古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年12月9日

(平成23年12月9日(金) 9:51~10:11  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 私から、皆様方に御報告することはございません。
 何か御質問があれば承ります。

2.質疑応答

(問)税と社会保障一体改革について確認したいのですが、6月の成案の中に盛り込まれている受診時定額負担について、党から結構強い御意見が出ていると聞いておりますけれども、一度成案に盛り込まれた内容を変えることはあり得るのか。変える場合、どこまで変更は容認されるのか、そのお考えをお願いします。
(答)今、党でも成案をどのような形で具体化するか御議論いただいているわけでございます。党の議論も踏まえて、最終的には年内を目途に素案という形でまとめていきたいと思っております。
(問)6月の成案の中身が多少変わることはあり得るということでよろしいでしょうか。
(答)基本的にはこれからの議論の中で、具体的な形を決めるということであったかと承知をいたしております。
 そういう意味では、成案をもとに具体化を図って、最終的に年内を目途に素案としてまとめていくことになろうかと思います。
(問)TPPの省庁横断チームの話があったかと思いますけれども、これについて現在どこまで検討が進んでいるのかということと、その中での古川大臣はどういうお立場になるのか、その2点お願いします。
(答)これまでも経済連携に関しての閣僚会合につきましては、官房長官と私で議長役、取りまとめ役を務めてまいりました。そういった意味では、TPPの問題についても、閣僚の中では取りまとめの役割を果たすことになろうかと思っております。
 TPPの協議につきましては、今回行われておりましたTPP交渉参加国の会合の情報収集のために今日も多分マレーシアに行っているわけでございますけれども、今まさに参加に向けて関係国との協議に入るための作業も既に始まっておりますが、参加に向けての本格的な協議を行っていく上で必要な省庁横断的な体制、また必要に応じて外の人も入れていく、そうした体制については、事務的にはかなり詰まってきているところであります。
(問)その中で大臣はどういうお立場になるのでしょうか。
(答)先ほど申し上げましたように、経済連携全体のところでも、私が取りまとめの担当大臣をしておりますが、TPPの問題についても取りまとめの担当大臣の役割をすることになろうかと思っております。
(問)本日公表のGDPの改定に絡んで数点伺います。
 まず、今回の改定値には基準改定の影響等もあったのですが、民間企業設備が1次速報でのプラスがマイナスに転じて、結果的に下方修正となりましたが、まず今回のGDPの受けとめをお聞かせください。
(答)今回の民間企業設備につきましては、新たな統計が入ってきたことによって改定をされたものだと認識をいたしております。
 その上で、今回の2次QEにつきましては、今御質問にあった民間企業設備の下方修正等がございましたが、全体としては1次QEと大きな違いはなかったと考えております。
 即ち、実質GDP成長率は、震災後のサプライチェーンの立て直しが夏にかけて急速に進んだことなどを背景といたしまして、多くの需要項目がGDPの押し上げに寄与した結果、3四半期ぶりのプラス成長となっております。
 一方、足元でサプライチェーンの立て直しが進展するにつれて、景気の追加的なプラスの効果が薄らいでいるとか、また海外景気の回復が弱まっていることによって、輸出が振るわない。景気は引き続き持ち直してきてはおりますが、そのテンポが緩やかになってきているという状況は変わってないと思っております。
 今後とも、欧州の状況や、あるいは為替、株価などの変動等にもしっかり留意をしつつ、景気の下振れリスクに配慮しながら、各種の経済指標を注視してまいりたいと思っております。
(問)もう1点、内閣府で示している今年の年央試算ですが、その達成には7‐9月期並みの成長を下期も続けなければいけないというような推計も出ていますが、この年央試算の達成は可能なのかということと、成長率の見通しを変更する考えは今のところあるかどうか伺います。
(答)仰るように、少し厳しい数字が出ていることは認識をいたしております。また、民間の予測なども少し下がっていることも承知はいたしております。
