古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年10月21日

(平成23年10月21日(金) 11:15~11:36  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 最初に、私から2点お話しさせていただきます。
 本日閣議前に、経済情勢に関する検討会合を開催し、その場で円高への総合的対応策が了承され、その後の閣議で決定されましたので御報告いたします。
 私からは対応策のポイントについて、3点お話ししたいと思います。
 まず第1に、中間報告公表の際にも申し上げましたとおり、本対応策は雇用の下支えや中小企業の金融支援など、円高に対する守りの対策だけでなく、攻めの対策を大胆に講じたことに特徴があります。具体的には、円高を逆手にとって、海外M&Aや資源確保等を大胆に進めるための施策や、立地補助金の拡充やオンリーワン企業の育成等、円高等のリスクにびくともしない強靱な経済の構築に資する施策を数多く盛り込むことが出来たと考えております。特にオンリーワン企業の重要性につきましては、先日の大阪での視察でも改めて認識したところでありまして、対策に盛り込んだ支援策をしっかりと進めてまいりたいと思います。
 第2に、本対応策は、国費の規模は2兆円程度でありますが、成長を下支えする効果的な施策を厳選したものであるということを強調させていただきます。私は、現在の厳しい財政制約のもとでは、経済対策を単に規模で評価するという時代は終わったと考えております。景気の下振れリスクに、着実かつ迅速に対応するためには、インパクトの大きい施策を厳選することが重要であります。こうした考え方の下、今回の対応策におきましては、過去の対策の実績を踏まえ、立地補助金や雇用創出基金、住宅エコポイント等、特に効果の大きい施策に大胆に財政資源の配分を行うことを重視いたしました。この結果、本対応策の実質GDP押上げ効果は0.5%程度と比較的大きいものとなっております。
 第3に、本対応策につきましては、迅速に具体的な成果が上がるよう、内閣を挙げてPDCAに立脚した進捗管理を行ってまいります。このため、補正予算成立後すぐにでも、本内閣として新たに景気対応検討チームを立ち上げて、各省の副大臣級にお集まりいただき、施策ごとに設定する数値目標と期限に基づき、各省の取り組みを叱咤激励してまいりたいと考えています。
 今後は、まずは本対応策の実施に必要な予算措置を含む第3次補正予算を速やかに国会に提出し、野党の御協力も得て、早急に成立を図ってまいりたいと考えております。
 もう1点、本日の閣議で国家戦略会議の開催が決定されました。国家戦略会議の役割としましては、税財政の骨格や経済運営の基本方針等の国家の内外にわたる重要な政策を統括する司令塔並びに政策推進の原動力として、総理のリーダーシップの下、産官学の英知を結集し、重要基本方針の取りまとめ等を行うとともに、国の未来への新たな展望を提示するため、新時代の中長期的な国家ビジョンの構想を行うこととなります。
 会議の構成員は、総理を議長とし、官房長官と私が副議長、この他、総務大臣、外務大臣、財務大臣、経済産業大臣が常任のメンバーとなります。民間有識者は、岩田一政日本経済研究センター理事長、緒方貞子国際協力機構理事長、古賀伸明日本労働組合総連合会会長、長谷川閑史武田薬品工業株式会社代表取締役社長、米倉弘昌住友化学株式会社代表取締役会長、そして関係機関の長として白川方明日本銀行総裁が会議に参加されることになります。
 また、閣議におきまして、総理からは、内閣が取り組むべき最優先課題の1つは、日本経済の立て直しであり、国家の信用が厳しく問われる今、国家戦略的な課題に対して果敢に取り組んでいく必要がある。このため国家戦略会議において産官学の英知を結集し、重要基本方針の取りまとめや新時代の中長期的な国家ビジョンの構想等を行ってまいりたい。まずは、日本再生の基本戦略を年内に策定するため、精力的に議論を進めていきたいと考えているといった御発言がございました。
 初回会合は10月中を目途に開催することで、現在関係者の皆様の日程を調整しているところであります。
