古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年12月13日

(平成23年12月13日(火) 11:03~11:19   於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 本日野田総理にも御出席をいただきまして、TPP交渉参加に向けた関係国との協議に関する関係閣僚会合の第1回会合が開催され、この閣僚会合の議長を拝命いたしました。これから関係各府省の協力も得て、政府一体となって、TPP交渉参加に向けた関係国との協議への対応を進めていきたいと考えております。
 会合では、12月5日から9日まで、マレーシアにおいて9カ国によりますTPP協定交渉の中間会合が行われたことを踏まえ、当該交渉に係る情報収集の結果につきまして、外務大臣から報告をいただきました。
 また、TPP交渉参加に向けた関係国との協議に対応するための体制の構築と国民に対する情報提供のあり方について、議論を行いました。その結果、関係するすべての府省が政府一体となって検討を進め、我が国全体の視点から国益を判断していくため、省庁横断型の強力な体制を内閣官房に構築することとなりました。
 詳しくは官房長官から、記者会見にて御説明の予定であります。
 新体制は、スタート時点では全体でおよそ50人規模となりますが、今後、協議の進捗状況を見ながら、必要に応じて人数を増やしていく予定であります。
 なお、新チームは内閣官房の庁舎に設置する予定であります。
 広報につきましては、具体的な進め方は引き続き検討してまいりたいと考えておりますが、政府を挙げて収集した情報を国民の皆様に出来るだけ提供し、十分な国民的な議論を行っていくとの観点から、特に情報提供が足りないと指摘されております地方に対しても、しっかりとした広報活動を行ってまいりたいと考えております。
 今後、TPP交渉会合や交渉参加に向けた協議の進捗に応じて、得られた情報につきましては、出来るだけ幅広く国民に提供していくように努めてまいりたいと考えております。
 私からは、以上でございます。

