古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年5月17日

(平成24年5月17日(木) 9:24~9:39  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

おはようございます。まず、私から御報告申し上げます。
本日発表いたしました2012年1-3月期のGDP速報では、実質成長率が前期比プラス1%、年率では4.1%であります。名目成長率が前期比プラス1.0%、年率4.1%となりました。実質成長率は比較的高い成長となりました。特に個人消費につきましては、前期比プラス1.1%と、震災後の反動があった昨年7-9月を除けば、2年ぶりの高い伸びとなりました。また、2011年度の実質GDP成長率は前年度比マイナス0.0%となりました。
1-3月期のプラス成長の背景には、復興需要やエコカー補助金といった政策効果が内需の押し上げに寄与したことに加え、タイの洪水の影響からの反動や米国経済の回復等により、輸出が復調してきたことなどがあります。また、所得環境の底堅さが消費の伸びを支えていると見られます。このように我が国の景気は上向きの動きが続いております。
4-6月期以降につきましても、復興需要が景気を下支えすることから、緩やかな成長が続くと見込まれております。ただし、欧州政府債務危機の再燃等のリスク要因には留意する必要があります。また、やや長い目で経済の持続的な成長を実現していくためには、復興需要から民間需要主導の経済への円滑な移行を図っていくことが重要でありまして、引き続きそうした政策努力を続けてまいりたいと考えています。
このような認識のもと、政府はまず平成23年度補正予算及び平成24年度予算を着実に実行するとともに、閣僚級のデフレ脱却等経済状況検討会議を通じて、デフレ脱却と経済活性化に向け、生産、分配、支出にわたる経済の好循環を制約している構造問題にしっかり対処してまいりたいと考えております。
私からは以上です。

