理化するのは政治家の発言として本当にいかがなのですか。
(答)御意見として受けます。
(問)そういうことではなくて、大臣の政治家としてのマニフェストとの矛盾をどう考えるかということをもうちょっと真正面から答えていただけませんか。
(答)今もお答えしたとおりでありまして、マニフェストをまとめた時点で考えていた状況とは違う状況が起きている中でやっていかなければいけないということでやっているわけであります。もちろんそこのところについて、マニフェストの中で消費税を上げるなどを示していなかったことについては、謙虚に反省をしていかなければいけないと思っておりますが、しかし、その後に起きている状況の中で、こうした暴落していないのだから、金利が下がっているのだからそんなことはあり得ないのだと、そういうことはやはり、責任ある態度とは言えない。そうした状況を起こさないためには、しっかり経済成長と同時に財政の健全化を車の両輪としてやっていかなければいけないと考えているということであります。
(問)一体改革の採決の関係に話戻るのですが、先ほど、処分については今、総理と幹事長で検討されていますが、率直に、反対された方の中で、離党する、離党を検討している動きが党内から出ていることについて、大臣、どのような感想をお持ちかということと、今、幹事長が小沢元代表と会談したりして、分裂回避に向けていろいろ努力されていますが、それを一民主党員としてどのように見ていらっしゃるか。
(答)私どもみんな一緒に政権交代を目指して頑張ってきたわけであります。政権交代後も、今も申し上げたように、様々な予期していなかった状況などが起きてきた。あるいは考えていても、なかなかうまくいかない状況もありながらも、しかし、一つ一つやれることをやっていこうということで努力をしてきたわけであります。  例えば、7月1日から始まる固定価格買取制度も、マニフェストの中で実現をしていこうということを書いて、そして、時間はかかりましたけれども、ようやく実現にこぎつけて、7月1日からいよいよスタートする。ですから、すべてができているわけではありませんが、しかし、できたこともいくつもあるのですね。私たちみんな一緒になって努力をしてきた。もちろんそれは不十分なところはあると思います。しかし、引き続き努力をして、一つでも二つでも実現をしていくために努力をしていくことが、まだ今私たちには求められるのではないかと思います。そうした努力を是非私は意識を共有して一緒にやっていきたいなと思っております。
(問)話は変わりますけれども、國酒の関係で、日本酒を総理にお渡しになると聞いたのですけれども、これはもう既にお渡しになったのですか。
(答)ええ、昨日渡しました。
(問)総理の御反応など教えていただければと。
(答)「ありがとうございます」というお礼の話だけです。

(以上)