古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年4月20日

(平成24年4月20日(金) 10:24~10:45  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

おはようございます。
まず、今日は閣議前に自見金融担当大臣、そして枝野経産大臣と私の3大臣の会合で、金融円滑化法の最終延長を踏まえた中小企業の経営支援のための政策パッケージを決定いたしました。
この政策パッケージは、金融円滑化法の最終延長に伴いまして、金融庁、中小企業庁等の関係省庁や企業再生支援機構、中小企業再生支援協議会等の関係機関が連携して、この1年の間に中小企業の経営支援等を集中的に行う必要があることから、3大臣で決定したものであります。
私が主管大臣であります企業再生支援機構につきましては、金融円滑化法の最終決定を受け、新たな案件の支援ができるよう3月末に法改正を行い、1年間支援決定期限を延長したところであります。
法改正による期限延長後の機構にとりまして最大の課題は、地域経済の再建に資する中堅中小企業の再生支援であります。今日この任務を担うのに最もふさわしいと考えられます、今、東邦銀行の相談役で全国地方銀行協会長も務められました瀬谷俊雄さんに新社長に就任していただくことになりますが、この瀬谷新社長の就任にあわせて政策パッケージの取組の方針も決まりました。そういった意味では、機構にとっては課題に取り組む上で車の両輪が整ったと考えております。
今後、機構におきましては、新社長のリーダーシップのもと、民間の事業再生のプロフェッショナル人材を擁し、出資・ハンズオン等の総合的な支援により短期再生させるという、機構が本来持っている機能や強みを生かし、ほかの機関では困難な中小企業の再生支援に取り組むとともに、中小企業再生支援協議会等の関係機関と連携強化し、機構の持つノウハウの共有や協議会のバックアップに積極的に取り組むなど政策パッケージの具体化にしっかり取り組んでもらいたいと考えております。私も主管大臣としてその取組をしっかり応援していきたいと思います。
次に、昨日の科学技術担当大臣等政務三役と総合科学技術会議有識者議員との会合におきましての話を1点申し上げたいと思います。
今国会に提案をいたしております労働契約法の改正につきまして、研究現場では有期雇用が多いため、いろいろな不安の声が聞かれているということで、厚生労働省、若手研究者、大学関係者の方をお呼びして、現場の認識の共有とディスカッションを行いました。
この件に関しましては、先般私が京都大学のiPS細胞研究所の山中伸弥教授にお目にかかったときにも御指摘をいただいておりまして、私は研究開発の現場に無用な混乱をもたらす可能性がないように、何らかの措置を講じてそのような事態を回避し、研究者の方々が思う存分研究に専念できるようにするべきであると考えております。昨日の議論では、大学等では無期雇用を増やすことが非常に難しい状況にあるため、若手研究者等の雇い止めが行われるおそれがある。プロジェクト予算などによる非常勤の雇用条件が不安定となり、研究レベルが低下するのではないかといったことが指摘をされたと聞いております。今後とも、総合科学技術会議議員の先生方に論点を整理、抽出していただいて、どのような手だてが考えられるか御検討をお願いしたいと思っております。
私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)この政策パッケージについてなのですけれども、問題意識として、どうしてこういったものが法律の延長等とあわせて必要だったのかということについてお願いします。
(答)先日開催いたしましたデフレ脱却等経済状況検討会議の閣僚会議でも一つの論点でありますけれども、企業の新陳代謝を進めていく、その意味では出口戦略をしっかりやっていくということが非常に大きな論点としてこれから議論していかなければいけないことだと思っています。  そういう意味では、これまで、中小企業を金融円滑化法などの様々な仕組みで支えてきたわけでありますけれども、これから最終延長、あと1年というところを迎えて、やはりその出口に向けての戦略に今からしっかり取り組んでいくことが非常に重要だと思っています。  これだけではなくて、もっと様々な面から企業の新陳代謝を進めるための事業の再編や、あるいは退出、また新規事業の創設、そういった入り口、出口両方から相当思い切った取組をしていかなければいけないと思っていますが、私は今回のこのパッケージは、正に出口戦略の一環として非常に重要なものだったと考えています。そうした大きな取組を行っていく中の一つとして、今回このような政策パッケージを取りまとめさせていただいたということであります。
