古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年1月17日

(平成24年1月17日(火) 11:33~11:47  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 まず最初に、月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要を御報告します。
 景気の基調判断は、「東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるなかで、緩やかに持ち直している」と先月と同様の判断としております。これは海外経済の回復の弱さなどから、輸出がこのところ弱含んでいるものの、生産については、タイの洪水の影響をならしてみると、基調としては緩やかな上向きの動きが続いていることなどを踏まえたものであります。
 先行きにつきましては、景気の緩やかな持ち直し傾向が続くことが期待されますが、欧州の政府債務危機が金融システムに対する懸念につながっていることや、金融資本市場に影響を及ぼしていること等により、海外景気が下振れし、我が国の景気が下押しされるリスクが存在することに注意が必要であります。
 政府といたしましては、大震災からの復興に全力を尽くすとともに、欧州政府債務危機等による先行きリスクを踏まえ、景気の下振れ回避に万全を期すこと、またデフレ脱却に断固として取り組み、全力を挙げて円高とデフレの悪循環を防ぐこと等に取り組んでまいります。
 次に、TPP交渉参加に向けた関係国との協議についてお話を申し上げます。
 TPP協定参加への日本の意思表明に関し米国政府が実施していた意見募集につきましては、現地時間13日金曜日に締切りを迎え、期日までに約110件のコメントが提出されたものと承知いたしております。
 コメントは、米国政府に対して提出されたものでございますので、個別の意見に対して我が国の政府としてはコメントは差し控えさせていただきますが、全米商工会議所、全米食肉輸出連合会、全米製造業協会、米国保険協会等からは、日本のTPP交渉参加を支持する論調の意見が提出され、また、全米自動車政策協議会、全米労働総同盟、産業別組合会議等からは反対する意見が提出されている模様であります。
 締切り日後のコメントも受け付けられるとのことであり、また、コメントの内容につきましては今後精査する必要がございますが、これまでのコメントを見る限りは、我が国のTPP参加自体については全体として肯定的な意見が大勢であったのではないかと考えられます。ただし、このような肯定的な意見でありましても、我が国の一層の市場アクセス改善を求める意見が出されている点については注意をしていかなければいけないと考えております。
 いずれにいたしましても、米国政府としては、これらのコメントも踏まえて政府としての方針を検討することになると思われます。こうしたプロセスの進展が我が国のTPP交渉参加に向けた米国との協議の促進につながることを期待したいと思っています。
 最後に、昨日総理から御指示をいただきまして、社会保障番号制度、マイナンバー制度につきましては、引き続き私が担当することになりました。マイナンバー制度につきましては、関連法案を国会に提出の予定でございますので、番号制度の導入、早期導入に向けて関連法案の提出に向け努力をしてまいりたいと考えております。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)TPPですが、御検討されている政府代表というのは、いつごろまでにどういう方を選びたいとお考えか、現時点でのお考えをお願いいたします。
(答)官房長官も会見でお答えをしておりますけれども、今のところは当面、ハイレベルの代表を置いてまで協議に当たる必要は高くないと考えております。交渉の政府代表としてふさわしい方の人選を今進めているところであります。
(問)ベトナム、ブルネイで今日から事前協議が始まっていると思いますけれども、アメリカを含めた9カ国との協議とは、いつごろまでに協議自体はできそうな感触でしょうか。
(答)それぞれ、現在の交渉参加国の意向を聴取して調整を行って、順次協議に入っていくということで、今回、その調整が調ったということでベトナム、ブルネイに行くわけでございますから、交渉参加国の意向を聴取して、調えば協議に入っていく。できるだけ早くそれはやっていきたいと思っております。
(問)一体改革についてなのですけれども、先程、番号制度は古川大臣が引き続きということでしたけれども、そこを切り分けて総理から御指示をいただいたというのは、どういうねらいがあるとお考えなのでしょうか。
(答)私がもともと国家戦略室長時代から検討を始めてきて、ここまで、ずっと法案提出というところまで来ておりますので、引き続きやってもらいたいということで私が担当になったわけでございます。
(問)その一体改革担当大臣としては岡田副総理が入閣されましたけれども、前任の大臣として引継ぎをされたのかどうか。また、岡田さんに何かアドバイス的なことがあれば教えてください。
