細野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年11月11日

(平成23年11月11日(金) 8:16~8:36  於:合同庁舎4号館4階408会議室)

1.発言要旨

 皆さん、おはようございます。
 本日の閣議では、放射性物質汚染対策特措法に基づく基本方針を閣議決定いたしました。この法に基づく除染の実施は、汚染された廃棄物処理のための第一歩であると考えております。
 併せて、閣僚懇談会の場所で、関係閣僚に対して、私のほうから、人員を含めた体制整備の協力をお願いいたしました。もちろん体制整備については、環境省に最大の責任があるわけですが、各省からも応援もしっかり受けて、国全体で除染をしなければなりませんので、これからさらにその強化を図ってまいりたいと思っております。
 今日皆さんに配付をいたしました資料は、その体制についてのおよその姿を形にしたものでございます。法律施行自体は1月1日からでございますけれども、実際の除染の活動は既に始まっておりますので、今整えることができている体制から、来年1月1日で整備をできる体制、さらには、4月1日時点で整えていきたいと思っている体制、新年度ですね、それぞれ書かせていただいております。
 現時点では、現地では大体25名ぐらいの体制になっておりまして、これを各省からの応援も得てさらに拡充をしていきたいと思っています。
 1月1日からは、大体65名ぐらいが確保できておりますので、それをさらに強化するということでございます。4月1日からは、現在予算要求しているところでございますので、それが通ればということでございますけれども、大体200名強の人員の要求を既にしておりますので、そこをさらに各省からの応援も得て拡充をしていきたいと思っております。
 なお、4月1日からは福島環境再生事務所のさらに地方支所をつくろうというふうに思っておりまして、具体的には、浜通りのほうにもつくりたいということで現在検討中でございますので、そういったことも含めて福島全体で除染が進むような体制をしっかり整えてまいりたいというふうに思っております。
 また、来週には、官房長官をヘッドとした除染に関する関係閣僚会議を開催するという、そういう御発言もございました。もちろん環境省の下でしっかりと除染をやる必要があるわけですけれども、やはり官邸主導で官房長官、そして最終的には総理という形で陣頭指揮をとっていただけるのは非常にありがたいことでございまして、これを一つの大きなきっかけとしてさらに体制の整備を図っていきたいと思っております。
 もう一点、地球温暖化対策税でございますけれども、昨日の3党税調会長協議の結果、導入が先送りされることとなりました。一言で申し上げて、大変残念でございます。これからの我が国の環境行政のあり方ということを考えたときに、是非とも温対税については導入をしたいというふうに考えておりました。今回の結果は大変残念でありますけれども、これからもエネルギーの消費をできるだけ抑制して、そして自然エネルギーを含めた環境関係の様々な予算をしっかり確保する上でも、温対税は必要だというふうに思っておりますので、来年度の導入に向けて私どもとしてはしっかりと体制をもう一度整え直して努力をしていきたいというふうに思っております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)北海道新聞の須藤と申します。
 福島第一原発事故について、国会の事故調が設置されましたけれども、この事故原因の究明ということについては、本当に津波だけによる施設の損傷だったのか、あるいはそうではなくて、地震の揺れですとか施設の老朽化、こういったものが本当になかったかどうかということも大きな焦点になるかと思います。そういった部分、炉の状態も落ち着きつつある中で、いつごろから、だれの手で、そういった精緻な調査を始めることになるのか、その辺の見通しをお願いいたします。
(答)政府の中の事故調査委員会も既に活発に様々な調査を行われておりますし、また国会のほうの事故調もスタートするということでございますので、それぞれの場所でも事故原因については究明がされるものというふうに承知をしております。ただ、この2つの調査会というのは、中身については我々が関与できるものではありませんので、それぞれの御判断にお任せをして、しっかりとそれに対して事実を私どものほうからお伝えをするという関係で臨みたいと思っております。