 なお、国家戦略会議の設置を機に既存会議の見直しが行われ、18の会議が廃止されることとなっております。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)確認ですが、総理の先ほどの発言は、閣議での発言ということでしょうか、それとも閣僚懇での発言でしょうか。
(答)閣議です。
(問)今回、国家戦略会議の開催とそれに伴う会議の整理が行われたわけですが、今後こういった取り組みを通じて、今後の政策決定をどのように変えていきたいと思われているか、抱負をお願いします。
(答)国家にとって重要な内外の政策については、この国家戦略会議を中心に、司令塔、政策推進の原動力となっていく形でやっていくと同時に、野田政権の役割は、これまでの鳩山政権、菅政権で色々なプラン等をまとめてまいりましたが、それを実行していくことにあります。これはそれぞれの担当部局でしっかり実行していただかなくてはいけない。これまで2年間まとめてきたものをそれぞれの担当するところで実行していくように、しっかり各省庁の担当大臣を中心に実行を奨励していきたいと思っております。
(問)続けて、国家戦略会議についてお伺いします。大臣は先日、予算の骨格についてもこの会議で議論すると仰いました。もう少し具体的なイメージをお伺いしたいのですが、この予算の骨格は11月にまとめている基本方針のことなのか、それとも小泉政権下で概算要求に先立って官邸主導で示した予算の全体像をイメージされているのか、どちらでしょうか。
(答)鳩山内閣、菅内閣では、小泉政権がやっていたようなものはやっておりません。それは皆様御存知のとおりだと思います。これまでも国家戦略室で、予算につきましては編成前に基本方針を定めていくということをやっておりました。そうした議論については、当然この戦略会議でも議論していくことになろうかと思っております。
(問)あともう1つお願いします。改めてお伺いしますが、大臣は国家戦略会議に法的位置付けは必要だとお考えになりますでしょうか。
(答)国家戦略室を国家戦略局に格上げすることをはじめとする政治主導確立法案を提出して、成立を目指しておりましたが、残念ながら今取り下げている状況にあります。もう一度、この政治主導確立法案を是非提案していきたいと思っていますし、新たに設置いたしました国家戦略会議についても位置付けをしていきたいと考えております。
(問)国家戦略会議を盛り込んだ政治主導確立法案をつくり直したものは、来年の通常国会には提出を目指されるお考えなのでしょうか。
(答)前の政治主導確立法案につきましては、なかなか野党の御理解をいただけなくて、震災復興を優先するということで取り下げた経緯がございます。今の国会状況の中でありますので、これにつきましては与党内の議論は勿論でございますが、野党を含めて、しっかり意見を伺いながら、出来るだけ早くそうしたものが出せるような努力をしてまいりたいと考えております。
(問)まず円高対策についてお伺いしたいのですけれども、今の歴史的な円高水準は、7月の終わり頃から始まっていると思うのですけれども、皆様、迅速な対応を仰いますが、民主党政権として、最善、最速のスピードでこの対策をまとめたとお考えでしょうか。
(答)野田政権発足直後に円高の総合対応策の取りまとめを御指示いただきまして、作業をしてまいりました。そして、出来ることはやっていくということで、既に先月、中間取りまとめを行ったところで、実行出来ることはもう既に手を打っております。しかし、同時に予算的な措置も必要な施策もありますので、それにつきましては、3次補正の策定と併せて、これまで協議をしてきているわけでございまして、一日も早い3次補正予算の成立を通じて、この予算措置を伴う施策についても、早急に実行してまいりたいと考えております。
(問)9月に政権が替わったということで、対策をとる時期が遅れていることはないのでしょうか。
(答)そのとき、そのときの中で、最善の努力をしているところでございます。
(問)もう1点、国家戦略会議ですけれども、初回は10月中ということですが、その後どのぐらいの頻度で開いていこうと思っていらっしゃるのか、教えてください。
(答)まずは第1回目を開くことが最優先ですね。
(問)年内に再生戦略をまとめるということですけれども、この会議は中長期的にどういうビジョンで動かしていきたいと思っていらっしゃるのでしょうか。
(答)まずは再生戦略を取りまとめる。そしてこの会議の役割であります税財政の骨格や経済運営の基本方針、更には国家の内外の重要事項について、必要に応じて議論をして、方向性を示していくことになろうかと考えております。
