古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年1月31日

(平成24年1月31日(火) 8:36~8:50   於:院内内閣記者会3)

1.発言要旨

 まず、スイス出張について御報告申し上げます。往きは新型のボーイング787で行ってまいりました。大変すばらしい飛行機で、35%は日本製ですから、準国産と言ってもいいと思います。こういう航空機産業はこれからの日本の成長産業にできるなということを自分で乗って実感いたしました。
 さて、1月28日、スイスのダボスを訪問しまして、世界経済フォーラム年次会合に出席をしたほか、経済産業大臣とともに海外の産学官の有識者の皆さんと意見交換を行いました。
 世界経済フォーラム年次会合におきましては、世界経済見通しのセッションにおきまして、我が国として引き続き経済成長と財政健全化を車の両輪として取り組むとともに、経済成長、社会的包摂、そして環境の持続可能性を同時に追求する新たな成長モデルを世界に提示していきたい旨を述べさせていただきました。
 また、欧州債務危機への国際的な協力の枠組み、特にIMFを使った枠組みについてもそのセッションで言及がございました。これについては、まずはやはり欧州の自助努力がしっかり行われて初めてIMFへの途上国を初めとする出資の増額等も検討されるのではないかという発言をいたしました。
 さらに、競争力強化の話も出ましたが、私からは、競争を行うに当たってはフェアな競争でなければいけない。したがって、通貨安を導くことによって競争力を強めるような競争力強化のあり方はあってはならないと、フェアな競争が大事だということを述べさせていただきました。
 また、セッション以外にも海外有識者の皆さんと、国家戦略会議の民間議員でもあります緒方さん、そして長谷川さんも出席しておられましたので、一緒に意見交換を行って、日本の国家戦略を考える上での貴重な助言をいただきました。こうした海外有識者とのつながりも今後最大限活用してまいりたいと思っております。
 2点目、本日夕方、東京電力の西澤社長とお会いをいたしまして、電力料金引上げについて東京電力の考え方を伺う予定であります。
 前から申し上げていますように、東電が自由化部門について電気料金値上げを実施するという方針を発表しておりますが、この電気料金の値上げにつきましては、日本経済が欧州債務危機問題等景気下振れリスクを抱える中で、マクロ経済に与える影響を危惧いたしております。最近、東京都を初め大口のところから色々クレームも出て、東電はこうしたところとは個別に交渉して、この引上げについて見直すかのような報道もなされております。特に大企業に比べて資金力や交渉力に劣る中小企業に対して電気料金の値上げが経営に与える影響は大変大きいわけでございますし、日本企業の9割を占める中小企業が海外流出したり、あるいは海外に行くこともできなくて事業を断念しなくてはいけなくなるということにつながりかねないのではないかという点について、電力料金の値上げについて様々な報道もなされておりますので、直接東電の考え方を伺いたいと考えております。
 3点目は、国家戦略会議のフロンティア分科会でございますが、先日の国家戦略会議でフロンティア分科会の委員を決定いただきましたが、明日、第1回フロンティア分科会を開催する予定でございます。私も出席して皆さんの議論を伺いたいと考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)東電の関係なのですけれども、古川大臣のほうから会いたいと要請されたのですか。
(答)そうですね。
(問)経緯をもう少しお願いします。
(答)前から電気料金値上げのマクロ経済に対する影響については懸念を申し上げてきたところであります。その後、東京都を初め事業者からもクレームが出たりして、東電も話し合いに応じるというような報道もありました。東京都を初めとして大きなところは文句を言うと、東電も話に乗りますが、中小の小さいところはどうなのか。ここは色々な選択肢がないし、それほど交渉力もあるわけではないですし、そうなると、そういうところにだけ値上げのしわ寄せが行きかねないのではないかという危惧も持ちまして、自由料金の部分でありますけれども、電気料金の引上げについての東電側の考え方を伺いたいと考えております。私としては、この料金の引上げがマクロ経済に与える影響、特に中小企業は大変厳しい中で経営をしているわけでありますから、そうした影響を懸念しているということも直接お伝えをしたいと思っております。
(問)発表されている値上げの幅を抑えてほしい等、具体的な要請をされるということではないのですね。
