古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年2月14日

(平成24年2月14日(火) 9:58~10:13  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 今日はバレンタインデーですが、このバレンタインデーは昭和33年にメリーチョコレートが販売促進のために東京・新宿の伊勢丹でキャンペーンとして展開したのが始まりだそうであります。アメリカでは女性から男性ではなくて、男性から女性へということでありまして、別にチョコレートと決まっているわけでもありません。今や日本ではチョコレート業界にとっては最大の商売の機会になっているわけでありますけれども、これは私が従来申し上げているイノベーションの一つだと思うのです。こういう機会をとらえて、チョコレートを贈ることを習慣にするということは、広い意味で私は一つのイノベーションだと思います。一つの購買イノベーションの姿というのが日本のバレンタインデー=チョコレート、しかも、男性ではなくてお金を使いやすい女性にターゲットを絞ったというのは、私は大変巧みな戦略ではないかと思います。アメリカなどでは男性から女性に贈るようですが、そういう逆の発想が今様々な日本経済の閉塞感を打ち破っていく上でも求められる一つの良い例ではないかと思います。
 さて、今日私から報告は3点ございます。
 1点目は、今日、閣議決定いたしました2法案についてであります。本日の閣議で宇宙関連法案としての内閣府設置法等の一部を改正する法律案と、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案、いわゆるマイナンバー法案を閣議決定いたしました。宇宙関連法案は、我が国の宇宙政策にとって積年の課題であります宇宙空間の開発及び利用の戦略的な推進体制を構築するための極めて重要な法案であります。また、マイナンバー法案は、社会保障の仕組みを大きく変えて、真に手を差し伸べることが必要な人に必要な社会保障給付を行うためのインフラであります番号制度を整備するものであります。両法案の早期成立に向けて最大限努力をしてまいりたいと思っております。
 2点目は、TPPの関係でございます。我が国から派遣された関係省庁の関係者が9日にシンガポール、そして10日にマレーシア、両国政府のTPP交渉担当者との間で交渉参加に向けた協議を行い、また、TPP交渉に関する情報収集を行いました。両国との協議は全体として前向きなものでありまして、両国からは、それぞれ我が国のTPP交渉参加への関心を歓迎する旨の表明がありました。基本的な支持が得られたと私としては理解をいたしております。なお、今般の協議の結果は、これまでの他の関係諸国との協議同様、内容を整理した上で、追ってしかるべく公表させていただく予定でございます。
 3点目でございます。昨年の国家戦略会議の中で決めました日本再生の基本戦略におきまして、成長マネーをより円滑に必要なところに供給することについて政府一体となって取り組むため、関係閣僚会議を設置することを決定しておりましたが、それに基づきまして準備を進めてまいりまして、今般、成長ファイナンス推進会議を設置することといたしました。日程については、国会日程もありましてまだ調整中でありますが、できるだけ今週中に開きたいと考えております。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)社会保障・税の共通番号制度なのですけれども、先般の内閣府の調査では、8割の方が知らないという調査結果が出ている中で、閣議決定をして国会に出すということについてどの様にとらえていますか。
(答)先日、政府広報で広告を出させていただいたのではないかと思いますが、やはり周知をしていかなくてはいけないということで努力もさせていただいております。全国各地のシンポジウムも開催しております。
 よく決まってもいない、まだ法案を国会に出してもいないのに政府広報をやるなという話もいただいたりします。一つずつきちんと手続を踏んでいって、その上で国民の皆様方によく理解をしていただくということが大事だと思います。そういった意味では、閣議決定をして国会に提案をすることで皆さん方の関心も広がってくるのではないかと思います。メディアを通じて報道をしていただくのも非常に大事なことだと考えているのですが、このマイナンバーは非常に大事で、社会全体で社会保障システムや税制について新しいことができる、大きな変化につながるツールであるのですけれども、残念ながら皆様方の報道を見ていても、このマイナンバーが今まで大きく取り上げられたという感じはいたしておりません。こういう形できちんと閣議決定をして国会に法案を提出させていただくことによって、皆様方の関心も是非高まっていただくことを期待いたしたいと思いますし、マイナンバーに対する様々な不安や懸念も示されておりますが、この法案の中でこの様にきちんとなっています、今回の法案でここまでは決めますけれども、そうでない部分についてはこれからきちんとやっていきますという具体的な御説明もここまで決まればできるわけであります。マイナンバーの意義に対する国民の皆様方のご理解や、様々な不安とか懸念の払拭にもつながっていくのではないかと思っております。
(問)社会保障と税の一体改革とも密接不可分な法案だと思うのですけれども、その一体改革のほうはなかなか与野党協議を含めて進んでいない中で、本当に審議入りして成立までいくのかは見通しにくいところですけれども、どのようにお考えでしょうか。
