古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年9月30日

(平成23年9月30日(金) 9:40~9:56  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。まず、私のほうからは御報告事項が4点ございます。
 1点目ですが、宇宙開発戦略本部につきまして、本日、閣議前に宇宙開発戦略本部会合を開催し、「実用準天頂衛星システム事業の推進の基本的な考え方」及び「宇宙空間の開発・利用の戦略的な推進体制の構築について」を本部決定し、その後、閣議決定いたしました。閣議決定した資料はお配りしておりますが、主な内容は次のとおりであります。
 まず1点目が、実用準天頂衛星システムについて、2010年代後半を目途に、まずは4機体制を整備することとし、衛星システムの開発、整備、運用は内閣府が実施すること。2点目が、内閣府に我が国宇宙政策の司令塔機能と、準天頂衛星システムの開発、整備、運用等、施策実施機能を担当する体制を構築するため、必要な法案等を次期通常国会への提出を目途として準備することでございます。
 本日の決定を踏まえ、各省連携を図りつつ、政府一体となって宇宙政策の推進に取り組んでまいりたいと思います。
 決定の詳細につきましては、宇宙開発戦略本部事務局にお問い合わせをいただきたいと思います。
 2番目が、ACTAの署名についてでございます。これは外務省の担当でありますが、知的財産戦略本部でも推進してきた課題でもありますので、御報告申し上げます。
 本日、「偽造品の取引の防止に関する協定の署名について」を閣議決定いたしました。本協定は、英文の頭文字をとってACTAと呼んでおります。模倣品・海賊版防止対策のため、我が国が平成17年にG8サミットでその必要性を提唱したことから、関係国の協議が始まり、昨年10月の東京会合で大筋合意に至ったものであります。
 知的財産戦略本部が策定した知的財産推進計画2011におきましても、重要施策と位置づけられております。
 明日、東京都内におきまして、我が国をはじめ、関係各国が参加した署名式を行う予定でございます。この機会に、あわせて、本日、東日本大震災からの復興に取り組んでいる仙台市におきまして、ACTA国際シンポジウムを開催しております。詳細につきましては、知的財産戦略推進事務局にお問い合わせをいただきたいと思います。
 3点目が日本商工会議所との懇談についてでございます。
 本日、7時過ぎから1時間程度でございましたが、日本商工会議所との懇談会を開催いたしました。商工会議所からは岡村会頭をはじめ、被災地福島、大阪、名古屋といった地方の商工会議所の代表を含む幹部の方々に御出席いただき、内閣府から私のほか、石田副大臣、大串政務官が出席をいたしました。
 商工会議所のほうからは、震災からの早期の復旧・復興、早急な円高空洞化対策の実行、電力の安定供給確保、法人税引き下げを含む税制の抜本改革、TPPを含む経済連携の推進などのさまざまな御意見をいただきました。今後の政策運営に活用してまいりたいと思っています。
 今日の懇談会で経済3団体との意見交換が一巡しましたけれども、今後とも引き続きこうした意見交換を随時行って、経済団体の皆様方と認識を共有しながら、経済財政運営を行ってまいりたいと考えております。
 最後に、大阪・京都出張について申し上げます。既に皆さん方には御案内しておりますが、この土日に経済財政及び科学技術の関係で、大阪・京都に出張する予定でございます。経済財政の関係では、地域の経済状況について、現場を訪れて現場の皆さん方からお話を聞くという観点から、大阪・京都の経済団体との意見交換を行うことを予定しておりますし、また、円高においても負けないオンリーワンの技術を持っている中小企業の視察等も行う予定であります。
 科学技術の関係では、各国の科学技術関係大臣が一堂に会して、科学技術の現状と今後について認識を共有する観点から、国際科学技術関係大臣会合に出席するほか、スイス、タイの担当大臣とのバイ会談、並びに京都大学iPS細胞研究所の視察等を予定いたしております。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)今日いただいたプリントは、準天頂衛星システム事業の推進のところで、内閣府が実施して関連する予算要求を行うとあるのですが、これは来年度の予算では、どういうことのために、必要なお金を幾らほど要求するということになるのでしょうか。
(答)来年度の概算要求におきましては、日本再生重点化措置を活用いたしまして、実用準天頂衛星システムの開発整備に必要な費用といたしまして、衛星開発のための予算約41億円を要望することとしております。また、地上システムにつきましては、PFIの活用を念頭に置いた国庫債務負担行為の設定を要求することといたしております。
(問)野田政権の発足からちょうど1カ月になるのですけれども、改めてこの1カ月を振り返って、どのような御感想をお持ちですか。
(答)とにかく野田政権では、これまでの2年間の検証と反省に立って、特にこの2年間まとめてきたことを一つ一つ実行に移していくことが我々の責務だというふうに思っています。特に、総理がいつもおっしゃっていますように、震災からの復旧・復興、原発事故の収束、そして経済の立て直し、それに向けて、一歩ずつでありますけれども、私は着実な歩みをこの1カ月間、できたのではないかというふうに考えております。
(問)初閣議のときに御指示を受けたという、司令塔となる会議体の検討は、現状、どこまで進んでいらっしゃいますか。
(答)初閣議のときに指示を受けたのは、円高対策の話です。
(問)その後の会議のときにおっしゃっていたと思いますけれども、戦略会議の実行というのは、いつごろ、どのような形でみているのでしょうか。