(問)もう一点、そういう意味では、機構については支援数が余り多くないという指摘もあったと思うのですけれども、そういったことも問題意識としてあるのでしょうか。
(答)そうした御指摘は国会の審議の中でもいただいておりました。今回、地方の実情に大変詳しい瀬谷新社長に御就任をいただきました。企業の再生、あるいは統合などを一層やっていくためには、地域の金融機関との連携も非常に大事でございますので、今回そうしたことも重視した人選をさせていただいたということでございます。そういった意味では、地域の企業再生につながるような、地域経済の再建に資する中堅中小企業の再生につながるような体制や、あるいはやり方を今後より工夫していきたいと思っております。
(問)今の中小企業支援に関連してお伺いしたいのですが、昨日、民主党側が決められました成長ファイナンスの中間報告の中に、この1年延長した後のお話としての日本再生投資基金というものの提案が出ております。既に一部の地銀では似たようなスキームでやっているというお話もあるようですけれども、この提案についてはかなり検討に値するものなのか、現時点での大臣のお考えをお願いします。
(答)今まだこれは報道ベースでございまして、正式に党から提案が政府に対して出されたというところではございません。政府としては、まずは今日公表をいたしましたこの政策パッケージについて関係省庁、関係機関と連携して早期に具体化を図ることが重要だと考えております。そして、民主党からの提案については、正式に提案をいただいたところで、その問題意識をしっかりお伺いして検討していきたいと思っておりますが、やはり出口戦略、これをしっかり構築することの大きな認識は一致していると思いますし、再生できる企業はきちんと再生をしていく、また事業を再編・統合、相当思い切った取組をしていかなければいけないという認識は政府、そして民主党ともに共有していると思います。今回、まだ党で決まったものを見ているわけではございませんし、正式な御提案をいただいておりませんので、そこを見てみないと分からないところでありますけれども、そうした同じ認識に立っての今回の御提案だと思いますので、共通認識のもとで思い切った出口戦略をどう構築していくのかについてはしっかり取り組んでいきたいと思っています。  また、出口戦略と同時に、当然これは入り口戦略といいますか、新たなベンチャー、創業支援、そうしたいわば新しい雇用を作っていく、そういう場もこれは同時並行的にやってかなければいけないと思っています。そういった意味では、入り口、出口両方のところに思い切った戦略を立ててそれを実行していくことを、正に政府・与党を挙げて取り組んでいきたい。今回の党からいただく予定になっております御提案は、そうした共通認識のもとでいただく提案だと考えますので、そこはしっかり受け止めていきたいと思っています。
(問)あともう一点、成長マネーということの中で、休眠預金の件は現時点でどのようになっているか、調査などもされていると思いますが、現時点の状況をお願いします。
(答)これは政務官のところで中間報告等も受けてきているものではないかと承知をいたしております。また皆様に報告できるときには報告をしていきたいと思っておりますし、調査の結果を踏まえてどのような形で活用していくのか。報道によりますと、党の中でもそうした御提案、御提言はされていると承知をいたしておりますので、この点についても党とも連携をして進めていきたいと思っております。
(問)最後もう一点です。今開かれている参議院の本会議で、前田大臣と田中大臣の問責決議案の採決がありまして、いずれも可決する見通しですけれども、自民党などは両大臣が辞任するまでは審議に応じないと言っていますが、そのことについてどう思われるか。また、こういった問責が繰り返されることについて御見解をお願いします。
と(答)にかく私としては内閣として緊張感を持って職責を果たしていきたいと思っております。  前にも申し上げたのではないかと思うのですけれども、やはりこのねじれ国会はそんな簡単に解消するような状況ではない。これからもしばらく続いていく可能性が高い状況の中で、やはり与野党がどう政治を前に進めていくのかについては、これは本当に胸襟を開いてしっかり議論をしていく必要があるのではないかと、私は一議員として思っております。国会の運営の話でありますので、政府の立場の者が申すことではございませんが、この点については、大きな意味でどう政治を前に動かしていくのか、ねじれ国会が、このところ常態化をしている状況の中で、物事を前に進めていくのかということについては、是非これは与野党が本当に胸襟を開いて議論して、そして新しい方向性を打ち出していくとことが必要なのではないか。そうでないと、こういうことの繰り返しが、結果として政治全体に対する信頼感を失わせることになってしまうのではないか、そのことを私は大変懸念をいたしております。