2.質疑応答

(問)年度のほうでお伺いしたいのですけれども、実質でマイナス0.0%、名目でマイナス1.9%という結果が出ております。民主党政権は2020年度までの平均で名目3%、実質2%という目標を掲げられておられますけれども、その1年目の数字として、この数字をどう評価されていますでしょうか。
(答)昨年は震災もございました。そういう中での数字だと思っております。私どもとしてはこれまで、2020年度までの名目3%、実質2%、この成長の実現に向けて新成長戦略を再編、強化した日本再生のための基本戦略、そして今策定をいたしております日本再生戦略、この早期の実現を行うことによって、新成長戦略以来目指しております数字の実現に全力を挙げてまいりたいと考えております。
(問)今回の数字でも設備投資や住宅はかなり弱く出ておりますけれども、おっしゃるような復興需要から民需主導の経済成長が本当にできるのかどうかというところをどのように御覧になっていますでしょうか。
(答)先日、仙台の東北大学のメディカル・メガバンク構想のお話を伺ってまいりました。これなどもライフイノベーション、その中の医療イノベーションの実現のための一つの大きな取組として、さきの日本再生の基本戦略の中、被災地復興の過程で新成長戦略にて目指しております新しい成長の形、それを被災地において先駆的に取り組んでいく、そうした取組の一つを見学してまいりました。被災地復興の過程では、このメディカル・メガバンク構想に限らず、新成長戦略で目指そうとしてきた様々なこと、また総合特区の制度もさらに復興特区については深掘りをして、5年間法人税を実質免除するような特区なども設置をして、この成長戦略で実現していきたい施策を先取りして取り組んでおります。 そういった意味では、この復興の過程の中で、こうした被災地において新成長戦略で実現をしようとしてきております施策が実現をしていく、これは今後の日本全体の民需主導の成長にもつながってまいると思いますし、また新成長戦略のフォローアップの中で当初の予定した効果が既に発現しているものについては1割程度でございましたけれども、しっかり予定どおり着手をしているというものについては、これは6割あったわけであります。まだその効果がしっかり発現をしていないというものについて、それが5割程度あったわけでありますから、正にこれからその効果を発現させていくことをきちんとフォローアップしていくことが大事だと思っております。 特に総合特区などの制度については、指定が済んで、そして今実際に動き始めようとしておりますから、さきの総理の指示でも、その特区に指定されたところと国との間で協議がまだ滞っているところについては、5月半ばまでにこの結論を出すようにと御指示もいただきました。総理の御指示に従って、一日も早く結論を出す努力をしておりますけれども、こうしたこともスピードを上げて行っていくことによって、この特区などの取組も実際に進み出していく状況を生んでまいりたいと思います。こうしたことを着実にやっていくことが、復興需要から民需主導の成長へとつながっていくものと考えております。
(問)最後にもう1点ですが、GDPデフレーターを年度で見ますと、2010年度と11年度は続けて過去最大幅のマイナス2%程度になっておりますけれども、デフレ脱却というものを掲げながら、実際2年続けてこういう数字になっているということをどのように評価されていますでしょうか。
(答)GDPデフレーターは、リーマンショック後にはプラスになったりしていることがありますので、必ずしもこれだけがデフレと直接結びついているという数字ではないということは御留意をいただきたいと思っておりますけれども、その上で、今まだマクロ的な需給ギャップについては、プラス成長によって縮小するものの、依然としてマイナスになっていると見込まれますので、物価下落が続いていると思っております。したがって、消費者物価などを含めて、物価動向にはしっかり注視してまいりたいと思っておりますが、現状、下落テンポは緩和してきている状況にはあるのではないかと思っておりますが、緩やかなデフレ状況にあるという認識は変わっておりません。こうしたデフレの状況から一日も早く脱却できるように、今、閣僚レベルのデフレ脱却等経済状況検討会議も行っておりますので、そうした取組を加速させてまいりたいと考えております。
(問)先行きについてお伺いします。先程、欧州債務危機の再燃の懸念などをおっしゃられたと思うのですが、さらに電力に関しての不安を挙げる向きというのも産業界のほうからも上がっていると思うのですが、先行きについての現状の認識を国内外を改めてもう一度教えていただきたいのが一つと、それに対してどのような政策努力を考えていらっしゃるのか、もう一度教えていただけますでしょうか。
(答)平成24年度の政府として掲げました経済見通しにつきましては、私どもとしては復興施策の効果が成長を下支えすることで、景気が緩やかな回復を続けるという経済見通しで見込んだ姿が実現していると考えております。また、4-6月期以降につきましても、復興施策の効果等によりまして、引き続きプラスの成長が続くと見ている民間機関が多いと承知をいたしております。 今、お話があったように、当然、欧州政府債務危機の再燃等を背景とした海外経済の下振れ等、そうした先行きリスクというものはございますので、しっかり注視しながら、景気の下振れの回避には万全を期してまいりたいと思っております。また、この夏のエネルギーの制約については、経済に与える影響を最小限にしていかなればいけないと思っています。今、エネルギー・環境会議におきましても、節電目標及び対策について検討しているところでありますが、そのときにも経済に対する影響を最小限にしていくように、しっかり配慮してまいりたいと思っておりますし、また、むしろこのエネルギーの制約が新しいグリーン成長に結びつくようなこともこの機会に是非対策として検討を進めていきたいと考えております。
(問)今回の速報については、大臣も先程復興需要やエコカー補助金といった政策効果がというふうにおっしゃったと思うのですけれども、そういう意味では限定的、一時的なもので、いずれ切れる可能性があると思うのですけれども、今後の見通しについて、「4-6月期以降についても」という言い方をされていますが、この効果というのは大体どれぐらいまで続くと見たらいいとお考えでしょうか。
(答)今回の成長は、もちろんそうした政策的な効果もございますけれども、例えば個人消費増加の背景として見ますと、雇用者報酬が底堅く推移する中で、エコカー補助金等の政策要因のほかに、サービス支出等も底堅く推移している点が指摘できると思います。マインドや所得面の改善は進んでいると考えておりますので、こうした改善がより進んで、その動きがさらに発現してくるような状況になるかを注目してまいりたいと思っております。政策要因も大きな要因ではありますけれども、今回は政策要因だけではなく、それ以外の景気の上向きの動きが構造的に今スタートしていると認識をしております。
(問)1-3月は、日銀の緩和等もありまして、円相場が少し円安に振れたことが、輸出のみではなくて、マインド全般に少し好転につながったのではないかという評価も専門家の間では出ているようなのですけれども、現在、政府債務危機等の影響で、再び円の上昇、圧力がかかっている状況の中で、4-6月以降を見通した際の円高の影響というのを大臣はどうお考えになられますか。
(答)円高が様々な形で経済に下振れの影響を与えるものであるという認識は、私どもも持っておりますので、昨年の秋から円高への総合的な対応策をとって、随時、先日もフォローアップをさせていただきました。もう既に効果があらわれている面もございますが、まだ十分に効果があらわれていないこともございますから、そうしたことについては引き続きしっかり取り組んでまいりたいと思っています。 同時に、為替市場の動きなどは、欧州の情勢などにも大きく左右される部分があります。こうした欧州状勢の動きについては、しっかり注視してまいりたいと思っています。また、従来から申し上げておりますけれども、為替市場の過度な変動に対しては、断固たる措置をとっていくということについては、従来から政府として変わらない立場でございます。

(以上)