(答)この件につきましては、官房長官などとも、既存の会議体をどう整理するかという意見交換や、事務的な調整をしているところでございます。そうした調整の状況も踏まえ、それをまた総理にも御報告をしながら、また総理のお考えをお伺いしながら詰めてまいりたいと考えております。
(問)今日、閣議の後に、総理に30分ほどお会いになられているようですけれども、ここではどのようなお話をなされたのでしょうか。
(答)来週10月3日の日にエネルギー・環境会議を開催する予定でおりますので、その会議の内容について総理に御説明をしたということでございます。
(問)準天頂衛星のことについて教えてください。
 まず、タイムスケジュールなのですが、2010年代後半を目途に4機体制を整備というふうにありますけれども、これは具体的には二千何年に何機というようなことをお考えなのでしょうか。
 それと、もう1点、今回実用準天頂衛星、実用という言葉をつけられていますけれども、目的としてはこの閣議決定文の4行のところにいろいろ書かれていますけれども、実際には何に使おうとされているのかというところがわかりにくいと思います。いろんなことがあって、総花的には書いてありますけれども、実際、国として何に使うために整備をしようとしているのかということについて、教えてください。
(答)整備計画については2010年代後半を目途に4機を整備するということで、それ以上でもそれ以下でもありません。そして、さまざまな準天頂衛星システムの用途につきましては、いろいろ書いてありますが、まさにいろいろな用途がございますので、そうしたいろいろな用途に活用していくということであります。
(問)その関連で、基本的には実用でいろいろ使われるということですけれども、2010年代後半というと非常に漠とした言い方であって、何かに使おうというときにここがはっきりしていないと、利用の仕方とか、形態とか、そういうものの計画も進まないと思うのですが、その辺いかがでしょうか。
(答)これは順次、一気にそんな毎日打ち上げられるようなものじゃないということは御承知だと思います。そういった意味では、順次準備が整い次第、打ち上げ、整備をしていくということになろうかと思います。
(問)今日、種々の経済指標が出まして、その中で鉱工業生産指数ですが、8月の数字はやや上昇だったんですけれども、9月の予測が割と大きな幅でマイナス予測となっているので、震災以降、ずっと上がってきたものがもし実現すればちょっと下がってしまうことになってしまうわけですが、景気の先行きの不安とか下振れのリスク等々を踏まえて、そういった指標をどうとらえていらっしゃるか。
(答)今、9月の指標の予測指数のお話をされましたが、10月は逆に3.8%とプラスの予測が出ております。日本経済を取り巻く環境は、海外景気の減速などもあって、厳しさを増しているということは重々承知をしております。そういうことを踏まえながら、今日発表された指標も含め、今後発表されるさまざまな指標もしっかり精査しながら、経済の動向を注視してまいりたいと考えております。
(問)宇宙関連で2点、お願いします。
 将来的には準天頂衛星は7機を目指すということですけれども、これは米国のGPS衛星に頼らない、日本独自の測定システムを将来的に目指すということなんでしょうか。
(答)それも目的の一つでありますが、先ほど申し上げましたけれども、この準天頂衛星の用途にはさまざまな用途がありますから、そういうさまざまな用途に資するような形の体制をとっていきたいということであります。
(問)そうすると、この4機、7機というのは、静止衛星を組み合わせる準天頂衛星のみで、4機、7機体制という理解でよろしいでしょうか。
(答)これは専門調査会の報告の中でも、準天頂衛星と静止衛星を組み合わせるという考え方も示されておりますので、どういう形にするのか、この準天頂衛星と静止衛星の組み合わせをどうするのかということについては、今後の調査等によって最終的に決定してまいりたいというふうに考えております。
(問)最後に1点、宇宙の推進体制ですけれども、内閣府に司令塔機能ということですが、これまでも宇宙開発戦略本部事務局が内閣官房の下にあると思うんですけれども、そことの違いはどのように考えればよろしいでしょうか。
(答)今までは、戦略本部はありますが、いわば企画をするところと衛星を打ち上げるところが一応本部でまとまって議論はしていますけれども、ちょっとばらばらになっていたところもあるかと思っております。そういう意味で、まずは内閣府に司令塔機能をしっかりとまとめる。その上で、本当に必要かつ、優先順位の高い衛星の打ち上げをはじめとして、宇宙開発に関する司令塔機能をしっかりとつくる。今回の準天頂衛星システムにつきましては、用途が各省庁にまたがるところでもありますので、施策の実施機能も持たせる形でやっていく。
 今まで各省庁で衛星などもばらばらでやっている部分について、いろいろな用途があるものについてはきちんとまとめていくということも含め、今までの省庁の縦割りの中で、宇宙の統合的な活用、開発という点で欠けていた部分を、内閣府のもとでまずは司令塔機能をしっかりとまとめることで、統合的に運用できるようにしてまいりたいということでございます。
(問)準天頂衛星についてですが、大臣がご就任されたときに、いろんな意見があるので迷っている、悩んでいるというお話があり、これから議論を尽くして決めていきたいということだったのですが、こういう巨額のプロジェクトにゴーサインを出すのは、ある種の覚悟をお持ちかと思うんですが、どこが決め手になったのでしょうか。
(答)それは、最初に申し上げましたように、さまざまな御意見を伺った上で、やはり整備をしていくことが必要であろうということで、今回、まずはこの3次補正で調査費をつけて、2010年代後半を目途に4機体制にすることを政府として決めさせていただいたということであります。

(以上)