(問)2点質問させていただきます。  まず1点目ですけれども、日銀法の改正について議論すべきという声が、民主党内の一部議員から出ておりますけれども、政府としてそういう動きはあるのでしょうか。  2点目は、日銀の金融政策についてですけれども、償還期間の長い国債の購入も一つの選択肢と大臣がおっしゃっている記事を拝見いたしました。追加緩和の必要性についてはどのようにお考えなのかと、またどのような方法が望ましいとお考えでしょうか。
(答)1点目は、日銀法の改正について政府で検討していることはございません。  2点目のところにつきましては、恐らくウォールストリートジャーナルの記事の話だと思いますが、私が申し上げたのは、基本的に金融政策については日銀において責任を持って決定されるものであるという前提のもとで、日銀においては物価上昇のめどとして当面消費者物価上昇率1%を目指すことを政策委員会で決めておられるわけでございます。今、政府、日銀のマクロの経済政策の最優先の課題とは、デフレからの脱却でありますので、そのデフレからの脱却に向けて日銀において決められた消費者物価上昇率1%という当面の目途の早期の実現に向けて、それは日銀の責任においてその手段を検討していただくことを私ども政府としては期待をしたいということであります。  その具体的な内容については、これは正に日銀において決められることだと思っておりますけれども、例えばということで、今、日銀において金融資産の買い入れを様々な形で行っているわけでありますけれども、その買い入れの仕方として、今は残存期間2年以下の短い国債が多いわけでありますけれども、国債の残存期間が長いものや、そういうことも一つの考え方としてはあり得るのではないかという、私の個人的な考えを申し上げたわけでありまして、それが政府としての要望ということではございません。
(問)TPP交渉に関して伺いたいのですが、30日の日米首脳会談で、総理がどこまで日本の姿勢を表明するかは今焦点になっているかと思うのですが、今、政府が入手している最新の情報に基づけば、TPPの9カ国のマルチ交渉にいつまでに加わればルールづくりで日本の国益を損なわない、いつがタイムリミットか、その認識について教えてください。
(答)従来から申し上げておりますように、これは別にタイムリミットを何かどこかで日程を置いているというものではございません。私どもとしては、交渉参加に向けて関係国との協議に入っているわけでございまして、その協議が調えば、参加・国益の視点に立ってTPPについての最終的な結論を出すということであります。  今、行われている9カ国の協議の状況については、今までの情報収集、これは皆様方にもお伝えしておりますけれども、進捗状況については様々な見方があります。昨日なども報道でありましたが、ニュージーランドのキース首相は年内だけでは無理だろうというようなことも述べているようなお話もあったり、交渉の状況については、私どもが今受けている情報で見ても、相当いろいろとぶれがあると言いますか、かなりそういった意味では、9カ国のコンセンサスができているような状況ではないと思っております。そういった意味では、もちろん状況が整えば、私どもとして最終的に国益の視点で判断をするわけでありますけれども、それがいつまででなければいけないなど、そういうタイムリミットのある問題ではないと考えております。
(問)今おっしゃった状況が整えば判断するというのは、総理が今度訪米されるまでにはないということでしょうか。
(答)現在、総理がワシントンポストの取材に答えられて、こういうお話をされております。まだ依然として国論としては分かれる状態であると思います。それを踏まえながら、いつまでにとか、アメリカをお訪ねするまでにということではなくて、その協議が煮詰まっていく段階で判断をさせていただきたいとお話もされておりますけれども、私は、やはりこれは我が国国内における議論や日米両国政府間の議論が煮詰まっていく段階で判断されるものだと考えております。そういった意味では、あと1週間で議論が煮詰まるという段階にはまだないのではないかと私は認識をいたしております。

(以上)