古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年11月25日

(平成23年11月25日(金) 9:59~10:16  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 本日、閣議後に野田内閣として初めての景気対応検討チームを開催いたしました。これは、今週はじめに第3次補正予算が成立し、「円高への総合的対応策」を本格的に実施に移す段階に入ったことを受けたものでございます。
 会合では各省の副大臣や日本銀行の山口副総裁等に御出席いただき、最近の経済動向や円高対応策の進捗状況等について議論いたしました。
 まず円高対応策の進捗を見ますと、早速動きが出てきていることが確認されました。例えば、守りの対策として、中小企業セーフティネット保証を9月末に延長し、要件緩和を行いました。この結果、10月以降、これまでの保証承諾実績が1万8,000件に達しており、保証の延長等により中小企業の経営や雇用が守られていることが示されました。また、円高メリットの活用など、攻めの対策については外為特会の資金を使った資源確保案件といたしまして、LNGの権益取得2件が決定され、我が国の年間LNG輸入量の6%分を確保することとなりました。
 また、円高対応策の策定後、欧州の政府債務危機がイタリアにも波及し、重要な先行きリスクとなっております。これにつきましては政府と日本銀行との間で警戒感を共有し、緊密に連携をすることで認識が一致いたしました。
 今後とも、景気対応検討チームに今日集まった副大臣を中心に、各省庁において政務がしっかりとこの円高対応策でまとめたことを実施に移していく。予算を付けたものはきちんとその予算を実行していく。また融資枠とか出資の枠をきちんとつくったものや拡大したものについては、単に枠をつくったり、拡大しただけではなく、しっかり融資や出資が行われるよう、最後に出ていくところまできちんとチェックをしていく、そしてそれをこの景気対応検討チームでフォローするような、行政のPDCAサイクルをしっかり回していきたいと思っております。
 なお、会合での議論等を集約したものとして、内閣府においてお手元にお配りした資料4.「「円高への総合的対応策」の進捗評価とマクロ経済政策運営」を取りまとめております。
 2点目でございます。本日、エネルギーや環境分野の研究開発の基本的な考え方をエネルギー・環境会議として決定をいたしました。詳細はお手元の配付資料を御参照いただきたいと思います。
 この決定は、10月のエネルギー・環境会議でエネルギー・環境分野での研究開発予算について一定の方向性を出すべきとの議論を受けて、今回取りまとめたものでございます。
 決定のポイントは3つございます。
 第1に、省エネ、再エネといったフロンティア開拓予算を重視すること。
 第2に、分散型エネルギーの実現といった、課題解決を重視した研究開発予算を重視すること。
 第3に、原子力については、廃炉の着実な実施、世界最高水準の安全性実現に資するものを重視すること。平成25年度以降の原子力研究開発等のあり方につきましては、もんじゅを含め、エネルギー・環境会議での原子力政策の総合的な検証を踏まえて検討をいたします。この点は、行政刷新会議の提言型政策仕分けの議論と同じであります。今後、エネルギー・環境会議といたしましては、今日の決定を国家戦略会議に報告の上、財務省や総合科学技術会議等にもこの方針を示し、予算の重点化、重複排除等を要請することといたしております。
 また、年末のエネルギー・環境会議でこの方針に基づく結果について議論したいと思っております。平成25年度以降の予算につきましても、来年夏の戦略策定までには大きな方向性を示したいと考えております。
 なお、本件の詳細につきましては国家戦略室までお問い合わせをいただきたいと思います。
 最後に、今日の夕刻から27日日曜日にかけまして韓国を訪問いたしますので御報告を申し上げます。欧州ソブリン問題の深刻な影響がアジアにも及び始めている中で韓国の経済財政担当大臣と最新の情報を共有するとともに意見交換を行い、今後も密接に連携していくことを確認してまいりたいと思っております。同時に現地で開催されますグリーンイノベーションに関する国際会議において講演、意見交換を行う予定となっております。
 出張の詳細につきましては、事務方にお尋ねいただきたいと思います。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)大きく2点あります。1つは、TPPの省庁連携のチームですけれども、昨日、両院議員懇談会で御発言されたようですが、改めてどういう体制を今考えているのか教えていただけますか。
(答)省庁横断のチームをつくってまいりたいと考えております。そこには、外からの人も含めて考えていきたいと思っております。今日、報道でTPP担当の首相補佐官を置く案があるというお話がございましたが、昨日の議員懇談会の中でも、事務方を政務がきちんとグリップしているのかという御意見がかなり強く出ました。そうしたものを踏まえ、私が考えておりますのは、これはしっかり政治主導で協議を行っていく。すなわち、政治家が協議にしっかりと責任を持つ体制づくりが必要だと考えておりまして、そうした考えの下、昨日私が申し上げたのは、1つの例として、そのチームに担当の首相補佐官を設置することも一案ではないかということで説明をしたわけでございますが、実際に首相補佐官を置くことが決まったわけではございません。現在、検討中でございまして、いずれにせよ、きちんと我々政治家が協議にしっかり責任を持てる、そして事務方をグリップ出来るような体制をつくり上げてまいりたいと思っております。
(問)いつぐらいを目途に発足しそうなのかと、担当大臣は古川さんでよろしいのかどうか確認させてください。