 その2つの調査会とかかわらないところで、政府自身でもそこはしっかりと究明する必要があると思っております。6月と9月の2回、IAEAの報告書を提出いたしまして、そこでは政府としての、その当時の考え方を既に御説明申し上げています。その中では、地震によっては、現在までのところ、主要な機器の大きなトラブルというのは確認をされていないけれども、さらに精査が必要であるという、そういう趣旨の慎重な書き方をいたしました。そこからさらに事故関係者の調査は続けておりまして、政府の内部でもこの事故の原因ですね、率直に言いまして、津波によるところがかなり大きいんですけれども、津波が起こる前に地震によってどういうトラブルが起こっていたのかということについての解明はさらに進めていかなければならないと思っております。そのことを調べることが、例えば高経年化というものをどのように評価していくのかということであるとか、それぞれの原発の型というものがありますから、そういったものが果たして影響したのかどうかとか、そういう非常に重要な判断にも影響してくるというふうに思っておりますので、政府としてもしっかり取り組んでいきたいし、今まさにやっているという状況です。
(問)関連で、基本的な認識の部分で恐縮なんですけれども、実際に施設の中で精緻な調査を行うというか、現場の情報を収集するのは基本的には東電の社員なのか、そうじゃなくて政府の人、あるいは第三者的な人も入ることになるのか、そのあたりはいかがでしょうか。
(答)東京電力の中でもいろいろ調査をされているようですけれども、東京電力の中の調査をそのまま私ども鵜呑みにするわけにはいきませんので、当然、中に政府関係者が入って現場の作業員であるとか、東電の技術者の話を聞いているということです。それは随分前から始めております。
 すみません、1点発言を失念しておりまして大変失礼いたしました。
 もう一点閣議決定したものとして、環境影響評価法の施行令の一部を改正する政令案というのが閣議決定をされました。今回の改正では、環境影響評価法の対象事業に、一定規模以上の風力発電所を設置する工事の事業等を追加することなどを定めたものであります。具体的には、出力が1万キロワット以上の風力発電所の設置事業等を第一種事業、7,500キロワット以上で1万キロワット未満のものを第二種事業として指定することなどを規定しているものであります。来年10月1日から施行されますので、併せて皆さんに御報告申し上げます。大変失礼しました。
(問)NHKの柴垣です。
 除染の基本方針閣議決定に関連してなんですが、重点調査地域の指定に関する自治体向けの説明会なども今後本格的に始まりますけれども、改めてどう国として取り組んでいくかお聞かせ願えますか。
(答)指定地域については、基本的には1ミリシーベルトというのを目標にやりますので、それ以上のところを幅広くしっかりと指定していきたいというふうに思っております、政府としてはですね。ただ、具体的な指定のあり方というのは、市町村によってそれぞれ除染について様々なお考えがありますので、しっかり相談をしながらやっていきたいと思っております。
(問)朝日新聞社の平井です。
 地球温暖化対策税について2点お伺いします。
 1点は、今回、導入を先送りということになりましたけれども、現在要望されている石油石炭税の増額分、あるいは3年で段階的に上げていくという案、これについて見直すようなお考えはおありでしょうか。
 もう一点は、既に平成24年度の税制改正要望でも出されていますけれども、暫定税率の維持ということですけれども、これを地球温暖化対策のための税に使うという議論もありましたけれども、この点について、今議論は深まっていないように感じますけれども、改めて議論を起こす必要があるとお考えでしょうか。2点お願いします。
