古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年3月9日

(平成24年3月9日(金) 8:31~8:42   於:院内内閣記者会3)

1.発言要旨

 本日、私からまず最初に、3点報告をさせていただきます。
 まずIT戦略本部につきまして、本日、IT戦略本部を開催し、政府情報システム刷新有識者会議とIT防災ライフライン推進協議会の二つの会議体の設置を決定いたしました。
 政府情報システム刷新有識者会議は、政府情報システムの統廃合、集約化等の改善・刷新、政府CIO制度等について検討を行います。IT防災ライフライン推進協議会は、東日本大震災の教訓を踏まえ、官民連携の下、ITを活用した防災ライフラインの検討及び普及を進め、世界最先端のIT防災ライフライン構築を目指すものであります。
 官民の取組についての情報共有と連携の強化を図り、IT防災ライフラインの基本方針の策定等を行います。この協議会は、本日御同席いただいております村井本部員を中心に検討を進めていきたいと考えております。
 2点目でございます。新成長戦略のフォローアップにつきまして、先日の国家戦略会議におきまして、野田総理から新成長戦略の着実な実行を図るため、新成長戦略の中間決算として新成長戦略の徹底的なレビューを行い、この春を目途に取りまとめを行うよう御指示がありました。これを受けまして、今後、各大臣政務官からなるチームにおいて、新成長戦略の全体のフォローアップを行うこととし、本日の閣僚懇で各大臣に協力の要請を行いました。詳細については、国家戦略室にお問い合わせいただきたいと思います。
 3点目でございますが、内閣府における人材育成の状況について、簡単に御報告させていただきます。
 先の私の経済演説においても申し上げましたとおり、内閣府では、いわゆる官庁エコノミストなどの人材育成を進めております。この一環といたしまして、今月から経済財政分野において先輩職員が指導者となり、ゼミ形式等により後輩職員を育成する育成プログラムなどの研修を開始いたしました。
 こうした取組を進めることにより、政策の客観性、透明性を高める多様な分析や示唆を継続的に提供できるよう組織的に人材を育成し、国の重要施策の企画立案に貢献できるようにしてまいりたいと考えております。
 内部の研修の話でございますが、御関心のある方は経済社会総合研究所にお問い合わせいただければと思います。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)明後日で震災からちょうど1年となりますけれども、経済指標などを見ると若干明るい兆しも見える向きもあります。この1年の日本経済を振り返っての総括をまずお願いします。
(答)昨年の3月11日の震災は、もちろん被災者の方々が被災をされたというだけでなく、日本経済全体にも、そしてまた世界経済にも影響を与えました。震災後、国を挙げて震災からの一日も早い復旧・復興、並びに日本経済の建て直しにも取り組んできたわけであります。
 被災地の皆さんから見ると、まだまだ取組が不十分という御指摘をいただいているということは十分私どもも承知をしておりますし、もっともっと努力をしていかなければいけないと思っております。
 しかし、マクロの指標で申し上げますと、復興需要も少しずつ立ち上がってきております。今後、こうした復興需要が本格化していくと、日本経済全体にもいい影響を与えていくのではないかと思っております。
 いずれにいたしましても、一日も早い被災地の復旧・復興を実現し、同時に日本経済を再生していく。とりわけ被災地の復興の過程で、日本のこれからの将来の経済社会のあるべき姿を実現するという「日本再生の基本戦略」で定めたことを実行していくことによって、被災地の皆様方にまず将来に対して夢や希望を持っていただけるようにしていきたいと思っておりますし、そのことが日本全体にも元気を与える、また世界にも日本が新しく力強い成長をスタートするのだというメッセージが送れるように努力をしてまいりたいと考えております。
(問)IT戦略本部に有識者会議等をつくるということですけれども、今、一方で行政刷新等を進めている中で、新しい会議体をつくるときの基準のようなものは、大臣としてはどの様にお考えなのでしょうか。
(答)今回の政府情報システム刷新有識者会議などにつきましては、行革担当の岡田副総理としっかり連携をとってやっていきたいと思っております。政府全体としての行革の取組と整合性がとれるように、むしろ、このIT戦略を進めるということは、行政のスリム化、効率化につながるものであるはずですし、そういう形のIT戦略でなければいけないと思っております。
(問)先程のIT戦略本部の御説明の中で、「東日本大震災のときの反省を踏まえて」というお言葉があったと思うのですけれども、当時のITを活かした防災について、何か震災のときに足りなかったことを、今後どういう体制をつくっていきたいという大臣の御構想はございますでしょうか。
(答)これからIT防災ライフライン推進協議会を設置して、そこでしっかり議論していただいて決めていただくことだと思っておりますけれども、皆さんも御記憶はあると思いますが、当日などは電話がなかなかつながらない。一方で、ツイッターとかソーシャルネットワークのほうはつながるということもあったわけであります。
 したがって、こういう大震災が起きたときお互いに連絡を取り合う体制で、まだ色々考えていかなければいけない部分もあったと思いますし、同時に、こういうことがこういう場合に活用できるのだということも分かったと思います。そういった意味では、先の大震災の教訓をしっかり踏まえた上で、世界に誇れるようなIT防災ライフラインを日本において構築していくことを目指していきたいと思っております。
(問)今の質問の関連で、このIT防災ライフライン推進協議会なのですが、基本方針の策定などを目指すということですけれども、もう今、既に震災1年になっていますけれども、具体的にいつぐらいに結論というか、方向性を出されるのでしょうか。
(答)年度内には第1回会合を開催して、夏ごろまでに政府情報システム刷新のための共通方針を作成したいと考えております。
 ごめんなさい。今申し上げたのは、政府情報システム刷新有識者会議のほうでした。IT防災ライフライン推進協議会については、構成員が決まり次第、議論を開始して、できるだけ早く基本方針を取りまとめたいと考えております。ですから、夏とかではなくて、とにかく早く基本方針を決めて、決めるだけでなくて、その後実行できる施策から順次、取り組んでいきたいと考えております。
(問)少し話は変わるのですけれども、先程ギリシャの債務交換のプログラムが締め切られまして、参加率が95%近くあったということで、予想以上にかなり高い結果だと思いますけれども、これをもってギリシャ問題というものが大きく解決に向かうとお考えになりますでしょうか。
(答)今回の民間債務の削減は、ギリシャ債務問題の一里塚であって、今後のギリシャ政府によります財政改革の進捗やギリシャ経済への影響については、なお予断を許さないものがあるのではないかと思っております。  いずれにいたしましても、ギリシャに端を発する欧州政府債務危機の動向については、世界経済にも大きな影響を及ぼしかねないことでありますから、引き続きしっかりと注視してまいりたいと考えております。
(問)関連してもう一点お願いします。そういった状況の中で、日本銀行が週明けに決定会合を行います。現在の市場は少し小康状態にありますけれども、やはりデフレ脱却にはまだ少し距離がある状況下で、現段階でどの様な役割を御期待されますでしょうか。
(答)日銀においては、政府と一体となって緩やかなインフレ、物価上昇を目指す、一日も早いデフレ脱却を目指すというところで認識を共有しているわけでございますから、金融政策の面から経済の下支えをしていただきたいということを期待しているというのは従来から変わりません。

(以上)