(答)これまでも包括的な経済連携に関する閣僚会合につきましては、私と官房長官が議長でやってまいりました。体制につきましても、今官房長官と私が中心になって協議をしているところでございますので、体制については出来る限り早い段階で立ち上げていきたいと思っておりますし、立ち上がったところでの閣僚の中での責任ということであれば、基本的には私が責任を持ってその体制を主導していくことになろうかと思います。
(問)税と社会保障一体改革で、来年の3月末までに法案を出すということから逆算すると、大臣として、年内に何と何までを決めなくてはいけないと考えていらっしゃるのか、確認させてください。
(答)12月31日と1月1日で突然変わることではないと思います。とにかく3月31日までに法案が出せる状況をつくっていくことを考えて逆算をしていきますと、様々な法案の準備等も考えれば、年内から1月にかけて何らかのところで具体的な方針が決まってこないと事務的な作業も出来ないだろうということでございますので、そこに向けて必要な取りまとめを行っていくことだと思いますので、年内にここまで決まっていなければいけないということが具体的にあるわけではないと考えております。
(問)増税の時期や税率も年内に決まっていなければいけないものではないということでよろしいのでしょうか。
(答)私は、そこについてはしっかり議論をした上でまとまるところでまとまればよろしいのではないか、必ずしも12月31日にこだわるものではないのではないかと思っております。
(問)後のほうで述べられたエネルギー関連研究の件と、先ほど仕分けの件も仰ったので、その関連で2つ教えてください。
 1つは、配付資料の一番下に原子力に係る研究開発予算は今後のエネルギー・環境戦略の対応を重視してということですが、一方で仕分けのときにも議論があったのですけれども、原子力研究は、大半がいわゆる原子力機構が担当していて、そこのお金の使い方が非常に不透明でいい加減ではないかという指摘があって、原子力研究を続ける上で改善を図る必要があるのかなと私なども聞いていて思ったのですが、古川大臣があの日の議論をお聞きになった御感想などを教えていただきたいというのが1つです。
 2点目ですが、仕分けの際に議論になったのですが、配付資料のエネルギー研究開発予算の1番と2番でこういった分野も重視していくということですが、一方でエネルギーを含む科学技術政策全般で、いわゆる優先順位、何を一番大事にして、これは少し置いておきましょうということがきちんと精査出来ていないのではないかという指摘がありました。どれもこれも大事ですよねとなってしまっていて、それでは意味がないというお話だったと思うのですが、これについて政策の何を重視して何を切っていくかというところを、財政も縮減していく中でこれからどうやっていくのかというお考えを聞かせていただきたい。この2点をお願いします。
(答)原子力研究開発のあり方につきましては、仕分けのときに、もんじゅも含めて議論になりました。これはエネルギー・環境会議で総合的な検証を踏まえて検討することになっておりますので、今回の仕分けでの御指摘も踏まえて、しっかり議論してまいりたいと思っております。
 科学技術政策の優先順位付けにつきましては、まさに、有識者研究会において今まで以上にしっかり戦略的に決めていけるような体制づくりについて、年内には方向性をまとめていただく方向で議論していただいております。その報告を踏まえて、限られた予算の中で制約はありますが、今御指摘あった優先順位付け、メリハリの利いた、必要な科学技術イノベーション政策に重点的に予算が回っていくような仕組みをつくってまいりたいと思っております。
(問)これまでそういう優先順位付けは、きちんと出来ていたと思われますか。そうではないとしたら、何が問題だと思われますか。
(答)今までも色々な工夫をしてきております。今年についてもアクションプランをつくり、重点分野については、そこでひとまとめにしていくという作業については、1つずつ過去から様々な御指摘を踏まえて改善はしております。しかし、それを更に進めていこうというのが今検討していることでございます。これは不断の改善が必要だと思います。トヨタ方式ではないですけれどもね。これをやればすべてということではなくて、常に日々改善をしていかなければいけないことだと思いますので、そうした改善の方向に向けて努力してまいりたいと思っております。
(問)TPPについてですけれども、大臣、昨日御講演されていましたけれども、その中で、「十分な国民的議論を経た上で国益の観点に立ってTPPについては結論を得ていく」というくだりが意味するところですが、これは実際政府として交渉に参加する段階で与党との協議をするという意味なのか、それとも署名する段階で与党との協議をするという意味なのか、どういうことでしょうか。
(答)それはまさに申し上げたとおり、十分な国民的な議論を踏まえてTPPについては結論を得る。その言葉以上でも以下でもありません。
(問)実際、今回協議入りする前に与党とは調整されたわけですが、交渉入りについては二段構えのような、党との調整というのはあるということですか。
(答)繰り返しになって恐縮ですが、十分な国民的な議論を踏まえた上でTPPについての結論を得るという、それ以上でも以下でもないということであります。
(問)円高への総合的対応策についてお願いします。対策が出来たのが1カ月ほど前ですけれども、その後欧州の債務危機やタイの洪水が発生したり、かなり国際的に不安要因が出てきていますけれども、今日進捗状況を御確認された結果と併せ見たときに、この1カ月間で更に悪化した状況に対してもこの対策で十分に対応は出来るとお考えでしょうか。大臣のお考えをお尋ねします。
(答)まずはこのまとめた対応策をしっかりと一日も早く早期に実行することが肝要かと思っております。そして、今欧州をはじめ、不安定な状況についてはしっかり注視をしていくことだと思っております。

(以上)