(答)今日夕刻、岡田副総理にお目にかかって、これまでの取組と今後について、またお互いに内閣として連携をしてやっていかなければいけない話でありますから、しっかり岡田副総理と連携をとっていくような話をしたいと思っております。
(問)宇宙開発について伺います。大臣は昨日、日本人による有人火星探査を中長期的な目標として示されましたが、技術的なハードルは高くて巨額な開発コストもかかります。実現に向けて意気込みと課題などを教えてください。
(答)こういうものは目指さない限りは絶対に実現はできません。どの様なことでも最初からやる気がないことができるわけがありません。私は直ぐにということを申し上げているわけではありませんが、将来の大きな目標として、日本人による有人での惑星探査ができるところを目指してやっていかなければいけないのだと思います。そのためには、昨日も申し上げましたけれども、宇宙ステーション補給機の大気圏再突入技術の開発や、基幹エンジンの高度化、固体ロケットシステム技術の発展といった宇宙輸送システムの重要な基盤技術を整備していく。これは今も取り組んでいるわけでありますけれども、そういう長期的な大きな目標を目指してやっていくのと、そもそもそういうものは何も置かないでとにかくやっていきましょうというのでは、全然やはり意欲も違うわけであります。そうした大きな目標を掲げつつ、まずやっている足元のところを、そういう目標に向けて、一つ一つ積み重ねているという視点で私は昨日申し上げたということであります。
(問)月例経済報告に関して、3カ月連続据え置きとなりましたけれども、大臣の見解をテレビ的に簡潔にお答えいただくとありがたいです。
(答)この3カ月間、様々な要因はございました。全体として引き続き回復の基調は続いているという判断でございましたので、現状と変わらない判断にさせていただいたということでございます。
 もちろんタイの洪水の要因もありますが、ならしてみれば、だんだんそうした影響もなくなってきていると見られていますし、ヨーロッパのほうが今回、少し下方修正をいたしましたけれども、一方でアメリカのほうが回復の動きが出てきていますので、このヨーロッパで少し下がった部分、アメリカの上がった部分で見ますと、世界も全体としては変わらないのではないか。そうした視点から、全体としての考え方を維持させていただいたということであります。
(問)それに関連して、先行きに対してもう少し詳しく教えてほしいのですけれども、ヨーロッパの危機に対して、特にどんな影響が考えられるか教えてください。
(答)先行きにつきましては、昨年末以降、対ユーロで急激に円高が進行したこと等、足元の状況を踏まえて、改めて、欧州政府債務危機がもたらすリスクについて、丁寧に今回表現をさせていただきました。今まで以上に一層注視をしていくという姿勢を示さなければいけない、示していきたいということで、こういう書き方をさせていただいたわけではございますが、景気の下振れリスクがさらに強まったという趣旨ではありません。
 今後、この欧州の政府債務危機が我が国にどういう影響を与えるかということにつきましては、株価や為替レートの変動、欧州との直接的な輸出入、さらには今回の危機の影響を受けた他の地域との輸出入等で既に影響が及んでいるところでありますけれども、こうしたことがどう日本にも影響を及ぼしてくるのか、また金融システムへの影響等を通じて、実体経済に波及するリスクも存在するという認識をいたしておりますので、そうしたもろもろのリスク要因を今まで以上により注視して、警戒感を怠らずウォッチしていきたいと思っております。
(問)引き続き海外経済の関係で、本日、中国の10-12月期のGDPが発表になって、前年同期比で8.9%ということで、非常に高い水準でありながら、中国経済そのものは減速しているのではないかという観測も出ていますが、大臣は中国経済をどのように見ていらっしゃって、今回の中国経済の減速懸念が日本経済にどのような影響を及ぼすと見ていらっしゃるのでしょうか。
(答)数字については先程発表されたばかりでございますので、内容については、これから精査してまいりたいと思っております。
 その上で、今の中国経済についてでございますけれども、中国では景気は内需中心に拡大しておりましたけれども、このところ輸出や生産の伸びの鈍化、あるいは景況感の低下などが見られておりまして、注意が必要な状況であると思っています。また、特に中国はヨーロッパとの関係も非常に大きいわけでございますので、この欧州の景気の減速が中国にもどういう影響を及ぼしてくるのかについては相当注視をしていかなければいけないと思っています。今まで以上に中国の経済の動向についても注意深く見守っていかなければいけないと考えております。
 今月の「マンスリー・トピックス」で、我が国の鉱工業生産の動向及び先行きについてまとめております。月例経済報告本体だけではなくて、こちらのほうもぜひ読んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

(以上)