(答)まず、温対税のこれからの来年度に向けてのどういう手順で導入していくのかということについては、改めて戦略を練り直さなきゃいかんかなと思っております。もちろん段階的にというのは一つの考え方ですので尊重していきたいというふうに思うんですけれども、一方で、しっかりと予算を確保して自然エネルギーの導入であるとか、さらには、特に被災地の復興支援というのは我々やっていかなければならないと思っておりまして、その確保というのも極めて重要な課題になってくるわけですね。ですから、当然、来年4月に向けてどういう税制改正にしていくのかという議論になってくるわけですけれども、そこは、実はここ数日かなり我々、この温対税は何とか残したいということで働きかけをして努力をしたわけですが、それは結局実らなかったということで、昨日はかなりそういった意味ではもう無念の思いがございまして、今日がその日があけた日ですから、まだ戦略まで至っていないわけです。ですから、改めて我々にとっては非常に大事な税ですので、どういった形で導入をするのが国会の理解も得られやすいのか、なぜ今回、国会の理解が得られなかったのかという原因の究明も含めて態勢を立て直したいというふうに思っています。
 今、暫定税率とおっしゃったのは、あれですか、ガソリン税の話ですね。ガソリン税の議論は、これまたいろいろあるんですけれども、私は、余りこの暫定税率というものに環境省がこだわらないほうがいいだろうというふうに思っています。というのは、暫定税率がいろいろな経緯でこれまで設けられてきたし、国会でもいろいろな議論の経緯がありました。それを我々がここで、暫定税率はこの税率であるべきだというような議論に加わることは余りいいことではない、それぞれの担当省庁がありますので。そういうふうに考えています。
 あとは、使途のあり方としては、ガソリン税という趣旨、さらには、暫定税率という税の性質からいって、使途としては環境に充当されるものであるべきではないかという考え方を持っておりますので、できる限りそういった税というのが環境に振り向けられるような努力というのは、これまでもしてきたし、これからもさらにしっかりとやっていきたいというふうに思っております。
(問)朝日新聞の関根です。
 紙で配られた体制案なんですけれども、こういった関係閣僚会合というのは、必要性というのは国会審議でもいろいろ出ていたと思うんですけれども、そういった議論を踏まえてつくる必要性があるという判断に至ったということなのでしょうか。
(答)実は、以前から話は出ておりまして、それも踏まえて、我々の中でも検討してきたし、国会での議論も踏まえてこういったものを設置するということです。
 ただ、今、特に原子力災害ということに関して言うと、一つの過渡期にあると私は思っておりまして、どういう過渡期かというと、事故発生の後の緊急事態から8カ月経って、オンサイト自体の事故そのものは若干落ち着きを取り戻しているわけですね。その中で、これからつくるべき体制というのは、しっかり持続をできるような恒久的なものにしていかなければならないと思っておるんですよ。したがって、除染そのものの実施部隊については、緊急なので、例えば、官邸の中につくるというそういう考え方をとるよりは、環境省の下に皆さん集まっていただいて、そこでやることのほうがむしろ持続性があるのではないかというふうに考えました。ですから、関係閣僚会議で、例えば、各省庁の局長級の皆さん、もちろん政務では閣僚や副長官、副長官補を始めそういった幹部の皆さんにも集まっていただいた上で、様々な号令をかけていただいたり、調整をしていただいたりは、是非していただきたいと思っておりまして、私もこれで副議長ということですので、しっかりやりたいと思っています。ただ、実施部隊自体は環境省でしっかりとやる。国民の期待に我々が応えるという体制が恐らく一番持続するというふうに思っていますので、そこは少ししっかり役割分担をした上で取り組んでまいりたいと思っております。
(問)地方支所というのは、浜通りと中通りと会津、3カ所ということですか。
(答)まだはっきり決めているわけではないんです。中通りは福島市にそもそも環境再生事務所ができますから、さらに拠点をつくるべきかどうかという議論はあると思います。浜通りは、いずれにしてもつくらなければならないというふうに思っておりますが、あとどこにどういったものをつくるかはまだ決めておりません。これからです。
