古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年3月21日

(平成24年3月21日(水) 17:45~17:53   於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 まず、私のほうから、本日の月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要を報告いたします。
 景気の基調判断は、「東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるなかで、緩やかに持ち直している。」と先月と同様の判断といたしております。
 これは、海外経済の回復の弱さなどから、輸出が弱含んでいるものの、エコカー補助金の効果などにより、個人消費が底固く推移していること、復旧・復興関連を含め、設備投資が出てきていることなど、内需面で上向きの動きが見られ、生産も引き続き持ち直し基調にあることを踏まえたものであります。
 先行きにつきましては、金融資本市場の動向や海外景気への期待など、内外の環境が改善する中で、政策効果に支えられて、景気の持ち直し傾向が確かなものとなることが期待されます。
 ただし、欧州政府債務危機の影響や原油価格の上昇等によって、我が国の景気が下押しされるリスクが存在することに注意が必要であります。
 政府といたしましては、大震災からの復興や景気の下振れの回避に万全を期すとともに、デフレ脱却に断固として取り組んでまいります。
 以上でございます。
 あともう1点、今月のマンスリー・トピックスについてお伝えさせていただきたいと思います。
 今月のマンスリー・トピックスは、「業種別需給と価格の動向-デフレ下における企業行動の分析-」というテーマです。
 私も原稿を読ませていただきましたが、本稿では、日銀短観の判断DIを用いて、企業目線からの需給や設備過剰感と物価の関係などを分析いたしております。
 結果の中でおもしろそうな点といたしましては3点。まず1点目は鉄鋼や化学といった素材型の業種は、設備の過剰感に対して価格判断が大きく反応していること、2点目としては、一方で自動車や電気機械といった加工型の業種は設備の過剰感に対して、価格判断はあまり反応しないということ、3点目としては、製造業に対して非製造業は設備過剰感から価格判断への影響が小さい、特にサービス業は小さい。こうした点などが大変興味深い点ではなかったかと思っております。
 皆さんも是非御覧いただければと思っております。
 なお、今回は中間的な報告でありまして、経済財政白書において追加的な分析が行われると聞いております。
 私からは以上でございます。

 

2.質疑応答

(問)今月の月例経済報告の特徴としては、原油高に対して先行きのリスクとして8カ月ぶりに言及したところがポイントかと思うのですけれども、大臣は現在の原油高の背景、どういった背景で原油高になっているのか、それについてどういう認識をお持ちでしょうか。
(答)原油高の背景としては、様々な要因が考えられると思います。
 一つは、やはりイランをめぐる中東情勢の不透明感というものもあると思いますし、またもう一つこれは世界的な金融緩和の中で、余剰資金というものは原油を初めとするこうした資源などに集まっていると、そういう部分もあるのではないかと思っております。
(問)原油高が景気に与える影響が心配されるわけですけれども、家計への負担、それから企業への負担という面で、どういった事象が心配されるか、大臣の御認識をお願いいたします。
(答)原油価格が上昇しますと、これは家計の実質所得やマインドの悪化、また企業収益の悪化につながりかねないことでありますので、そういった点から我が国の下振れのリスクとして認識をいたしております。また、同時に原油価格の上昇には、こうした直接的な影響だけでなく、世界経済の減速を通じた間接的な影響もあると考 えております。
 特にこのところアメリカ経済に回復の兆しが見られておりますけれども、アメリカはガソリンの消費量が大きく、ガソリン価格の上昇というのは、アメリカ経済にも影響を与えるものと言われておりますので、そういった意味で原油価格の動向に左右されやすいというアメリカ経済の状況を踏まえて、その影響については、十分注視していかなければいけないと考えております。
(問)先行きのところの表現で、かなりスピード感と確実性というところを強調されたような書きぶりになっていると思うのですけれども、ここら辺かなり先行き明るい兆しと見ていらっしゃるのか。また、統計の指標などからでは、今月は若干上方修正してもいいのかなと思ったのですが、据え置いて先をちょっと強調された理由について、お願いいたします。
(答)足下のところで見ますと、今お話があったように、消費や投資など、内需に上向きの動きも見られております。
 また、金融資本市場や海外経済をめぐる内外の環境、こうしたものも今改善が進んでいるという状況にあると思います。そこにこれまでの政策効果もあって、こうした今のトレンドが進んでいけば、我が国の景気の持ち直し傾向がより明確になっていくのではないかと、そうした視点から、先行きについては今回のような記述にさせていただいたということでございます。
(問)今のトレンドが続いていけばということで、午前中の会見では増税のときの経済状況も構わないのではないかというようなお話がありましたけれども、反対に先程の反対派集会のところでは、このようなデフレ下での増税はとんでもないというような意見も出ていたのですけれども、そこら辺大臣としてはどの様にお考えでしょうか。
(答)今のトレンドというのは、これは毎月、毎月の月例経済報告で見ていく、そういうものであります。社会保障と税一体改革の消費税の引上げについては、これは2年後の4月ということでありますので、そこに向けて午前中申し上げましたけれども、復興需要が顕在化していく、続いていく中で、民需主導の経済回復の成長に乗せていくということを行っていく。この2年間については、経済再生について全力を尽くしていくということを政府としても決めておりまして、そこに向けて今努力をしているわけでございますので、中期的にはそういう長い目で見て、今のトレンドが進んでいって、経済状況が好転していけば、それは消費税を増税できる、そういう環境になるだろうと考えているということでございます。

(以上)