(問)先ほどの国家戦略会議と予算との関係についてですが、予算の骨格を議論するということは、議論の結果を予算編成前に何らかの方針として示していくというお考えはありますか。
(答)国家戦略会議では、総理から日本再生戦略を取りまとめてもらいたいとご指示をいただいております。再生戦略の中には、来年度予算にかかわってくるものもあるわけでございますから、そういった部分を中心に考え方を示していくことになろうかと思っております。
(問)本日より、フリーのライターにも会見出席の機会をいただいたことをまず御礼申し上げます。質問を2点ほどさせていただきたいと思います。
 今回の国家戦略会議の開催に伴って廃止された会議体ですけれども、例えば緊急雇用対策本部については、まだ雇用情勢も厳しいものがございますし、自殺対策関係省庁連絡会議に関しても、自殺者が御存知のとおり昨年度より3万人という数字で、こちらも改善がされていないかと思います。地方分権推進連絡会議も、まだまだ地方分権は進めていかなければならないと思うのですけれども、こういった会議体が廃止になって、それらの議論はどう収斂していくのか、それともそれらの議論は終わってしまうのかというところに関して、お伺いさせていただきたいと思います。
(答)個別の会議については、官房長官が会見されておられますので、是非そちらを聞いていただければと思いますが、雇用対策につきましては、非常に重要だと考えておりまして、今回の国家戦略会議の中に、古賀連合会長にも入っていただいております。そうしたことも十分配慮してまいりたいと思っていますし、今お話があった地方分権推進連絡会議については、それに代わる地域主権戦略会議、あるいは国と地方の協議の場が昨日も行われました。元々この地方分権推進連絡会議は前の自公政権時代にやっていたものが、そのまま形としては残っていたということであります。
 自殺対策関係省庁連絡会議も実は自公政権時代にやっていた事務レベルの会議でございますので、新政権になりましてからは自殺総合対策会議を開催しておりますので、そちらでしっかり自殺対策については取り組んでまいりたいと思っております。ここにあります様々な会議の整理や廃止は、形だけ残っていて、実際には開催されていなかったものを中心に整理をしていったと御理解をいただければと思っております。
(問)もう1点、国家戦略会議の中で、知財関連の戦略などを扱われる御予定はございますでしょうか。
(答)国家の内外の重要事項であると考えられたことについては、そこでの議論の中に入ってくると思います。
(問)国家戦略会議に白川日銀総裁がメンバーとして入ったことの意図を教えていただけますか。
(答)前から申し上げておりますように、国家戦略会議については、産官学の英知を結集していくということで人選をさせていただいております。そして、この会議の中で、税財政の骨格や経済運営の基本方針といったことも1つの大きな重要な課題となっておりますので、関係機関の長として、日銀総裁も御参加いただいて、こうした議論に参加をしていただきたいということでございます。
(問)今回の円高対策によって、GDPと雇用創出の下支え効果を出されていますが、逆に円高によってGDPがどの程度押し下げられるのか、また雇用がどの程度失われるのか、見通しや数字をお持ちでしょうか。
 逆に、0.5%程度の押上げと30万人程度の雇用創出で、十分とお考えでしょうか。
(答)政府として出来るだけの対応策をとっているところでございます。
(問)あと、JBICの融資枠2兆円追加ということですが、まだ始まったばかりの段階で、2兆円追加する意図を教えていただけますでしょうか。
(答)国家として、成長産業や資源の獲得等について、積極的に民間企業を応援していきたいという意思を示しているところでございます。
(問)今回円高対策で、GDPの押上げ効果等、経済の波及効果の試算の発表がございましたが、今日概算決定した第3次補正全体でどの程度の経済の波及効果があるかという試算はあるのでしょうか。それとも今後まとめる予定はあるのでしょうか。
(答)現在精査中でございます。
(問)国会提出は来週になるかと思うのですが、それに合わせて、経済効果も別途発表になる予定と考えてよろしいのでしょうか。
(答)精査が終われば、お示しをしたいと思っております。

(以上)