2.質疑応答

(問)今お話しいただいたTPPですけれども、総理が方針を決められてから1カ月経ったこの時点から始めたというタイミングについてどう思われるか、教えてください。
(答)府省横断的な体制はどういう体制が良いかということで、色々検討して、実際に人をどれくらい集めていくかということも事務的に検討してまいりました。出来るだけ速やかな形でやっていこうということで努力した結果がこういう状況になったのではないかと思っております。。
 ただ、今日ありましたように、各国に動きがあれば、今までの体制で情報収集すべきところはきちんと動いておりましたし、そうした情報については、私のところにも上がってきておりましたので、今後はこの新たな体制を出来るだけ早くスタートさせて、その下で集中的、一体的に情報の収集、分析を進めてまいりたいと思っております。
(問)ただ、慎重派、反対派という方もまだかなりいらっしゃると思うのですけれども、議長として、担当大臣としてどういうふうにそういう方たちの理解を得ていこうとお考えですか。
(答)これまでの中でも、収集された情報がきちんと開示されてないのではないかという御懸念もございました。こういうことのないように、今回の体制の中では、石田副大臣を中心とする副大臣クラスの幹事会を設けて、そこが中心となって集まってきた情報等をきちんと共有をして、そして必要なものをきちんと国民の皆様方、勿論党の中も含め提供していくことを政治主導で行ってまいりたいと思っています。
 こうした努力をすることによりまして、様々な御懸念等にもきちんとお応えが出来るように努力してまいりたいと思っております。
(問)税と社会保障の一体改革は、年内を目途に素案をまとめるという総理の方針が出ていますが、重要政策の司令塔である国家戦略会議は、この素案づくりにどういうふうにかかわるのか、それともかかわらないのか、お考えをお願いします。
(答)社会保障と税一体改革につきましては、6月の成案をもとにこれを具体化するという作業が今、政府・与党内で行われているところであります。
 国家戦略会議におきましては、昨日も議論の中で、予算編成の基本方針の骨子案を議論するに当たって、経済成長と財政健全化の両方を実現していかなければいけないということが確認をされたところであります。財政の健全化を行っていく中で社会保障制度のあり方についても見直しを行っていく、そうした御指摘もいただいております。
 そういった今まで国家戦略会議でいただいております御指摘なども、これからの取りまとめの中では生かしてまいりたいと思っていますし、また素案がまとまれば、当然国家戦略会議などに報告をしていく形になろうかと思っております。
(問)その決定する前に、特にそれについて戦略会議で議論をすることはないという解釈でよろしいですか。
(答)既に戦略会議においては、大きな方向性については賛同をいただいておりまして、むしろこれを早急にやっていくべきだというお話が出ているわけでございますから、今まさに政府・与党で行っていることが国家戦略会議での議論の方向性にも沿うものだと考えております。
(問)TPPに関して、交渉参加国からの情報収集ですけれども、交渉に日本が参加しないから情報が得られないという話を随分前からやっていた中で、今、日本が関係国との協議を始めるというスタンスで、関係9カ国から十分な情報収集が今まで以上になされるのかどうかということと、各国の反応はどうなっているのか、教えてください。
(答)先のマレーシアの会議でオブザーバー参加や交渉参加前といった人たちが参加出来ているわけではありませんから、交渉参加に向けて協議を始めていくということでありますけれども、実際に協議のテーブルにまだついているわけではございません。そういう意味では、依然として情報収集には一定の制約があるということは、現状でも変わっていないところではあります。
 しかし、交渉参加に向けて協議を行っていきたい。今までは一般的な情報収集でありますけれども、今回の場合は交渉参加に向けた情報収集ということで、各国とも協議を行っていく。今回もマレーシアで会合が行われたすぐ翌日に、こちらから職員を派遣して、今回の協議でどういう協議が行われたか、マレーシアから内容についてのヒアリングをして、その結果を今日報告いただいたわけであります。
 今参加している9カ国においても、日本がTPP交渉参加に向けて、それぞれの国と協議に入るという意思を表明しての協議でございますから、そういう前提の上で、先方もこちらとの意見交換、情報交換に応じていただいているわけでございまして、そういう意味では以前よりもそれぞれの国との協議の中でも、一歩踏み込んだ情報交換が出来ていると考えております。
(問)社会保障・税一体改革の関係で、昨日夜に国と地方の協議の場の分科会が開かれて、その中でいわゆる消費税の財源配分の議論が続けられて、今後国と地方の協議の場の親会議でも、引き続き財源問題が話し合われる予定ですが、これは年内を目途にまとめる素案の段階で、国と地方の財源配分は決着しておくべきなのか、それとも素案段階ではそこまで詰める必要はないのか、現時点の大臣のお考えをお聞かせください。
(答)分科会は3回やりましたが、分科会の議論の中心は消費税の分配をどうするかというよりは、何を社会保障の4経費と見るかというところの区別、定義の違いとかの議論のほうが大きかったのではないかと思っております。
 地方の皆様方の認識と政府の認識をもう少しこれからきちんと共有していかなければいけないと思っていますが、今回はあくまで6月の成案の枠組みの中で、2010年代半ばまでに引き上げをお願いをしたいと考えております消費税、この分についてはあの成案の中で書かれた社会保障4経費に当てていこうと考えているわけであります。そういう意味では、その中での議論であると承知をいたしております。
 そういうものを超えて、そもそも国と地方の単独事業についてどう見るかとか、少し議論が拡散をしていた部分もあったのではないかなと感じておりますけれども、今後とも地方との間では、そうした議論を整理しつつ、昨日は政府では関係4府省で論点を取りまとめさせていただきました。この取りまとめた論点について、これは政府内で引き続き議論が必要であると思っておりますので、まずは政府内でしっかり議論をしてまいりたいと思っております。
 その上で、3回の分科会の結果につきましては、近々開催されます国と地方の協議の場において、議論の経過の概要が報告されることになっております。
 まずそこに報告をした上で、関係4府省で取りまとめた論点につきましては、政府で詰めていって、その上で素案の取りまとめの際に踏まえたいと考えております。
(問)TPPの関係閣僚会合ですけれども、FTAAP・EPAのための閣僚会合は廃止をされるということでしょうか。
(答)いいえ、しません。
(問)併存されるということでしょうか。
(答)はい。高いレベルの経済連携を推進していくことは、非常に大事なことでありますから、やってまいりますが、しかし、中でもこのTPPについては大変関心も高いわけでありますし、懸念をされる方も多い。そういう意味で、このTPPについては、特別な関係閣僚会合をつくって、そこで集中的に扱っていこうということでございますので、これまでの経済連携全体の閣僚会合や閣僚委員会が廃止をされるというものではございません。
 包括的な経済連携に関しての閣僚委員会がございますが、その下にこのTPPに関する関係閣僚会合を置いたということでございます。広い意味では、包括的な経済連携推進のための閣僚委員会の下にあると御理解をいただきたいと思います。
(問)もう1点ですけれども、交渉チームですが、特別代表という言い方で決定かは分からないのですが、トップの人選の検討状況をお伺いできればと思います。
(答)関係国との協議の代表については、現在のところはまだ相手国と色々と協議をする局長レベルの協議であります。そういう意味では、当面、ハイレベルの代表を置いて協議に当たる必要性は高くない状況だと認識をいたしております。
  したがいまして、今後協議の進捗を踏まえつつ、慎重に検討を進めていく考えでございます。

(以上)