(答)まずはどのように考えておられるのか、自由料金の部分でございますから、直接政府がどうこう言えるところではありませんけれども、私も報道などで仄聞する範囲内では、相手との話し合いによって最終的に決まるということのようであります。そういう意味では、先程申し上げましたけれども、交渉力のあるところは色々交渉の余地があって、交渉力のないところは唯々諾々ととにかく言われたとおりにしなければいけないということになると、非常に不公平ではないかと思いますし、そういう交渉力の弱いところのほうが非常に厳しい立場に置かれているということもあります。
 利用者からしてみると、今、事実上選択ができないということでありますので、事業者の側が例えば夜間電力を使ってやればコスト増を極力抑制できるとか、色々工夫の余地があるような料金のあり方もあるのではないかと申し上げましたけれども、その辺をどのように東電側として考えているのか是非直接聞いてみたいと思って、今回来ていただくことをお願いしたということであります。
(問)年金の試算の件ですけれども、最低保障年金について、マニフェストでは全額消費税でと書かれていると思うのですけれども、古川大臣としてはそのお考えは変わっていないのかどうかと、最近、消費税以外でという御発言が党の幹部からも出ているのですが、これについてどう思うかお願いいたします。
(答)ここの部分は、基本的には全部税金で賄う。現行制度は、保険料と税がいわば水割りになっていて混ざっている形になっているのですが、民主党の考えている年金制度は、保険料で賄われる部分の所得比例年金と税で賄われる最低保障年金を明確に分けるというところに特徴があります。それはなぜかといえば、保険料部分というのは、負担と給付の関係が明確になる部分でありますから、所得比例年金については払った保険料に応じて給付が受けられるという負担と給付の関係を明確にする。一方で税というのは、本来は所得の再分配という機能があるわけでありますから、税については、最低保障年金という形で、この所得比例年金の少ない人を中心に年金額を補てんしていく。そういう保険料と税を明確に切り分けるというところに特徴があります。
 その原則の上で、税についてどうなるかということについては、中心は消費税でやっていく。これは社会保障目的税ということで我々、野党時代から言っているわけでありますから考えていくわけでありますが、社会保障全体を消費税だけで賄うかといえば、そうではないわけでありますから、社会保障全体の中でどこに消費税分を充てていくかという話になるのではないかと思っております。
(問)大臣の所管の番号制度の関係でお伺いしたいのですが、先週末に出た世論調査で、賛成という人が57%ですけど、一方で、懸念している人が相当数いたわけですが、今後の広報活動等をどのように進めていきたいか。
(答)番号制度導入に当たって一番きちんと国民の皆さん方の理解を得ていかなければいけないことは、今回の世論調査でも示された懸念の部分だと思います。既にこれは、今度出そうとしております法案の中でも様々な制度上の保護措置やシステム上の安全措置を講ずるということになっております。ここについてきちんと今後説明をしていくということが非常に大事なことと思っています。
(問)PRというところに関連してなのですが、一体改革そのものの国民へのPRなのですけれども、近いうちに大臣のほうからも御自身でPRなされる予定はありますでしょうか。
(答)特別に機会を作ってということではなくて、機会があるごとに随時一体改革の重要性については、申し上げております。特に昨日は新たな人口推計も出てまいりました。50年後には人口が今の3分の2になって、4割が65歳以上という状況になる。そういう時代を考えれば、高齢者中心の社会保障から全世代対応型の社会保障に変えていくということ、そしてまた負担も、年齢によって負担や給付が変わってくるというところから、所得に応じて負担や給付を受けるような形に変えていく、こうした大きな方向性を一つ一つ実現するということは、昨日の人口推計の発表から見ても大事なことということがより明らかになったのではないかと思います。あらゆる機会を通じて、この今私たちが目指している社会保障と税一体改革の基本的な考え方について御説明していきたいと思っております。
(問)冒頭の東電の社長との面談の関係なのですが、所管としては経済産業省になるわけですけれども、あえて大臣が経産省とは別に社長と個別に面談されるのは、どのような意図があるのか。
(答)私はマクロ経済を担当している大臣として、マクロ経済に与える影響を懸念しています。特に中小企業の皆さんは本当にぎりぎりのところで経営をしているわけでございまして、そういった意味での懸念もございまして、料金引上げについて色々な報道はされておりますが、直接お話を伺いたいということで今日来ていただくことにしています。
(問)自由化部門だけではなくて規制部門の将来的な引上げが予想されますが、そちらのほうについても話を聞かれるのでしょうか。
(答)まずは今日は、今一番焦点になっております自由料金の部分について東電の考え方をお伺いしたいと思っております。

(以上)