 ただ同時に、円高への総合的な対応策、あるいは第3次補正も成立して、これから執行が本格的になる。そうした政策効果もこれから効いてくる形になろうかと思いますので、政府としては見通しの達成に向けて、引き続き努力を続けてまいりたいと思っております。
 今の時点で見通しを改定することは考えておりません。
(問)社会保障・税一体改革のことで1つお伺いしたいのですけれども、一体改革の成案の中には消費税の増税以外にも所得税、相続税の税率改革とか、所得控除から税額控除にするとか、様々な大きな項目が入っているのですけれども、素案ではこういう項目についても具体的な数字は入れていくのか、それとも大まかな改革の方向性だけを示すことになるのか、その辺りのお考えを教えてください。
(答)これについては、政府の税制調査会で議論が始まったばかりでありますけれども、基本的に今度まとめる素案は、成案を具体化することが基本でございますので、成案の中で書かれているものをどこまで具体化出来るかは、まさにこれからの議論によって決まってくることだと思っております。
(問)エネルギー関連についてですが、昨日、原子力損害賠償支援機構が東電に1兆円規模の資本注入をするという報道がありましたが、大臣の御所見をお聞かせいただけますか。
(答)そういう報道は承知いたしておりますが、私がそこの担当をしているわけではございませんので、実際にそういう話が進んでいるかということは承知いたしておりません。
(問)社会保障・税一体改革の関連ですが、大臣が仰るように、今、党で議論が進んでいて、来週、党でも政府の骨子をもとに議論を始めたいという話もありますが、次回の5大臣会合の見通しは現時点ではどうなっていますか。
(答)先日、5大臣会合の後にも申し上げたと思うのですけれども、次回は社会保障の骨子について議論を行いたいと思っておりまして、来週にも、出来る限り早いところで議論が出来るようにしたいと思っております。
(問)今日会期末で、一川大臣と山岡大臣の問責が可決する見通しになっているのですけれども、来年の通常国会は一体改革の法案ですとか、来年度予算とか、重要な案件が多数ありますが、この2人の大臣が仮に閣内に残ったまま通常国会に入ることについての影響をどのようにお考えですか。
(答)お二人の大臣がどうこうではないと思います。昨年も臨時国会で問責が出ました。その結果、1月に、内閣改造という形でありましたけれども、当時の仙谷官房長官、馬淵大臣が替わるということになりました。
 日本の民主主義の仕組み中で物事を決めていくあり方として、本当にこういうあり方が良いのかどうか。問責自体には法的な拘束力はないということになっているわけであります。昨年から今年にかけて、問責が焦点になったときに、永田町だけでなくて識者の方々からも、こういう国会の運営のあり方が良いのかどうかという問いかけがございました。
 私ども自身ももう少し与野党の胸襟を開いて、どういうあり方が良いのかということを議論して決めてこなければいけなかったのではないかなと思いますが、今の政治状況を考えますと、これからどういう形であれ、当分の間、ねじれの状況が続くわけであります。
 そうした中で、物事を決めていける仕組みをつくっていかなければいけない。政治が物事を決められないことが世の中の不信や、またマーケットなどの不信を招いているということが実は欧州の危機の1つの原因でもあり、またアメリカの政治の状況に対するマーケットや、あるいは国民の皆様の不信や不満でもあると思います。
 日本の中にある政治に対する不満や不信の1つも、物事が決められないことではないかと思います。勿論、我々、今政権を担っている与党の責任というのも大きいわけでありますけれども、同時に、統治機構という意味では、国会も含めて与野党全体が日本のガバメント、ガバナンスの大きな役割を担っているわけでありますから、統治機構全体がきちんと機能する形にしていくことは、与野党の枠を越えて考えていかなければいけないことではないかと思います。
 今、ちょうど御質問にもございましたけれども、社会保障・税一体改革をはじめ、今、日本が直面している、例えば震災からの復興であるとか、また原発事故の収束問題であるとか、誰が政権にあっても避けて通れない問題が山積しています。こうした問題について、1つ1つ物事を決めて前に進めていくためには、与野党がそれぞれ譲り合うところは譲り合って、そして物事をお互いに決めるということをしていかなければいけないのだと思います。