(問)テレビ朝日の辻と申しますが、先日、首都圏の知事さんと、あと政令指定都市の方たちが集まって会合が開かれまして、その場で広域瓦れきの件ですけれども、汚染されているものと汚染されていないものと一般の災害の瓦れきと放射性の物質を含んだ瓦れきとをちゃんと区別して違うんだということを環境大臣、それから野田総理大臣に自らの言葉で語って説得してほしいという意見が出ていたんですが、それについてはどうお考えでしょうか。
(答)大事な御指摘だと思います。今、広域処理をお願いしておるのは、基本的には─基本的にはという言い方もやめたほうがいいかもしれませんね。環境への影響のない処理のできる、そういう廃棄物でございますので、そこをしっかり御説明する必要があるというふうに思います。
 私としては、この記者会見でも、多分もう5回ぐらいは発言をしていると思いますし、あとは様々な会合に行って直接お願いもしておりますので、できる限りを尽くしているつもりではあるんです。ただ、やはり放射性物質という、今、それに対する懸念が非常に国民の間に強いですから、廃棄物といえばそちらということがどうしても皆さん心配になっておられるというふうに思うんです。ですから、そういう状況だからこそ、逆に問題のない廃棄物なんだということをできるだけ丁寧に御説明をし、理解をいただく必要があるというふうに思っています。
 もうちょっと踏み込んで申し上げると、本来は国が処理すべきで、ほかの自治体に御迷惑かけるのも申しわけないなという思いは率直に私の中にはあります。ただ、国が処理をするといっても、それこそどこかの場所で処理をしなければなりませんので、その地元の自治体の理解というのは欠かせないわけです。ですから、皆さんにお願いをしなければなりません。
 さらに言うならば、この廃棄物の問題ですね、これは被災地全体の問題ですけれども、放射性物質に対する恐怖というものも含めて、我が国がこれどうしても乗り越えなければならない大きな壁だと思うんです。この壁を乗り越えるのは、例えば、被災地の自治体だけではとても無理でありますし、政府だけでもこれは大変こういうことを言うと自らの弱さを吐露するようで申しわけないんですけれども、無力感があるわけですよ。政府で、例えばどこかに処理施設を持っていて、直轄地かなんかあってやれればそれはやりたいし、ましてや、例えば、私の家で燃やせと言われれば、喜んで燃やすんですけれども、そういう家もなし、環境省で燃やせといって燃やしたいところですけれども、ここも東京でそういうわけにいかない。力が及ばないわけですね。ですから、ここを乗り越えるのは、ここで日本がずるずると後ろに引き下がるのではなくて、この国難とも言うべき状況を乗り越えるためには、やはり全国の力が必要なんです。全国民にやはりそういった意味では理解が欠かせないと思っています。ですから、そこを是非皆さんに分かっていただきたいというふうに思うんです。ですから、事が、機会があればどこへでも行って御説明しようと思っておるんですけれども、実は環境大臣が出ていってお願いをすると、かえってなかなか動きにくいというようなことも言われまして、そういった意味では、まだ十分説明が尽くせていないところがあるというふうに思っています。ですから、そこは何とか御理解をいただけるように最大限の努力を、私はもちろんですけれども、環境省を挙げてやっていきたいと思っております。
(問)時事通信の吉本です。
 先ほど、旧暫定税率の地球温暖化対策税の部分の発言でよく分からなかったんですけれども、環境省として来年度税制改正要求に旧暫定税率分の温暖化税化というのは要求をたしかされていると思うんですけれども、そこと先ほどの発言との整合性というのはどういうことになっているんでしょうか。
(答)そこは環境省内でも少し議論をしたんですけれども、私はそろそろ特別会計だから目的税で、それは使途は限定すべきだという考え方から卒業すべきだというふうに思っています。さらに言うならば、エネルギー特会自体が果たして必要なのかという議論も前からあるわけです。ですから、そこに環境省は固執すべきではないというのが私の持論でもあります。ですから、環境に対してしっかりかけている税ですので、そこで上がってきたものは、筋としてできる限りしっかり環境に使っていくというのはこれからも、できるだけそういう予算を増やしていくというのはいいですよ。でも、別にそれが直接ひもがついていて、すぐこれに使わなければならないという議論は、これはもう非常に私は古い議論だというふうに思っていますので、そういう趣旨で申し上げました。

(以上)