(答)与野党とも社会保障と税の共通番号が必要だという認識はかなり共有されているのではないかと思います。先日、フジテレビの「報道2001」で、公明党の遠山さんが番号であれば協議できるという話もしておられたと記憶いたしておりますし、どういう社会保障の仕組みや税制の仕組みを考えるにあたっても共通のインフラとして大事なことでありますから、そういう認識は党派を超えて共有されているのではないかと思います。国会に提案をさせていただきますので、国会の中で御議論いただいて、今のねじれ国会でありますから、野党の皆さんの合意もいただかなければ成立できないわけでありますが、私どもとしてはしっかり野党の皆さんの御意見も伺って、最終的な成立に向けて努力していきたいと思っていますし、そのことは私は十分可能ではないかと思っております。
(問)冒頭の御発言の成長ファイナンス推進会議の関連なのですが、議長は古川大臣が務められるのでしょうか。
(答)私と官房長官の2人で共同議長をやらせていただきたいと思います。
(問)他の閣僚のどなたがメンバーになるのかと、基本戦略には書いてあるのですが、この会議でどういう議論をしてどういうことを実現していきたいのかを改めてお願いします。
(答)メンバーとして今考えておりますのは、内閣府の金融担当大臣やPFI担当大臣、そして財務、厚労、農水、経産、国交の各大臣を想定いたしております。
 目指すべきところは、最初に申し上げましたけれども、日本の場合はお金がないわけではないのです。日本の経済の状況は、言ってみると、低体温、低血圧になっていて、人間に例えると血がないわけではなくて、血のめぐりが非常に悪くなっている。血のめぐりをよくすることによって体温も上がってくるし、血圧も上がってくるわけであります。今何が弱いのかというと、血がめぐるためのポンプの部分が弱いわけであります。どうしたら日本にあるお金をきちんと経済の中で回していけるのか。資金供給源を拡大するということもありますし、仲介や支援機能を強化していくということもございます。また、日本経済の成長ということを考えると、アジアの中心とする成長マーケットをどう取り込んでいくかというのもあります。海外市場などで日本の資金が出ていきやすいような環境をつくっていくことも考えられると思います。
 いずれにいたしましても、日本の中にあるお金をうまく活用して動かしていくということは、一日も早いデフレ脱却という視点からも非常に大事なことだと考えておりまして、どの様にお金を動かすか、お金が流れるような形をつくっていくかということを中心に議論していきたい。議論するだけではなくて、具体的なことを決めて、できるだけ早急に実行に移していきたいと思っております。
(問)今日まで日銀で金融政策決定会合が開かれておりまして、日曜日のテレビ出演で、大臣は、日銀のいわゆる物価安定の理解に絡んでもう少し分かりやすい説明ができないかということを日銀に言っているという趣旨の発言をされていたかと思うのですが、日銀の物価政策についてどういうところが分かりづらいと感じていて、どういう方向で分かりやすさを求めているか、もう少し具体的に教えていただけますか。
(答)国会答弁の中で申し上げておりますが、政府・日銀は、日銀が物価安定の理解と言っています消費者物価上昇率2%以下、中心は1%程度、こういう緩やかな物価上昇を目指して財政、金融両面から政策運営をやっているわけなのですけれども、緩やかな物価上昇を目指しているのだということがマーケットはもちろんですが、一般の人たちにも認識をされているのかどうかというと、どうもそういうところまで至っていない部分があるのではないか。そのことが期待インフレ率がなかなか高まらない一つの要因でもあるのではないかと私は思っております。そういった意味では、政府、日銀ともそういう緩やかな物価上昇を目指しているのだ、そのための政策努力を双方しているのだということをしっかり伝えていくことが大事ではないかと考えています。ですから、金融政策を担当している日本銀行においても、金融政策の透明性の向上や市場とのコミュニケーションの強化に向けてもう少し工夫や努力ができるのではないのかと私は考えているところであります。
(問)東京電力をめぐる問題で、先般、西澤社長を呼んで、電気料金の値上げについて懸念を伝えられましたが、それに絡んで、枝野大臣が、公的資金の注入に絡んで一定の議決権を求めるというかなり踏み込んだ発言をされています。この点に関しては、報道等では財務省は慎重だという意見や、政府内でも意見が割れているという報道もございますけれども、枝野大臣の踏み込んだ発言というのは、政府内で共有されている考えなのか、それとも一大臣の意見でまだ何も固まっていないのか、現段階でこの議決権問題について大臣の御認識を伺えればと思います。
(答)議決権問題については、私自身が担当大臣ではありませんので、申し上げる立場にはありませんが、一般論として申し上げれば、公的資金の注入というのは、国民の皆さん方のお金をいわばお借りするということになるわけであります。国民の皆様方にお願いをしながらこういう形をやらせていただくということになれば、それだけ政府としても責任が生じてくるわけであります。その責任に伴う、いわば権利というものは当然必要なのではないか。過去、金融機関に対する資本注入などを行ったときのことを考えてみて、そうした方向というのは当然あるべきではないかと思っております。

(以上)