 そういう意味で言いますと、この臨時国会で、3次補正、そして震災復興に向けての復興庁の設置法案、特区法案が成立をしたのは、まさに与野党がお互いに歩み寄りをしたことによって物事が決まり、具体的に進んでいく形になったのだと思います。
 今回のこうした例は、震災復興にとどまらず、今、日本が直面している、避けて通れない、これ以上先送り出来ない、様々な課題を解決するためには、お互いの立場に固執するのではなくて、お互いに譲り合っていくことをしていかなければいけないのではないかと思っています。
 つい2日前、私は朝はいつもNHK‐BSの海外のニュースを見ていますけれども、パウエル元国務長官のインタビューがありまして、物事を前に進めるためには妥協をすることが必要だというコメントをされておられました。
 今のアメリカでは、お互いに妥協しないことが非常に強い姿として見られて、そこから一歩も譲ろうとしない。そのことによって、物事が決まらない、前に進まないという状況になっている。そうしたアメリカの政治状況をパウエル元国務長官が御批判をされておられたわけでありますが、このことはアメリカだけではなくて、私どもにも当てはまるのではないかなと思っています。
 今の日本が直面している様々な課題に対して、与野党がお互いに胸襟を開いて、物事を前にどう進めていくことが出来るか、このことは与党、そして政権を担わせていただいている我々だけではなくて、野党の皆様も一緒になって考えていかないといけない。今、起きていることは政治全体に対する不信感であります。それが世の中全体に蔓延をしている。このことは大変不幸なことでありますし、国民の皆様方からそうした困難を政治の力で解決してもらいたい、前に進めてもらいたいという思いを受けて、我々はこうして政治をさせていただいているわけでありますから、国民の皆様方に応えていくことをしていかないと、私は去年からこうした状況がずっと続いていくと、本当に政治家は我々自分自身で政治の自殺行為を図っていることにつながっていくのではないか。
 このことは、単に我々自身の首を絞めるだけではなくて、結局そのことによって被る損害、被害は、国民の皆様方に及んでしまうわけでありますから、そうしたことを我々はしっかり自覚をして、どうしたら物事を前に進めていけるのか。これは一政治家として申し上げている話でありますけれども、国会運営のあり方であったり、これまでの仕組みのあり方であったり、与野党の議員が胸襟を開いて、新しい仕組みで物事を決めていける、このねじれ国会の中でもきちんと物事を決めていける、そして前に進んでいける、この臨時国会で見られた3次補正であったりとか、復興庁、復興特区の成立の過程で見られたような、新しい仕組み、プロセスを是非実現をしていかなければいけないのではないか。
 今回、去年と同じようなことがまた繰り返されている状況を見まして、私はそういう思いを非常に強くいたしております。
(問)本来ならば蓮舫大臣にお聞きすべきことですけれども、行政刷新会議の一員でもいらっしゃる古川大臣にお伺いします。
 電波オークションの件で、3.9世代の携帯電話の割り当てをするという政策仕分けの提言が総務省の側で覆されるという事例が既に出ております。
 行政刷新会議や国家戦略会議等々、色々ございますけれども、そういったところの政府内での指揮系統がどうなっているのか国民から見ていて分かりづらい部分があるかと思うのですけれども、どういう指揮系統になっているのか大臣からお聞かせいただければと思います。
(答)行政刷新会議における仕分けで出た結果が、政府としては最終的な結論ではありません。前政権のときでありますけれども、これまで国民の皆様には、どういう議論が行われたのか、どういう問題点があるのかという議論があまり見えないところで行われ、政府の中、あるいは政府・与党の中だけで決まった結果だけが出てきた。そうした状況を変えていこうと。
 国民の皆様方も参加をしてもらう。見えるようなところで議論をして、様々な課題について、色々な視点から議論を出してもらう。そして、1つの考え方を示してもらう。
 その示されたものを受けて、政府の中、そして与党の中で議論をして、最終的な政府・与党としての決断をしていこうということが、行政刷新会議で行っている仕分けの結果をどういう形で受けとめていくかということであります。
 そういった意味では、今御質問にあったことも含め、今回の結果を踏まえて、政府内、与党内で議論がされて、そして最終的な結論が決まっていくものだと考えております。

(以上)